VERONA(ヴェローナ)はホワイトハウスが製作する、フィアット デュカトをベース車に使用したバンコンキャンピングカー。
同社はハイエースベースのバンコンから、ミニバンベースのキャンパーや軽キャンパーまでラインアップするバンコン専門ビルダー。
ヴェローナは同社初のフィアット デュカトベースの本格的ラグジュアリーキャンピングカーの位置付けで、2023年7月に開催された東京キャンピングカーショーで発表された。
なお、この記事の展示車の仕様は暫定のため、変更される可能性があります。判明次第、記事を更新します。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
フィアット デュカト L3H2のベース車にするバンコンキャンピングカー。6m弱の大きなボディに、対座ダイネット、ギャレー、縦置き2段ベッド、サニタリールームの全ての要素を配置している。
ヴェローナの最大の特徴は、電動でダイネットからベッドへトランスフォームする2列目シート。これにより、ベッド展開の手間を最小限にすることができ、後部の2段ベッドと合わせて大人4名の就寝を可能にしている。
サニタリールームには、カセットトイレの他、温水シャワーも完備。また、車載用セパレートクーラー(CoolStar)とリチウムイオンバッテリーも標準装備される。
アピールポイント
・デュカトL3H2をベース車にした6m弱の余裕あるボディサイズ
・電動でダイネットからベッドにトランスフォームする2列目シート
・豪華なインテリア
・2口常設コンロを持つギャレー
・カセットトイレや温水シャワーが完備されたサニタリールーム
・車載用セパレートクーラーとリチウムイオンバッテリーも装備
ベース車とエクステリア
ヴェローナのエクステリア
ベース車はフィアット デュカト L3H2で、6m近い全長を持つ。外観の特徴は、右サイドのウインドウを覆う、エクステンションウインドウ。
デュカトは車幅が十分あり、またヴェローナは縦置きベッドなので、エクステンションウインドウの必要性はあまりないと思われるが、これにより、ウインドウを出窓風にし、車内を広く見せることには貢献している。
インテリア
豪華な照明のインテリアインテリア
車内に入るとまず感じるのが豪華なインテリア。特に照明は上の写真のように間接光とメイン照明とを巧みに組み合わせた凝ったものとなっている。
インテリアカラーの選択肢については不明だが、同社の「ダークライン(白家具)」のように特別バージョンとして登場するのかもしれない。しかしこのインテリアで不満はないだろう。
レイアウト
前部に対座ダイネット、左側にギャレー、右側に縦置き2段ベッド、左後部にサニタリールームを配置する。
2月のジャパンキャンピングカーショーで各社から発表された一連のデュカトベース国産バンコンの中でも、温水シャワーが使えるサニタリールームを持つモデルはトイファクトリーのダヴィンチだけだ。
即ち、デュカトベースの国産バンコンで温水シャワーが使えるモデルの選択肢ができたことになる。更に、ダヴィンチの就寝人数は2名+子供2名(オプションのポップアップルーフを付けると+2名)だが、ヴェローナは標準で大人が4名就寝できる。
ダイネット
運転席と助手席が回転して後ろ向きになるダイネット
デュカトベースではお決まりの、運転席と助手席が回転して後ろ向きのダイネットチェアになる。2列目の2人掛け前向きシートとで、対座ダイネットを形作っている。
テーブルは2つに折れる構造になっているが、これは後述のベッド展開のため。ダイネットの壁面には機器の集中コントロールパネルが設置されている。
ベッド
右側後部の縦置き2段ベッド
ベッドは後部右側の縦置き2段ベッドと、ダイネット展開ベッドの二つがある。まず、縦置き2段ベッドは上段が1880x740mm、下段が1880x690mmの大きさ。
2列目シートがトランスフォームするダイネットベッド
もう一つのベッドは、2列目シートがトランスフォームしてできる、ダイネットベッド(動画はこちら)。大きさは1800x1100mmで、家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当する。長さが1800mmなので、長身のユーザーは実際に寝て確認することをお勧めする。
ギャレー
二口コンロのあるギャレー
ギャレーには常設2口コンロが設置されており、シンクと一体のユニットになった豪華なギャレーだ。ギャレーの天板は前部まで続いていており、カウンターになっている。
ギャレーキャビネット下の収納
ギャレーキャビネットの下は収納が用意されており、食器や調理用具を収納しておける。
冷蔵庫/電子レンジ
シンクの下には冷蔵庫が収納されている
