G-LIBは日産ピーズフィールドクラフトが製作する、バンコンバージョンキャンピングカー。日産NV350キャラバン ワイドスーパーロングをベース車にしている。
モデル名のLIBはリチウムイオンバッテリーの意味で、その名の通り、大容量のリチウムイオンバッテリーを標準搭載している。
大容量のリチウムイオンバッテリーといえば、キャンパー鹿児島のKULOS(5KWh)が思い浮かぶが、G-LIBは8KWhとその上を行く。
8KWhというとどれくらいの容量かと言うと、よく使われているディープサイクルバッテリーが105Ahなので、単純に計算しても6倍以上の容量がある。
更にディープサイクルバッテリーはエアコンのような大電流を消費する機器を使った場合、容量低減という効果が起こり、半分程度しか使えない場合があるので、これも加算すると、ディープサイクルバッテリー約12本分の容量を持つことになる。
大電力を一度に取り出せるので、エアコンや電子レンジにも安心して使用できる。
このリチウムイオンバッテリーシステムは日産が開発したもので、以前からジャパンキャンピングカーショーの日産ブースでも出展されていた。
リチウムイオンバッテリーは日産リーフに積まれているバッテリーと同じものが使用されているが、リーフには40KWh積まれているので、G-LIBに積まれているのは、リーフの5分の1ということになる。
さて、G-LIBの”G”は「グランピング」を意味している。最近よく聞く言葉だが、これは”グラマラス(Glamorous)とキャンピングを組み合わせた造語だ。
いわゆる、テントを設営して火を起こしてといったサバイバルの匂いがするキャンプではなく、もっと優雅にアウトドアを楽しもうと言った趣旨のように見受けられる。
グランピングは”魅力的な”と訳されていることが多いようだが、”豪華な”とか”優雅な”キャンプというほうがピッタリするかもしれない。
白を基調にしたインテリア
いずれにしても、G-LIBはそのグランピングをコンセプトにしているだけあって、車内は白を基調にした非日常的なインテリアが広がる。
レイアウトは前部にソファラウンジダイネット、後部がギャレーになっており、前向き着座は運転席と助手席のみ。従って、ふたり旅を想定したレイアウトと言える。
リチウムイオンバッテリーは、運転席、助手席のすぐ後ろのソファ下に置かれており、このソファ下はすべてバッテリーと電装系のために割かれている。
運転席、助手席の後ろに設置された8KWhリチウムイオンバッテリー
ベッドはダイネットを展開してセットする。就寝前に一仕事しなければならないのはグランピングから多少外れるが、マルチモードシートの展開ほどは汗をかかないだろう。
ワイドボディなので、大人2名がゆったり就寝できる。
後部のギャレーは、大きめのシンクがビルトインされ、コンロはIHが採用されている。もちろん、49リッター冷蔵庫と電子レンジも標準装備で、上部には家庭用エアコンが標準装備されている。さすが、大容量リチウムイオンバッテリーなればこその演出だ。
エアコンだけなら単純計算で20時間くらい運転できることになり、電気の心配はまったくない。
IHコンロをビルトインしたギャレー
収納は、ダイネット上(右サイド上)にオーバーヘッドキャブネットが設けられており、奥深く収納力は高い。
また、ギャレーにも引出し収納を含め多くの収納スペースが設けられており、食器の収納も困ることはない。
空調は、家庭用エアコンが標準装備されるが、FFヒーターは設定されていない。暖房も家庭用エアコンを使うことを想定しているようだ。
電装系は、先に述べているように8KWhのリチウムイオンバッテリーが標準装備されており、そのメリットは先に書いたとおりだが、大容量ゆえ充電にも時間がかかることは知っておいたほうが良いだろう。なお、1500Wインバーターが2台装備されており、100Vコンセントは2系統ある。充電しながら家電品を使う場合、構成上一系統のコンセントは使えない。更にフル充電する場合は、両方のコンセントが使えなくなる。
充電は外部100Vからのみ行い、走行充電の機能はない。
G-LIBは大容量バッテリーにより、キャンピングカーの電気問題を解決している。これだけの容量があれば、少なくとも電気不足で困ることはまずないだろう。
このようにかなり理想に近いキャンピングカーではあるが、唯一問題は価格だ。2WD/6ATで976万円(税別/2WD/6AT)という価格は、高価過ぎる。
やはり大容量リチウムイオンバッテリーKULOS(5KWh)を標準装備するキャンパー鹿児島のレムフォレストやレムセカンドアクトKULOSバージョンは653万円(同/キャンパー特装)だ。
消費税を入れると1000万円を超えるハイエースバンコンというのは、ちょっと手を出しにくいだろう。8KWhリチウムイオンバッテリーに300万円程度の価値を見いだせるかが、購入のポイントになる。