北斗対座モデルはオーエムシーが製作する、ハイエースワイドロングバンをベース車にした、バンコンキャンピングカー。
同社は、主にハイエースやNV350キャラバンベースのバンコンを製作しており、スーパーロングの「銀河」や標準ボディハイルーフの「narrow銀河」、あるいは災害に対応した「ZERO」など、注目のキャンピングカーを開発している。
「北斗対座モデル」は人気の「北斗」の2段ベッドはそのままに、北斗のトレードマークとも言えるホビーデスクの代わりに、2名対座ダイネットを配置したレイアウトとした。
北斗対座モデルのインテリア
コンセプト:5x2mの一般的なパーキングや、高さ制限のある駐車場にも入ることができ、かつワイドボディで広い室内を確保。二人で使用することを前提にし、冷蔵庫や電子レンジ、そしてクーラーも設置でき、二人旅に最適なモデル。
エクステリア:外装への架装は無く、外観は通常のハイエースと変わらない。コインパーキングにも駐車できるので、街中での日常用途に違和感なく使用できる。
縦置き2段ベッドは排したレイアウト(写真:オーエムシー)
インテリア:家具やシートに特別に高級感は無いが、うまくまとめられている。同社は比較的柔軟にカスタマイズに対応できるので、家具の色やシートの生地などの選択は自由度が高い。
なお、オプションでハイエースの「ダークプライムⅡ」インテリア(153,000円:税別)が選択できる。
レイアウト:一言で言えば、「銀河」のレイアウトをワイドロングのボディに展開したもの。また、「narrow銀河」のレイアウトに余裕を与えたものともいえる。いずれにしても二人旅用のレイアウトとして秀逸なもので、銀河では大きすぎ、narrow銀河では狭すぎるという需要にうまく対応したレイアウトだ。
前向きに計4名が乗車できる(写真:オーエムシー)
ダイネット:2列目の単座シートがマルチモードシートになっており、これを後ろ向きにすると二人対座のダイネットになる。テーブルは大きくはないが、2名での食事なら対応できる。
なお、2列目シートを前向きにすると、3点式シートベルトが使え、前向き乗車ができる。従って、計4名が前向き乗車できる。
縦置き常設2段ベッド
ベッド:常設縦置き2段ベッドが配置される。下段は1900x750mm、上段は1900x700mmの大きさで、キャンピングカー要件の1800mmよりも余裕をもって設計されている。実際、1800mmのベッドでは窮屈感があるので、1900mm取られているのは嬉しい。
また、対座ダイネットも展開すると一人用のベッドになる。ただし、こちらは幅が500mmなので、緊急用と考えた方が良いだろう。
シンクと各10Lの給排水タンク
ギャレー:ギャレー機能は全て最後部に集約された。後部右側にシンクが埋め込まれており、周りに調理スペースが多少確保されている。キャンピングカー要件は電子レンジで確保されているためコンロは標準装備ではない。そのためコンロを置くスペースが無い。火を使った調理がしたい場合は、多少不便だ。
冷蔵庫と電子レンジも装備されたギャレー
冷蔵庫/電子レンジ:40L横開き式冷蔵庫と電子レンジが標準装備される。ただし1500Wインバーターがオプションなため、そのままでは電子レンジは外部100V電源が取れるところでしか使えない。
「北斗」では冷蔵庫と電子レンジは居室部のホビーデスクの横のタワー収納にビルトインされていたが、ここはダイネットになったため、最後部左側に移動した。そのため最後部のユーティリティールームは多少狭く感じる。
ユーティリティールーム:ダイネット/ベッドルームの後部のドアを開くと最後部の個室があるが、これはユーティリティールームと言うより、ギャレールームという方が合っている。
ただし、ポータブルトイレも設置されており、緊急時には(そうでなくても)トイレルームとして使用できる。
シート下の収納
収納:メインの収納は下段ベッド下と3列目シート下。下段ベッド下は高さが十分ではないが広い収納スペースが確保されている。ただし長期旅の場合、特に肌寒い季節の場合は、衣類が多くなり、収納が厳しいかもしれない。
