リバティ50DBはアネックスが製作する、トヨタカムロードをベース車にした全長5mを切るキャブコンキャンピングカー。
アネックスは徳島県吉野川市に拠点を置くビルダーで、カムロードベースのキャブコンから、NV200バネットやハイエースベースのバンコンまでラインアップする総合ビルダー。
特に2018年に発表されたカムロードベースの「リバティ52」シリーズは、今までにない流麗なエクステリアや、欧州モデルにも劣らない洗練されたインテリアで、一躍カムロードキャブコンの注目モデルとなった。
2024年には、電装系を強化したリバティ52DBiを発表、その進化は続いている。しかし近年全長5m、全幅2mを切り、一般的な駐車枠や家庭のカーポートにとめられるカムロードキャブコンの需要が高まっており、その需要に対応するためリバティ50DBが発表された。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
トヨタカムロードをベース車にした、全長5mを切るカムロードキャブコン。一般的な5x2mの駐車枠にも駐車できるため、コインパーキングなどにもとめやすい。また、自宅のカーポートにもとめることができる。
レイアウトはリバティ52DBを継承し、後部に横置き2段ベッドを持つ、最もスペース効率の良いレイアウトを採用。多目的ルームもあるため、トイレルームとしても使用できる。
冷蔵庫やエアコンもオプションとした標準仕様と、ほとんどの必需装備を標準装備としたPowerPlus仕様を選択可能。標準仕様は必要な装備のみ選択することができる。一方、PowerPlus仕様では、冷蔵庫や家庭用エアコン等に加え、100Ahのリチウムイオンバッテリーを4個(4800Wh)標準装備する。
アピールポイント
・5x2mの駐車枠に収まるボディサイズ
・バンクの張り出しが無いスマートなシェル形状
・スペース効率の良い後部横置き2段ベッドレイアウト
・必要な装備だけ選べる標準仕様とフル装備のPowerPlus仕様を選択可能
・12色から選択できるエクステリア(PowerPlus仕様)
・家庭用エアコンを標準装備(PowerPlus仕様)
・4800Whのリチウムイオンバッテリーを標準装備(PowerPlus仕様)
ベース車とエクステリア
リバティ50DBのエクステリア
ベース車はトヨタカムロード。 ガソリンは2WD、ディーゼルは2WDと4WDが選択できる。このベース車にFRPパネル製のシェルを架装している。全車ダブルタイヤで、トレッドはガソリン、ディーゼルとも標準トレッドを採用している。
車体寸法は、全長 4990mm、全幅 1950mm、全高 2740mmで、5x2mの一般的な駐車枠に収まる。従って、コインパーキングなどにも駐車できる。(高さには注意)
ボディカラーの選択肢
リバティ50DBの特長のひとつは、エクステリアのカラーが12色から選択できること。軽キャブコンではテントむしの例があるが、キャブコンでは今までこれほどの色数が選択できるモデルは無い。また、リバティ52DBiで採用されている遮熱塗装のチャコールグレーも選択できる。
インテリア
リバティ50DBのインテリア
アイボリー調の家具とベージュ系のツートーンカラーのシートの組み合わせで、落ち着いた室内になっている。家具色やシート地の選択肢は無くこれ一択になるが、仕上げも良く特に不満は無いだろう。
照明は最新のモデルらしく、LEDの間接光とスポットライトの組み合わせで、お洒落な印象だ。ギャレーキャビネットにもデザイン的に間接照明がされており、これらは明暗を調光できる。
レイアウト
2段ベッドを配置したレイアウト
前部に対座ダイネット、中央にギャレーと多目的ルーム、後部に横置き2段ベッドの構成。このレイアウトは、カムロードキャブコンでは最も一般的なもので、前部のスペースを浸食しない2段ベッドのため、多目的ルームも設置できる。
乗車人数は、フロントに3名、後ろ向きの2列目シートに3名、3列目の前向きシートに2名で、軽8名乗車となっているが、長距離の場合は6名と考えた方が良いだろう。就寝人数は、後部2段ベッドとダイネットベッドで大人が3名、バンクベッドで子供が2名就寝できる。
ダイネット
