リゾートデュオ レグラスは、stage21が製作する、ハイエース標準ボディハイルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社は軽キャンパーからタウンエースベースのライトキャブコンまでコンパクトなキャンピングカーを製作しているが、ハイエースは初のカテゴリーになる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
コンセプト
ハイエース標準ボディハイルーフをベース車に使用し、コンパクトながらもタウンエースベースのモデルとはひとランク上のグレードを目指したバンコンキャンピングカー。
同社のモデルの特徴は、主要な装備を標準としていることで、リゾートデュオ レグラスも冷蔵庫、電子レンジ、主な電装系はもちろん、ナビ、テレビ、ベンチレーターも標準装備している。
またオプションながらクーラーとリチウムイオンバッテリーも用意されており、冷房に関してもソリューションを提案している。更に、床暖房も標準装備し、先進的なキャンピングカーとしている。
レイアウトは前向きシートは無く、従って二人旅を想定したもので、ベッド展開も簡単にできるようになっている。
コンパクトなボディながらハイルーフで圧迫感が少なく、広いダイネットと充実した装備で、長期旅にも対応できるモデルとなっている。
アピールポイント
・コンパクトなボディの二人旅仕様
・冷蔵庫、電子レンジ、ソーラーシステムを含む主な電装系を標準装備
・ナビ、テレビ、ベンチレーターも標準装備
・クーラーとリチウムイオンバッテリーをオプション設定
・床暖房を標準装備
・スライド機構で簡単にベッド展開できるダイネットシート
・走行充電とソーラー充電を同時に合算で行える2系統同時充電システム
エクステリア
リゾートデュオ レグラスのエクステリア
ベース車はハイエース標準ボディハイルーフロングバンDX。GLパッケージが標準なので、ボディ同色バンパー、メッキフロントグリル、電動格納式リモコンドアミラー、プライバシーガラスなどが標準装備される。
ボディ外側への架装はほとんど無く、見た目は普通のハイエースと変わらないので、日常使用でも違和感なく使用できる。ただし高さには注意する必要がある。
インテリア
シート地は選択できる
展示車はグリーンのシート地と黒の壁パネル、薄い木目シートの家具の構成だったが、シートの色は多数の色見本から選べ、またシート地も選択できる。家具色については特に記載は無い。
家具やシートの作りは特別な高級感は無いが標準的なもの。上の写真のように展示車の間接照明が青みがかったものだったが、これは変更できるだろう。
レイアウト
前部に横座り対座ダイネット、後部は両側に収納家具を配置、ギャレーや電子レンジ、冷蔵庫を配置する。また、家具の上にベッドマットを渡すと子供用のハイマウントベッドになる。
横座りシートに4名乗車できるので、乗車定員は6名となっている。ただし運転席と助手席以外に前向きシートは無く、従って二人使用に向いている。
ダイネット
ロングシートと横座り対座ダイネット
横座りの対座ダイネットを採用。右側はロングシートで3~4名が、左側はエントランスがあるので短く、1~2名が着座できる。2名ならゆったり使用でき、長期旅でもストレスが溜まることは無い。
ベッド
スライド方式のベッド展開
ダイネットを展開すると、1800x1400mmの大きさのベッドになる。1400mmは、家庭用ベッドで言うとレギュラーのダブルベッドの幅に相当する。
ベッド展開は同社のモデルで多く使われているスライド方式を採用。座面を手前にスライドさせ、シートバックを倒すだけ。ただし、ベッドからダイネットに戻す場合は、マットを引き上げるのだが、これは多少コツがいる。
このスライド方式は確かに便利ではあるが、シート下の収納へのアクセスは簡単ではない。ベンチシートの場合はシートバックを通路部に移動する方法が多く採用されており、シート部を持ち上げるだけでシート下の収納にアクセスできる。
実際にベッド展開して確かめることをお勧めする。希望があれば通常の方法への変更も可能だろう。
後部は子供用のベッド
後部の家具の上にベッドマットを渡すと、1300x900mmのハイマウントベッドになる。これは1800mmに達していないので子供用のベッドとして用意されている。従って、就寝定員は2名だが、加えて子供が2名程度就寝でき、ファミリーでも就寝できる。
ただし前述のように前向きに乗車できるシートがフロントシートの2名分以外無いので、ファミリーで遠出するのはあまり適していない。このベッドマットの存在は、このモデルのコンセプトを分かり難くしているようにも思われる。
