ラスタープレミアムは、セカンドハウスが製作する、ハイエースワイドロングワゴンをベース車に使用したバンコンキャンピングカー。同社はハイエースベースのグレイスプレミアム、ウイングスプレミアムなどのキャンピングカーをラインアップしているが、その特徴は白いシートと黒の家具を組み合わせた非日常でお洒落なインテリア。
このラスタープレミアムも同様のインテリアを採用している。
ラスタープレミアムのインテリア
コンセプト:非日常でお洒落なインテリアを特徴とするハイエースワイドワゴン。家では実現が難しい白いソファと黒い家具の組み合わせを車内で実現。更にロングワイドのベース車を採用することにより、日常用途にも使える機動性を持たせている。
エクステリア:外装への架装は無いので、外観は通常のハイエースと同じ。通勤や買い物などの日常使用にも違和感なく使える。また5x2mの駐車枠にも停められ、高さ制限のある駐車場にも入れる可能性が高いので、市街地での機動性も良い。
後部から室内を見る
インテリア:インテリアがこのモデルの最大の特徴。白の基調に黒の家具とアクセントが目を引くが、照明も凝っており、間接照明を含め夜の雰囲気も美しい。なおウインドウは内側でトリミング処理されており、本来のハイエースの窓枠の形とは異なっている。
レイアウト:2列目にマルチモードシートを配置。後ろ向きにすると3列目の横座り対座シートとでコの字型ダイネットを形成する。また前向きにすると3名で、計5名が前向き着座してドライブできる。
ベッドはダイネットを展開してセットする。3名が就寝できるので、大人2名と子供1~2名が就寝でき、小さな子供を持つファミリーにも対応する。この種のレイアウトは、後部家具上にベッドボードを渡して、上段ベッドにするモデルが多いが、ラスタープレミアムはアピールしていない。(おそらく対応はできると思われる)もちろん、インテリアを重視してのことと思われる。
後部は両サイドにギャレーコンソールが配置され、シンクや冷蔵庫がビルトインされている。3列目シートが横座り対座タイプなので、ダイネットからギャレーへのアクセスはスムース。
対して、2列目シートが後ろ向きにセットされている場合は、運転席、助手席から後部への移動は難しく、いったん車外に出る必要がある。雨が降っていると面倒だ。
前部のコの字型ダイネット
ダイネット:2列目にマルチモードシート、3列目に横座り対座シートが置かれている。2列目シートを後ろ向きにセットすると3列目シートとでコの字型ダイネットを形成する。
テーブルを残したままベッドモードにできるとの記述は無いが、いずれにせよ別のテーブルを使う方が位置も自由になり使いやすいだろう。
ダイネットを展開したベッド
ベッド:ダイネットを展開してベッドにするが、2列目のシートがマルチモードシートなので、それなりに労力が必要。就寝前にあまりやりたくない作業だ。しかし万年ベッド状態にしておくのは、折角のインテリアが死んでしまう。やはり就寝後はダイネットモードに戻しておきたい。
ベッドサイズは不明だが、ワイド幅のボディなのでベッド展開した時の幅は1600mm程度はあると思われ、家庭用ではクイーンサイズのベッド幅に相当する。
後部右側のギャレーセクション
ギャレー:最後部には両側に収納家具が設置されており、右側にシンクとコンロ、左側には冷蔵庫がビルトインされている。展示車にはIHコンロが設置されていたが、標準装備されるのはポータブルカセットガスコンロになる。
このモデルのユーザーはあまり本格的な調理をしないイメージを持つが、簡単な調理なら十分に対応できるギャレーとなっている。
後部左サイドの収納家具
冷蔵庫・電子レンジ:40Lの横開き式冷蔵庫が標準装備され、左側の収納家具にビルトインされている。横開き式なので、製氷と冷蔵が同時にできる。
電子レンジはオプション設定されていないが、収納スペースは右側の収納家具に捻出できそうに見える。ただし、電子レンジを装着する場合は、電装系の補強も必要となる。
収納:ミドルルーフなので天井高の余裕は無いが、それでもオーバーヘッド収納が後部両側に用意されている。それほど大きいものではないが、小物の収納ができ、有ると無いとでは大違いだ。
また特筆できるのは、ギャレーコンソールに多くの収納スペースが用意されていること。小さな食器類やカップ、あるいは鍋やフライパンのようなものも収納しておける。
空調:暖房はFFヒーターがオプションで設定されている。これは必需品に近い装備なので、是非選択して欲しい。またベンチレーターもオプション。これも装着しておくと車内の換気に便利だが、車高が高くなるため、高さ制限のある駐車場に入る機会が多いユーザーは付けない方が良いだろう。なお、冷房のソリューションは用意されていない。
電装系:105Ahのディープサイクルバッテリーが1個標準装備される。また走行充電と外部100V電源入力、更にこれによるサブバッテリーの充電機能も標準装備される。充電機能はオプションのモデルが多いが、これも嬉しい装備だ。
価格(税別):ガソリン2WD/6ATで538万円~。電源系の強化は、大電力を消費する家電品が無いので105Ahのサブバッテリー1個でも特に問題ないだろう。バッテリーで100V家電品を使う場合はインバーターの装着が必要。またFFヒーターは装備しておくことをお勧めする。
他車:ハイエースワイドロングワゴンをベースにしたモデルは多くあり、またインテリアに重点を置いたモデルもいくつか存在する。しかしレクビィのヴォーノのようにインテリアに重点を置いたモデルは二人旅仕様が多く、運転席、助手席を除き、前向き着座できるシートを持たない。
ラスタープレミアムのように前向きのシートを持つモデルは、アネックスのファミリーワゴン(436万円~)、ケイワークスのオーロラスタークルーズ(473万円~)、ナッツRVのファミモ TypeA(401万円~)、東和モータース販売のツェルトWG(393万円~)、ドリーム・エーティーのウォークMC(413万円~)などがあるが、ラスタープレミアムのようなインテリアコンセプトとは異なる。
まとめ:ラスタープレミアムはキャンピングカーの機能性や装備というよりも、インテリアが気に入って選択するユーザーが多いと思われる。従って、他車の装備を比較してもあまり意味が無いが、ラスタープレミアムの装備が劣っているわけではない。
それどころか、ギャレー周りの収納の充実度や電装系の標準装備などはむしろ優れている。インテリアに目が行きがちだが、装備もしっかりしている。
ただ、やはり今後に期待したいのはエアコンのオプション設定。折角のインテリアだが、汗をかきながら過ごすのは似合わない。小型で高性能のクーラーが発売されているので、インテリアをスポイルしないエアコン設置を期待したい。
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