スペースキャンパーNB-COOLsは日産ピーズフィールドクラフトが製作する、日産キャラバンをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社は車名の通り日産のクルマをベース車に使用したキャンピングカーを製作している。現在はキャラバンをベース車にしたジェニュインやT-7等をラインアップしている。
スペースキャンパーNB-COOLsは車名からも分かるように、キャンピングカー長野が製作するハイエースベースの「スペースキャンパーCOOLs」の姉妹車で、同様のレイアウトをキャラバンに展開している。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
日産キャラバン標準ボディをベース車にするバンコンで、前部にギャレー、後部にコの字型ダイネットのレイアウトを持つ。2列目に前向きの単座シートがあるのが特徴で、3名までが前向き乗車できる。
一体型ウインドウクーラーと300W相当のリチウムイオンバッテリーを標準装備しており、標準ボディクラスでクーラーが搭載できる数少ないモデルのひとつとなっている。
アピールポイント
・日産キャラバンがベース車
・コンパクトなボディで日常用途にも使用できる
・ミニポップアップルーフ
・コの字型の広いダイネット
・2列目に前向き単座シートを持ち3名が前向き乗車可能
・一体型クーラーを標準装備
・エクステンションウインドウでクーラーが車内に出っ張らない
・300W相当のリチウムイオンバッテリーを標準装備
・外部電源による充電機能やインバーター、ソーラーシステムも標準装備
ベース車とエクステリア
スペースキャンパーNB-COOLsのエクステリア
ベース車は日産キャラバン標準ルーフGRANDプレミアムGX。2WDと4WD、ガソリンとディーゼルが選択できる。
外観上の特徴は、右側後部のエクステンションウインドウとミニポップアップルーフ。エクステンションウインドウはクーラーをオフセットして取り付けるためのもので、そのため車内へクーラーが出っ張っていない。
ミニポップアップルーフは、キャンピングカー長野のスペースキャンパーCOOLで、8ナンバー取得のためギャレー前の高さを満たすために付けられたものだが、2022年のキャンピングカー要件変更で、その目的では必要なくなった。
しかし、車内で頭がつかえず立てるスペースがあることはストレスの解消につながり、また換気面でも役に立つ。そのため、要件改正後も付けられている。
インテリア
スペースキャンパーNB-COOLsのインテリア
展示車は写真のような、濃い木目の家具と、淡いグリーンを基調にしたシート地の組み合わせだったが、インテリアカラーを選択できるかは不明。
レイアウト
前部にギャレー、後部にコの字型の広いダイネットを配置する。2列目に単座シートがあり、3名が前向き乗車できる。このシートは前向き固定だが、3点式シートベルトが着用できる。
後部のベンチシートにも片側2名が乗車できるので、乗車人数は計7名となっている。また、ダイネットを展開したベッドで、大人が2名就寝できる。
3名が前向き乗車できるので、3名までのファミリーの長距離ドライブに対応できるが、就寝人数が2名なので、クルマ旅なら2名までとなる。ただし、小さい子供連れの3名のファミリーなら就寝は可能だろう。
ダイネット
横座り対座のダイネット
後部は両側にベンチシートがあり、横座り対座のダイネットになっている。最後部の中央にもシートがあるので、シートはコの字型になっている。2~3名なら十分余裕のある広さだ。
ちゃぶ台スタイルのダイネット
ベッドモードでもテーブルを立てることができるので、ちゃぶ台スタイルのダイネットにして寛ぐこともできる。また、後部にある三角形のクッションは、置き方によってリクライニングの角度が選べるようになっている。
ベッド
後部ベッドは家庭用ダブルベッドの幅に近い
ベンチシートの背もたれを中央に移動すると、1,880x1,320mmのベッドになる。幅は家庭用ではダブルベッドの幅(1400mm)に近く、大人2名ならゆったりと就寝できる。
ベッド展開は、背もたれを移動するだけなので簡単にでき、分割されているので比較的軽量なため、就寝前に労力を使うことはない。
ギャレー
前部右側に設置されるギャレー
ギャレーは前部右側に設置されている。2列目の前向きシートが無いキャンピングカー長野のスぺースキャンパーCOOLsではL型にキャビネットが置かれているが、このスペースキャンパーNB-COOLsでは2列目シートがあるため大きさは制限されている。
ギャレーのシンクとフォーセット
ギャレーキャビネットの天板には丸形のシンクとフォーセットが設置されている。コンロはポータブルカセットコンロを、使用する度にセットする必要がある。
また、ギャレーキャビネットの前は単座シートのため余裕がなく、立って調理するのにシートが邪魔になる。残念ながら調理しやすいギャレーではない。調理することがあるなら、二人旅仕様のスペースキャンパーCOOLsの方が良いだろう。
冷蔵庫/電子レンジ
18Lポータブル冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は18Lポータブル冷蔵庫が標準装備される。ただし冷蔵庫の専用の設置スペースが取れないため、写真では単座シートの前に置かれている。
電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。2000W正弦波インバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