ギャレー
コンパクトなギャレーセクション
ギャレーが後部右側に配置されており、コンパクトな丸形シンクとフォーセットが付いている。ただしこのシンクとフォーセットはベッドマットを置くと下に隠れてしまう。ベッドのプライオリティが高く、ギャレーは重視されていないように見える。
シンクの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。リアゲートを開けると、車外から直接出し入れできるので便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ
65Lの横開き式冷凍冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は65Lの横開き式冷凍冷蔵庫が標準装備されている。ハイエース標準ボディのモデルには珍しい大型冷蔵庫で、二人旅なら十分な食材や飲み物を入れておける。長期旅には最適な冷蔵庫だ。
電子レンジも標準装備される
また電子レンジも100Vの家庭用のものが標準装備され、短時間で温めることができる。1500Wインバーターも標準装備されているので、外部電源が無いところでもサブバッテリーで使うことができる。
多目的ルーム
リゾートデュオ レグラスには多目的ルームは無いが、後部をカーテンで目隠しして個室のように使うことはできるだろう。
大きさにもよるがポータブルトイレを置いて緊急時のトイレルームにすることも不可能ではない。ただし、この場合はポータブルトイレが相当邪魔になる。
収納
後部両側のオーバーヘッド収納
リゾートデュオ レグラスの収納は充実したものだ。まず、オーバーヘッド収納が後部両側に設けられている。
左サイドのオーバーヘッド収納
1か所はオープンスタイルだが、あとの2か所は扉付きで収納力も大きい。また、扉は上から開くようになっている。これは、扉を開けた時、中のものが不意に落下しないようにするため。同社のモデルは全てこの考えに基づいて上から開くようになっている。
もちろん扉が邪魔になって中のものが取り出しにくいという考えもあるが、実際に使ってみると、このメリットが大きいことが分かる。移動中に中のものが「荷崩れ」を起こしている場合があるからだ。
ただ、欲を言えば、下側にガード(上の写真の手前のオープンラックに付いているようなもの)があると、なお安心だ。
そしてもう一つ欲を言うと、ダイネット上の大きく空いたスペースにもオーバーヘッド収納が欲しい。収納はいくらあっても困らないし、ハイルーフなので頭上が狭くなることもない。
左側ベンチシート下の収納スペース
左側のベンチシートの下も収納スペースになっている。なお、前述のように、右側のロングシートはスライド機構があり、このようにはなっていない。右側のロングシートも同様の作りであればこのような収納スペースになり、相当大きな収納スペースになるのだが。
後部左側の家具には大きな引き出し収納
後部左側の家具には大きな引き出し収納が2か所と最下部に横開きの収納スペースが用意されている。食器やカトラリー、調理器具などを収納するのに大変便利だ。
後部ベッド下は大きな収納スペース
最後に、後部ベッド下は大きな収納スペースになる。もちろん調理をするユーザーの場合はここに荷物を置けないが、就寝時や移動時は収納スペースとして使用できる。
空調
床暖房が標準装備される
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。しかし実は床暖房が標準装備されている。これはリゾートデュオ バスキング レグノに使われているものと同じものと思われるが、このクラスのモデルには珍しく、同社の意気込みが感じられる。
確かにFFヒーターまでは必要ないが足元が冷えるとか、FFヒーターがあっても下から上がってくる冷気が辛い場合がある。床暖房はこのような場合ありがたい装備だ。
床暖房は電気式で消費電力の情報は書かれていないが、サブバッテリーで動作させる場合はやはりリチウムイオンバッテリーが好ましいだろう。また、さすがに室内全体を温めるのは難しいと思われるので、冬の旅が多い場合はFFヒーター(OP)の設置をお勧めする。
「One Cool21」とリチウムイオンバッテリーがセットオプション
冷房は「One Cool21」というセパレートクーラーとリチウムイオンバッテリーがセットでオプション設定されている。クーラーだけのセットも用意されているが、この場合は標準の105Ahディープサイクルバッテリー1個で約2時間とされている。リゾートデュオ
