FOCS Ds F-Style:フジカーズジャパン


FOCS Ds F-Styleは、フジカーズジャパンが製作する、ハイエースワイドミドルルーフ ワゴンをベース車に使用した、バン・コンバージョン キャンピングカー。

同社は中古キャンピングカーを幅広く扱っているほか、輸入モデルからオリジナルモデルまでラインアップする総合ビルダー。自社開発モデルに限るとバンコン専門ビルダーで、FOCSのブランドネームで知られている。

FOCS Ds F-Styleは、FOCS Ds L-Styleと、言わば兄弟モデルに当たり、L-Styleが二人旅を想定したレイアウトなのに対し、F-Styleはファミリーを対象にしたレイアウトになっている。


(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)


概要

ハイエースワイドミドルルーフ ワゴンをベース車にした8ナンバー登録のバンコンキャンピングカーで、ボディ外側への架装は無く、外観はノーマルのハイエースと変わらない。

2列目に3人掛けのマルチモードシートを配置し、5名が前向き乗車可能。ベッドモードでは2~3名が就寝でき、オプションの上段ベッドボードを設置すると、子供が2名就寝できる。

横開き式冷蔵庫や電子レンジが搭載でき、ファミリーでのキャンプや車中泊、あるいはクルマ旅にも対応する。


アピールポイント

・一般的な5x2mの駐車枠に収まる最大のボディサイズ
・ボディ外側への架装は無く、日常使用にも違和感なく使用できる
・ファミリーでの移動と車中泊が可能
・ワイドボディなので、大人2名がゆったり就寝できる
・オプションの上段ベッドボードで子供2名が就寝可能


ベース車とエクステリア

 FOCS Ds F-Styleのエクステリア

ベース車はハイエースワイドミドルルーフ ワゴン GL。GLグレードなので、オートエアコンが標準装備され運転席周りのグレード感が高く、ドアやリアゲート周りもトリムされている。

ボディ外側への架装は無いので、外観はノーマルのハイエースと変わらないため、日常用途で目立つことは無い。一般的な5x2mの駐車枠に収まる最大のサイズで、車高も高さ制限のある駐車場に入れる可能性が高い。ガソリンのみで2WDと4WDが選択できる。


インテリア

 4種類のインテリアカラーを選択可能

インテリアカラーは、家具色、シート地、カーテン、フロアの4種類の組み合わせから選択できる。同社は家具の制作に宮大工工法を採用しており、長年使用してもガタの少ない高品質な家具が特徴。

また、オプションになるが「セラミック断熱」と「高性能断熱」の組み合わせで、「北海道断熱」と銘打った断熱性能を実現している。

 間接光を使用した照明

照明は間接光を使用し、調光も可能なLED照明のため、ムードのある夜のインテリアを演出している。


レイアウト

ハイエースワイドミドルルーフワゴンをベース車にするFOCS Dsには、F-StyleとL-Styleが用意されており、L-StyleがL型のベンチシートで二人旅を想定したレイアウトに対し、F-Styleは2列目に3人掛けのマルチモードシートを持ち、ファミリー使用を想定したレイアウトになっている。

3列目には横座り対座のシートがあり、後ろ向きにした2列目シートとでコの字型のダイネットを形成する。3列目のシートが横座りベンチシートのため、ダイネットから後部への移動がスムースになっている。

後部には両側にキャビネットを設置し、右側のキャビネットにはシンクとフォーセットを標準装備する。


ダイネット

 FOCS Ds F-Styleのダイネット

2列目シートを後ろ向きにすると、3列目の横座り対座ベンチシートとでコの字型のダイネットになり、4~5名でテーブルを囲むことができる。テーブルは特に大きいわけではなく、ファミリー分のコーヒーカップが置ける程度の大きさだ。

寛ぐ場合は、3列目シートをベッドモードにすると、2列目シートをリクライニングして足を投げ出してリラックスできる。


ベッド

 ダイネット展開ベッド

2列目と3列目のシートを全てフラットにすると、1850x1650mmのベッドになる。1650mmの幅は、家庭用ではクイーンベッドの幅(1600mm)以上。キャンピングカー要件では大人3名が就寝できるが、2名ならゆったりと就寝できる。

