コンパクトバカンチェス T MoMo:リンエイプロダクト


コンパクトバカンチェス T MoMoリンエイプロダクトが製作する、タウンエース バンをベース車にしたバンコンキャンピングカー。

同社は埼玉県川越市を拠点とするビルダーで、岐阜県大垣市や大阪府豊中市にも直営店を持つバンコン専門ビルダー。ハイエース各種ボディから軽キャンパーまで非常に多くのバンコンとそのレイアウトをラインアップする。

同社のモデルには全て「バカンチェス」というネーミングが与えられており、「コンパクトバカンチェス」はタウンエースまたはNV200バネットをベース車とするコンパクトバンコンに付けられたシリーズ名となっている。

なお同社のウェブサイトではタウンエースベースのモデルは「コンパクトバカンチェス L」となっているが、最新のカタログでは「コンパクトバカンチェス T」となっているので、この記事では「コンパクトバカンチェス T MoMo」としている。Lはライトエース、Tはタウンエースを意味していると思われるが、ライトエースは廃版となっており、これに伴う変更と思われる。


(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)


概要

トヨタ タウンエース バンをベース車にするコンパクトバンコンで取り回しが良く運転しやすい。軽バンコンでは狭すぎ、ハイエースでは大きすぎるというユーザーにフィットするモデル。

ソーラーシステム、冷蔵庫、インバーター、電子レンジ、リヤTVなどを標準装備し、充実した装備が特徴で、二人でのクルマ旅にも対応する。

キャンピングカーの要件変更に伴い、新たにシンクとフォーセット(ギャレー)を追加し、8ナンバー登録が可能になった。これにより4ナンバーの毎年車検ではなく、2年ごとの車検で済む。


アピールポイント

・軽バンコンより大きくハイエースよりコンパクト
・ギャレーを新に装備し、8ナンバー登録が可能になった
・冷蔵庫と電子レンジ、テレビを標準装備
・インバーターやソーラーシステムを標準装備


ベース車とエクステリア

 コンパクトバカンチェス T MoMoのエクステリア

ベース車はトヨタ タウンエース バン。ベース車には標準グレードのDXと上級グレードのGLがあり、GLはボディ同色バンパーなどが装備される。展示車はGLを使用している。なお、断熱加工はオプションとなっている。


インテリア

 間接照明を使ったインテリア

展示車は濃い木目の家具とグレー系のシート地を使っていたが、家具色やシート生地はサンプルから選択できる。また天井には間接照明を使ったインテリアライトが設置されており、高級感も持たせている。


レイアウト

 コンパクトバカンチェス T MoMoのレイアウト

2列目に二人掛けのマルチモードシート(FASPシート)を配置し、後部は横座りのベンチシートと、これに向かい合う形で設置されたギャレーキャビネットで構成される。

2列目シートを前向きにするとドライブモードになる。乗車定員は5名となっているが、実質的には前向きで4名が乗車可能。3点式シートベルトは2列目シートの窓際と運転席、助手席で計3名分となる。

また、ダイネットを展開したベッドでの就寝定員は2名となっている。同社のウェブサイトには上段ベッドのオプションがあり子供2名が就寝できるとされており、これを使用した場合はファミリーでの車中泊も可能となる。


ダイネット

 L字型のダイネット

2列目シートを後ろ向きにすると、3列目の横座りベンチシートとでL字型のダイネットを形成する。展示車にテーブルは無かったが、カタログ上ではギャレーキャビネットに跳ね上げ式のテーブルが設置されている。また、一本足立式のテーブルはオプションで用意されている。

なお、後部のみベッドモードにすると2列目のシートをリクライニングして足を伸ばして寛ぐことができる。


ベッド

 2名が就寝できるベッド

全てをフラットにすると、1870x1035mmのベッドになる。1035mmの幅はキャンピングカー要件では2名が就寝できるが、家庭用シングルベッドの幅(970mm)より多少広い程度なので、場合によっては大人2名では多少窮屈かもしれない。

なお、前記のように、同社のウェブサイトにはオプションで後部に上段ベッドを設置できるとされており、子供2名が就寝できるとしている。


ギャレー

 追加されたシンクとフォーセット

今回このモデルの最も大きな変更点は、キャンピングカー要件の変更により、シンクとフォーセットが追加され、8ナンバー登録となったこと。今までは4ナンバー登録だったので毎年車検が必要だったが、8ナンバー登録では2年に1回で良くなった。

追加されたシンクとフォーセットは登録のための簡易的なものではなく、実用性のあるもので、これにより食器を洗ったり、洗面をしたりできるようになった。クルマ旅には大変便利だ。

 シンクの下の給排水タンク

シンクの下には給排水タンク(容量不明)が収納されており、これらはリアゲートを開けると車外から直接出し入れすることができる。


冷蔵庫/電子レンジ

 40L上開き式冷蔵庫が標準装備される

冷蔵庫は40L上開き式のものが標準装備される。冷凍と冷蔵を切り替えることはできるが、横開き式のように同時にはできない。

 電子レンジも標準装備される

家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。2000W正弦波インバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。

ただしサブバッテリーは95Ahのディープサイクルバッテリーが1個なので、頻繁に使用する場合は、オプションの追加バッテリーを選択すると安心だ。


多目的ルーム

コンパクトバカンチェス L MoMoには多目的ルームは無いが、子供がいる場合は緊急用にポータブルトイレを積んでおくことはできる。後部をベッドモードにしておけば、目に触れることは無い。