レグラスには2個標準装備されているので4時間使えるということになる。(外気温度30℃時に設定24℃)
リチウムイオンバッテリーとのセットオプションでは200Ahのリチウムイオンバッテリーが装備され、この場合は6時間の運転時間が可能とされている。この差なら価格を考えるとディープサイクルバッテリーでも良いように思われるが、経年変化等を考えると、やはりリチウムイオンバッテリーをお勧めする。
なお、ベンチレーターはマックスファンが標準装備される。
テレビ/ナビ
ナビ連動の20型のモニターテレビが標準装備される。また、地デジフルセグチューナー付の国産カーナビも標準装備される。モニターテレビは、後部との仕切り壁板に設置される。
電装系
電源ソケットとスイッチ類
105Ahのディープサイクルバッテリーが2個と走行充電、外部電源入力と充電機能、1500W正弦波インバーター、180Wソーラーシステムが標準装備される。要は、電装系はほぼ完璧だ。
ただし、クーラーを装備する場合はもちろん、そうでない場合も床暖房や電子レンジを多用する場合はリチウムイオンバッテリーをお勧めする。
また、同社の電装系の利点は走行充電とソーラーシステムで発電された電気を同時に充電することができること。合算で50Aまで同時に充電できるとされている。
ただし、ディープサイクルバッテリーではこれだけの電流で充電することはできないので、その意味でもリチウムイオンバッテリーが理想的だ。
価格(2021年10月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/6ATで495万円~。ほとんどの装備は標準なので、付けておきたいオプションはほとんど無いが、冬場に旅するならFFヒーター(231,000円)は付けておきたい。
また、できればクーラーと200Ahリチウムイオンバッテリーが搭載できるエアコンキット 2(484,000円)を選択したい。
他モデル
ハイエース標準ボディハイルーフの二人旅仕様モデルは多数あるが同じレイアウトを採用するモデルは無い。「ハイエース標準ボディハイルーフの二人旅仕様8選」も参考いただきたい。
ハイエース標準ボディハイルーフで二人旅仕様の場合、そのレイアウトはほとんどが前部にギャレー、後部は広い横座り対座シートのダイネットとなっている。従って、リゾートデュオ
レグラスは今までにないユニークなレイアウトを持つ。
なお、リゾートデュオ レグラスを含め上記のモデルには多目的ルームが無い。ハイエース標準ボディハイルーフで多目的ルームを求めると、OMCのナロー銀河とロータスRVのラティーナに絞られる。
価格的には、最も安価なフジカーズジャパンのFOCSDsコンパクト(417万円~)からレクビィのプラスLV Superior(576万円~)まで様々だが、リゾートデュオ レグラスはこれだけ標準装備が付いて495万円~ならお買い得と言える。
なお、500万円前後の価格となると、カテゴリーは異なるがタウンエースやNV200バネットベースのライトキャブコンも選択肢に入ってくる。ベース車のグレードは落ちるが、キャブコンなので居住性は優れている。「ライトキャブコン特集~9モデルを徹底比較」も参照いただきたい。
まとめ
リゾートデュオ レグラスは、同社の他のモデルに負けず劣らず意欲的なモデルだ。他のモデル同様、充実した標準装備と新しい発想も盛り込まれている。価格も、リゾートデュオ バスキング レグノのように「日本一価格が高い」ということもなくお買い得感がある。
ただし、リゾートデュオ レグラスにも「?」な点はある。その最大のものは、後部の子供用ベッド。前向き乗車のシートがフロントシート以外無いのに、子供用ベッドがあるため、コンセプトが分かり難くなっている。
またこのベッドの下に収まるようにするためか、シンクとフォーセットがコンパクトすぎて使い難くなっている。二人旅仕様に特化して調理がしやすいギャレーにした方が良かったのではないだろうか。
冷蔵庫も大きく、電子レンジもあるので、ギャレーもそれに見合ったものが欲しいところだ。子供用ベッドにとらわれず、快適な二人旅仕様を追求した方が良かったのではと思われる。意欲的なモデルだけに惜しいところではある。
逆に子供用ベッドを生かすなら、マルチモードシートを採用したバージョンがあっても良いだろう。これは小さな子供を持つファミリー向けのモデルとなる。
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