FOCS Dsコンパクトはフジカーズジャパンが製作する、ハイエース標準ボディハイルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。2020年3月にはインテリアが一新されたFOCS DsコンパクトHも追加された。
コンセプト:ハイエース標準ボディながらハイルーフなので、運転しやすくかつ天井高が高く圧迫感がない。完全な二人旅仕様のレイアウトを採用し、コンパクトなボディながらゆったりした室内を持つ。
エクステリア:エクステリアへの架装は無く、外観は通常のハイエースと変わらない。コンパクトなボディなので日常使用にも使えるが、ハイルーフなので高さ制限のある駐車場には入れない。
FOCS DsコンパクトHのインテリア
インテリア:同社の家具の特長は、宮大工工法を使用していること。「ミゾ・ホゾ」で組み合わせることで構造的に強固にしている。
FOCS Dsコンパクトの展示車ではFOCSシリーズで良く使われているメープル色の家具が採用されているが、他にも「プロタージュウッドブラウン」や「バーズアイメープルブラック」といった家具色が選択できる。
なお新しく追加されたFOCS DsコンパクトHでは、ホワイトのシートにダークな家具色の組み合わせとなっている。
FOCS Dsコンパクトの室内
レイアウト:前部にギャレー、後部に二の字型(H仕様はコの字型)の広いダイネットを持つ。二人旅仕様では一般的なレイアウトで、常設ベッドは無いがベッド展開はマルチモードシートほど大変ではない。
対座ロングシートのダイネット
ダイネット:広いダイネットは二人旅には広すぎるかと思われるくらいだが、長期旅ではこれくらい広い方が窮屈感が無くて良い。ベッド展開した場合でもテーブルが立てられるので、ちゃぶ台スタイルでも寛げる。
ベッドモードでもテーブルが使える(FOCS DsコンパクトH)
ベッド:ベッド展開はシートバックでシート間を埋めるだけなので、極めて簡単かつ労力を使わない。ベッドは1800x1550mmで、家庭用ベッドではワイドダブルベッド以上の幅がある。
ギャレーコンソール(FOCS Dsコンパクト)
ギャレー:ギャレーは前部に配置されエントランス近くにあるので、ギャレー前のスペースも十分広い。調理するのにも便利だ。ただしギャレー上に埋め込まれているシンクはギャレーコンソールに不釣り合いなほど小さい。小さな食器やカップを洗える程度だ。コンロはポータブルカセットガスコンロをギャレーコンソールに置いて使用するが、このスペースは十分にある。それだけにシンクの小ささが残念なところだ。
冷蔵庫/電子レンジ:49Lの横開き冷蔵庫が標準装備される。冷凍スペースもあるので製氷と冷蔵が同時にできる。電子レンジはオプションで用意されており、設置場所は明記されていないが、おそらくギャレーコンソールにビルトインできると思われる。
電子レンジ装着時は1500Wインバーターとバッテリーの増設をしておくと外部電源が無い場所でも電子レンジを使用できる。
シート下の収納
収納:ハイルーフなのにオーバーヘッド収納が無いのは残念なところ。オプションで「上部 2 連収納棚(64,000円:税別)」が用意されているが、これがどのようなものなのかは不明。このようなオプションは展示車に付いていると分かりやすいのだが。
主な収納スペースはシート下になる。ここには大きめのバッグも収納できる。
ギャレーコンソールには多少収納スペースがあるので、食器などはここにしまっておけるだろう。
空調:暖房はFFヒーター(190,400円:税別)がオプションで用意されている。冷房のオプション設定は記載されていない。また、ベンチレーターはオプション(69,900円:同)で用意されているので、調理する頻度が多いならベンチレーターを付けておきたい。
オプションの15型フリップダウンモニター
テレビ/ナビ:15型フリップダウンモニターがオプションで用意されるほか、19型テレビも選択できる。ナビはオプション。なお、FOCS DsコンパクトHには後部にスピーカーが標準装備される。
電装系:105Ahのサブバッテリー1個が標準装備される。オプションでツインバッテリー(1個増設)が可能。また充電は走行充電はもちろんだが、通常はオプションの外部100V入力による充電機能が標準装備されるのは嬉しい。
インバーターもオプション設定されるが、これは700Wと1500Wを選択できる。電子レンジを搭載する場合は1500Wが必要。
なお155Wのソーラーシステムもオプションで装備できる。マンションなどで家庭用電源で充電できない場合は、ソーラーシステムを付けておくとバッテリーのケアになる。
価格:FOCS Dsコンパクトは、ガソリン2WD/6ATで356万円~(税別)。FOCS DsコンパクトHは同様に368万円~。必須のオプションはFFヒーターで約20万円(税別)の追加になる。また電子レンジ、サブバッテリー追加、1500Wインバーター、ベンチレーター、ソーラーシステムを入れると、更に40万円弱が追加となる。
他車:ハイエース標準ボディハイルーフがベース車で、二人旅仕様(後部に前向き乗車できるシートを持たない)、かつギャレーを持つ8ナンバーモデルは、以下のモデルが挙げられる。
ウィズ(WIZ):アネックス 488万円~
ウォークIIタイプC:ドリーム・エーティー 376万円~
ハウベル:ビークル 375万円~
バカンチェスプライベート:リンエイプロダクト 449万円~
プラスLV:レクビィ 426万円~
マティアスC:M.Y.Sミスティック 410万円~
上記の中では、バカンチェスプライベート、プラスLV、マティアスCがエアコンをオプションで装着することができる。
FOCS Dsコンパクトの長所
・宮大工工法によるしっかりとした家具
・選べるインテリア色
・横開き冷蔵庫標準装備
・外部入力とこれによる充電機能が標準装備
FOCS Dsコンパクトの短所
・オーバーヘッド収納が装着できない
・冷房のオプションが無い
・小さいシンク
まとめ:ハイエース標準ボディハイルーフは二人旅仕様のモデルが多い。車体サイズが小さすぎず大きすぎず、またハイルーフなので二人なら比較的ゆったり過ごせるのが主な理由と思われる。
このユーザー層は年配のリタイア組が多いと想像され、従ってある程度資金に余裕があり、ベース車はコンパクトながら快適性やインテリアの重要性が高くなると想像される。インテリアにこだわったり高級感を出しているモデルが多いのもそのような理由があるのかもしれない。
FOCS DsコンパクトHが登場したのもそのような背景があるのかもしれないが、非日常を感じさせるモダンなインテリアになっている。初期価格が比較的安価なことで、手頃な価格で非日常的なインテリアを楽しめる1台と言える。
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