ダイネット
前部のダイネットは対座スタイルで、4~5名でテーブルを囲める。テーブルは比較的大きく、4名での食事にも対応できるだろう。ダイネット横には大きなアクリル2重窓があり、2列目、3列目の席からも車外の景色を楽しめる。
窓には網戸とシェードが組み込まれており、スライドしてモードを変更できる。3列目シートには窓側、通路側とも3点式のシートベルトがあり、運手席、助手席を含め計4名が3点式シートベルトを装着できる。
ベッド
ベッドは、後部の常設横置き2段ベッド、バンクベッド、ダイネット展開ベッドの3か所がある。
後部2段ベッド
後部の常設2段ベッドは、上下段とも1800x820mmの大きさ。足元は多目的ルームがあるため、多少狭くなっている。家庭用のシングルベッドの幅には及ばないが、キャンピングカーのシングルベッドとしては標準的なもの。ただし、車幅の制限から長身のユーザーは、身長方向が多少窮屈かもしれない。
バンクベッド
バンクベッドは、1700x1400mmの大きさ。身長方向が1800mmに届いていないので、ここは子供用のベッドとしてカウントされる。子供が2名就寝できる。
このバンクベッドは跳ね上げ式で、簡単な操作でベッドメーキングできる。走行時は収納スペースとして使えるが、跳ね上げ式なので荷物が落下しない。
ダイネットを展開するベッドは、1800x900mmの大きさ。家庭用のシングルベッドの幅に近いが、やはり長身のユーザーは身長方向が多少窮屈かもしれない。なお、オプションで追加のベッドマットが用意されており、通路部もベッドにすることができる。
ギャレー
ギャレー
ギャレーキャビネットにはシンクとフォーセットが設置されている。シンクは比較的深く、食器などを洗う場合使い勝手がよさそうだ。隣には標準装備のカセットコンロが置かれているが、常設ではない。固定されていれば常設して使えるのだが。
各20Lの給排水タンク
各20Lの給排水タンクが、上の写真のように収納されている。引き出し式になっており、車外から直接出し入れすることができる。20Lのタンクなので、満水では20Kgになるため、この方式は非常に有用だ。ただ、引出しのスライドレールの耐荷重を考えると、タンクはゆっくりと乗せるのが良いだろう。
冷蔵庫/電子レンジ
85L横開き式冷蔵庫はPowerPlusに標準装備
冷蔵庫は85L横開き式が、PowerPlus仕様に標準装備される。
電子レンジもPowerPlusに標準装備
家庭用の100V仕様の電子レンジもPowerPlusに標準装備される。クルマ旅では、ほぼ必需装備だ。
多目的ルーム
多目的ルーム
多目的ルームには大きな鏡と収納庫、ベンチレーター、それに外部とのドアが設置されている。防水パンは標準装備されているが、温水シャワーはオプションに設定されていない。
多目的ルームの収納
ただし、FFヒーターの吹き出し口は設置されているので、トイレルームとして使用する場合は、寒い思いをすることは無い。トイレはカセットトイレのオプション設定は無く、ポータブルトイレやラップトイレを設置でる。
収納
ダイネット上部のオーバーヘッド収納
オーバーヘッド収納は、ダイネット上部とギャレー上部に設置されている。先述の通り、多目的ルームにも収納が用意されている。
後部ベッド下の収納
後部のベッド下は大きなs外部収納になっている。左サイドと後部に扉が設けられており、車外から大きな荷物を積み込むことができる。
ベッドボードを取り外したカーゴスペース
後部に横置き2段ベッドのレイアウトを持つモデルでは、ベッドボードを取り外すと大きな収納スペースになるというメリットがある。全てのモデルがそうではないが、リバティ50DBでは縦に大きな開口部が設けられており、自転車やスキー板、サーフボードと言った大きな荷物を積み込むことができる。このため、このレイアウトを持つモデルは、アウトドアアクティビティを楽しむ2人使用のユーザーにも人気がある。
左サイド後部の外部収納
左サイド後部にも外部収納が設置されている。こちらは水洗いも可能なので、汚れ物や濡れたものを収納しておくことができる。
エントランス横のシューズボックス
