バレイア Casa ブラックエディションはトイファクトリーが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車に使用したバンコンキャンピングカー。
同社はハイエースバンコンを中心にラインアップするバンコン専門ビルダーで、お洒落なインテリアは人気を博している。Casa ブラックエディションは2023年に発表されたインテリアカラーバリエーションで、2020年に発表された。
Casa ブラックエディションは、Casaシリーズの第2弾で、バレイアの他に、バーデン、GTで選択できる。
同社には、広いハイマウントベッドを持つ「バーデン」や、横置き2段ベッドと多目的ルームを持つ「GT」など、主力レイアウトがあるが、バレイアは2022年に追加された最も新しいスーパーロングのレイアウト。縦置きハイマウントベッドは同社では唯一となる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエーススーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。2列目にマルチモードシートを持ち、後ろ向きにして対座ダイネットを形成する。後部は縦置きハイマウントダブルベッドで、身長方向に余裕も持たせている。
Casa ブラックエディションは黒を基調にしたカラーバリエーションで、シックで高級感のある室内は、大人の時間を過ごすスペースとして提案されている。
オプションで家庭用セパレートエアコンを設置でき、また、2023年からはリチウムイオンバッテリーも選択できるようになった。
アピールポイント
・黒を基調にした、シックで高級感のあるインテリア
・エクステンションウインドウをボディ同色にできる(OP)
・ダイネットからアクセスが良いサイドギャレー
・身長方向に余裕がある縦置きハイマウントベッド
・家庭用セパレートエアコンを設置可能(OP)
・リチウムイオンバッテリー選択可能(OP)
ベース車とエクステリア

バレイアCasa ブラックエディションのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロング特装車。右サイドには前部まで続くエクステンションウインドウが架装されている。左後部のウインドウとリアゲートのウインドウもオプションでアクリル2重窓にできる。
Casa ブラックエディションでは、バーデンとGTではエクステンションウインドウが標準でボディ同色になるが、バレイアではこれはオプションとなる。
バレイアの展示車はいつもルーフラックを付けオーバーランダー風の外観で展示されているが、バーデンなどと同様、同社オリジナルのエアロソーラーシステムを装着することも可能だ。
インテリア

黒を基調にしたインテリア
Casa ブラックエディションでは、シート地は、風合いの良い高品質生地の尾張尾州織と、手入れしやすいプレミアムスエードを選択できる(いずれも黒)。家具はミディアムブラウンで、床は明るい木材を採用。ギャレーには漆黒の美濃焼タイルを採用している。
ブラックを基調にした、シックで高級感のあるインテリアは、ワンクラス上の大人の時間を楽しむことを想定されている。
レイアウト
2列目に2人掛けのマルチモードシートを設置。前向きにすると、運転席、助手席と合わせて4名が乗車定員で、全員が前向き乗車できる。3点式シートベルトは2列目シートの左側の乗員と、運転席、助手席の3名が着用できる。
なお、3列目シートはオプションでマルチモードシートに変更することができ、この場合は、乗車定員は6名となる。
後部には、縦置きのハイマウントベッドがある。バーデンやGTのように横置きベッドだと前部に浸食しないのでスペース効率が良いが、長身のユーザーは窮屈な場合があった。縦置きベッドではその心配がない。
ただし、縦置きベッドを使用時はダイネットを展開する必要があるため、完全な常設ベッドとは言えない。就寝前に多少の作業は必要になるが、もちろん、常にベッドモードにしておいても問題はない。
シートを全てフラットにすると下段でも2名が就寝でき、上段ベッドの3名と合わせて就寝定員は5名となっている。(ベッドサイズはベッドの項参照)
ダイネット

バレイア Casa ブラックエディションの対座ダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、3列目の簡易シートとで対座ダイネットが形作られる。4名でテーブルを囲むことができる。多目的ルームを排しているのでダイネットの足元にも余裕がある。
上段ℬヴぇっ度を展開すると、3列目シートの上まで来るので対座はできなくなるが、2列目シートはダイネットとして使用できる。パートナーが就寝してしまっても、2列目シートで寛ぐことができる。
ベッド

後部の縦置きハイマウントベッド
後部縦置きハイマウントベッドの大きさは、2,000x1,700mm。長身のユーザーでも足を伸ばして就寝できる。1700mmは、家庭用ではクイーンサイズベッドの幅(1600mm)より広く、キャンピングカー要件では3名が就寝できる広さだ。

シートをフラットにした下段ベッド
2列目シートをフラットにして、下段のベッドボードをドッキングすると、1,900x1,000mmの下段ベッドになる。キャンピングカー要件では2名が就寝できる幅ではあるが、1000mmは家庭用のシングルベッドの幅(970mm)より多少広い程度なので、1名用と考えた方が良い。
よって、実質的には上段に2名、下段に1名で、計3名が就寝できることになる。もちろん2名で使用するなら、2列目シートとテーブルはそのままで就寝できるが、最低限のベッドセットは必要になる。
ギャレー

