タビークスはキャンパー鹿児島が製作する、いすゞの新型Be-cam(びぃーか)むをベース車にした全長5mを切るキャブコン。
同社は車名の通り鹿児島県鹿児島市に本拠を置くビルダーで、ハイエースを中心にしたバンコンを主に製造している。なお、「キャンパー鹿児島」はブランド名で、会社名は双日モビリティ株式会社。
同社は2019年にハイエースベースのキャブコン「レム レポーズ」を発表したが、現在では姿を消している。タビークスは久々の同社のキャブコンモデルとなる。なお、タビークスはNTB(日本特殊ボディ)との共同開発で、NTBの「AKATSUKI(アカツキ)」は姉妹モデルとなる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
2023年3月に発売された、いすゞの新型Be-camをベース車にする、全長5mを切るキャブコン。最新の安全装備を持つベース車を採用することにより、キャブコンでは大きなシェアを誇るカムロードに対峙する。
レイアウトは、前部に対座ダイネット、後部に横置き2段ベッド、中央にギャレーと多目的ルームを配置し、カムロードキャブコンでは最も一般的なレイアウトを採用する。なお、リアエントランスのレイアウトも選択できる。
家庭用エアコンと5000Whのリチウムイオンバッテリーを標準装備。多目的ルームにはオプションでラップ式トイレを設置できるほか、給排水タンクが各50Lの温水シャワーシステムも設置できる。
アピールポイント
・新型びーかむをベース車に採用。先進の安全性と快適性を実現
・5mを切る全長と2mを切る車幅で、一般的な5x2mの駐車枠に駐車可能
・キャブコンでは最も一般的なレイアウトを採用
・家庭用エアコン標準装備
・5000Whのリチウムイオンバッテリーも標準装備
・標準で600W、最大1000Wのソーラーシステム
・オプションで温水シャワーを設置可能
ベース車とエクステリア
タビークスのエクステリア
ベース車はいすゞの新型Be-cam(びーかむ)。レーンキープアシスト、ドライバーステータスモニター、プリクラッシュブレーキ、誤発進抑制機能、タイヤ空気圧モニタリングシステム等数々の安全機能と、全車速車間クルーズや車線逸脱警報など運転支援機能も充実している。
このベース車にFRPパネルのシェルを架装。窓は全てアクリル2重窓を採用し、断熱性も確保している。ディーゼル2WDと4WDが選択できる。
インテリア
タビークスのインテリア
明るい木目の家具とグリーンのシート地の組み合わせで、全体的に明るい室内になっている。
間接光を採用した照明
照明は間接光を効果的に使用し、夜の室内をお洒落でムーディな空間にしている。ダイネット上部やギャレー上部にはスポットライトが設置されている。
レイアウト
前部に対座ダイネット、後部に横置き2段ベッド、中央にギャレーと多目的ルームを配置。キャブコンでは最も一般的なレイアウトを採用している。このレイアウトの特徴は、横置き2段ベッドを採用することによりスペース効率が向上し、対座ダイネットと多目的ルームを設置できること。
運転席、助手席とその間の補助シート、そしてダイネットに4名が乗車でき、乗車定員は7名。就寝定員は、後部2段ベッド、バンクベッドとダイネットを展開するベッドで計7名となっている。
ダイネット
前部の対座ダイネット
2列目と3列目の固定式シートで4名が対座できるダイネットを形成する。テーブルは昇降式で高さ調節が可能。ベッドモードにする場合も、押し下げるだけで良い。ダイネットの横には大きなアクリル2重窓がある。多くの他車では跳ね上げ式だが、この窓は引き戸式になっている。引き戸式だと走行中も開けることができるというメリットがある。
ベッド
ベッドはダイネット上のバンクベッド、後部の横置き2段ベッド、そしてダイネットを展開するダイネットベッドの3か所がある。
バンクベッド
バンクベッドは1888x1755mmで3名が就寝できる大きさ。1755mmの幅は家庭用のキングサイズベッドの幅(1800mm)に迫る広さだ。ベッドの手前が跳ね上げ式になっており、走行中に荷物が落下するのを防ぐ。
後部の2段ベッド
後部の常設横置き2段ベッドは、上下段とも1888x650mmの大きさ。家庭用のセミシングルベッドの幅(850mm)に比べても狭いが、このクラスの同型レイアウトでは一般的な広さだ。
両段に読書灯と100Vの電源コンセントが設置されている。また、上段にはアクリル2重窓があるが、下段の窓はオプションで設置できる。
ダイネットベッドは写真や大きさのデータが無いが、大人が2名が就寝できる。テーブルを押し下げ、背もたれを移動してベッドメークする。
3か所のベッドを合わせて7名が就寝できるが、バンクベッドで2名、ダイネットベッドで1名の就寝が現実的なので計5名の就寝人数と考えると良いだろう。
ギャレー
ギャレーセクション
左側中央に設置されたギャレーキャビネットには、シンクとフォーセットが設置されている。ガラス蓋を閉めるとフラットになるので、カウンターとしても使用できる。
コンロは使用する度にカセットガスコンロを置く必要があるが、テーブルトップは広く、カセットガスコンロを置いても多少の調理面は残される。
シンクの下の給排水タンクと収納
シンクの下には各19Lの給排水タンクが収納されている。ただ、この位置はエントランスから奥まっているので車外から直接出し入れできないし、19Lで満水にすると重く、さらに扉が開いたままでは重いタンクを通過させるのに苦労しそうだ。
ギャレーキャビネットの引き出し収納
ギャレーキャビネットには引き出し収納が用意されており、カトラリーや小さな食器の収納に大変便利だ。
ギャレー上部の収納
