Inplus(インプラス)はキャンパー鹿児島が製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社はハイエーススーパーロングベースのバンコンをはじめ、標準ボディや軽バンコンも製作している。
キャンパー鹿児島と言えば、2014年から大容量リチウムイオンバッテリー「KULOS」を搭載し、いちはやくリチウムイオン化を進めているビルダー。現在では、KULOSの搭載に代え、通常のリチウムイオンバッテリーを搭載しながら、ポータブルのリチウムイオンバッテリーも追加できるという新しい電源システムをプロモートしている。
(記事中の価格は全て税込です)
コンセプト
今回デビューしたインプラスは2代目。初代(動画はこちら)は2014年にデビューした、同じスーパーロングを使用したバンコンだが、初代が二人旅仕様だったのに対し、2代目は2列目にマルチモードシートを持つファミリー対応となった。
また、初代がエクステンションウインドウを架装していたのに対し、2代目はそれを無くしている。
インプラスは当初より家庭用エアコンと大容量リチウムイオンバッテリーを標準装備した先進のエアコン/電源システムを備えていたが、2代目もそのコンセプトは変わらない。ただし、実現方法は代わり、KULOSに代え300Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備、またポータブルバッテリー(リチウムイオンバッテリー)を追加装備できシステムに統合できるようになっている。
エクステリア
インプラスのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロングキャンパー特装車。先述のように初代インプラスにあったエクステンションウインドウは無くなり、外観は通常のハイエースと全く同じになった。
エクステンションウインドウが無いため、車幅方向に1800mmが確保できず、そのため後部ハイマウントダブルベッドは子供用としている。
インテリア
インテリアは落ち着いた配色になった
展示車のインテリアカラーは、明るい木目の家具とシックなシート生地(および家具側面)の組み合わせ。他の色や素材が選択できるかは不明だが、初代のインテリアからは大きく変更され、落ち着いた室内になっている。
レイアウト
レイアウトは初代から大きく変更された。初代はマルチモードシートを持たない二人旅仕様だったが、新型では3人掛けマルチモードシートを持つファミリー向けに変更されている。
2列目の3人掛けのマルチモードシートと3列目の横置きシートでL字型のダイネットを形成する。3列目シートに向かい合う形でギャレーがあり、後部はハイマウントダブルベッド(子供用)の構成。
このレイアウトの利点は、3列目シートを対座型にしないで横座りシートとしたことで車内の動線ができたこと。後部へのアクセスが容易になる。
乗車人数はフロントシートに2名、前向きにした2列目シートに3名、3列目シートに2名で、計7名が乗車できる。なお、3列目シートは横座りのため、前向き乗車は5名となる。
就寝はダイネット展開ベッドで大人2名、後部ハイマウントダブルベッドで子供が2名で、ファミリーに対応できる。ただし二人で使用する場合は後部ハイマウントベッドが大人用ではないため無駄になる。従って、子供がいるファミリーに有用なレイアウトと言える。
ダイネット
L字型のインプラスのダイネット
2列目シートを後ろ向きにして、3列目シートと合わせてL字型のダイネットを形成する。対座でないので食事は多少不便ではある。ベッドモードにしてちゃぶ台スタイルで食事をしたり寛ぐ方が良いかもしれない。
ベッド
ダイネット展開ベッド(写真:キャンパー鹿児島)
ベッドはシートをフラットにしてできるダイネットベッドと、後部のハイマウントベッドがある。
ダイネットベッドのサイズは不明だが、長さ方向は1800mm以上あり、大人が2名就寝できる。ただし、ギャレーコンソールが出っ張っているため、足元は狭くなっている。大人用ベッドはこれしかなく、2名で就寝する場合は実際に横になって確認することをお勧めする。
後部のハイマウントベッド
後部のハイマウントベッドに関してもサイズは不明だが、エクステンションウインドウが無く1800の長さが取れないため子供用の設定になっている。しかし1700mm程度はあるので、小柄であればもちろん就寝できる。
ギャレー
丸形シンクと40L冷蔵庫(OP)がビルトインされたギャレー
ギャレーは3列目シートと向かい合う形で設置されており、ダイネットからのアクセスも容易だ。ただしダイネットに調理スペースは無く、ガスコンロの代わりに電子レンジが調理器具として8ナンバー登録に用いられている。
シンクも大きくなく、調理は電子レンジで温める程度と想定されているようだ。もちろんコンロを使った調理をしないユーザーにとってはこれで十分で、むしろコンパクトなギャレーの方が好まれる。
下には給排水タンクが収納されており、3列目シートが横座りシートになっているおかげで出し入れしやすい。ただし車外から直接アクセスできる場所ではない。
冷蔵庫/電子レンジ
電子レンジが標準装備される
冷蔵庫は40L上開き式がオプション設定されている。電子レンジは標準装備される。冷蔵庫はコンパクトな上開き式だが、製氷と冷蔵は同時にできない。
電子レンジは家庭用100V仕様のもので、1500Wインバーターが標準装備されているので、バッテリーでの稼働もできる。
