トップセイルはレクビィが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車に使用したバン・コンバージョンキャンピングカー。
同社は、愛知県瀬戸市を本拠し、ハイエースをベースにするバンコンを主に製作しているビルダーで、最近では「ソラン」や「ソランワイド」を発表している。トップセイルは、同社ではカントリークラブと同じプレミアムクラスで、ハイマウントダブルベッドを採用したモデル。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエーススーパーロングをベース車にする、バンコンキャンピングカー。右側にエクステンションウインドウを架装し、オプションでリアゲートのウインドウもアクリル2重窓にできる。
2列目に3人掛けのマルチモードシート、3列目に2人掛けの固定シートを持ち、7名が前向き乗車できる。また、5名が就寝できるため、ファミリーでの前向き乗車と車中泊に対応する。
トップセイルの最大の特徴は、スライドして簡単にセットできる縦置きハイマウントダブルベッド。ベッドの伸縮に応じてベッドマットが自然に伸長、折り畳みされるため、短時間でベッドのセットアップができる。
標準装備の違いにより、標準仕様、Superior(スーペリア)仕様、Superior+A/C仕様が選択できる。
アピールポイント
・7名のファミリーが前向き乗車、車中泊可能
・長身でも窮屈感のないクイーンサイズベッド
・簡単にベッドメーキングできるスライド機構
・運転席、助手席のシートバック(OP)を利用した前部対座ダイネット
・横開き式冷蔵庫を標準装備
・大容量カーゴスペースには自転車、長物やアウトドアギアを搭載可能
・家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーを装備可能
ベース車とエクステリア

トップセイルのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロング特装車。右側にエクステンションウインドウを標準で架装する。また、リアゲートのウインドウはオプションでアクリル2重窓にすることができる。
これにより、断熱効果を高めるとともに室内を広く見せ、またリアゲートを開けなくても窓を開けて換気することができる。
インテリア

チタンブラックのインテリア
インテリアカラーはチタンブラックとモカブラウンを選択できる。単に色の違いだけでなく、床材を見ると、チタンブラックはよりアウトドア志向、モカブラウンはよりリビング志向であることが感じられる。

モカブラウンのインテリア(写真は旧モデル)
同社の家具やシートの作りやデザインには定評があり、トップセイルのインテリアも高級感がある。照明は間接光を使用し、夜の室内を豪華に見せる。
レイアウト
2列目にマルチモードシート、3列目に前向きシートを配置。2列目には3名、3列目には2名が乗車できるとしているので、乗車人数は運転席、助手席を加えて計7名。3点式シートベルトは2列目と3列目の窓際の乗員のみ装着できるので、計4名が3点式シートベルトを装着できる。
ベッドモードにすると、上段に3名、下段に2名で計5名が就寝できる。二人旅にも使用できるが、大勢のファミリーにも対応するレイアウトだ。
このレイアウトの特徴はスライドしてセットする縦置きハイマウントダブルベッド。横置きベッドに対し、身長方向に十分な長さを確保できる。なお、エクステンションウインドウで横方向の長さが拡張されたため、横置きベッドとしても使用できる可能性が高まった。
即ち、小柄なユーザーなら横置きモードで、トイファクトリーのバーデンに代表されるレイアウトと同じように使用でき、かつ横置きモードが窮屈であれば縦置きベッドを即座にセットできるというアドバンテージを持つ。
ダイネット

2列目シートを後ろ向きにしたダイネット(写真は旧モデル)
2列目シートを後ろ向きにすると、3列目シートとで対座ダイネットを形作る。大人2名と子供3名程度のファミリーで食事する場合でも十分な広さだ。

運転席、助手席の背もたれを利用した後ろ向きシート
運転席、助手席のシートバックを前に倒し、簡易的な後ろ向きシートにすることができる。これにより前向きの2列目シートとで対座ダイネットを作ることも可能。テーブルもセットできる。なお、シートバックのマットはオプション。
ドライブ中にちょっと休憩する場合など、2列目シートを後ろ向きにするほどでもない場合は、このモードで休憩することができる。
ベッド

スライドしてセットできる上段ベッド
トップセイルの真骨頂は、何と言っても縦置きハイマウントダブルベッドだろう。まず、その大きさが魅力だ。2240x1620mmのサイズは、家庭用のクイーンベッド(1950x1600mm)より大きい。
縦置きベッドにした理由は、横置きベッドの場合、一般的にエクステンションウインドウを付けても1800mm程度しか取れない。そのため長身のユーザーでは窮屈な場合がある。縦置きならその心配は全くない
ただし、弱点もある。横置きの場合は常設ベッドだが、縦置きではベッドセットが必要になる。トップセイルでは就寝前の煩わしいこの作業を、ハンドルを引くだけで瞬時に完了する。(動画はこちら)
片付けも同様で、ベッドベースの伸縮に応じてベッドマットが自分で伸縮する。特に収納時、自然に2段に収納される様は見事だ。(動画はこちら)

収納時、ベッドマットは2段になる
更に付け加えておきたいのは、2023年からエクステンションウインドウを架装したことにより、横置きでも実用性が増したこと。収納時に2枚重ねになっている上の2枚のマットを取り外すと、1760(最大)x1250mmの横置きダブルベッドになる。(2枚重ねのままでも良いが多少狭くなる)
残念ながらわずかに1800mmに達していないので大人用のベッドにカウントされないが、可能ならもちろん大人が寝ても問題ない。この場合は、常設横置きハイマウントダブルベッドのレイアウトと同じように扱える。