ギャレー上部には収納が設置されている。調理用具などの収納に便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ
88L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は88L横開き式が、エントランス横に標準装備される。車内からも車外からもアクセスしやすい。もちろん製氷室があり、冷凍と冷蔵が同時にできる。
電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ギャレー上部に収納されているので使いやすい。1500Wインバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
多目的ルーム
多目的ルーム
右サイドの中央に配置されている多目的ルームには、オプションのポータブルトイレやラップ式トイレを置いてトイレルームにすることもできる。ラップ式トイレを設置する場合は100Vのコンセントも設置される。FFヒーターの吹き出し口はオプションで設置できる。
更に、オプションで温水シャワーを設置することもできる。その場合は防水パンと排水口が設置される。温水は電気ボイラーで作られる。また給排水タンクは50Lが設置される。
多目的ルーム内の収納
多目的ルームにも上部に収納が用意されている。トイレットペーパーやタオルなどの収納に便利だろう。トイレルームにする場合、オプションで小型のマックスファンベンチレーターを設置することができる。
収納
ダイネット上のオーバーヘッド収納
ギャレー上部に加え、オーバーヘッド収納はダイネット上部にも設置される。
シューズボックス
エントランス横には、シューズボックスが設置されている。大容量のシューズボックスで、ファミリー分の履物を収納するのに十分だ。ファミリーで使用する場合、シューズボックスが大きくないと靴がエントランスに散乱する。これは実用的なシューズボックスだ。
ベッド下の大きな外部収納
後部2段ベッドの下は大きな外部収納になっている。左側のバゲッジドアは縦長の大きなドアなので、ベッドボードを取り外すと、小型の自転車等の荷物を積み込むことができる。
空調
家庭用セパレートエアコンを標準装備
冷房は家庭用セパレートエアコンが、エントランス上部に標準装備される。5000Whのリチウムイオンバッテリーも標準装備なので、炎天下でも6時間程度の使用が可能だろう。室外機は車体右側後部の下部に設置される。
暖房はFFヒーターがオプションで設置できる。マックスファンベンチレーターは標準装備。多目的ルームには小型のベンチレーターがオプションで設置できる。
テレビ/ナビ
24型のテレビがオプションで用意されている。地デジアンテナも含まれる。ナビはパナソニックやパイオニア製がオプションで用意されているが、好みのものも取り付けることができるだろう。
電装系
先述の通り、サブバッテリーは5000Whのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。更にオプションで5000Whを追加でき、計10KWhにすることができる。これだけの容量があれば全く問題ないが、標準装備の容量でも残量を気にしながら電気製品を使う必要はないだろう。
その他の電装系では、走行充電、外部電源入力とチャージャー、1500W正弦波インバーターが標準装備される。ソーラーシステムは200Wが3枚まで標準装備、オプションで最大1000Wまで増設できる。
なお、Be-camは24V90A(12V180A)の高性能オルタネーターを標準装備しているので、走行充電も高速にできる。
価格(2024年8月現在:千円台切り上げ:税込)
ディーゼルのダブルタイヤのみが選択可能で、2WDは1323万円~、4WDは現在未発表となっている。また、リアエントランスモデルは2WDが1386万円~、4WDは同じく未発表。
付けておきたい必需オプションは、FFヒーター(235,000円)が挙げられる。その他のオプションはこちら。(ナビ関連は除く)
他モデル
5m未満のカムロードキャブコンで、同様のレイアウトを持つモデルは多数存在する。幾つかピックアップすると、アネックスのリバティ50DB(960万円~)、バンテックのコルドバンクス(1080万円~)、ナッツRVのジープニー TypeW(941万円~)等が挙げられる。(いずれも家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーを含むが、装備に差がある)
コルドバンクスとジープニー TypeWは温水シャワーまで装備できるオールマイティーなモデルで、コルドバンクスはギャレーには常設2口コンロを持つハイグレードモデルだ。リバティ50DBは標準的な装備ながらセンスの良いインテリアを持つ、コストパフォーマンスの良いモデルと言える。
まとめ
タビークスはBe-camをベース車にする希少なモデルで、この新しく安全性や快適性に優れたベース車こそがタビークスの特長と言える。ベース車が特徴的なだけに居住部の方の影が薄くなるかもしれないが、レイアウトは使いやすく、インテリアもお洒落だ。
更に、家庭用エアコンや5000Whのリチウムイオンバッテリー、計600Wのソーラーシステムが標準装備され、オプションだが温水シャワーまで装備できるなど、装備面でも非常に充実している。
懸案点を挙げるとすれば、やはり価格だろう。同クラスで同程度の装備のカムロードキャブコンと比べても200万円程度高価だ。大きな差額ではあるが、重量があり大きな車体のキャンピングカーを運転することを考えると、安全性が高い方が良いことは言うまでもない。
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