リラックスワゴンType2はかーいんてりあ高橋が製作する、ハイエースワイドミドルワゴンをベース車に使用したバンコンキャンピングカー。
同社はハイエースベースのバンコンを中心に製作するビルダーだが、タウンエースをベースにし、スライドアウトを持つライトキャブコンの「ネオユーロ スライドアウト」やプリウスをベースにした「リラックスキャビン」などユニークなモデルも製作している。
リラックスワゴンはハイエースベースのバンコンで同社の看板シリーズだが、今回取り上げたリラックスワゴンType2レイアウトの他にも、Type1、Type1.5、Type2.5、Type3、Type3.5、Type4のほか、リラックスワゴン ブレイヴ、やリラックスワゴン インフィニティといった異なるレイアウトもラインアップしている。
LCSはリチウムイオンバッテリー、クーラー、ソーラーの頭文字を取ったもので、これらが標準装備されたパッケージバージョンの名前。 なおLCSの前に「Super Plus」と名付けられたお買い得パッケージがあった。これにはFFヒーターやナビ、49L横開き式冷蔵庫、1500W正弦波インバーター、外部電源による充電機能、ツインバッテリーなどが含まれている。
このSuper PlusパッケージとLCSパッケージを合わせたものを「LCS Super Plusパッケージ」としてリラックスワゴンType2に搭載したものが、「リラックスワゴンType2
LCS Super Plusパッケージ」だ。
なお、Super Plusパッケージのみを追加したモデル(リラックスワゴン Type2 Super Plusパッケージ)は存在するが、LCSパッケージのみを追加したモデルは存在しない。またLCS
Super PlusパッケージはType2以外にも対応している。
この記事は「リラックスワゴンType2 LCS Super Plusパッケージ」について書いているが、以後「LCS仕様」とする。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
コンセプト
ハイエースワイドミドルルーフ ワゴンを使用したバンコンで、ボディ外観への架装は無く見た目はノーマルと変わらないので、日常使用でも違和感なく使用できる。また2x5mの一般的な駐車枠にも収まるため、街中での機動性も良い。
2列目に3人掛けのマルチモードシートを配置し、計5名が前向き乗車できる他、3列目の横座り対座シートにも4名が乗車できるので、最大計9名が乗車できる。
ワゴンベースながら8ナンバー登録だが、登録のための簡易ギャレーではなく、実用できるギャレーを持つほか、横開き式冷蔵庫や電子レンジも装備できるのでクルマ旅にも対応できる。
更に家庭用ポータブルクーラーとリチウムイオンバッテリーも標準装備されるため、夏場でも快適なクルマ旅が可能だ。
アピールポイント
・2x5mの駐車枠に収まる最大サイズ
・2列目にマルチモードシートを持ち、ミニバンと同様に日常使用できる
・ワゴンモデルながら実用的なギャレー
・冷蔵庫や電子レンジが装備できクルマ旅にも対応
・クーラーとリチウムイオンバッテリーで夏場も快適な車中泊が可能
・LCS仕様は多くのアクセサリーが標準装備されお得な価格設定
エクステリア

リラックスワゴンType2LCS仕様のエクステリア
ハイエースワイドミドルルーフ ワゴンGLをベース車に使用。外観はノーマルと変わらない。ワゴンGLグレードのため、ボディ同色バンパーやメッキグリル、メッキミラーなどが標準で装備され、商用車ルックとは一線を画している。
また、機能もオートエアコンやセンターコンソール、助手席エアバッグ、フルトリムなど、乗用車と変わらない機能が付いており、運転席周りのがっかり感はほとんどない。
リラックスワゴンType2およびLCS仕様は8ナンバーキャンピング登録としており、そのためギャレーを搭載し、8ナンバー要件であるギャレー前に1600mmの高さを確保するため、床下収納を装備している。
ハイエースワイドミドルルーフは4840x1880x2100mmのボディサイズで、一般的な5x2mの駐車枠に収まる最大サイズのボディで、また2100mmの車高は高さ制限のある駐車場へも侵入できる可能性が高い。
インテリア

