TABIVAN O.W.L.(タビバン アウル)は、旅する車が製作する、正規輸入のフィアットデュカトをべ―ス車にしたバンコンバージョンキャンピングカー。
同社は東京都八王子市に拠点を置くビルダーで、キャンピングカーのレンタルも行っいる。現在、このTABIVAN O.W.L.は唯一の完成車のラインアップとなっている。
TABIVAN O.W.L.はジャパンキャンピングカーショー2026で発表されたニューモデルで、ショーではAtoZのブースで展示された。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
正規輸入のフィアット デュカトL2H2をベース車にしたバンコンキャンピングカー。運転席、助手席が反転して2列目の前向きシートとで形成する前部の対座ダイネットに加え、後部のベッドルームをセカンドダイネットとして活用できるのが特徴。
後部には横置きの2段ダブルベッドが標準装備されており、オプションで上段を電動プルダウンベッドへと変更することも可能だ。乗車定員8名、就寝定員4名を確保しているため、ファミリーでの車中泊にも余裕を持って対応できる。
車内に独立した多目的ルームは設けず、その位置には多段の収納を備えた大型クローゼットを配置。空調面では車載用セパレートクーラーとFFヒーターを標準装備し、さらに600Ahの大容量リチウムイオンバッテリーも標準で搭載されている。
アピールポイント
・広い室内と高い天井高のフィアットデュカトがベース車
・選択できるインテリアカラー
・運転席、助手席が回転して4名対座のダイネットになる高いスペース効率
・後部のベッドルームはセカンドダイネットとして使用可能
・横置き2段ダブルベッドを標準装備。標準で4名の就寝定員
・大きな冷凍室を持つ2ドア冷蔵庫と電子レンジを標準装備
・600Ahの大容量リチウムイオンバッテリーを標準装備
・車載用クーラーとFFヒーターを標準装備
ベース車とエクステリア
TABIVAN O.W.L.のエクステリア
ベース車は正規輸入のフィアットデュカトL2H2。L2H2はシリーズの中でも最も小型のサイズだが、それでも全長5410mm、全幅 2100mmでハイエーススーパーロング(5380x1880mm)よりも大きい。
アクリル2重窓は右側に2か所、左側はドアに1か所開けられているが、リアゲートには無い。正規輸入モデルなのでエントランスは左側にある。電装ステップが標準装備されるが、できれば安全面からドア連動をお勧めする。なお、展示車には木目のデカールが貼ってあったが、これはオプション。
レイアウト
レイアウト
前部にはデュカトでおなじみの運転席と助手席が反転して2列目シートと対座できるダイネットを設置、中央にギャレー、後部に横置き2段ダブルベッドのレイアウト。車内に多目的ルームは設けず、そのスペースは機能的な棚を備えた収納としている。
インテリア
インテリア
展示車は濃い木目の家具に濃いブラウンのシートを組み合わせた重厚な装いだったが、インテリアカラーは用意された選択肢から好みに合わせて選ぶことができる。
照明はメイン照明に加え、要所を照らすスポットライトや柔らかな間接光を効果的に配置。ダイネットの足元にも間接光が仕込まれており、夜間には一段とお洒落で上質な室内空間を演出している。
ダイネット
前部のダイネット
デュカトでは定番の、運転席と助手席を反転させて後方へ向けることで、2列目の2名掛けシートと対面する4名着座のダイネットを形成する。 テーブルはベース部分を引き出した上に天板を追加して面積を広げることができる。
後部のセカンドダイネット
後部のベッドスペースは、横座りの4名対座セカンドダイネットとして機能する。ここには4名分のシートベルトも備わっており、走行中の使用が可能だ。これにより、乗車定員は計8名を確保。大人数での移動にも柔軟に対応できる設計となっている。
ベッド
プルダウンベッド(OP)
後部には標準で横置きの2段ベッドが装備されている。サイズは上段が1800×1200mm、下段が1860×1200mm。いずれも家庭用セミダブルベッドと同等の幅(1200mm)を確保している。
上段はオプションで電動プルダウンベッドに変更可能。この場合は上段ベッドは1650x1200mmの大きさになり、子供用のベッドとしてカウントされる。ただし、これは多少隙間ができるためのもので、実際には1800ミリの長さは確保されており、大人も就寝できる。
プルダウンベッドを選択することで、昼間は下段をダイネットモードにし、就寝時は上段を下ろして2段ベッドにするといった使い方が可能になる。また、下段に荷物を積載している場合は、その量に応じて上段ベッドの高さをフレキシブルに調節できるなど、利便性が大幅に向上する。
ギャレー
ギャレーセクション
ギャレーキャビネットにはシンクとフォーセットが完備されている。天板の一部に四角い開口部があり、収納スペースとして割り当てられている。ここに収納を設ける意図は測りかねるが、むしろカセットコンロなどを置くためのフラットなスペースとした方が、調理の利便性は高まったのではないだろうか。
ギャレーの端には、存在感のある大きなボトルストックが配置されている。特定のニーズを持つユーザーには重宝されるだろうが、スペースの活用法としては賛否が分かれるポイントかもしれない。もちろん、不要であれば設置しない選択も可能だ。
シンクの下の給排水タンク
シンク下には、各10Lの給排水タンクが収められている。車外から直接アクセスして出し入れするのは難しい位置だが、エントランスに近く配置されているため、タンクの出し入れ作業自体にそれほど苦労することはないだろう。
