クラフトキャンパーT-7は日産ピーズフィールドクラフトが製作する、NV350キャラバンワイドスーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社は日産プリンス東京販売の関連会社で、日産のクルマをベースにキャンピングカーを製作している。
T-7は2013年に発売されたモデルで新しいものではないが、そのレイアウトはファミリーでも二人旅でも使いやすい。
コンセプト
2段ベッドと2名対座ダイネットの組み合わせで、二人旅なら常設ベッドでベッド展開が不要。しかし2列目の単座シートを前向きにすると3名が前向き乗車でき、また下段ベッドをフルベッドモードにすると4名が就寝できるため、ファミリーでも使える。
エクステリア
T-7のエクステリア
ボディ外装への架装はなく、外観は通常のキャラバンと変わりない。特にキャンピングカーとして目立つことはないので、日常使用にも違和感なく使える。
ベース車はNV350ワイドスーパーロングだが、標準幅スーパーロングも選択できる。標準幅スーパーロングは車幅が1,695mmでセレナ(1740mm)より狭いため、家庭の駐車場にも入れやすい。なお、ワイド幅は1,880mmで、標準幅より185mm広い。
全長もワイド幅の5230mmに対し、標準幅スーパーロングは5080mmで150mm短い。
なお、NV350キャラバンでは特装車でも自動ブレーキが装備されるのが大きな利点となる。ハイエースでは、特装車に自動ブレーキが付かない。
インテリア
船のキャビンをイメージしたインテリア
船のキャビンをイメージしたと謳われているインテリアで、ブルーのシートが鮮やか。特にダイネットのラウンドフォルムは優雅な雰囲気を持つ。またギャレーは波をイメージしたという曲線で、天板は白い鏡面仕上げで美しく清潔感がある。
レイアウト
前部にギャレー、後部に縦置き2段ベッドと2名対座ダイネットの構成。同社の説明では4名乗車で4名就寝のため「ファミリーに向けたファミリーのためのキャンピングカー」となっているが、このレイアウトは二人旅でも十分使いやすい。
ダイネット
2名対座にロングシートを加えたダイネット
二人旅の場合は単座の対座ダイネットとして使用できる。また、2段ベッドの上段を下段ベッドのシートバックとして使え、大きなロングシートになるのでファミリーでもテーブルを囲むことができる。
T-7の特徴は、これが最後部の3列目単座シートとつながって優雅なラウンジソファになること。上段ベッドは左右2か所のロックを外すとすぐに展開できるので、二人旅の場合も気軽にラウンジソファモードにでき、広いダイネットにできる。
ベッド
縦置き常設2段ベッド
縦置き常設2段ベッドがあるので、二人旅の場合はダイネットを展開することなく、すぐに就寝できる。サイズは1,830x620mmで、キャンピングカーのシングルベッドとしては標準的な大きさだ。
各段に読書灯の装備が欲しいところだが、バッテリー式のライトを別途購入して付けてもよいだろう。
フルベッド状態では下段に3名就寝できる
2名対座ダイネットを展開すると1名分のシングルベッドになるが、更に下段ベッドとの隙間を埋めると、1,830x1,500mmのフルベッドモードになる。これは家庭用ではダブルベッドとクイーンサイズベッドの中間の幅で、規定上は大人3名が就寝できる。
ギャレー
優雅な曲線のギャレーコンソール
T-7のギャレーは優雅な曲線を持つ大胆なデザインが魅力だ。天板は白い鏡面仕上げで、掃除がしやすく汚れも付きにくい。大きな丸いシンクは比較的大きな皿も洗うことができる。
シンクの下には各19Lの給排水タンクが収納されており、エントランスに近いのでタンクの出し入れが容易に行える。ラウンドした扉は芸術的だ。
冷蔵庫/電子レンジ
上開き式40L冷蔵庫が標準装備される
40Lの冷蔵庫が標準装備される。ただ、残念なのは冷蔵庫が上開き式なことと、電子レンジの装備が想定されていないこと。長期旅の場合は製氷と冷蔵が同時にできる横開き式や、調理が簡単にできる電子レンジは欲しいオプションだ。
ユーティリティールームを削ってギャレーを大きくしたのに、デザインが優先されてそのスペースが十分生かされていない。
ユーティリティールーム
T-7にユーティリティールームは用意されていない。年配のユーザーの二人旅では、夜に車外のトイレに行くのは避けたいので、トイレルームが欲しいところだ。
