モルビアはダイレクトカーズが製作する、フィアットデュカトをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社は三重県鈴鹿市と神奈川県厚木市に直営店を持つほか、5月27日に福岡店が新たにオープンする。カムロードベースのフルサイズキャブコン、ハイエースベースのバンコン、軽キャブコンなど、多くのモデルをラインアップする。
モルビアは同社では初となる、フィアットデュカトをベース車とするバンコンで、新たなカテゴリーへの進出となる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
日本に正式輸入されるフィアット デュカトをベース車にするバンコンモデル。輸入キャンピングカーと異なり、エントランスは日本のインフラに合わせて左側にある。
デュカトでは最もコンパクトなL2H2のボディサイズを採用。ハイエーススーパーロングを超える大きなボディでありながら、比較的取り回しの良いボディサイズとなっている。
レイアウトはフロントシート以外前向きのシート持たない二人旅向け。中央に横座り対座のダイネットと、後部にハイマウントの横置きダブルベッドを持つ。前部に広いギャレーを設置し、デュカトでおなじみの運転席と助手席の回転機構を使わないレイアウトは他にない。
家庭用エアコンと400Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備し、年間を通して快適な車内を実現する。
アピールポイント
・デュカトL2H2を使用し、多目的ルームを廃したことによる広い室内
・木の温かみを生かしたインテリア
・家庭用エアコンとFFヒーターを標準装備
・400Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備
ベース車とエクステリア

モルビアのエクステリア
ベース車はフィアット デュカト L2H2。輸入されるデュカトの最もコンパクトなサイズで、全長5410mm、全幅は2100mm。ディーゼル2WDのみ選択でき、4WDはデュカトに存在しない。
エンジンは2184ccの直列4気筒マルチジェットディーゼルインタクーラー付きターボで、ミッションは9速AT。輸入されるベース車は全て最上位の180psバージョンとなっている。
架装前のデュカトは後部にウインドウが無いため、モデルによってさまざまな位置に窓が開けられるが、モルビアの場合はドアとリアゲートを除き、右側に1か所、ダイネットの部分に窓が開けられている。
運転席周りの窓を除き、後部の窓は全てアクリル2重窓になっている。各窓には網戸とシェードが組み込まれている。
インテリア

モルビアのインテリア
同社は木の温かみを生かしたインテリアが得意だが、モルビアもその系譜を受け継いでいる。特にルーフは同社のフラグシップのトリップログベースプレミアムエディションに見られるような、ラインLEDを埋め込んだお洒落なデザインになっている。
レイアウト
前部にギャレー、中央に横座り対座ダイネット、後部にハイマウントの横置きダブルベッドの構成。運転席、助手席以外に前向きシートなないので、長距離を乗るクルマ旅では二人使用が適している。
デュカトは運転席、助手席を回転させて後ろ向きにし、ダイネットチェアとして使用することができるが、モルビアではあえてこの機構は使わず、フロント席のすぐ後ろには大きなギャレーカウンターとしている。
ダイネット

モルビアのダイネット
モルビアのダイネットは中央にある横座りの対座スタイル。シートはバタフライタイプとなっている。幅は930mmなので、二人での使用ならゆったりと座ることができる。
車幅方向にスライドレールがあり、シートをスライドさせて適度な位置に固定することができる。すぐ横に冷蔵庫や電子レンジがあるのも使いやすい。更に、シートを畳んで2脚とも奥にスライドさせると、エントランス前は広いスペースになる。
ベッド

後部ベッド
後部の横置きダブルベッドは1800x1250mmの大きさ。 1250mmの幅は家庭用ではセミダブルベッド以上なので、2名が就寝できる。常設ベッドなので、就寝前にベッドセットする必要はない。

ダイネットベッド
ダイネットを展開してできるベッドは、1600x930mm。身長方向が1800mmに達していないので子供用のベッドにカウントされる。子供が2名就寝できる。
ギャレー

