Sonic Supreme (ソニックスプリーム)700SLはアドリアが製作する、フィアットデュカトをベース車にした輸入モーターホーム。輸入と販売はデルタリンクが行っている。
ソニックはアドリアのフラグシップブランドで、Sonic Supremeは国内に輸入されているモデルでは最上位モデルとなる。ただし、本国ではメルセデスのベース車を使用した「Super Sonic(スーパーソニック)」が存在する。
「Sonic Supreme」はSonicラインアップでは上位モデルで、下位モデルとして「Sonic Plus」がある。またSonic Supremeにはレイアウトの異なる「700DC」「700DL」「700SL」があり、DCはアイランドダブルベッド、DLとSLはツインベッドをレイアウトする。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
Sonic Supreme700SLはフィアット デュカトをベース車にしたフルコンバージョンモーターホーム。全長は7,485mmで、レイアウトは3種類から選択できるが、700SLは対座ダイネットと後部にツインベッド、そして前部にプルダウンベッドのレイアウトを持つ。
ギャレーには3口コンロと大きなシンク、142Lの大型3way冷蔵庫とオーブンを標準装備。サニタリールームにはカセットトイレと専用の洗面台、そして独立したシャワールームを標準装備する。
空調はAlde製セントラルヒーティング/給湯システムを採用、また家庭用エアコンも設置可能で、快適な空調を実現している。
アピールポイント
・7.5mの大型モーターホーム
・5名のファミリーに対応
・洗練されたインテリア
・後部常設ツインベッド
・前部に電動昇降式プルダウンベッドを設置
・3口常設コンロがあるギャレー
・カセットトイレと独立した手洗いがあるサニタリールーム
・独立したシャワールーム
・連続して給湯できるAlde製セントラルヒーティング/給湯システム
・家庭用エアコン設置可能(OP)
ベース車とエクステリア
全長7,485mm、全幅は2,320mmのボディ
ベース車はフィアット デュカト。本国ではエンジンやミッションを選択できるが、輸入モデルは最も上位の2.2l Multijet 3 (Euro6.d
Final)180HPエンジンが標準装備される。ボディカラーはホワイトとシルバーの2色から選択できる。
ハンドルは左右選択可能だがエントランスは右側のみ。シェルはアルミとFRPの組み合わせが採用されている。(Sonic Plusでは全てFRP)。シェルのウインドウは全てアクリル2重窓が採用されている。
全長は7,485mm、全幅は2,320mmで日本の交通事情には適しているとは言えないが、圧倒的な存在感はある。なお、デュカトに4WDは存在しない。
インテリア
2種類のインテリアカラー
欧州モーターホームは独特の洗練されたインテリアのモデルが多いが、このSonic Supremeも例に漏れない。インテリアカラーはダーク系の「Moro」とベージュ系の「Cashmere」の2種類が用意されている。
シート地はオプションで本革にすることもできる。
レイアウト
前部にダイネット、最後部にツインベッドルーム、中央左サイドにギャレーとシャワールーム、中央右サイドにトイレルームを配置する。また、ダイネットの上にはプルダウンベッドが設置されている。
乗車定員は運転席、助手席と2列目シートに1名で3名となっている。また、就寝は後部ベッドで2名+1名(中央を埋めた場合)とプルダウンベッドで2名の計4名+1名が定員となっている。
乗車定員が3名なのに4名+1名の大きなベッドが用意されているのもちぐはぐなような気がするが、本国仕様では乗車定員4名、就寝定員5名となっている。
ダイネット
運転席と助手席が反転して後ろ向きのダイネットシートになる
デュカトというか欧州車の約束事のように、運転席と助手席が反転して後ろ向きのダイネットシートになるが、これはSonic Supremeでも同じだ。車内が広いので比較的簡単に回転できる。
テーブルも折り畳み式になっており、畳んであるときは動線を妨げることは無く、広げて面積を広くすることができる。
ベッド
中央を埋めるとベッド幅は2180mmになる
最後部にツインベッドが設置されている。大きさは2050x800mmと2030x800mmで、家庭用シングルベッドの幅(970mm)より少し狭い。しかし、中央(1800x580mm)を埋めるとベッド幅は計2180mmになり、家庭用キングサイズベッドの幅(1800mm)よりもはるかに広くなる。
電動で昇降できるプルダウンベッド
ダイネットの上部には電動で昇降できるプルダウンベッドが備えられており、これは1900x1500mmの大きさ。ここでは車幅方向に2名が就寝できる。ただし、最下部まで下してしまうと、ダイネットは使えなくなる。
ギャレー
3口コンロを持つギャレー
ギャレーは左側中央に配置され、上面には3口コンロと独立した大きなシンクがビルトインされている。大きな鍋や皿も洗うことができる。またボイラーが装備されているので湯を使うこともできる。
コンロは国産車では一般的なカセットボンベではなく、プロパンガスを使用する。8Kgのガスボンベが2本搭載できる。ただし旅行先でのガス充填は、ガス販売店で断られることがあるため、あらかじめ確認することをお勧めする。
3段の引き出し収納
ギャレーキャビネットには3段の引き出し収納があり、食器や調理用具を収納しておくことができる。引き出しにはソフトクローズ機構があり、高級感がある。
冷蔵庫/電子レンジ
142L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は3way、142Lが標準装備されている。もちろん冷凍室があり、冷凍食品の保存や製氷ができる。3wayなので、外部電源、サブバッテリー、そしてガスで動作させることができる。
オーブンも標準装備される