間接光を使った照明を採用
展示車のインテリアはベージュ系のツートンのカラーのシートと濃い目の家具色の組み合わせだったが、シート地や家具色は多くの選択肢から選択でき、自分好みのインテリアが作れる。同社はカスタマイズの自由度が高く、レイアウトの変更などもある程度可能だ。
照明はスポットライトと間接光を使用したお洒落なもので、夜のインテリアも楽しむことができる。
レイアウト

計5名が前向き乗車できる
リラックスワゴンType2は、2列目に3人掛けのマルチモードシート(FASPシート)を配置し、3列目に横座り対座シートを採用している。2列目シートを前向きにセットすると、フロントシートと合わせて5名が前向き乗車できる。
また、3列目シートは横座りで4名が乗車でき、最大で計9名が乗車できる。9名乗車することは稀でも、前向きに3点式シートベルトで5名乗車できるので、ファミリーでのロングドライブも安全かつ快適にできる。
このレイアウトのメリットは、2列目シートを前向きにしたままでも3列目シートで4名が対座できること。ドライブの合間の休憩時にいちいち2列目シートを後ろ向きにするのは大変だが、3列目シートだけで対座ダイネットで寛ぐことができる。
ダイネット

コの字型の広いダイネット
停泊地に着き2列目シートを後ろ向きにすると、コの字型の更に広いダイネットができる。ファミリーでテーブルを囲んでも余裕の広さのダイネットだ。
もちろんテーブルを残してベッドモードにすると、ちゃぶ台スタイルで寛ぐことができ、ペットや小さな子供がいる場合にはこちらの方が適しているだろう。また3列目シートだけをフラットにしておくと、子供が先に寝ても、大人は2列目シートで過ごすことができる。
ベッド

大人3名が就寝できるダイネット
2列目と3列目シートを全てフラットにすると、1880x1700mmの大きさのベッドになる。1700mmは家庭ベッドではクイーンとキングサイズの中間の幅に匹敵し、キャンピングカー要件では大人3名が就寝できる。実用的には大人2名と子供2名程度に対応する。
なお、オプションで上段ベッドも設置できる。上の写真では上段ベッドボードが1枚のみ設置されているが、実際はこれを数枚並べて使用する。1枚の大きさは1700x300mmで価格は22,000円/枚。4枚程度並べることができる。
ただし、このモデルに限らないが、2列目にマルチモードシートがあるとベッド展開は簡単ではない。実際には荷物があり車内に人がいるので更に大変だし、車外に出てセットする場合には雨が降っていたり寒いと大変億劫だ。(ベッド展開のビデオはこちら)
ギャレー

ワゴンモデルにしては充実したギャレー
リラックスワゴンType2のギャレーは最後部に配置されている。左側に冷蔵庫と電子レンジ、右側にシンクがある。
シンクには上蓋があり、これを閉めるとカウンターテーブルとして使用できる。ワゴンモデルの場合は8ナンバーを取得するためだけに取り付けられた簡易的なシンクを持つモデルが多いが、リラックスワゴンType2の場合は実用的な大きさのシンクが装備されている。
フォーセットはシャワーではなく引き出しもできないが、オプションで車外で使用できるシャワーフォーセット(20,000円)が用意されている。これは交換するものではなく、水栓に取り付けて使用するもの。
シンクの下には各12Lの給排水タンクが収納されており、リアゲートを開けて車外から直接出し入れすることができる。
冷蔵庫/電子レンジ

LCS仕様には49L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は49L横開き式が、LCS仕様では標準装備される。最後部左側にビルトインされ、車外からも直接出し入れできる。スーパーで買ってきた食品を直接車外から冷蔵庫に入れられるので大変便利だ。
また電子レンジもオプションで用意されており、長期のクルマ旅にも対応できる。
多目的ルーム
リラックスワゴンType2には多目的ルームは設置されていない。小さな子供のためにポータブルトイレを積んでおくことは可能だが、スペース的にあまり現実的ではない。
収納

3列目左側シート下の収納
リラックスワゴンType2の収納はあまり多くない。最大の収納スペースは3列目左側シート下の収納スペースで、中型のバッグ程度が収納できる大きさ。オーバーヘッド収納やギャレーまわりに収納が無いので、カトラリーや食器の収納に困る。
カスタマイズの自由度が比較的高いので、これらの収納が必要な場合はビルダーに相談すると良いだろう。
空調