広いギャレーセクション
ギャレーは前部に設置されており、大きな天板を持つキャビネットになっている。天板にはシンクとフォーセット、それに常設のIHコンロが標準装備されている。調理面は広く、本格的な料理も可能だ。

ギャレーキャビネットの収納
ギャレーキャビネットには、冷蔵庫と電子レンジが収納されているほか、引き出し収納も設置されている。また、エントランス側はシューズボックスになっている。一番右の扉に各20Lの給排水タンクが収納されている。
冷蔵庫/電子レンジ

85L両開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は85L両開き式が標準装備される。両開き式なので、キッチン側からも車外からも容易にアクセスできる。車外からすぐに飲み物が取り出せたり、スーパーで買ったものをすぐに冷蔵庫に入れる場合などに便利だ。

電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。2000Wインバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
多目的ルーム
モルビアに多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。後部ベッド下には十分なスペースがある。
収納

オーバーヘッド収納
右サイド上部にはオーバーヘッド収納が設置されている。一部棚になっており、収納力も十分だ。扉には取っ手が無いが、右下がつまみのような形状になっており、これを引っ張って扉を開けることができる。閉じるときにソフトクローズになっているのも高級感がある。

運転席、助手席上部の収納
運転席、助手席上部は大きな棚収納になっている。寝具などを収納しておくのに便利だろう。

後部ベッド下の外部収納
後部ベッドの下は大きな外部収納になっている。観音開きのリアゲートを開けると、車外から大きな荷物を直接積み込むことができる。奥にあるのは3個のボックス収納で、取り出して使うこともできる。
右側は、扉なしの収納になっている。小物を分けて収納することができる。
空調

家庭用エアコンを標準装備
家庭用のセパレートエアコンが標準装備される。室内機はベッド左側上部で、吹き出し口を残し、家具で目隠しされている。FFヒーターとマックスファンベンチレーターも標準装備される。
テレビ/ナビ
テレビはオプションリストに載っていないが、必要に応じて取り付けることは可能だろう。また、ナビも自分の好みのものを取る付けることができる。
電装系
400Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備する。その他の電装系は、走行充電、外部100V電源入力とチャージャー、2000W正弦波インバーター、253Wのソーラーシステムが標準装備される。
価格(2025年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ディーゼル2WDのみ選択でき、車両本体価格は1450万円~となっている。付けておきたい必需オプションは、標準装備が充実しているため特に無い。(ナビ関連は除く)
他モデル
正規輸入されるデュカトをベース車に採用するビルダーは、トイファクトリー、ナッツRV、RVランド、デルタリンク、岡モータース、ホワイトハウスなどが先行するが、大手のダイレクトカーズがいよいよ参戦した。
モルビアのレイアウトは先行するビルダーのどのモデルとも同じではないが、似たレイアウトを持つモデルを探すと、RVランドのランドワゴンルームとランドワゴン タイムレストラベルが挙げられる。
中央に横座り対座のダイネットと後部のハイマウントダブルベッドがある点は同じだが、ルームでは前部のギャレーは右サイドにあり、ボディサイズはL3H2と大きい。また、タイムレストラベルは、2列目に2人掛けのマルチモードシートがあり、ファミリーにも対応するレイアウトになっている。
まとめ
モルビアはデュカトベースのモデルとしては後発の同社が、二人旅に最適なレイアウトを目指して発売したモデルだ。そのため、あえて運転席、助手席の回転機構を使うことなく、大きなギャレーとし、中央に2名が座れる対座ダイネットを配している。
更に、2名がゆったり就寝できる常設ベッドを配し、ダイネットは展開するとベッドになるが子供用のサイズで、大人が就寝できることにこだわっていない。
前出のランドワゴン ルームも同様のコンセプトだが、L3H2と全長が長い。モルビアは、ハイエースでは狭いが、L3H2のデュカトまでは必要ないという二人旅ユーザーにとっては最適なモデルとなる。
家庭用エアコンやリチウムイオンバッテリーを標準装備しており、年間を通じて快適なクルマ旅が可能だ。
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