アンセイエはMYSミスティックが製作する、トヨタ カムロードをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。
同社はトラックキャンパー（トラキャン）で有名なビルダーだが、アンセイエのようなカムロードベースのキャブコンから軽キャンパーまで手掛けている。
アンセイエは同社唯一のカムロードベースのキャブコン。2023年モデルになってレイアウトも変更され、コンセプト的にも大きく生まれ変わった。
（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）
概要
カムロードをベース車にする5m超のキャブコンで、クラシカルな四角いシェルが特徴。大きなバンクも目を引き、もちろんバンクベッドの大きさは特筆される。
2023年モデルではダイネットが対座タイプからソファタイプに、後部常設ベッドが2段ベッドからダブルベッドに、バンクベッドが引き出し式から固定式に変更され、また家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーが標準装備された。
ソファタイプのダイネットになって、二人旅向けのレイアウトになったが、装備の充実度も含め、魅力的なキャブコンになっている。
アピールポイント
・スペース効率の良い四角いシェル
・大きなバンクベッド
・二人旅に適したソファダイネット
・冷蔵庫、電子レンジ標準装備
・カセットトイレと専用手洗いが標準装備のトイレルーム
・家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーを標準装備
・FFヒーターとマックスファンベンチレーター標準装備
・インバーターやソーラーシステムなど電装系を標準装備
・エアサスキットを標準装備
ベース車とエクステリア
アンセイエのエクステリア
ベース車はトヨタ カムロード ワイドトレッドダブルタイヤ。新型カムロードは全車ダブルタイヤになる。これに横波型のアルミパネルのシェルを架装している。アルミパネルには厚い断熱材がサンドイッチされており、高い断熱性が期待できる。
四角くクラシカルなシェルと大きなバンクが外観の特徴。窓は全てアクリル2重窓。バンク前方の大きな窓は従来モデルでは1個だったが2023年モデルでは2つになった。また足回りではエアサスが標準装備されるのは大きなメリットだ。
インテリア
スポットライトと間接照明のインテリア
インテリアもクラシカルなデザインの家具を設置しているが、明るい色の壁面を採用することにより、落ち着いた印象ながら明るい室内を演出している。
照明はスポットライトと間接照明で豪華でムーディーな室内になっている。
レイアウト
レイアウトは先代のモデルと大きく変更された。まず、ダイネットは従来の対座スタイルからソファスタイルに変更された。前向きに座れるシートが運転席と助手席のみになったので、長距離を走るクルマ旅では二人使用に向いている。
次に後部の横置き2段ベッドが、ダブルベッドに変更された。これが最後部に家庭用エアコンの室内機を設置したためと思われる。
乗車定員は運転席、助手席とソファシートに4名で計6名。就寝定員は、後部ダブルベッドとダンクベッド、それにダイネットを展開するシングルベッドで計5名となっている。
ダイネット
リビングのようなダイネット
リビングのようなソファが特徴のダイネット。このタイプの特徴は、車幅方向に幅を取らないため、通路が広くなること、また足元の窮屈さが無いことが挙げられる。
ソファの背面には大きなアクリル2重窓があり、明るいダイネットにしている。アクリル2重窓にはもちろん網戸とシェードが組み込まれている。
ベッド
後部のハイマウントダブルベッド
アンセイエのベッドは後部のハイマウントダブルベッド、前部のバンクベッド、そしてダイネットを展開するダイネットベッドの3か所がある。
まず、後部の横置きハイマウントダブルベッドは、1930x1070mmの大きさ。家庭用ではシングルベッドの幅（970mm）より多少広い程度で、セミダブルベッドの幅（1200mm）に満たない。
従来モデルではここは横置き2段ベッドだったが、家庭用エアコンの室内機を上部に取り付けたため、下段のみとなったと思われる。キャンピングカー要件では2名が就寝できるが、現実的には2名で就寝すると多少窮屈だ。
厚めのベッドマットのバンクベッド
その代わりというべきか、バンクベッドが従来の引き出し式から固定式（常設）になり、そのため厚めのベッドマットにグレードアップされた。アンセイエのバンクベッドは高さがあり、大きさも1900x1400mmと、家庭用のダブルベッドの幅と同等で広い。
窓が3方にあり、また大きなルーフウインドウもあるため、むしろこちらがメインベッドと言っても良いほどだ。
大人1名が就寝できるダイネットベッド