収納

 ギャレー上のオーバーヘッド収納

ギャレーキャビネットの上に細長い扉付きのオーバーヘッド収納が設置されている。上の写真のようにポータブルカセットガスコンロの箱が収納できる大きさ。扉付きなので食器や調理器具を安心して収納しておくことができる。

 ベッド下の収納スペース

ただし、収納として設置されているのはこれだけで、後はベッドモードにした場合にベッド下の空間を収納スペースとして使用することができる。


空調

暖房はFFヒーターがオプション設定されているが、冷房は設定が無い。コンパクトなボディなのでクーラーの設置が難しい面はあるが、最近では小型の車載用クーラーも発売されているので、オプション設定が望まれる。


テレビ/ナビ

 DVD内蔵テレビが標準装備される

画面サイズは表記されていないが、上の写真のようなDVD内蔵テレビが標準装備される。またナビは特にオプション設定されていないが、好みのものが設置できる。


電装系

95Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。また、2000W正弦波インバーターと100Wソーラーシステムも標準装備される。しかし、これらが標準装備ながら、不思議なことに、ほぼ必需機能の外部100V電源入力と充電機能はオプションとなっている。


価格(2022年12月現在:千円台切り上げ:税込)

DX 2WD MTで364万円~。一般的に選択されるであろうGL 2WD 4ATでは388万円~となる。さらにGL 4WD 4ATでは417万円~となる。

付けておきたい必需オプションは、外部100V電源入力(66,000円)と充電機能(50,600円)が挙げられる。また予算に余裕があればサブバッテリー増設(55,000円)を挙げておきたい。


他モデル

タウンエースベースのバンコンは多数あるが、主なモデルは

・AtoZのアンナ model L(394万円~)
・キャンパーアシストのペコラ(価格不明)
・stage21のリゾートデュオルクシオPro(419万円~:GL)
・フロットモービルのシュピーレン(338万円:2人掛けバタフライシート 2WD/4AT:2022年2月現在)
・カトーモーターのメリル(373万円~)

が挙げられる。このうち、ギャレー、冷蔵庫、電子レンジが装備できるのはコンパクトバカンチェス T MOMOとシュピーレンのみ。ただしシュピーレンは簡易的な給水タンクに留まっている。

即ち、コンパクトバカンチェス T MoMoは今回ギャレーを装備したことにより、クルマ旅にも対応できる充実した装備を(しかも標準装備で)持つことになった。


まとめ

タウンエースベースのコンパクトバンコンでクルマ旅をするなら、コンパクトバカンチェス T MoMoは最も適したモデルのひとつだろう。クルマ旅ではギャレー、冷蔵庫、電子レンジがあれば、外食に頼らなくても良い。

もちろん食べ歩きや3度の食事が外食でも構わないというユーザーはこれらの装備の代わりに広いベッドや収納を優先すべきだが、そうでない場合はやはりギャレーなどの装備があった方が便利だ。

コンパクトバカンチェス T MoMoはこのように充実装備ではあるが、弱点もある。一つはベッドの狭さで、大人2名で就寝する場合は多少窮屈だ。また、調理をするのであればベンチレーターも欲しい。ルーフに付かなければウインドウにセットできるものでも良いだろう。

更に現在では軽バンコンでも小型のエアコンを搭載しているモデルもあるので、タウンエースベースのバンコンでも不可能ではないだろう。リチウムイオンバッテリーともどもオプション設定が望まれる。

なお、外観がもう少しスタイリッシュな方が良いという場合には、NV200バネットベースという選択肢もある。コンパクトバカンチェス N MoMoは最高グレードのGX 2WD CVTが425万円~なので、タウンエースベースよりも42万円ほど高くなる。


関連記事

トリップⅢ

トリップ

ダイレクトカーズ2022ニューモデル

     

モデル コンパクトバカンチェス T MoMo
ビルダー リンエイプロダクト
ナンバー区分 8
乗車人数 5
前向き乗車人数 4
就寝人数 2+OP(2:小)
エクステリア  
ベース車 タウンエース バン
ルーフ架装 -
窓架装 -
レイアウト  
ダイネット形態 L字型
マルチモードシート ○(2列目二人掛け)
ベッド
ダイネット展開ベッド
上段ベッド
常設ベッド -
ダイネットベッドサイズ(mm) 1870x1035
上段ベッドサイズ(mm)
ギャレー  
コンロ ○(ポータブルカセットガス)
シンク
給水タンク ○(?L)
排水タンク ○(?L)
冷蔵庫/設置スペース ○(40L上開き)/○
電子レンジ/設置スペース ○/○
多目的ルーム  
有無
防水処理 -
トイレ -
シャワー設備 -
シャワー用給排水タンク -
温水設備 -
手洗い -
空調  
ベンチレーター -
FFヒーター OP
冷房装置 -
電装系  
サブバッテリー ○(95Ah x1)
バッテリー増設 OP(1個追加)
リチウムバッテリー -
走行充電システム
外部100V入力/充電 OP/OP
インバーター ○(2000W正弦波)
ソーラーシステム ○(100W)
発電機 -
ナビ/テレビ  
ナビシステム OP
テレビ ○(?型)
サイズ  
全長(mm) 4,065
全幅(mm) 1,665
全高(mm) 1,930
価格 (税込)  
2WD 5MT(DX) 364万円~
2WD 4AT(GL) 388万円~
4WD 4AT(GL) 417万円~

2022年12月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税込)

動画はこちら

2022.12.27