グローブバスGT I6はデスレフが生産し、東和モータース販売が販売する欧州からの輸入モーターホーム。
ドイツを拠点とするデスレフはハイマーグループの一員で、日本へは東和モータース販売が輸入している。現在日本ではPULSE(パルス)シリーズ、ESPRIT(エスプリ)シリーズ、Grand ALPA(グランドアルパ)シリーズ、GLOBETROTTER(グローブバストロッター)シリーズをラインアップしており、グローブバスGTはパルスシリーズとともにエントリークラスを形成している。
なお、グローブバスにはI1とI6があり、I1は横置きダブルベッドを採用するため全長は5990mmと最も短い。I6は縦置きツインベッドを採用するため、6950mmと全長が長くなる。
パルスも6990mmで縦置きツインベッドを持つモデルがあるが、これはキャブコンスタイルのため、フルコンで6m未満の縦置きツインベッドレイアウトを希望する場合はグローブバスGT
I6を選択することになる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
フィアットデュカトをベース車にしたフルコンモーターホーム。人気のツインベッドを搭載しながら、全長を7m未満に抑えている。前部にプルダウンベッドもあるので、ファミリーにも対応する。
欧州車らしく洗練されたインテリアが特徴で、3口常設コンロ、大型冷蔵庫、温水シャワーとカセットトイレなどフル装備なのも魅力。家庭用エアコンやリチウムイオンバッテリーも選択できる。
アピールポイント
・広い室内ながら7mを切る全長
・洗練されたインテリア
・人気の常設ツインベッド
・プルダウンベッドでファミリーにも対応
・3口コンロのギャレー
・温水シャワーとカセットトイレ標準装備
・家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリー選択可能
ベース車とエクステリア
グローブバスGT I6のエクステリア
ベース車はフィアットデュカト2.3Lディーゼル178HP。本国では2.2Lディーゼル120HPが標準で2.3Lはオプションのアップグレードだが、日本仕様はこれが標準となっている。
全長は6950mm、全幅は2200mmなので、国内では取り回しが楽と言うわけではない。しかし、フェリーでは料金のボーダーが7mと言う場合も多く、7m以下に収まっているのは比較的経済的ではある。
なお、ハンドルは右側が標準となっているが、多くの輸入モデルと同様でエントランスも右側となる。また、自動ブレーキシステムや車線逸脱警報システムなどの安全装備は付けられない。運転席と助手席のエアバッグは標準装備される。
インテリア
欧州車らしい洗練されたインテリア(写真:デスレフジャパン)
欧州車の例にもれず、洗練されたインテリアを持つ。特にサニタリールームは国産車にはほとんど見られないような豪華なものとなっている。
照明はもちろんすべてLEDだが、装飾用の照明や間接照明が多用されており、夜の室内も魅力的に演出する。
なお、家具色やシート地などのインテリアカラーの選択はできないようだ。
レイアウト
欧州車のレイアウトはパターンが決まっており、主に後部のベッドスタイルによってバリエーションが用意されている。
グローブバスGTも同様で、前部にダイネット、後部にツインベッドを配置する。また、ダイネットの右側にはギャレー、左側中央にはサニタリールームを配置する。
ダイネット
ラウンジソファのダイネット(写真:デスレフジャパン)
ダイネットは欧州車のセオリー通り、運転席と助手席が回転して後ろ向きのダイネットチェアになる。2列目は2人掛けシートで、計4名がダイネットテーブルを囲める。
ダイネット上のサンルーフとプルダウンベッド
なおダイネット上には大きなサンルーフが付いており、明るい室内になる。もちろんサンルーフをオープンにして換気することもできる。
ベッド
後部のツインベッド
後部のツインベッドは左が1950x800mm、右が1950x750mmの大きさ。中央のマットを含めると2000x1550mmの大さになり、このベッド幅は家庭用のクイーンサイズに相当する。
クイーンベッドの幅以上に相当するプルダウンベッド
プルダウンベッドをセットすると、1850x1500mmの大きさのダブルベッドになる。これは家庭用ではクイーンベッドの幅以上になる。
なお、プルダウンベッドを下す場合はフロントシートのシートバックを倒して低くする必要がある。プルダウンベッドが下りている場合は、ダイネットは使えない。
また、ダイネットを展開してベッドにする機能は付いていない。
ギャレー
3口コンロが常設されるギャレー
欧州車はバンコンでも常設コンロが付いているのが普通で、フルコンクラスになると3口コンロが常設されていることが多い。グローブバスGTもその例に違わず、豪華な3口コンロが常設される。
豊富に収納が用意されているギャレーキャビネット
ギャレーキャビネットには豊富に収納が用意されており、3段の引き出し収納と、縦長のボトル収納が設置されている。最上段はカトラリーの収納になっており、樹脂のセパレーターが装備されている。
冷蔵庫/電子レンジ
142Lの3Way大型で冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は142Lの3Way大型で、1ドアだがもちろん冷凍室が付いている。3Way方式で、100V、12V、そしてガスで稼働する。
