Arto(アルト)77Eはドイツのビルダー、ニースマン&ビショフが製作する、フィアットデュカトをベース車にしたフルコンキャンピングカー。
同社は1996年からハイマーグループの一員で、最高級のキャンピングカー(モーターホーム)を製作している。なお展示車はデルタリンクから出展されていた。
ニースマン&ビショフにはARTOの他にデュカトベースのキャブコン「SMOVE」や、イヴェコのデイリーベースでFR駆動の「FLAIR」がある。日本へはSMOVEとARTOの輸入実績がある。

ARTO77Eの室内
コンセプト:欧州の高級フルコン。プルダウンベッドを装備し4~5名が就寝できるのでファミリーでの使用にも対応する。国内での取り回しは決して良いとは言えない。しかしその広さと豪華さは比類ないもので、最高を求めるユーザーへの提案となっている。

エクステリアカラーも選択できる
エクステリア:ARTO77Eは7784mmの全長を持ち、ARTOシリーズでは2番目に小型。シェルは小さな傷なら修復が容易なGRP(ガラス繊維強化プラスチック)を採用。シャシーはAL-COローフレームシャシーを採用、低重心化を図っている。日本仕向けのエンジンは、本国ではオプションで最上位のターボチャージャーディーゼル180HP、ミッションは9速ATが搭載されている。
なお、5mの電動サイドオーニングが標準装備される。

様々なカラーが選べるインテリア
インテリア:家具色、シート色はもちろん、シートカバー、オーバーヘッド収納の扉色、ベッドルームドアのアクセントまで選択できる。
レイアウト:前部に車幅いっぱいに取った広いダイネット、後部にベッドルーム、中央にギャレー、トイレルーム、シャワールームが配置される。
また、ダイネットの上にはプルダウンベッドが設置されている。

ファミリーでテーブルを囲めるダイネット
ダイネット:デュカトベースのモーターホームも多くがそうであるように、ARTO77Eも運転席、助手席のシートが回転してダイネットの後ろ向きシートとして使用できる。その他ダイネットにはのL字型のソファとサイドソファがあり、6~7名でテーブルを囲める。
なお、メインダイネットシートには3人分の3点式シートベルトが備わっており、運転席、助手席と合わせて5名が乗車できる。前向き乗車は4名。

ツインベッドを配置したベッドルーム
ベッド:後部ベッドルームにはツインベッドが置かれており、大きさはそれぞれ1960x860mm。幅は家庭用のシングルベッド( 970mm)に及ばないので取り立てて大きくは無い。また、中央を埋めでダブルベッドにするオプションも記載されていない。
またプルダウンベッドの大きさは1910x1320mmで、家庭用ベッドではセミダブルとレギュラーダブルの中間の大きさ。

引き出し収納が用意されたギャレー
ギャレー:3口ガスコンロと独立したシンクが埋め込まれている。ギャレーコンソールにはカトラリー収納を含む多くの引き出しと収納が用意されている。ガスは11Kgのプロパンガスボンベ2本から供給される。
冷蔵庫/電子レンジ:冷蔵庫は147Lの2ドアタイプを標準装備。ガスオーブンは付属していない。また、展示車には電子レンジが装備されていなかったが、取り付けは可能だろう。この場合、サブバッテリーの強化や1500W以上のインバーターも同時に装備する必要がある。

トイレルーム
サニタリールーム:トイレルームとシャワールームが独立して配置されている。トイレルームにはカセットトイレが標準装備。専用の手洗いも用意されている。
また独立したシャワールームにもルーフに明り取りが備わっている。
給水タンクは200L、排水タンクは120Lの容量。

ギャレー上のオーバーヘッド収納
収納:ダイネットやギャレーの上には3方にオーバーヘッド収納が取り付けられている他、ベッドルームも3方にオーバーヘッド収納が装備されている。これだけでも相当な容量だが、ベッド下にも室内用の収納を用意。更に、ギャレーコンソールには食器や小物の引き出し収納が用意される。
外部収納は、ベッド下に幅1400mm、高さ1260mmの開口を持つ大きな収納(ガレージと呼ばれる)があり、これは反対側に貫通しているため2175mmの奥行きがある。自転車はもちろん、バイクも搭載可能だ。

ベッド下の巨大外部収納
空調:FFヒーターはトルマCombi6が標準装備される。床暖房も装備されるが、家庭用エアコンのオプション設定は無い。日本で取り付けは可能と思われるが、具体的な情報は無い。
テレビ/ナビ:テレビ、ナビとも日本仕様が必要なので、ディーラーにて取り付ける。
電装系:容量は不明だがサブバッテリーが1個標準装備される。一般的に輸入車の場合は、本国で外部電源事情が整備されているため、最低限のサブバッテリーしか搭載していない。従って、日本で使用する場合は、サブバッテリーの強化と、家電品をサブバッテリーで使用するためのインバーターの搭載が望まれる。もちろん常に外部電源がある環境で使用する場合は必要ではない。
なお、外部電源入力は100V仕様に変更されるが、外部電源によるバッテリー充電機能も合わせて装備しておく必要がある。

価格:展示車には車両本体価格1748万円(税別)の値札が付いていたが、装着しているオプションを入れると2027万円(同)となっていた。これにはエアサス(95万円)なども含まれている。
もちろんエアコンや電装系の強化などを入れると更に価格はアップする。
他車:このクラスのモデルの価格を比較することにどれほどの意味があるか分からないが、例えばハイマーの上級モデルB-SL704の車両本体価格は1650万円~(税別)。7m~8mの輸入フルコンモーターホームではこの他、
ESPRIT i7150-2 EB デスレフ(1680万円:同)
SONIC SUPREME710SL アドリアモービル(1448万円~:税別)
が挙げられる。いずれもツインベッド仕様でプルダウンベッドを持つ。
まとめ:輸入モーターホームの最高峰で、これぞモーターホームというカテゴリー。誰もが購入できるものでもないし、また日本での取り扱いは決して便利とは言えない。それは大きさだけでなく、ガスや電気、また空調の面でも事情が異なる日本で使おうとするといろいろ変更する必要がある。そのためにもきめ細かく、また長期にわたるディーラーのサポートが必要になる。
輸入モーターホームはインテリアや豪華装備に目が行きがちだが、様々なことを知っておく必要もある。
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