バースはOMCが製作する、日産キャラバン標準幅ハイルーフをベース車に使用したバン・コンバージョン キャンピングカー。
同社は東京都武蔵村山市に本拠を置くビルダーで、ハイエースを中心にバンコンを専門に製作している。スーパーロングベースの「銀河」やワイドミドルルーフの「北斗対座モデル」、標準幅ハイルーフの「ナロー銀河」などが同社の代表的なモデル。
バースは同社では珍しい日産キャラバンをベース車にしたモデルだが、後部にシャワールームを持つレイアウトでは、ハイエースにはない標準幅スーパーロングボディが適している。
（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）
概要
日産キャラバン標準幅スーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。最大の特徴は後部にシャワールームを配置していることで、オプションのポータブル給湯器を設置することにより、温水シャワーが可能となる。
レイアウトは2列目に単座のマルチモードシートを配置し、前向きにすると4名が前向き乗車可能。後ろ向きにすると、2名対座シートとベンチシートのダイネットになる。
車載用セパレートクーラーとリチウムイオンバッテリーがオプションで用意されており、快適な室内となっている。
アピールポイント
・標準幅で運転しやすく、ハイルーフで圧迫感の少ないベース車
・温水シャワーを設置可能
・二人旅（あるいはひとり旅）に適したレイアウト
・2列目の単座シートでプラス1名が前向き乗車可能
・横開き式冷蔵庫と電子レンジを標準装備
・車載用セパレートクーラーとリチウムイオンバッテリーを装備可能（OP）
・長いコートも吊るせるクローゼット
ベース車とエクステリア
バースのエクステリア
ベース車は日産キャラバン 標準幅スーパーロング。ハイエースにはないボディサイズで、標準幅（1690mm）ながら全長は5080mmと、標準ボディの全長（4,695mm）よりも385mm長い。
車幅が標準ボディと同じなので運転しやすく、ハイルーフなので室内の圧迫感も少ない。更に全長が標準ボディよりも長くなったため、後部のシャワールームを設置できた。
詳細が発表されていないので不明だが、おそらくガソリン2WDとディーゼル2WD/4WDが選択できると思われる。
インテリア
バースのインテリア
展示車は上の写真のようなカラーリングで、ベージュ系のビニールレザー地のシートと、ライトグレー系の家具の組み合わせだったが、同社の他モデル同様、シート地や家具色は選択できるようだ。
レイアウト
2列目シートを前向きにすると計4名が前向き乗車できる
2列目に単座のマルチモードシートを配置し、これを前向きにすると、3列目シートと、運転席、助手席を合わせて4名が前向き乗車できる。就寝定員は3名（実質2名）なので二人旅（あるいはひとり旅）向けのレイアウトだが、ベンチシートにも3名が乗車できるので、乗車定員は7名となっている。
ベッドを展開すると就寝定員は3名となっているが、実質的には2名が就寝できる。従って二人旅用のレイアウトと言えるが、小さな子供のいるファミリーにも対応できる。
ダイネット
ダイネット
2列目の単座シートを後ろ向きにすると、3列目シートとで2名の対座ダイネットができる。更にベンチシートにも着座できるので、5名程度でテーブルを囲むことができる。
ベッド
ダイネットを展開したベッド
シートを全てフラットにすると、1900x1520mmのベッドになる。1520mmの幅は、家庭用ではレギュラーダブルベッドの幅（1400mm）とクイーンベッドの幅（1600mm）の中間で、2名ならゆったり就寝できる。小さな子供なら１～２名が一緒に寝るのも可能だろう。
ベッド展開は2列目のマルチモードシートがあるので多少手間がかかるが、単座なので大きな労力は必要ない。その他はシート座面や背もたれを移動するだけで比較的楽に行える。
ギャレー
ギャレーは後部に配置
ギャレーは後部のシャワールームに配置されており、右側のキャビネットにシンクとフォーセットがビルトインされている。フォーセットは固定されており、引き出して車外で使うことはできない。
シンクの下の給排水タンク
シンクの下には各13Lの給排水タンクが収納されている。リアゲートを開けると車外から直接出し入れできる。ギャレーキャビネットにはポータブルトイレも標準装備で収納されている。
冷蔵庫/電子レンジ
40L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は40L横開き式が標準装備されてる。冷凍室もあるので、製氷・冷凍と冷蔵が同時にできる。飲み物などを冷やすのと同時に、冷凍食品などを冷凍しておくことができるので、クルマ旅ではほぼ必需の機能だ。
電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジも標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。1500W正弦波インバーターはオプションなので、外部電源が無いところでも電子レンジを使用するには、インバーターを搭載する必要がある。
多目的ルーム
バースのシャワールーム
バースの大きな特徴のひとつが、後部に設置されたシャワールーム。本来スペアタイヤがあるスペースを掘り下げて高さを稼ぎ、底面にシャワーパンを設置している。このままシャワーを使うとキャビネットが濡れてしまうので、シャワーカーテンで囲んでシャワーを使う。
シャワー用の水タンクとボイラー