電子レンジは国内でオプション設定されており、家庭用100Vのものが設置できる。設置場所は不明だが、スペースに困ることは無いだろう。
サニタリールーム
豪華装備のサニタリールーム
サニタリールームは左側中央に位置する。シャワールームとトイレルームが完全にセパレートしているタイプではないが、シャワーを使う場合は扉で区切ることができるので、トイレが濡れることは無い。
湯はトルマコンビ6ボイラーで加熱するが、これは10Lの容量。60℃程度の湯を水と混合して適温にするが、水温によっては2人でも足りないくらいだ。ファミリーなら数回にわたってか沸かさなければならない。
国産キャブコンではダイレクトカーズのトリップシリーズやアネックスのリバティシリーズに瞬間湯沸かしが使用されているが、この点は輸入モーターホームの遅れている点だ。
なお、FFヒーターの吹き出し口も用意されており、シャワーやトイレ時に寒い思いをすることは無い。
収納
ダイネット上のオーバーヘッド収納
収納は非常に充実している。まずオーバーヘッド収納はダイネット上、ギャレー上、ベッドルーム3面に設置されている。輸入モデルはルーフが高いこともあり、オーバーヘッド収納はいずれも大容量の収納力を持つ。
長いコートなども吊るしておけるクローゼット
また、ベッドルーム前右側には大きなクローゼットが設置されており、長いコートなども吊るしておくことができる。旅先でレストランなどへ入る場合、多少フォーマルな服が必要な場合にも便利だ。
ベッド下の室内用収納
また、両側のベッド下にも室内用の収納が設けられており、ここも大きな収納力がある。
ベッド下の大きな外部収納
ベッド下は大きな外部収納になっている。ここには自転車はもちろん、小型のバイクも積載できる。
空調
欧州は夏でも比較的涼しいため、また、外部電源を取り込む施設が発達しているため、キャンピングカーのエアコンをバッテリーで動作させようという発想がほとんどない。そのため、外部電源で動くルーフエアコンはあるが、バッテリーで動作する高効率の家庭用エアコンは国内でオプション設定されている。
室内機の設置場所は不明だが、効率を考えるとベッドルームの最後部が適しているだろう。また、室外機はベッド下の外部収納外に取りつけると記されている。なお、e-confortシステムも選択でき、この場合は室外機はルーフ上に取り付けられる。
なお、暖房はトルマコンビ6がボイラー兼ヒーターになっているため、これを使用している。また電気式の床暖房が標準装備されている。
テレビ/ナビ
19型のテレビがオプション設定され、ダイネット後部の壁面に設置できる。また7型ナビもオプションで用意されている。
電装系
標準では95Ahのディープサイクルバッテリーが1個装備される。サブバッテリーの追加オプションも用意されているが、これとは別に「DJEパッケージ」と名付けられたオプションが用意されている。この内容は、家庭用エアコン(ルーフエアコンも可)、115Ahのディープサイクルバッテリー4個、3000W/1500Wインバーター、急速充電器、100Wソーラーシステムが含まれる。
更にこれとは別に、200Ahあるいは400Ahのリチウムイオンバッテリーやインバーター、充電器もオプションで用意されている。4個のディープサイクルバッテリーでもエアコンを運転できないことは無いが、多少高価ではあるがリチウムイオンバッテリーを選択したい。
なお、発電機(Gストリーム)もオプションで用意されている。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
車両本体価格は1353万円~。参考までにGT I1は1298万円~となっている。
付けておきたいオプションは、家庭用エアコン(495,000円)、400Ahリチウムイオンバッテリー(858,000円)、1500Wインバーター(151,800円)、ソーラーシステム(132,000円/100W)、電子レンジ(46,200円)、マックスファン(88,000円)が挙げられる。(ナビ関連を除く)
他モデル
6m以上7m未満の輸入フルコンモデルでツインベッドを持つものは、アドリアのSonic Plus 600 SL(1384万円~)、ハイマーのB-MCI580(価格不明)、とExsis-i474(同)がある。
なお、キャブコンスタイルなら、デスレフのパルスT6811 EB(1298万円~)、サンライトT67S(968万円~)、アドリアのCompacrt Supreme SL(1133万円~)、Compact Plus SL(1100万円~)、Coral Axess 600 SL(1155万円~)、Matrix Axess 600 SL(1166万円~)がある。
まとめ
グローブバスGT I6はアドリアのSonic Plus 600 SLと競合する。この2モデルは価格、装備も互角で、オプションもほぼ同じだ。家庭用エアコンやリチウムイオンバッテリーもオプションで用意されている。
このクラスでは、おそらく不満に感じる点は無いだろう。ただし、輸入モデルの問題点は認識しておくべきで、エントランスが右側にある点やガスボンベの充填の問題、あるいは旅先でのメンテナンスの問題は、インフラに関する基本的な違いから生じているので受け入れるしかない。
しかし、本場のモーターホームはやはり国産モデルとは一味違った魅力がある。輸入モデルの問題点を十分理解したうえで所有するなら、満足感の高いモーターホームライフが満喫できるだろう。
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