多目的ルーム
スペースキャンパーNB-COOLsには多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことはできる。最後部のシートの下に収まる高さのポータブルトイレがあれば、目に触れることは無い。
収納
ギャレーキャビネットの収納
ギャレーキャビネットに収納が用意されている。欲を言えば、ギャレーキャビネットの収納なので、食器や調理用具の収納を考え、引き出し式の方が良かったのではないだろうか。
左側ベンチシート下の収納
ベンチシート下も収納になっている。左側のベンチシート下は全て収納になっており、シート座面を上げてアクセスすることができる。(動画はこちら)また、リアゲートを開けて車外からアクセスすることもできる。
ベッドの下の収納スペース
ベッドモードにすると、ベッドの中央の下も収納スペースとして使用できる。就寝時は邪魔になる荷物をここに収納しておくと、ベッドの上が煩雑にならない。
空調
一体型ウインドウクーラーを標準装備
スペースキャンパーNB-COOLsの大きな特徴のひとつは、クーラーが”すっきり”標準装備されていること。これは100V仕様の一体型クーラーでウインドウに取り付けるタイプのもの。
これをエクステンションウインドウでオフセットして取り付けているため、室内に出っ張らないのがポイントだ。
クーラー使用時は扉を開ける必要がある
このボディサイズのモデルにクーラーが標準装備されること自体素晴らしい進化だ。ただ、残念な点が一つあるとすると、使用時に車外に出てクーラーの扉を開ける必要があること。雨が降っている場合や、暑い車外にいちいち出なければならないのは億劫だ。また、開いているのを忘れて走り出してしまうと危険でもある。
ギャレーキャビネットの天板に設置されたFFヒーターの吹き出し口
暖房はFFヒーターが標準装備される。多くのモデルでFFヒーターはオプションだが、スペースキャンパーでは標準装備される。必需装備なのでユーザーにとって嬉しい仕様だ。
さらに、FFヒーターの吹き出し口がギャレーキャビネットの天板に設置されている。これは、ベッドモードにしたとき、ベッドの下に温風がこもらないようにするため。
これも良く考えられている。
テレビ/ナビ
32型のテレビが標準装備される
15.6インチのフリップダウンモニターが標準装備される。チャンネルと音量をコントロールできるリモコンのスイッチがギャレーキャビネットに付けられているが、ワイヤレスリモコン付きのモニターの方が良いのでは。
ナビは10インチのものが標準装備される。
電装系
サブバッテリーはリチウムイオンバッテリーが3個標準装備される。1個の容量が書かれていないが、100Ahとすると、300Ahもの容量があることになる。ちなみにキャンピングカー長野のスペースキャンパーCOOLsは2個となっている。
外部電源入力と充電機能、2000W正弦波インバーター、計200Wのソーラーシステムも標準装備される。即ち、スペースキャンパーNB-COOLsの電装系は強力にして完璧だ。
価格(2023年5月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/7ATは、724万円~、4WDやディーゼルの価格は下の仕様表を参照ください。
標準装備が充実しているので、付けておきたい必需オプションは特にない。なお、ミニポップアップルーフはレスオプションにおなっており、付けない場合は▲220,000円となる。しかし、車内で立てる場所があるというのはストレスの解消になるし、換気のメリットも考えると、付けるメリットは大きい。
他モデル
キャラバン標準ボディベースのバンコンでクーラーが装備できるモデルは他にない。ハイエース標準ボディ標準ルーフでクーラーが装備できるモデルは、OMCのゼロ(543万円~)、ホワイトハウスのコンパスビッツ(471万円~)、ケイワークスのオーロラエクスクルーシブ5star ナロー(709万円~)がある。
最もレイアウトが似ているのはレクビィのソラン(737万円~)だ。ソランは2023年のジャパンキャンピングカーショーで発表されたモデルで、横開き式冷蔵庫、薄型家庭用エアコン、200Ahリチウムイオンバッテリーなどを標準装備する。
まとめ
スペースキャンパーNB-COOLsは人気のスペースキャンパーCOOLsのレイアウトをキャラバンに展開することにより、キャラバンを望むユーザーには朗報と言える。このサイズのバンコンにクーラーとリチウムイオンバッテリーが標準装備されたのは大きな進化だ。
ハイエースベースのスペースキャンパーCOOLsと全く同じにせず、3名のファミリーにも対応したのも異なるマーケットをカバーするうえで有用な手段と言える。ただ、2列目に単座シートを置いたためのデメリットもある。二人旅が目的ならスペースキャンパーCOOLsの方がお勧めだ。
なお、レクビィのソランは強力な競合になるだろう。横開き式の冷蔵庫や最新型の家庭用エアコンに加え、2列目の単座シートを後ろ向きにして2名対座ダイネットを形成するため、二人旅でも3名のクルマ旅でも対応できるレイアウトを持つ。価格的に比較してもスペースキャンパーNB-COOLsとあまり変わらないことから考えると、現時点ではソランが優位だ。
スペースキャンパーNB-COOLsは希少なキャラバンベースのモデルだけに、今後の進化が期待される。
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