2名が就寝できるダイネットベッド
ダイネットを展開してできるベッドは2160x1200mm。これは家庭用ではセミダブルベッドの幅(1950x1200mm)に相当し、2名が就寝できる。

上下段のベッドで計5名が就寝できる
上下段ともベッドセットすると、大人が5名就寝できる。ファミリー全員がゆったり就寝できるのが魅力だ。
ギャレー

左側中央に設置されたギャレー
左側中央に設置されたギャレーには、円形の深いシンクが埋め込まれている。フォーセットはシンク内にあるので、円形の蓋をすればキャビネットはフラットなカウンターになる。
コンロは、ポータブルカセットコンロをセットして使用する。コンロを置くと調理スペースはあまり残っていないので、調理をするユーザーには少し狭いかもしれない。

ギャレーキャビネットの引き出し収納
ギャレーキャビネットには引き出し収納が用意されており、カトラリーや小さな食器を収納しておくのに便利だ。この引き出しに蓋を付ければ調理台になるのではないだろうか。
冷蔵庫/電子レンジ

49L横開き式が標準装備される
冷蔵庫は49L横開き式が標準装備されている。横開き式なので、冷凍と冷蔵が同時にでき、冷凍食品の保冷や製氷もできる。
残念ながら、電子レンジのオプション設定が無い。今や電子レンジはクルマ旅の必需装備にも近いので、是非ギャレーの上に収納スペースを設けるなどして用意して欲しいところだ。(もちろんユーザーが電子レンジを持ち込んで100Vコンセントにつなげれば使える)
多目的ルーム
トップセイルに多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。後部ベッド下は大きな収納スペースがあるので、子供ならトイレルームとして使えるかもしれない。
収納

右サイドに設置されたオーバーヘッド収納
右サイドには後部まで連なるオーバーヘッド収納が取り付けられており、大きな収納力がある。

ギャレー上の収納
運転席、助手席の上部も大きな収納棚になっており、寝具などかさばるものを収納しておくことができる。通常ここにはクルマのクーラーユニットが置かれており、それを移設している。同社オリジナルの架装だ。

最後部の大きなカーゴスペース
後部ベッド下は大きな収納スペースになっており、リアゲートを開けてキャンプ用具など大きな荷物を車外から直接積み込むことができる。ベッドボードを外すと、背の高い荷物も積み込むことができる。

後部に設置できるシャワーキット(OP)
両側にも独立した収納があり、左側のキャビネットにはオプションでシャワーキットが用意されている。アウトドア用品を洗ったりペットの足を洗うなどの使い方ができる。
空調

家庭用エアコンを装備可能
暖房はFFヒーターがSuperior仕様以上に標準装備され、冷房は家庭用セパレートエアコンがSuperior+A/C仕様に標準装備される。室内機は最後部に前向きに設置されるので、冷気がまっすぐ前方に流れ効率的に車内を冷やせる。
マックスファンベンチレーターは全車に標準装備される。
テレビ/ナビ

標準装備されるフリップダウンモニター
フリップダウンモニターがSuperior仕様以上に標準装備される。ナビは好みのものを設置できるだろう。
電装系

標準仕様には115Ahのディープサイクルバッテリーが1個、Superior仕様には2個、Superior+A/C仕様には200Ah相当のリチウムイオンバッテリーが標準装備される。
走行充電は標準仕様とSuperior仕様にCTEKの昇圧システムを採用、Superior+A/C仕様にはRENOGY社製のリチウムイオンバッテリー対応の走行充電器が装備される。これは40Aでの高速充電が可能となっている。
外部100V電源入力と、外部電源入力による充電機能(チャージャー)は全車に標準装備される。リチウムイオンバッテリーには35Aで充電される。
1500W正弦波インバーターと236Wソーラーシステムは、Superior仕様以上に標準装備される。即ち、Superior以上であれば電装系は完璧だ。
価格(2023年5月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/6ATの標準仕様は710万円~、Superior仕様は787万円~、Superior+A/C仕様は910万円~となっている。エアコンを選択しない場合は、必需機能が標準装備されるSuperior仕様がお得感がある。しかし、このクラスのモデルなら、やはりエアコンは付けておきたい。
(詳しい価格表はこちら)
他モデル
ハイエーススーパーロングをベース車にするモデルで、トップセイルのように本格的な縦置き上段ベッドを持つモデルは、トイファクトリーのバレイアとトイズボックス540くらいしかない。
トイズボックス540は実用的なギャレーが無いので、実質的にトップセイルと比較対象になるのはバレイアのみだ。詳しくは下の仕様比較表を参照いただきたい。
まとめ
トイファクトリーのバーデンに代表される、横置きハイマウントダブルベッドのモデルが多く、トップセイルやバレイアのような縦置きベッドのモデルが少ないということは、多くのユーザーは横置きベッドでも窮屈感を感じていないのかもしれない。
しかし、横置きベッドが窮屈なユーザーはもちろんいるわけで、縦置きベッドのモデルはそのようなユーザーの救世主になる。(もちろんキャブコンを選択するという手もあるが)
トップセイルは縦置きベッドで十分な身長方向の長さを得たが、その代償にベッドメーキングの作業が必要になった。この作業をできるだけ楽にしようと採用されたのがスライド機構だ。これによりベッドメーキングの煩わしさはほぼ解消されたと言ってよいだろう。
バレイアに比べトップセイルの価格が高価なのは、この機構の分もあるだろう。しかし、就寝前のベッドセッティングの面倒さを知っているユーザーにとって、そのありがたみは十分理解できるはずだ。
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