3つ目はダイネットを展開して作るダイネットベッド。大きさは1843ｘ974mm。家庭用のシングルベッドの幅（970mm）とほぼ同じで、大人1名が就寝できる。
ベッド展開は背もたれを移動するだけで、就寝前に多大な労力を使う必要はないが、エマージェンシー的なベッドだ。
ギャレー
常設2口コンロがあるギャレー
ギャレーキャビネットの天板には常設2口コンロとシンクがビルトインされている。クルマ旅で調理するユーザーには使いやすいギャレーだ。
調理台の延長ボード
調理台の延長ボードも用意されており、調理しやすくなっている。なお、この延長ボードは使用しない場合、シンクとコンロのカバーになっている。
下には引き出し収納がある
下には引き出し収納や扉付きの収納もあり、食器や調理用具を収納しておける。なお照明付きのレンジフードも標準装備される。
冷蔵庫/電子レンジ
90L横開き式冷蔵庫が標準装備される
ギャレーの横には収納タワーがあり、ここに90L横開き式冷蔵庫が標準装備されている。二人旅なら十分な大きさだ。もちろん冷凍室があり、冷凍食品の保冷や製氷ができる。
電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジも標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。2000W正弦波インバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
収納タワーの引き出し収納
なお、この収納タワーにも引き出し収納が用意されているほか、上部にも収納がある。
トイレルーム
カセットトイレと専用の手洗いが設置されている
トイレルームにはカセットトイレと専用の手洗いが設置されている。残念ながら温水シャワーのオプション設定は記載されていない。ただし、給湯設備はオプションで用意されているので、防水処理も含め温水シャワーの設置もできるのかもしれない。
専用の換気扇と収納
なお、トイレルームには、専用の換気扇と収納も用意されている。
収納
ギャレー上のオーバーヘッド収納
アンセイエには豊富に収納が用意されている。先のギャレーやトイレルームの収納に加え、ダイネット上部やベッド上部にもオーバーヘッド収納が設置されている。
ソファシート下の収納スペース
またソファシートにしたメリットで、シート下が大きな収納スペースとして使用できるようになった。
クローゼットも設置されている
更にクローゼットまでも用意されている。上着やコートなどをシワにならないように収納しておける。
空調
家庭用エアコンが標準装備される
2023年モデルでは冷房は家庭用エアコンが標準装備となった。室内機はベッドルームの最後部に設置される。この位置に設置したため、2段ベッドが設置できなかったのは先の通り。
しかし冷風はまっすぐ前部に向かって流れるので、エアコンの位置としては理想的だ。二人旅を想定したレイアウトなのでベッド数は十分あり、バンクベッドもグレードアップされたので、上段ベッドが無くても問題ないだろう。
テレビ/ナビ
液晶テレビが標準装備と記されているが、サイズは明記されていない。また取り付け位置も不明だ。またナビはナビパック（165,000円）としてオプションが用意されている。
電装系
428Ahの大容量リチウムイオンバッテリー
2023年モデルでは家庭用エアコンを標準装備したことにより、428Ahの大容量リチウムイオンバッテリーを標準装備した。これだけの容量があれば、真夏の昼間でも家庭用エアコンを実用的に使用できる。
走行充電はもちろんだが、外部100V電源入力と充電機能、2000W正弦波インバーター、525Wソーラーシステムなど、電装系の主要な要素は標準装備されている。
価格（2023年3月現在：千円台切り上げ：税込）
ディーゼル2WD/6ATが1366万円～、4WDが1386万円～となっている。ほとんどの必需装備は標準で備わっているので、付けておきたい必需オプションは無い。
他モデル
ダイネットが対座スタイルのカムロードキャブコンは多数存在するが、ソファスタイルのダイネットを持つモデルは多くない。5m超のモデルは存在しないが、5m未満のモデルなら、ナッツRVのクレソンジャーニー Type-R エボライトLi（1018万円～）、キャンパー厚木のパピィフルハウス（830万円～）がある。
パピィフルハウスは、標準トレッドでガソリン仕様となっている。
また、5mではハイエーススーパーロングをベース車にする、RVビックフットのACS プルミエM5.7（1042万円～：エアコンシステムはOPで600,000円）がある。
まとめ
アンセイエは外観の特徴があるため、好みが分かれやすいかもしれないが、二人旅で使用するには理想的なモデルの1台と言える。特にリビングスタイルのダイネットを希望するユーザーなら迷うことは無い。
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