オプションの温水シャワーセット（495,000円）をオーダーすると、左側のキャビネットにシャワー用の水タンク（大小）と給湯器が収納さtれる。この給湯機はガスボンベで湯を沸かすタイプで、瞬間湯沸かしが可能だ。
なお、キャラバンでは床下に排水タンクを設置するスペースが無いため、シャワーで使用した排水は、クルマ下に排水用のタンクを置いて受ける必要がある
収納
ダイネット上のオーバーヘッド収納
ダイネット上と冷蔵庫の上にオーバーヘッド収納が設置される。食器や食料品などを収納しておくのに便利だ。
冷蔵庫下の収納
冷蔵庫の下にも扉なしの収納が用意されている。冷蔵庫と上下を逆にして引き出し収納にすれば、カトラリーなどの収納として使い勝手が良かったのだが。
3列目シート下の収納スペース
3列目シート下も収納スペースになっている。シートを持ち上げてアクセスする必要があるので使い勝手はあまりよくないが、頻繁に出し入れしないものを収納しておくと良いだろう。
クローゼット
バースにはクローゼットが配置されている。高さがあるので長いコートなども折り畳むことなく吊るしておける。コートやジャケットなどはかさばるし、煩雑に置いておくとしわになるので、このようなクローゼットがあると大変便利だ。
空調
車載用セパレートクーラーを搭載可能（OP）
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。また、冷房は車載用セパレートクーラー（CoolStar）が、クーラーセットとして200Ahのリチウムイオンバッテリーとともにオプション設定されている。室内機の設置場所は上の写真の位置。
クーラーの室外機
クーラーの室外機はベンチシートの前側に収納されている。小型なのでここに収まっているが、排気は必要なため車体右側に穴を開けて排気口を確保している。同社のナロー銀河などでも同様の手法を採用している。
テレビ/ナビ
現在オプションリストが公開されていないため、テレビやナビの情報は無いが、他モデルと同様なら19インチテレビやナビがオプションで用意されるだろう。
電装系
バースの電装系
標準では105Ahのディープサイクルバッテリーが1個、走行充電、外部100V電源入力とチャージャーが標準装備される。同社の他モデルと同じならインバーターはオプションで350Wと1500W（どちらも正弦波）が用意される。電子レンジが標準装備なので、1500W正弦波インバーターは標準装備にして欲しかったところだ。
先述のように、リチウムイオンバッテリーはクーラーとともに200Ahのものがオプションで設置できる。
ソーラーシステムについても情報は無いが、オプションに250W程度のものが用意されると思われる。詳しくはビルダーにお問い合わせください。
価格（2024年2月現在：千円台切り上げ：税込）
価格は2024年2月のジャパンキャンピングカーショー2024時点のもので、ガソリン2WDが643万円～とされていた。（ナビ関連は除く）また、クーラーセットオプションやFFヒーターを入れると786万円～、温水セットを入れると835万円～となる。
付けておきたい必需オプションはFFヒーター（275,000円）、1500W正弦波インバーター（価格不明）が挙げられる。高価だが今やクーラーセット（1,155,000円）は必需装備に近い。
必要に応じて温水シャワーセット（495,000円）も選択できる。
他モデル
温水シャワーを設置できるバンコン自体、多くない。具体的にはレクビィのカントリークラブ A/C仕様（916万円～）、ファイブスターセプト A/C仕様（916万円～）、イゾラ（889万円～：エアコン標準装備）、そしてロータスRVのイースピリット（価格不明）があるだけだ。
その中で最もバースに近いのがイゾラだ。イゾラはバースと同じキャラバン標準幅スーパーロングをベース車に使用し、最後部にFRPで完全防水されたシャワールームを持つ。ただし温水の作り方は異なっており、イゾラではエンジンの熱交換で湯をわかし、貯湯して水と混合して使用する。
レイアウトはよく似ており、2列目に単座のマルチモードシートを持つのも同じ。後ろ向きにして2名の対座ダイネットとベンチシートを持つのも同じだ。
しかしイゾラの架装クオリティは高く、インテリアデザインも洗練されている。搭載されているエアコンも最新の家庭用エアコンで機能も静かさも大きなアドバンテージがある。更にイゾラのリチウムイオンバッテリーは300Ah、250Wのソーラーシステムも含まれる。従ってイゾラはバースより高価だ。
具体的に価格を比較すると、バースにクーラー、FFヒーター、インバーターを付けると786万円～になる。イゾラは889万円～なので、イゾラの方が約100万円高価だ。
更に温水システムを追加すると、イゾラは906万円～、バースは835万円～となる。バースの温水装置の価格が多少高価なので約70万円の差になるが、前述のようにイゾラは300Ahのリチウムイオンバッテリーと250Wのソーラーシステムも含んでいる。この差を大きいとみるか小さいとみるかは意見の分かれるところかもしれない。
まとめ
今まで温水シャワーが装備できるバンコンと言えばレクビィのモデルの独壇場だった。しかし、全体的に見ると温水シャワーはメジャーな装備ではないのも事実だ。
そのような状況にあって、バースの登場は温水シャワーの潜在マーケットを掘り起こすかもしれない。少なくとも選択肢ができたのはユーザーにとってメリットと言える。
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