PULSE I7051EBはドイツのビルダー、デスレフ(Dethleffs)が製作する、欧州モーターホーム。日本ではは東和モータース販売が取り扱っている。
PULSEは2019年モデルラインアップで新たに加えられたシリーズで、GlobebusとMagic Editionの間を埋めるポジション。
ただし、本国ではGlobebusとPulseの間にもう一つTrendというシリーズが存在している。
Pulseシリーズはフィアットデュカトをベース車にしているが、スタイルはClass-Aと呼ばれるフルコンバージョンと、Low-Profileと呼ばれるキャブコンバージョンの2種類が用意されている。
本国ではPulse Class-Aは6種類のレイアウトが存在するが、現在のところ、日本に輸入されているのは今回取り上げるI7051EBだけだ。ちなみにLow-Profileは4種類のレイアウトが存在し、3種類が輸入されている。
エクステリア
Pulse I7051EBはフルコンバージョンスタイルなので、ベース車のデュカトの面影は全くない。フロントは大きなウインドウで3面を囲まれ、見やすく運転しやすい。
全長は7400mm、車幅は2330mmで日本で運転するには多少大きいが、その分余裕のある室内になっている。
右ハンドルが標準仕様になっているが、エントランスは右側。
なおデュカトは全てそうだが、4WDはなくFFのみ。またボディカラーはブラック、シルバーの2種類が選択できる。
間接照明が多用されたインテリア
インテリア
欧州車らしいナチュラルなトーンの室内は明るく、洗練されている。家具は明るい木目調のみだが、シートは2種類から選べる。
Pulseシリーズで力が入っているのはLED間接照明。照明デザイナーのGabrielle Allendorf氏が手掛けたもので、天井、壁、床、そしてファンクションライトと呼ばれるスポットライトで高質な光を演出している。
レイアウト
フロントにダイネット、リアにベッドルーム、中央にギャレーとサニタリールームを配置する、欧州車お決まりのレイアウト。
また欧州車のフルコンバージョンには必ずと言ってよいほどプルダウンベッドが装備されているが、Pulse I7051EBも例外ではない。従って、4名が就寝できる。
ダイネット
これも欧州車によくある4名対座式で、運転席、助手席が回転して後ろ向きのチェアになる。
天井には大きなサンルーフがあり、明るいダイネットになっている。
テーブルも大きく、4人分の食器は楽に置くことができる。
運転席、助手席が回転する対座ダイネット
ベッド
最後部のベッドルームにはツインベッドが設置されている。大きさは2000x800mmと2100x800mm。家庭用シングルベッドは970mmが標準なので、家庭用ベッドより狭い。欧州車のツインベッドは皆同じようなサイズだが、ベッド間の通路を多少狭くしてベッドを広くした方が良いのではないだろうか?
またプルダウンベッドは1950x1500mmで、こちらは家庭用のワイドダブルベッドに相当する。即ち、プルダウンベッドの方がゆったり就寝できる。
ツインベッドが設置されたベッドルーム
ギャレー
曲線を取り入れたデザインで、丸形シンクと3口コンロがビルトインされている。シンクは十分大きいので、大きな皿やフライパンも洗うことができる。調理スペースは特別にとられていないが、ギャレーコンソールの上面が広いので、調理はしやすいだろう。
冷蔵庫は142リッターの2ドア3Wayが標準装備される。即ち、停泊時はガスで冷やす。
なお、電子レンジはオプション。
3口コンロとシンクがビルトインされたギャレー
サニタリールーム
トイレルームとシャワールームが独立しており、シャワー時に便器を収納するとか、セパレーションするなどの手間は無い。トイレルームにはカセットトイレと専用の手洗いが用意されている。シャワーの温水は10リッターのボイラーで湯を沸かし、水と混合して適温にする。ただ、2名分の湯量は無く、人数が多いと、いちいち湯が沸くまで待たなければならない。この点では国産モデルで使用している熱交換式で、走行中に全ての水を沸かしてしまう方がはるかに実用的だろう。
シャワールームと独立したトイレルーム
収納
欧州車の利点の一つは収納が豊富に用意されており、またそれぞれの容量が大きく実用的なこと。Pulse I7051EBもダイネット上、ギャレー上、ベッドルーム3方上にオーバーヘッド収納が用意されている。またギャレーコンソールには引き出し収納が、その他冷蔵庫の上などにも収納が用意されている。
またベッド下は大きな外部収納になっており、自転車や小型のバイクなども積載できる。なお欧州車の多くは室内から外部収納にアクセスできないが、これも改善してほしい点だ。雨の日や夜は室内からアクセスしたいものだ。
空調
暖房はボイラーがヒーターを兼ねており、これで温める。また床暖房も標準装備。冷房はルーフエアコンと家庭用エアコンがオプションで用意されている。もちろん家庭用エアコンの方が効率が良く、バッテリーで運転できる。ただし、最初から家庭用エアコンを設置するように設計されていないので工事が必要となり、安価ではない。
電装系
95Ahのサブバッテリーが1個標準装備されるが、これだけでは心もとない。できればオプションの追加バッテリーをお勧めしたいが、電子レンジや家庭用エアコンを搭載する場合は、是非ともオプションのリチウムイオンバッテリーをお勧めしたい。200Ahと400Ahが用意されているが、200Ahでも実用的にエアコンが使える。
インバーターもオプションで1500Wと3000Wが選べる。エアコンを使いながら電子レンジを使う、といったことをしないなら1500Wでも問題ない。
なおソーラーシステムや発電機もオプションで用意されているので、必要に応じて装備できる。ただし発電機はGストームのもので非常に高価だ。排気処理付きでホンダ16iが選べればよいのだが。
価格は1280万円(税別)。オプションを加えていくとどんどん価格が上がるが、快適性を求めるこのクラスのモデルなら装備は充実しておいた方が良いだろう。
デスレフのモデルはオプションが充実しているので、国内の使用にも比較的対応しやすいのがメリット。
ただし輸入車全体に置いて、国内では面倒なガスの充填に関しても知っておく必要があるだろう。