 オプションの子供用上段ベッド

オプションのベッドボードを後部のキャビネットの上に設置すると、1530x88mmのベッドになる。これは身長方向が1800mmに満たないので、子供用ベッドにカウントされる。子供の場合、キャンピングカー要件では400x1500mm/人となっているので、子供2名が就寝できることになる。


ギャレー

 ギャレーセクション

後部右側のキャビネットには、シンクとフォーセットが標準装備されている。シンクはかなりコンパクトなもので、小さい皿やマグカップ程度しか洗えないだろう。広い天板に不釣り合いなほど小さいが、もう少し大きなシンクが設置できない理由があったのだろうか。

 各10Lの給排水タンク

シンクの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。リアゲートを開けて車外から直接出し入れできる、かどうかは、冷蔵庫があるので疑問だ。無理せず、車内で取り出してから車外に持ち出す方が良いだろう。えてしてこのようなケースで腰を痛める。

 車外で使える折り畳み式テーブル

車外から直接アクセスできるのは給排水タンクではなく冷蔵庫であること、シンクは最も小型のものを選択したこと、車外で使える折り畳み式のテーブルを設置したことなどから、このモデルは調理よりも車外での時間を優先したことが分かる。


冷蔵庫/電子レンジ

 40L横開き式冷蔵庫が標準装備される

冷蔵庫は40Lの横開き式が標準装備される。冷凍室も用意されているので、製氷・冷凍と製造が同時にできる。

 電子レンジはオプション

家庭用の100V仕様の電子レンジがオプションで用意されており、後部左側のキャビネットに収納される。左側のキャビネット上部は調理台としても使える。


多目的ルーム

FOCS Ds F-Styleには多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことはできる。後部ベッド下に収納しておけば、目に触れることは無い。


収納

 右側キャビネットのオーバーヘッド収納

ミドルルーフでマルチモードシートを使用している割りには、収納は充実している。一つは右側のキャビネットの上部にオーバーヘッド収納がある。

 左側キャビネットの収納

左側のキャビネットにはスライド式の扉を備えた収納がある。スライド式の扉の良いところは、手前に荷物があっても、とりあえず扉を開くことができるところ。電子レンジを選択しなければ隣のスペースも収納として使用できる。

 3列目シート下の収納

3列目左側のベンチシート下も収納になっている。シートクッションを持ち上げてアクセスする必要があるので簡単に出し入れできないが、大きなスペースなので有用な収納だ。

 床下収納(OP)

後部のキャビネット間の床にオプションで床下収納が設置できる。スペアタイヤのスペースを使うのでスペアタイヤは付かなくなるが、濡れたものでも収納できるので便利な収納だ。

これは従来8ナンバー登録に必要なギャレー前の高さを確保するものだったが、要件の改定でなくても8ナンバー登録ができるようになり、それに伴いオプションとなっている。

 ベッド下の収納スペース

上段ベッドの下も大きな収納スペースになる。ただしここに荷物を積むと冷蔵庫などの扉が開かなくなる可能性があるので、本来の収納ではないが、一時的にキャンプ用具などを積むには便利なスペースだ。


空調

暖房はFFヒーターがオプションで用意されているが、冷房の用意はない。同社のスーパーロングベースのFOCSヴェルティスには車載用セパレートクーラーが搭載されているが、将来FOCS Dsへの搭載も期待したい。


テレビ/ナビ

 13.3型のフリップダウンモニターが標準装備される

前部に13.3型のフリップダウンモニターが標準装備される。走行中などで2列目シートを前向きにした状態では見やすいが、ダイネットモードでは少し見難いかもしれない。

パナソニック製のナビがオプションで用意されている


電装系

標準で105Ahのディープサイクルバッテリー1個と走行充電、外部100V電源入力と充電機能が装備される。450W/1500W正弦波インバーター、176Wフレキシブル/180Wソーラーシステムはオプションで装着できる。


価格(2023年11月現在:千円台切り上げ:税込)

2WD/6ATで505万円~、4WDで539万円~となっている。

付けておきたい必需オプションは、FFヒーター( 247,500 円)、450W/1500Wインバーター( 52,800 円/158,400 円)が挙げられる。(ナビ関連は除く)

予算が許せば、ソーラーシステム( 180W/176W:143,000 円 / 207,900 円)、マックスファンベンチレーター( 84,150 円)、追加サブバッテリー( 27,500 円)も付けておきたい。