シンクの下にはカセットガスボンベの収納と、60L横開き式冷蔵庫が標準装備されている。もちろん冷凍室付きだ。
電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ギャレーの上部に収納されているので使いやすい。1500W正弦波インバーターも標準装備されているので、サブバッテリーでの使用も可能だ。
サニタリールーム
専用の手洗いがあるサニタリールーム
サニタリールームには、カセットトイレ、温水シャワー、専用の手洗いが標準装備される。温水はトルマのボイラー(10L)で加熱され、70Lの給水タンクの水と混合して使用する。なお、排水タンクも70Lとなっている。
鏡の裏の収納
サニタリールームに大きな鏡があり、これは収納の観音扉になっている。洗面用具を収納しておくのに便利だ。
収納
ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
ギャレーとサニタリールームまわりの収納に加え、ダイネットの上部には、オーバーヘッド収納が設置されている。
最後部の収納
リアハッチを開けると、左側に縦にレザー調の収納が取り付けられている。アウトドア用品やペットの遊び道具などを収納しておける。
カセットトイレのタンク
一番下はカセットトイレのタンクが収納されている。
空調
車載用セパレートクーラーを標準装備
暖房はボイラーと兼用のFFヒーターが標準装備され、冷房は車載用セパレートクーラー(CoolStar)が標準装備される。室内機はギャレー上部に設置されている。
テレビ/ナビ
テレビが標準装備される
21インチのテレビがダイネット上部に標準装備されている。2列目シートから観ることができる。
ナビについての情報は無いが、好みのものが設置できるだろう。
電装系
300Ah(100Ah x3)のリチウムイオンバッテリーが標準装備される。外部100V電源入力と充電機能、1500Wインバーターも標準装備。75Wのソーラーシステムはオプションで設置できる予定。
価格(2023年7月現在:千円台切り上げ:税込)
展示会場では、車両本体価格は1480万円~とされていたが、参考展示とされており、最終的には多少の変更があるのかもしれない。
他モデル
デュカトベースの国産バンコンでは、トイファクトリーのダヴィンチ6.0(1397万円~)がコンセプト的に最も近い。ダイネット、ギャレー、サニタリールーム、常設ベッドを全て配置し、ラグジュアリーなクルマ旅を想定している。
ただし、ダヴィンチ6.0の常設ベッドはハイマウントダブルベッド。また、就寝人数もダヴィンチは大人2名+子供2名となっている。(ポップアップルーフ仕様は2名追加)インテリアもシックで、どちらかと言えば二人旅志向だ。
対してヴェローナは、電動でベッド展開できるダイネットベッドが可能で、ファミリー使用を重視しているように見える。
もう一つの比較対象は輸入モデルで、アドリアモービルのツインPlus 600 SPB FAMILY(1342万円~)、サンリビングのV60 SP FAMILY(1262万円~)、サンライトのクリフ601アドベンチャーエディション(1287万円~)が挙げられる。これらも大人4名が就寝できるが、ベッドは各段2名が就寝できる横置き2段ダブルベッドを採用している。
まとめ
ヴェローナは、デュカトベースの国産バンコンの中で、温水シャワーまで装備され、大人4名が就寝でき、ファミリーにも対応できる。(ダヴィンチはオプションのポップアップルーフで計4名の就寝が可能)いよいよ輸入モデルに対抗できる国産モデルが実現しだした。
ただし、ヴェローナには疑問点も残る。まず、エクステンションウインドウの必要性。横置きベッドなら分からないことは無いが、縦置きベッドなので、横幅の拡張は不要だ。また横置きでも、デュカトはエクステンションウインドウ無しで1900mm以上取れる。ちなみにダヴィンチ6.0はエクステンションウインドウなしで横置きベッド長は1950mmだ。
次に、電動でのダイネットベッド展開の必要性。確かに楽にベッド展開できるが、二人旅のユーザーは無用の機能に多大なコストを払わされることになる。これはオプションでも良かったのではないだろうか。
シャワールームを持ち、ファミリーに対応できるクルマ旅用レイアウトを考えると、やはりツイン600 SPB FAMILYのレイアウトが理にかなっている。
このレイアウトで、国内のインフラ(左側エントランス、カセットガス、電子レンジ、クーラー、リチウムイオンバッテリー等)に対応したモデルがあれば理想的なのだが。
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