RSプレミアムは、ATV群馬が製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にしたバン・コンバージョン キャンピングカー。
同社はハイエースベースのバンコンや軽バンコンを中心にオリジナルモデルをラインアップしているが、RSプレミアムは同社の代表的なモデルの位置付けとなっている。
RSプレミアムは後部にハイマウントダブルベッドを持つが、縦置きダブルベッドのレイアウトを採用したRSプレミアムGも追加された。また、ワイドミドルルーフをベース車にしたRS MAXも選択できる。
RSプレミアム LVは2023年の東京キャンピングカーショーで展示された、400Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備したモデル。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエーススーパーロングをベース車にしたバン・コンバージョンで、前部に対座ダイネット、後部にハイマウントダブルベッドのレイアウトを持つ。多目的ルームを廃し、広い室内を実現している。
4名が前向き乗車でき4名が就寝できるので、ファミリー使用にも対応する。
冷蔵庫、電子レンジや、ソーラーシステム、インバーターなどの電装系など標準装備が充実しているのもメリット。
RSプレミアム LVはRENOGYの400Ahリチウムイオンバッテリーパッケージを標準装備している。
アピールポイント
・4名のファミリー使用に対応したレイアウト
・充実した標準装備
・400Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備
・充実した収納
ベース車とエクステリア
RSプレミアムのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロング キャンパー特装車。外観上の特徴は右側後部のエクステンションウインドウ。トイファクトリーのバーデンのように、フロントまで続く大型のものではなく、後部のみカバーしている。
インテリア
RSプレミアムのインテリア
展示車はホワイト系の壁やテーブルトップと、濃い木目調家具の組み合わせ。メリハリがある、美しいインテリアとなっていた。2021年モデルではつやのある木目調の家具とビニールレザーのシート地だったが、2023年モデルでは高級感が増している。
インテリアカラーのバリエーションについては情報が無いが、このインテリアで不満があるユーザーは少ないだろう。インテリアカラーやシート地の変更についてはビルダーにお問い合わせいただきたい。
レイアウト
2列目に2人掛けのマルチモードシートを配置。前向きにすると4名が前向き乗車でき(乗車定員は5名)、後ろ向きにすると、3列目のシートとで対座ダイネットになる。
後部にはハイマウントダブルベッド、左サイドにはギャレーを配置する。バーデンに代表される、ハイエーススーパーロングの典型的なレイアウトのひとつだ。
このレイアウトの特徴は、4名が前向き乗車でき、4名が就寝できるため、ファミリーでの車中泊にも対応できる点と、多目的ルームを廃したことにより、広いベッドとダイネットを持ち、車内が広く見える点。
また、ハイマウントダブルベッドの下は広大な収納スペースとして使用できるのも、このレイアウトのメリットだ。
ダイネット
RSプレミアムには運転席、助手席を180度回転するオプションが用意されており、これを使用すると、3通りのダイネット形態が可能だ。
対座ダイネット
まずは、一般的な対座ダイネットで、2列目シートを後ろ向きにして3列目シートととで形作る。ギャレーが近くにあり、停泊地に到着した後、ファミリーで寛ぐ場合に適している。
運転席、助手席を180度回転できる(OP)
二つ目は、運転席、助手席を180度回転して後ろ向きにし、前向きの2列目シートとで形作る対座ダイネット。フロントシートと2列目シートの高さが異なるので多少違和感があるが、ドライブ中に休憩する場合など、2列目シートを後ろ向きにするまでもない場合に、対座ダイネットを形成できる。なお、シートの回転機構はオプション。
広いテーブルの対座ダイネット
三つめはRSプレミアム独特のモードで、オプションの追加テーブルを使用する、広いテーブルの対座ダイネット。シートとテーブルが離れているため、どの程度の実用性があるか不明だが、このような形態のダイネットも可能だ。
ベッド
ベッドは後部のハイマウントダブルベッドと、ダイネットを展開してセットするダイネットベッドの2か所がある。
後部のハイマウントダブルベッド
まず、メインベッドとなる後部のダブルベッドは、大きさが1820x1420mm。エクステンションウインドウで車幅を拡張しているため、キャンピングカー要件の1800mmを確保している。
ただし、1820mmの長さは、長身のユーザーには窮屈な場合があるため、購入を検討する場合は実際に横になってみてチェックすることをお勧めする。なお、ベッドルームにはリアゲート以外に窓が無い。これも好みが分かれるところではある。
1420mmの幅は、家庭用ではレギュラーダブルベッドの幅(1400mm)よりも広い。大人2名がゆったり就寝できる幅だ。
2名が就寝できるダイネットベッド
ダイネット展開ベッドは、2010x1200mmの大きさ。ただし、これはヘッドレストを含んだ長さなので、実質のベッド長はもう少し短い。1200mmの幅は、家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当する。
ギャレー
ギャレーセクション
左サイドに配置されたギャレーキャビネットの前は通路なので、立って調理ができる。ギャレーキャビネットの天板にはシンクとフォーセットがビルトインされているが、コンロはカセットコンロを、使用する度にセットする必要がある。
ギャレーキャビネットの引出し収納
ギャレーキャビネットには引き出し収納が用意されている。上下に2か所用意されているので収納力もあり、食器やカトラリーを収納しておくのに便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ
49L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は49L横開き式を標準装備。エントランスの横に設置されているので、車外からもアクセスしやすい。もちろん冷凍/製氷と冷蔵が同時にできる。
電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。1500W正弦波インバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
多目的ルーム
RSプレミアムには多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。後部ベッド下は大きな収納スペースなので、荷物を満載していなければ、子供ならここで用を足すことができる。
収納
大容量のオーバーヘッド収納
RSプレミアムの収納は充実している。まず、オーバーヘッド収納が、ダイネット上、ギャレー上、ベッドルーム右側に設置されている。これだけでも大きな収納力がある。
後部ベッド下の収納
次に、後部ベッド下が大きな収納スペースになり、かさばるキャンプ用具などを車外から積み込むことができる。ハイマウントダブルベッドを持つレイアウトの大きなメリットだ。
後部ベッド下両側の収納キャビネット
後部ベッド下の両側にも収納キャビネットがある。左側の収納には上下段の独立した収納スペースがある。
各19Lの給排水タンクはここに収納
左側の収納には、各19Lの給排水タンクも収納されており、車外から出し入れすることができる。シンクからは遠くなるが、この位置に収納することにより、車外からアクセスしやすくなり、ギャレーキャビネットには収納を設けられ、冷蔵庫は車外からもアクセスしやすくなる。よく考えられたレイアウトだ。
空調
家庭用エアコンがオプションで設置できる
冷房は家庭用エアコンがオプションで設置できる。設置位置はベッドの左サイド上部。暖房はFFヒーターが標準装備される。マックスファンベンチレーターも標準装備。
テレビ/ナビ
9インチのナビが設置できるアダプター
ハイエースには通常7インチのナビが最大の画面だが、ATV群馬では9インチのナビが設置できるアダプターを用意している。9インチナビともオプションで設置できる。
テレビは、15.6インチのフリップダウンモニターが標準装備される。
電装系
標準のRSプレミアムには、105Ahのディープサイクルバッテリーが2個、走行充電、外部電源入力と充電機能、1500W正弦波インバーター、160Wソーラーシステムが標準装備される。
RENOGY社のREGOシリーズ
一方、RSプレミアム LVでは、ディープサイクルバッテリーの代わりに400Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備。これはRENOGY社のREGOシリーズで、BMS(バッテリーマネージメントシステム)も内蔵した固定電源として製品化されている。
スマートフォンに専用のアプリをインストールすれば、電源の状態をBluetooth接続で、スマートフォンで確認できる。
価格(2023年7月現在:千円台切り上げ:税込)
RSプレミアムは、ガソリン2WDで768万円~。4WDやディーゼルは下の仕様比較表を参照いただきたい。
RSプレミアム LVの価格は同社のサイトに記載されていないので、現時点での価格は分からないが、2023年7月の展示会時点では823万円~とされていた。この価格には家庭用エアコンが含まれていない。
ほとんどの必需装備は標準装備されているが、家庭用エアコンはオプションとされていた。RSプレミアム LVではリチウムイオンバッテリーを標準装備しているので、家庭用エアコンは標準装備のほうが分かりやすい。
価格はガソリン車で360,800円、ディーゼル車で415,800円となっている。価格が異なるのは、室外機を取り付ける場合、ディーゼル車ではクルマの排気系統の位置を変更する必要があるため。
他モデル
このレイアウトを持つハイエーススーパーロングバンコンは、トイファクトリーのバーデン(665万円~)をはじめ多数存在する。東和モータース販売のツェルトキリマLiは、車載用クーラーと300Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備する。
この他、デルタリンクのダーウィンQ3(666万円~)、ナッツRVのリークⅢ(759万円~)、甲和オートサービスのオールインレジェンド(798万円~)も魅力的だ。
まとめ
RSプレミアムはポピュラーなレイアウトを持ち、標準装備が充実した魅力的なモデルだ。標準装備が多い分、他車に比べて高価に感じられるが、他社モデルも同じ装備をすればあまり変わらない。
クルマ旅に使う場合、RSプレミアムの優位点は、横開き式冷蔵庫だ。他モデルはダーウィンQ3を除き、全て上開き式となっている。ただし、ダーウィンQ3はリチウムイオンバッテリーの設定が無い。オールインレジェンドはほとんど姉妹車と言えるレイアウトで家庭用エアコンを標準装備するが、リチウムイオンバッテリーの記載はない。
総合的に考えると、RSプレミアムはかなり評価が高いモデルと言える。更に400Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備されるRSプレミアム LVは先進的だ。欲を言えば、ギャレーに常設コンロが欲しい。折角横開き式冷蔵庫を装備してクルマ旅に対応しているのだから、ダーウィンQ3のようなコンロが常設されていれば完璧だった。
なお、RSプレミアム LVに家庭用エアコンが標準装備されていないのは疑問だ。エアコンが無い場合、400Ahもの大電力は全く必要ない。エアコンまで含めて全ての必需装備が標準装備されることを期待したい。
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