ユーティリティールーム
インプラスに個室は無いが、ポータブルトイレを後部ベッド下に積んでおけば、子供が急にトイレに行きたいと言い出しても慌てることは無い。
収納
ダイネット上のオーバーヘッド収納
オーバーヘッド収納がダイネット上とベッドルーム右側上に設置されている。容量も十分で、食器やタオルなどを収納しておくことができる。
また、3列目シート下が収納スペースになっており、大き目のバッグなどが収納できる。
ベッド下は大きな収納スペース
更に、後部ベッド下には左右に収納家具があり、左側の家具が収納スペースとして用意されている。右の家具は電子レンジと後述のポータブルバッテリーの収納スペースになっている。
ベッド下中央は大きなフリーのスペースになっており、キャンプ用具など大きな荷物を積むことができる。
空調
家庭用エアコンがオプション設定されている
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。また冷房は家庭用エアコンが標準装備される。家庭用エアコンは外部電源が取れるところならもちろん、サブバッテリーでも稼働できる。
サブバッテリーは300Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備されているため、余裕をもって運転することができる。例えば日中の冷房消費電力を500Wととすると、6時間半程度運転できる計算になる。夜なら一晩中でも冷房できるだろう。
テレビ/ナビ
19型のテレビがオプション設定されている。設置場所はギャレーのシンクの上で、ギャレーを使う場合多少邪魔になりそうな位置で、また水はねが心配な位置でもあるが、ダイネットの全員が観ることができる。
ナビは7インチと10インチのものがオプション設置されている。
電装系
300Ahリチウムイオンバッテリーを標準装備
インプラスは初代でも大容量リチウムイオンバッテリー「KULOS」が標準装備され、エアコンとリチウムイオンバッテリーのリーディングモデルだったが、2代目インプラスでもそのコンセプトは失われていない。
ただしLULOSの搭載は終了しているとのことで、代わってMOVING BASE社の300Ahリチウムイオンバッテリーが標準装備されている。
新しい電源コンセプト(図:キャンパー鹿児島)
なお、今回発表されたインプラスの電源システムの特徴は、標準装備の300Ahリチウムイオンバッテリーに追加して、ポータブルバッテリーをシステム電源に組み入れられること。
展示車に装備してあったのはEF ECOFLOWのEFDELTA1260Whで、105Ahの容量を持つ。即ち、標準装備の 300Ahと合わせると405Ahのリチウムイオンバッテリーになり、これはKULOS(5100Wh=425Ah)に及ばないもののほぼ同程度の容量となっている。
更にポータブル電源はスライドテーブルに乗せられ車外にも持ち出しやすく、使い方の自由度が増している。システム電源に組み入れられている場合はもちろん充電も可能で、サブバッテリーとして同様に使用できる。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/6ATで560万円~。初代インプラスは638万円~(税別)で、2代目は税別なら510万円~なので、大幅に価格が低下している。
なお、ポータブルバッテリーは205,700円で、これにはシステム電源への組み入れ費用も含まれている。
装備しておきたいオプションはFFヒーター(253,000円)、冷蔵庫(110,000円)、ベンチレーター(78,230円)が挙げられる。(ナビ、ETC関連は別途) また、必要に応じて160Wソーラーシステム(203,500円)、ポータブルバッテリーシステム(205,700円)も選択できる。
他モデル
ハイエーススーパーロングでファミリーに対応でき、エアコンとリチウムイオンバッテリーが装備できるモデルは、同社のレムセカンドアクトKULOSバージョン(738万円~)、レムフォレスト(702万円~)の他、他社モデルではOMCの銀河(533万円~)、東和モータースのツェルトキリマ(666万円~)、レクビィのカントリークラブ(777万円~)、ファイブスターセプト(786万円~)、プラスDD(715万円~)、プラスSL/+1(690万円~)が挙げられる。(銀河以外はエアコンとリチウムイオンバッテリーを含む価格)
ただし、インプラスと同じレイアウトのものは無い。
まとめ
先代インプラスはエアコンとリチウムイオンバッテリーの組み合わせで最も進んだモデルの一つだったが、新型インプラスも新しい電源コンセプトで引き続き先頭を走っている。
ただしレイアウトは特殊で、特にベッドの考え方は少し分かり難い。最も重要な常設ベッドは子供用だ。即ち子供がいない場合はこの広いスペースの意味が無くなる。またダイネットベッドは大人2名が就寝するには、ギャレーが出っ張っていて足元が狭い。即ち、大人2名がゆったり就寝できるベッドが無い。
初代インプラスはエクステンションウインドウがあり、後部のハイマウントダブルベッドは大人が就寝できた。もしエクステンションウインドウを無くすなら、レクビィのトップセイルのようにハイマウントダブルベッドは縦置きが良かったのではないだろうか。
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