必要に応じて、電子レンジ( 30,800 円)、子供用上段ベッド(77,000 円)、サイドオーニング( 217,800 円)などが設置できる。価格表はこちら


他モデル

ハイエースワイドミドルルーフをベース車にする、ファミリー向けモデルは、オーエムシーのツアーズワイドSGL(561万円~)、かーいんてりあ高橋のリラックスワゴンType2(528万円~)、キャンパー鹿児島のoreo Exceed+(525万円~)などがある。

ツアーズワイドSGLとoreo Exceed+はワゴンではなくバンスーパーGLをベース車に採用する。リラックスワゴンを除き、後部にベッドボードを設置できる。リラックスワゴンとoreo Exceed+はクーラーを設置可能。


まとめ

FOCS Ds F-Styleは日常用途にも使え、休日にはファミリーでの車中泊も楽しめるモデルだ。キャンプなどはもちろん、冷蔵庫や電子レンジの装備もあるので、長期の休暇にはクルマ旅も実現できる。

インテリアや内装の仕上げも上質感があり、満足度も高いだろう。インテリアカラーが選択できるのも嬉しい選択肢だ。

しかし、やはりクーラーとそれに伴うリチウムイオンバッテリーのオプション設定が望まれる。折角キャンピングカーを買ったのに、夏場は暑くて使えないのはもったいない。


関連記事

FOCS Ds L-Style

FOCSヴェルティス

FOCS Dsコンパクト

     

モデル FOCS Ds F-Style ツアーズワイドSGL リラックスワゴンType2
ビルダー フジカーズジャパン OMC かーいんてりあ高橋
ナンバー区分 8 8 8
乗車人数 7 7 9
前向き乗車人数 5 7 5
就寝人数 3+2(小) 3+2(小) 3+3(小)
エクステリア      
ベース車 ハイエースWMワゴンGL ハイエースWMバンSGL ハイエースWMワゴンGL
ルーフ架装 - - -
窓架装 - - -
レイアウト      
ダイネット形態 5名コの字 6名対座 5名コの字
マルチモードシート ○(2列目) ○(2列目) ○(2列目)
ベッド
ダイネット展開ベッド
上段ベッド(子供用)
ダイネット展開ベッド
上段ベッド(子供用)
ダイネット展開ベッド上段ベッド(子供用)
常設ベッド - - -
ダイネットベッドサイズ(mm) 1850x1650 1800x1500 1880x1700
上段ベッドサイズ(mm) 1530x88 1700x1000 1700x300/枚
ギャレー      
コンロ ○(カセット) ○(カセット) ○(カセット)
シンク
給水タンク ○(10L) ○(13L) ○(12L)
排水タンク ○(10L) ○(13L) ○(12L)
冷蔵庫/設置スペース ○(40L横開き)/○ OP(ポータブル/○
OP(15L上開き)/○
OP(40L横開き)/○
○(49L横開き)/○
電子レンジ/設置スペース OP/○ OP/○ OP/○
多目的ルーム      
有無
防水処理 - - -
トイレ - - -
シャワー設備 - - -
シャワー用給排水タンク - - -
温水設備 - - -
手洗い - - -
空調      
ベンチレーター OP - OP
FFヒーター OP OP
冷房装置 - - OP(ポータブルクーラー)
電装系      
サブバッテリー ○(105Ah x1) ○(105Ah x1) ○(105Ah x1)
バッテリー増設 OP OP OP
リチウムバッテリー - - OP(200Ah x1)
走行充電システム ○(昇圧) ○(CTEK)
外部100V入力/充電 ○/○ ○/○ ○/OP
インバーター OP(450/1500W正弦波) OP(300/1500W正弦波) ○(350W)
ソーラーシステム OP(176/180W) OP(215W) OP(100W)
発電機 - - -
ナビ/テレビ      
ナビシステム OP OP OP
テレビ OP(13.3型FD) OP(10型FD) OP
サイズ      
全長(mm) 4,840 4,840 4,840
全幅(mm) 1,880 1,880 1,880
全高(mm) 2,100 2,100 2,100
価格 (税込)      
ガソリン 2WD 6AT 505万円~ 561万円~ 528万円~
ガソリン 4WD 6AT 539万円~ 597万円~ 559万円~
ガソリン 2WD 6AT - 623万円~ -

2023年11月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税込)

動画はこちら

2023.11.22