冷蔵庫/電子レンジ
横開き式2ドア冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は容量が不明だが、2ドアの横開き式冷蔵庫が標準装備される。冷凍室が大きく、クルマ旅に必要な製氷や冷凍食品の保冷に便利だ。電子レンジもギャレーキャビネットに標準装備される。
多目的ルーム
収納庫
展示車には一見すると多目的ルームのような大型の収納(あるいはクローゼット)が備わる。ラップ式やポータブルトイレを置くことはできそうだが、トイレルームとして使用するにはややタイトだ。
しかし、独立したトイレルームを必要とするユーザーであれば、同社の強みであるカスタムオーダーを活用することで、実現することができるだろう。
収納
ダイネットのオーバーヘッド収納
ダイネット右側の上部には、オーバーヘッド収納が設置されている。高さが抑えられているため、特筆すべき収納力があるわけではないが、日用品などを整理しておくには重宝するだろう。また、キャブ上部にも扉のないオープンタイプの収納スペースが確保されており、薄手の寝具などを収めておくのに適している。
2列目シート下の収納
2列目シートの下部も収納スペースが用意されている。多目的に利用可能だが、エントランス付近に専用のシューズボックスが備わっていないため、ここを靴の収納場所として充てることもできるだろう。
後部シート下の収納
リアの左右シート下も、収納スペースとして確保されている。ただし、左側については電装システムが組み込まれているため、奥行きがやや浅くなっている。また、ベッドモード展開時のベッド下空間もラゲッジスペースとして有効活用できる。
空調
ギャレー上部に設置された車載用クーラー
ギャレー上部には車載用セパレートクーラーが標準装備される。冷房能力は相応に備わっていると思われるが、このクラスのモデルであることを踏まえれば、さらなる高効率・高機能を誇る家庭用エアコンの選択肢も欲しくなるところだ。
暖房システムはFFヒーターを標準装備し、さらに車内の空気循環を最適化するマックスファンベンチレーターも標準で搭載されている。これら標準装備の充実により、季節を問わず快適な居住性を維持することが可能だ。
テレビ/ナビ
テレビについては特段のオプション設定はなされていないが、スペースの余裕を考えれば後付けでの設置も十分に可能だろう。一方、ナビゲーションシステムについてはベース車両に標準装備されている。
電装系
電装系は極めて強力だ。標準で600Ahという大容量リチウムイオンバッテリーを搭載。走行充電システムに加え、外部100V電源入力とチャージャー、2000W正弦波インバーター、さらには400Wソーラーシステムまでもが標準装備されている。
価格(2026年3月現在:千円台切り上げ:税込)
ディーゼル2WDのみで、価格は1320万円万円~となっている。
標準装備が充実しているので、付けておきたい必需オプションは無い。(ナビ関連は除く)なお、後部の電動プルダウインベッドは550,000円となっている。
他モデル
似たレイアウトを持つデュカトL2H2ベースのモデルは、まずナッツRVのフォルトナが挙げられる。フォルトナTypeCはTABIVAN O.W.L.と同様に多目的ルームは無くクローゼットになっている。一方フォルトナTypeMは多目的ルームがある。
その他、トイファクトリーのダヴィンチ5.4 30周年リミテッドエディション(1562万円~)、デルタリンクのダーウィンD5(1527万円~)が挙げられる。フォルトナはTABIVAN O.W.L.と同様に後部のベッドルームがセカンドダイネットになる。
ダヴィンチ5.4は後部が固定の2段シングルベッド、ダーウィンD5は後部がダブルベッドになっている。どちらもトイレルームを設置している。
まとめ
「TABIVAN O.W.L.」の魅力は、フィアット・デュカトL2H2の広大な空間を最大限に活かした、8名乗車・4名就寝という圧倒的なキャパシティにある。フロントの対座ダイネットに加え、後部のベッドスペースをセカンドダイネットとして活用できる設計は、ファミリーやグループでの旅において大きなアドバンテージとなる。もちろん二人旅でもプライベートな空間として重宝するだろう。
機能面では、600Ahという大容量リチウムイオンバッテリーを筆頭に、2000Wインバーター、400Wソーラーパネル、さらには車載クーラーやFFヒーターまでが最初から備わっており、追加すべき必需オプションが見当たらない。
オプションの電動プルダウンベッドは、セカンドダイネットを積極的に使用するユーザーには見逃せない装備だろう。
一方で、独立した多目的ルーム(トイレルーム)が存在しないことは、トイレルームを望むユーザーにとっては不満点だろう。また、ギャレーに常設コンロを設置すれば、調理するユーザーへのアピールになっただろう。
水回りに関しても、給排水各10Lという容量はこの車格としては控えめだし、フォルトナのように温水シャワーの選択肢があったも良かったかもしれない。また、家庭用エアコンの選択肢も欲しいところだ。
しかし、これらの懸念点はカスタムオーダーによって、ユーザーの使用スタイルに合わせて最適化することが可能だ。 総じてTABIVAN O.W.L.は完成度の高い一台と言える。デュカトの広さを活かした余裕ある旅を楽しみたい層にとって、有力な選択肢となるだろう。
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