またオーブンも標準装備される。8Kgのガスボンベを2本積んでいるので、オーブンを使った料理も可能だが、日本のユーザーがどの程度使用するのか疑問はある。電子レンジは輸入後にオプションで設置できるが、むしろこちらの方が需要が大きいだろう。
サニタリールーム
豪華なサニタリールーム
輸入モーターホームの常として、サニタリールームは非常に充実している。特にSonicの場合はトイレルームとシャワールームは別になっており、一つのスペースをトイレとシャワーで使い分ける必要はない。
トイレルームには専用の洗面シンクも装備されている。また、収納も用意されており、洗面用具等を収納しておくことができる。
独立したシャワールーム
シャワールームではもちろん温水シャワーが使えるが、従来のTRUMA(トルマ)ボイラーではなく、Alde(アルデ)製のセントラルヒーティング/給湯システムを搭載している。
これは電気とガス、および熱交換で動作するもので、連続して給湯することができる。給水タンクは120Lなので、水がタンクにあるだけ連続して温水シャワーを使うことができる。最近のAdoriaモデルではCoral Spreme以上でAldeシステムが使用されている。
収納
大きな容量力があるオーバーヘッド収納
収納も豊富に用意されている。まず、ダイネットとギャレーの上部、更にベッドルームにあるオーバーヘッド収納は大きな容量がある。
冷蔵庫上部の収納
冷蔵庫上部にも大きな収納が用意されている。また、ギャレーキャビネットの収納は先述の通りだ。
最後部の大きなカーゴスペース
最後に、これは収納と言うよりはガレージと表現されることもあるが、バイクや自転車も積むことができる。内部には整理棚も用意されており、小物も分離して収納しておくことができる。
空調
Alde(アルデ)の対流式暖房
暖房は前出のAlde(アルデ)製のセントラルヒーティング/給湯システムで総合的にコントロールされる。暖房はコンベクターと言う周囲に設置されたヒーターが対流を作り、窓の冷気との間に温風のシールドを作る。
また、同システムは床暖房やトイレルーム、シャワールームの暖房もシステムとして取り入れており、総合的に快適な室内を作り出している。
冷房はオプションでTRUMA AVENTA COMFORT 2400が用意されている。これはルーフエアコンで、Aldeシステムと統合して制御される。ただしこれは外部電源前提のエアコンと思われる。外部電源が無いところでも冷房装置を使うには、やはり国内でオプション設定されている家庭用セパレートエアコンとリチウムイオンバッテリーを搭載するのが良いだろう。
テレビ/ナビ
テレビのアームがあらかじめ用意されている(左)
テレビはエントランス入って左側、冷蔵庫の隣に、国内で設置される(OP)。あらかじめ自由な位置に動かせるテレビアームが装備されている。この位置はダイネットからは観ることができるが、ベッドからは観られないので、ベッドで観たい場合はオプションで追加できる。
ナビも国内で取り付ける(OP)。メモリーナビがオプションで用意されているが、好みのナビを指定することはできるだろう。
電装系
輸入モデルは概して電装系は貧弱だ。これは現地では外部電源のインフラが整っていることや、滞在型が多く外部電源を使用することがほとんどで、サブバッテリーに大容量を必要としないから。
しかし日本の環境ではサブバッテリーの強化が必要となる。標準装備では100Ahのディープサイクルサブバッテリーが1個付属しているが、これでは実用的ではない。そこで容量は不明だがリチウムイオンバッテリーのオプションを装備することをお勧めする。エアコンを設置するなら、400Ahクラスのリチウムイオンバッテリーを追加すると良いだろう。
なお、外部電源入力は標準装備されているが、1500Wインバーターや140Wソーラーシステムはオプションとなっている。
なお、リチウムイオンバッテリーを使用する場合は、走行充電器や外部100Vからの充電器もリチウムイオン対応品が必要になる。できればソーラーシステムもできるだけ大きな容量を乗せると電気の心配が軽減される。
価格(2022年9月現在:千円台切り上げ:税込)
Sonic Supreme 700SLは1736万円~。付けておくべき必需オプションは、家庭用エアコン(550,000円)、リチウムイオンバッテリー+2000Wインバーター(1,760,000円)、250Wソーラーシステム(220,000円)電子レンジ(66,000円)等が挙げられる。(ナビ関連は除く)
また必要に応じて、サイドオーニング(151,800円)、ベッドルームテレビ(71,500)、発電機(TRAVELLER2400:642,400円)などがある。
詳しい価格表はこちら。
他モデル
日本に輸入されているもう一つのメジャーブランドにDethleffs(デスレフ)がある。デスレフのラインアップで最もSonic Supreme 700SLに近いのはPULSE I7051 EB(1816万円~)だろう。これは7400mmの全長で縦置きツインベッドを搭載するフルコンだ。
なお、やはりツインベッドを持ち全長6950mmのGLOBEBUS GT I6(1617万円~)もある。また、デスレフのサブブランドでサンライトのA-Class Adventure Edition I 68(1419万円~)もある。いずれもフルコンモデルだ。
まとめ
Sonic Supreme (ソニックスプリーム)700SLは、オプションを含めると2000万円を超える高額モデルで、全てが違う次元にある。特に新に採用されたAlde(アルデ)製のセントラルヒーティング/給湯システムは最先端を行く空調/給湯システムだろう。
しかし滞在型が主で電源や水やダンプステーションが整備された欧州のインフラと日本のそれとでは大きな違いがあり、欧州の環境下で作られたモーターホームは日本で使い易いとは言えない。
しかし本物のモーターホームを堪能できるのもまた事実だ。大きさからも価格からも誰でも購入できるものではないが、欧州の人々のモーターホームに対する考え方や遊び方を知るには良い材料かもしれない。
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