ダイネットに隣接するギャレー
ギャレーはダイネットの右に設置されており、ダイネットシートとの隙間は無い。従って、バーデンのように立って調理することはできない。基本的にバレイアのギャレーは調理をするユーザーには向いていないと考えるべきだろう。

Casa ブラックエディションには漆黒の美濃焼タイルが施される
ギャレーキャビネットの天板にはシンクとフォーセットがビルトインされている。コンロはポータブルカセットコンロを使用する度にセットする必要がある。
Casa ブラックエディションでは、ギャレーに漆黒の美濃焼タイルが施されている。

ギャレーキャビネット下の給排水タンク
12Lの給排水タンクが、ギャレーキャビネットの下に収納されている。ここはテーブルの下になるので、少し出し入れがし難い。また、エントランスも離れているので、車外から直接アクセスすることもできない。
冷蔵庫/電子レンジ

40L上開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は40L上開き式が標準装備される。上開き式の特徴は蓋を開けても冷気が逃げにくいというメリットがある。しかし横開き式のように冷凍室が無いため、冷凍か冷蔵かの選択しか無いのがデメリット。

電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。1500Wインバーターはオプションなのでので、外部電源のないところでも電子レンジを使いたい場合は、インバーターを装備する必要がある。
多目的ルーム
バレイアには多目的ルームは設置されていない。緊急用にポータブルトイレを積んでおくことは可能で、後部ベッド下は、子供ならトイレルームとして使えるだろう。
収納

ギャレー上の収納
残念ながら、バレイアの収納は充実しているとは言い難い。まずオーバーヘッド収納は、エアコンを装備するとほとんど無くなってしまう。唯一ギャレーの上に小さな扉付き収納があるのみ。

後部ベッド下の広大な収納スペース
その代わり(になるか分からないが)、後部ベッド下は広大な収納スペースがある。キャンプ用具や小さな自転車なら積むことができる。ただし、バーデンのようにベッド下左サイドに収納が無いのは残念なところ。

リアゲートを開けて使えるシャワー(OP)
ベッド下右側のキャビネットには、リアゲートを開けて使えるシャワーがオプションで設置できる。専用の給水タンクも用意される。キャンプ用具を洗ったり、ペットの足を洗ったりするのに便利だ。
空調

家庭用セパレートエアコン(OP)
家庭用セパレートエアコンが、クールコンプシステムという名称でオプション設定されている。室内機の取り付け位置は、後部左側。室外機は後部床下に設置される。
暖房はFFヒーターがオプションで用意されている。また、マックスファンベンチレーターもオプションとなっている。
テレビ/ナビ

オプションの19型のテレビ
19インチのテレビが、壁掛けアームで設置できる。いずれもオプション。設置場所はギャレーキャビネットの上で、ダイネットから観やすい位置になっている。
電装系
標準では、100Ahのディープサイクルバッテリーが1個、走行充電、外部100V電源入力と充電機能が装備される。1500W正弦波インバーター、150Ahリチウムイオンバッテリー(最大2個)、220Wエアロソーラーシステムはオプションで装備できる。
標準装備のバッテリーだけでは、クーラーを設置していない場合でも、電子レンジや冷蔵庫を多用すると電気量が心配になる。もう1個オプションのサブバッテリーを増設するか、家庭用エアコンを設置して少なくとも150Ahのリチウムイオンバッテリーを装備することをお勧めする。
価格(2023年6月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/6AT特装の車両本体価格は649万円~。4WDやディーゼルの価格は、下の比較表を参照。
付けておきたい必需オプションは、FFヒーター(29,400円)、1500W正弦波インバーター(193,600円)、クールコンプシステム(411,400円)、150Ahリチウムイオンバッテリー(346,500円)、220Wエアロソーラーシステム(360,800円)、マックすふぁ(98,670円)を挙げておきたい。
家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーは、高価だが、今やキャンピングカーには必需装備と考えられる。
他モデル
ハイエーススーパーロングをベース車にして、似たコンセプトのモデルを考えると、レクビィのトップセイルが挙げられる。このモデルもやはり縦置き上段ベッドを持つが、スライド機構があり、簡単にベッドセットができる。
横置きハイマウントベッドのレイアウトを持つモデルは多いが、縦置きは非常に少ない。これから購入を検討するなら、実際にベッドで横になって確認することをお勧めする。
まとめ
バレイア Casa ブラックエディションは、横置きハイマウントベッドを持つバーデンやGTのベッドが窮屈な、特に長身のユーザーの救世主になる。4名のファミリーが乗車、就寝できるが、インテリアの性格からいうと、二人での使用が似合っているだろう。
気になる点として、収納の少なさと、調理するユーザーには向かないことを挙げておきたい。ベッド下の大きな収納スペースはあるが、オーバーヘッド収納がほとんど無いため、すぐに手の届く収納が少ないのだ。
車内で調理したり食事したりという使い方ではなく、シックでおしゃれな室内で、ワインやカクテルを飲みながら大人の時間を過ごすというシチュエーションが似合っている。
関連記事