また、小さい食器用の適当な収納が無いのも不便だ。DIYで適当なところに作ると良いだろう。
セパレートクーラーCOOLSTARが装備できる
空調:暖房はFFヒーターがオプション設定されている。また冷房はセパレートクーラーCOOLSTARがオプションで用意されている。価格は60万円(税別)と安くは無いが、これには以下のものが含まれている。
・COOL STAR本体
・Votronicバッテリー残量計
・ディープサイクルバッテリー2個(計3個になる)
・外部充電装置アップグレード (25Aタイプに変更)
・天井断熱材アップグレード (PEアルミ蒸着シート+発泡ウレタンに変更)
・ステンレス製 特注室外機収納ボックス
セパレートクーラーの室外機
室外機は、後部床下収納の部分に設置される。上記の「ステンレス製 特注室外機収納ボックス」というのがそれで、もちろん通気され吸排気に対応している。更に、床下に直接室外機を吊るすのではなく、ボックス内に収納されているので、タイヤが跳ね上げた水や泥を直接被らないのも安心だ。
これは室外機の大きさがかなり小型になったことによる恩恵で、うまく動作するなら実に良いアイデアだ。ただ、通気性が良いと言っても、かなり狭いところに収納されており、真夏での熱処理が多少気になるところではある。
テレビ/ナビ:ナビはオプションで設置できる。またテレビは19インチ液晶テレビがオプション設定されており、ナビのTV映像が出力できる。
電装系:サブバッテリーは標準で105Ahのディープサイクルバッテリーが1個搭載される。走行充電と外部100V入力、およびそれによるサブバッテリーの充電機能が標準装備される。
ただし、インバーターはオプション。350Wと1500Wが用意されている。1500Wの場合はサブバッテリーも1個増設される。これは電子レンジをバッテリーで駆動する場合必要で、電子レンジ自体は標準装備なので、通常は1500Wインバーターを選択することになる。
なお、エアコンを装備するとトリプルバッテリーになるが、これはあくまでもディープサイクルバッテリー。リチウムイオンバッテリーはオプション設定されていないが、銀河では装備できるので、希望する場合はオーダーすると良いだろう。
また、215Wのソーラーシステムがオプション設定されている。
価格:ガソリン2WD/6ATで、484万円~(税別)。ハイエースワイドロングベースでギャレーを持つモデルは多くあり、400万円台が中心なので、北斗対座モデルは平均的な価格帯と言えるが、40L横開き式冷蔵庫や電子レンジ、外部電源によりサブバッテリーの充電機能が標準装備なことを考えると、お買い得な部類に入る。
必要なオプションは、FFヒーター(21万円:税別)と、1500Wインバーター(サブバッテリー1個付き:147,000円:同)が挙げられる。
また、家庭の車庫に100V電源が無い場合は、ソーラーシステムを装備しておくと、常にサブバッテリーを満充電できる。
更にエアコンは、予算に余裕があれば是非搭載しておきたい。言うまでもなく、夏場の快適さが全く違う。
他車:ハイエースワイドロングベースのバンコンで二人旅仕様のモデルは多数あるが、縦置き2段ベッドを持つモデルは同社の「北斗」と、カトーモーターの「リヴ」(530万円~:税別)がある。
また、二人旅仕様でエアコンの搭載できるモデルは、キャンピングカー長野の「スペースキャンパーCOOL」(560万円~:税別)がある。
まとめ:北斗対座ダイネットモデルは、スーパーロングでは大きすぎる二人旅ユーザーに最適なサイズとレイアウトと言える。更にエアコンが付いたことにより、夏場でも快適に過ごすことができる。
充実した装備で長期旅にも十分対応でき、密な接触を避けたい昨今の旅のスタイルとして注目されるモデルとなるだろう。
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