ポータブルクーラーが標準装備される
リラックスワゴンType2 LCS仕様ではポータブルクーラーが標準装備されたのが大きな特徴だ。これは家庭用のポータブルクーラーだが、排気ダクトが車外につながっており、単に置いてあるだけではない。
冷却能力はもちろん家庭用エアコンや車載用セパレートクーラーには及ばないが、限られた空間の車内なら実用的に使えると思われる。炎天下の車内でどの程度冷えるかは未知数だが、このようなクーラーを搭載するモデルが増えてきたのも事実だ。
ポータブルクーラーと言ってもそれなりに電力は消費するため、長時間運転するにはリチウムイオンバッテリーが理想的だ。 LCS仕様にはリチウムイオンバッテリーが標準装備される。
またLCS仕様にはFFヒーターが標準装備されるが、ベンチレーター(マックスファン:107,800円)はオプションとなっている。
テレビ/ナビ
DVD付きテレビとナビはLCS仕様に標準装備される。テレビの画面サイズは不明。
電装系

LCS仕様にはリチウムイオンバッテリーが標準装備される
3列目右側シート下には電装系が収納されている。通常の(LCS仕様でない)リラックスワゴンType2にはディープサイクルサブバッテリー(容量不明)が1個とCTEK昇圧式走行充電システム、外部100V電源入力(充電はオプション)、350Wインバーターが標準装備される。
しかしLCS仕様には200AhリチウムイオンバッテリーとCTEK走行充電システム、外部電源入力と充電機能、1500W正弦波インバーター、100Wフレキシブルソーラーシステムが標準装備される。
価格(2022年1月現在:千円台切り上げ:税込)
LCS仕様は、ガソリン2WD/6ATが594万円~、4WDは625万円~となっている。通常のリラックスワゴンType2は2WDで473万円~なので、121万円高となる。LCSパッケージには多くのオプションが含まれているのでお買い得ではある。
ただし、不要なものがあれば(例えばIHコンロや地デジテレビなど)必要なものだけオプションで付け加える方が安価になるかもしれない。また、ナビを自分の好みのものにする場合やソーラーシステムの容量を増やす場合(200W程度は欲しい)も単独で追加する方が良いだろう。
他モデル
ハイエースワイドミドルルーフ ワゴンをベース車にする8ナンバーモデルは非常に多く存在する。(リラックスワゴンシリーズだけでも9種類ある)2列目にマルチモードシートを持ち、コの字型ダイネットのレイアウトを持つモデルに絞ると、アネックスのファミリーワゴン(バンSGL:490万円~)、ケイワークスのオーロラDKワゴングレイス/ナチュラル(ワゴンGL:568万円~)、セカンドハウスのラスタープレミアム(ワゴンGL:623万円~)、ドリーム・エーティーのウォークMC(ワゴンGL:464万円~)、ナッツRVのファミモタイプA(ワゴンGL:468万円~)等が挙げられる。
この中で冷房のソリューションを持つモデルは、無い。実際、ハイエースワイドミドルルーフでエアコンを装備できるのはOMCの「北斗対座モデル」とキャンピングカー長野の「スペースキャンパーCOOL」くらいしかない。
従って、ファミリー向けでエアコンが装備でき、更にリチウムイオンバッテリーを搭載するリラックスワゴンType2 LCS仕様は大きなアドバンテージを持っていることになる。
まとめ
リラックスワゴンType2 LCS仕様は一般的な駐車枠に収まりミニバンのように使え、日常で使用できるので、ミニバンの代わりにファーストカーとして使用することもできる。
また、横開き式冷蔵庫や電子レンジ、実用的なギャレーもあるのでファミリーでのクルマ旅にも対応できる。子供が小さければ2列目シートにチャイルドシートを付けることも可能だ。
そしてクーラーとリチウムイオンバッテリーも装備されるので、夏場でも快適に車内で過ごしたり車中泊することができる。即ち、ハイエースワイドミドルルーフで日常使用からクルマ旅までこなしたいなら、必要なものはすべて揃った理想に近いモデルと言える。
あえて不満点を挙げると、収納の少なさがある。ファミリーでクルマ旅をすると、おそらく車内は荷物で溢れることだろう。ただこれは物理的に仕方がない。解決策は、3列目シートを常にベッドモードにしておき、その下を収納とすることくらいだろう。
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