最後に、エントランス横にはシューズボックスが設置されている。ファミリーで乗車する場合でも十分な大きさがある。このキャビネットの上部はテレビ台になっており、19型や24型程度のテレビも設置できる。100V、12V、USBの各コンセントも設置されている。
空調
家庭用エアコンを標準装備
Power Plus仕様にはダイキン製の家庭用エアコンが標準装備されている。室内機はダイネットの上部、室外機はボディの右サイド後部に設置されている。
室外機はベッド下の外部収納内に設置されているため、右側の扉は無い。しかしこれは外部収納の下部に設置すると水や塩害の心配があるためとしている。
FFヒーターはオプション(286,000円)となっている。
テレビ/ナビ
先述のように、テレビはシューズボックスの上に設置できる。テレビ自体はオプションリストに無いが、19型や24型程度のモニターを取り付けることができる。シューズボックスの天板には、100V、12V、USBの各コンセントが設置されている。
電装系
標準仕様では、100 Ahのディープサイクルバッテリーが1個、走行充電、外部100V電源入力とチャージャーが標準装備される。オプションで、4800Whのリチウムイオンバッテリーと対応する走行充電と外部電源用チャージャーに変更できる。
正弦波インバーターはディープサイクル用に1500Wと、リチウムように2000Wがオプションで用意されている。
PowerPlus仕様では、レノジー製4800Whリチウムイオンバッテリー 、走行充電、外部100V電源入力とチャージャー、2000W正弦波インバーターが標準装備される。
ソーラーシステムはいずれもオプションで、250Wと500Wが選択できる。
価格(2024年12月現在:千円台切り上げ:税込)
標準仕様のガソリン2WDは860万円~、ディーゼル2WDは949万円~、ディーゼル4WDは972万円~となっている。
PowerPlus仕様は、100万円のセットオプションで、4800Whリチウムイオンバッテリー 、走行充電、外部100V電源入力とチャージャー、2000W正弦波インバーター、家庭用エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、およびボディカラーの選択が含まれる。
付けておきたい装備としては、PowerPlus仕様ではFFヒーター(286,000円)は付けておきたい。予算に余裕があればソーラーシステム(250W:198,000円、500W:352,000円)をお勧めする。(ナビ関連は除く)
他モデル
5x2mを切るボディサイズを持つカムロードキャブコンで同様のレイアウトのモデルをピックアップすると、ナッツRVのアレッタ(950万円~)とジープニー(813万円~)、東和モータース販売のレーベン(950万円~)とモビー(813万円~)、バンテックのコルドバンクス(981万円~:ディーゼル2WD)、AtoZのアンソニー(812万円~)、そしてカムロードではなく、いすゞのBe-cam(ビーカム)をベース車にしたTaBee-Ks(タビークス:1323万円~)がある。
まとめ
リバティ50DBの標準仕様は、必要な装備だけ選択することにより、できるだけ安価に抑えたいというユーザー向けだ。ただ、冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、リチウムイオンバッテリー、2000W正弦波インバーターはいずれも必需装備で、これらをオプションで装着すると115万円以上になる。
即ち、自分で製品を調達して自分で取り付けるという特別なユーザー以外は、最初からPowerPlus仕様を選んだ方が、よほどお得だ。(ボディカラーが選択できるというメリットもある)
PowerPlus仕様の場合は、アレッタ/レーベンと価格的にはほぼ同じになる。リバティ50DBはFFヒーターがオプションなので、実際にはリバティ50DBの方が39万円ほど高くなる。
後は好みで選択すればよいが、アレッタ/レーベンは温水シャワーがオプションで用意されているので、これが必要な場合はアレッタ/レーベンを選択することになる。
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