ただ、T-7はファミリーをメインターゲットにしており、インテリアもカジュアルなことから見て、子供連れの若いファミリーを想定しているのかもしれない。
もっとも、子供が小さいと突然トイレに行きたがるので、それはそれでトイレルームが欲しいところではある。従って、小学生くらいの子供を持つファミリーに絞り込まれるかもしれない。
収納
ギャレー上のオーバーヘッド収納
ギャレーの上にオーバーヘッド収納が設置されており、食器やカトラリーなど清潔に収納したいものはここに入れておける。ただしオーバーヘッド収納はここだけで、反対側(左サイド)はボードにネットのマガジンラックとハンガー用のフックがあるだけ。
左サイドはボードのみとなる
オプションでも良いので、ここにもオーバーヘッド収納があると収納力が高くなるのだが。特にファミリーで使用する場合は、できるだけ収納スペースが欲しいものだ。
エントランス横のカウンターラック
エントランスを入ってすぐ左側にカウンターラックが配置されており、大きな扉が付いた収納スペースが用意されている。内部はそれほど容量があるわけではないが、ちょっとした収納スペースとして使える。シューズボックスがないので、スライドドア付近にシューズボックスを作ってもよかったかもしれない。
ベッド下の収納スペース
フルベッドモードの場合、ベッド下は大きな収納スペースとして使える。ファミリーで使用する場合は、多くのバッグなどがあるので、有用な収納スペースになる。
空調
暖房はべバスト製FFヒーターがオプション設定されている。ベンチレーターもオプション。なお、冷房のソリューションは設定されていない。
テレビ/ナビ
19型のテレビがオプション設定されており、前部のカウンターラックの上に設置する想定となっている。対座ダイネットからこの位置のテレビを見るのは難しいので、走行中に2列目シートから見ることを想定しているのかもしれない。
電装系
下段ベッド下の電装系
105Ahのディープサイクルサブバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。また、外部電源入力も標準装備されているが、これによるサブバッテリーの充電機能はオプション。
追加バッテリーはオプションリストに記載されてないが、スペース的には十分可能なので問い合わせるとよいだろう。電子レンジなどの大電力家電がないので、サブバッテリーは1個で特に問題ないが、夏場に冷蔵庫をフル稼働させる場合は、経年劣化を考えるとツインバッテリーが安心かもしれない。
なお、インバーターは標準装備されていないが、19型テレビをオプション設定する場合、350Wのインバーターも一緒に搭載される。即ち、インバーター単体でのオプション設定がされていないが、これはオーダーできるだろう。テレビは不要だがインバーターは必要というケースは多いと思われる。
また、容量は不明だがソーラーシステムもオプション設定されている。
価格(2020年12月現在:千円台切り上げ:税別)
標準幅のガソリン2WDは407万円~、ワイド幅の2WDは422万円~。必要なオプションはFFヒーター(198,000円)、A/Cオートチャージャー(44,000円)が挙げられる。
他モデル (2020年12月現在:千円台切り上げ:税別)
NV350 キャラバンベースで縦置き2段ベッドを持つモデルは、オーエムシーの「銀河」(467万円~)とビークルの「グランベル」(446万円~)の2モデルがある。どちらもワイドスーパーロングのみで標準幅は選択できない。
このうち、「銀河」は「T-7」のレイアウトに近いが最後部にユーティリティールームを持つ。また「銀河」はハイエーススーパーロングでも製作できる。「グランベル」は2列目シートが3人掛けマルチモードシートで、ユーティリティールームも用意されている。
まとめ
クラフトキャンパーT-7はファミリーにも二人旅にも対応できるレイアウトを持つ、使いやすいバンコンだ。しかし、立派なギャレーがありながら、横開き式冷蔵庫や電子レンジが搭載できない点は残念なところ。
従って、そのような装備やユーティリティールームが必要でない短期の車中泊ドライブやキャンプに向いているだろう。カジュアルなインテリアを含め、おそらく若いファミリーユーザーに適しているかもしれない。
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