デュカトベースの国産モデル
フィアットがデュカトを正式に国内販売をスタートしたことに伴い、国内のキャンピングカービルダーもこれをベース車にしたモデルを、ジャパンキャンピングカーショー2023で発表した。
ジャパンキャンピングカーショー2023では、6ビルダー、12車種が展示された。なお、ラインアップにはあるが展示されていないモデルもあるので、ここでは展示されたモデルのみをピックアップした。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
デュカトの概要
架装前のベース車
国内で販売されるデュカトのボディサイズはL2H2、L3H2、L3H3 の3種類。それぞれのサイズ(mm)は
L2H2:全長5,410、全幅2,050、全高2,525
L3H2:全長5,995、全幅2,050、全高2,525
L3H3:全長5,995、全幅2,050、全高2,765
即ち、全幅は全て2050mm、全長が5,410mmと5,995mmの2種類、全高が2,525mmと2,765mmの2種類となっている。
ハイエーススーパーロングが、全長5,380mm、 全幅1,880mm、全高2,285mmなので、デュカトの最も小型のL2H2でもハイエーススーパーロングよりも大きい。従って、室内は広く、H2の室内高は1932mm、H3の室内高は2172mmとなっている。ハイエースの室内高はスーパーハイルーフでも1850mmなので、余裕の高さだ。
エンジンは直列4気筒 MultiJet3 ディーゼルインタークーラー付ターボで、最高出力は180HP@3500rpm。本国や輸入モデルでは120HP、140HP、160HPも存在するが、国内では180HPのみとなる。
なお、トランスミッションは9速ATだが、駆動方式は2WDしか存在しない。4WDが選択できないのは、ハイエースに比べ大きな弱点ではある。しかし、広い室内だけでなく、クラッシャブルゾーンの長さや、スマートなデザインは国産モデルにない魅力と言える。そして何より、左側エントランスは国産モデルとしては必須の機能だ。
目 次
- The Third Space / Breath(ブレス) 54DD : デルタリンク
- LandWagon Room(ルーム) : RVランド
- LandWagon Timeless Travel (タイムレストラベル): RVランド
- ForTuna(フォルトナ) Type-C : ナッツRV
- ForTuna(フォルトナ) Type-M : ナッツRV
- Gran Cruise (グランクルーズ)WD : 岡モータース
- Speranza(スペランツァ)540C : 東和モータース販売
- Speranza(スペランツァ)540M : 東和モータース販売
- ASObott (アソボット): トイファクトリー
- Da Vinci (ダヴィンチ)6.0 Concept : トイファクトリー
- Euro Baden (ユーロバーデン)5.4 : トイファクトリー
- Origin(オリジン) 5.4 : トイファクトリー
- まとめ
- 比較表
The Third Space / Breath 54DD : デルタリンク
The Third Space(ザ・サードスペース)は、趣味の空間や、息抜きができる自分の居場所をコンセプトに付けられたブランド名。今回のデュカトベース車の発表とともに新設された。
また、Breath 54DDは車名。(展示会での表示にはBrethとなっていたので、動画ではこれを引用しているが、Breathが正しいと思われる)今回展示されなかったが、Breath
54SLも選択できる。
ボディサイズはL2H2。Breath 54DDのインテリアは前部に対座ダイネット、左サイドにギャレー、後部に横置き2段ベッドのレイアウト。多目的ルームは無い。54SLでは右側にギャレーが配置される。
54DDの後部2段ベッド部はセカンドダイネットとしても使用できる。移動時は横座りシートとして乗車もできるので8名乗車が可能。
インテリアは、床や天井に銘木を採用。Breath 54DDではハードメイプル、54SLにはルーフにオークのリアルウッドを使用しいる。木に囲まれ落ち着けるマイルームを実現している。
58L冷蔵庫(54SLは60L)、電子レンジ、FFヒーター、家庭用エアコンを標準装備し、サブバッテリーは400Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備する。
価格:Breath 54DD 1307万円~ (54SLは1318万円~)
ランドワゴン ルーム : RVランド
RVランドからは、この「ROOM」と「Timeless Travel」の2モデルが展示された。ルームの方はバンライフモデルという位置づけで、こちらも木の温もりをコンセプトにしたインテリアを採用。
しかし、ログハウス風というよりは、お洒落なリビングルームにいる感覚の室内になっている。
レイアウトはフロントシートの回転によるダイネットではなく、4名の対座ダイネットを採用。引き出し式の大きなテーブルが特徴になっている。ベッドは後部のハイマウントダブルベッドとダイネット展開ベッドで、計4名が就寝できる。
ギャレーは前部にあり、シンクがビルトインされているが、コンロはポータブルIHコンロをいちいちセットしなければならない。バンライフモデルということで、調理面は軽装となっているようだ。
FFヒーター、12Vルーフエアコンともオプションで、サブバッテリーは50Ah(ディープサイクル?)が4個とポータブル電源が標準装備されるが、ポータブル電源がどのように接続されるのかは不明。
バンライフ向けとはいえこのクラスのモデルなら、FFヒーターやエアコン(あるいはクーラー)とリチウムイオンバッテリーは標準装備して欲しいところではある。
価格:1045万円~
ランドワゴン タイムレストラベル: RVランド
ランドワゴン ルームがバンライフをコンセプトにしているのに対し、ランドワゴン タイムレストラベルはキャンピングカーモデルとされている。即ち、よりクルマ旅向けのモデルということのようだ。
また、こちらは短いL2H2ボディを採用しているが、どちらかと言えばクルマ旅用の方を大きなサイズにした方が良かったのではないだろうか。ルームの方は前向き乗車が2名だしバンライフモデルなら、こちらは小さいボディの方が扱いやすいと思われるが。
レイアウトはルームと似ているが、2列目にマルチモードシートを配置し、フロントシートの回転を利用して4名が対座できるダイネットを形成する。更に3列目には横座り2名対座シートがあり、2列目シートを後ろ向きにすると、4名で引き出し式テーブルを囲める。
ベッドは後部にハイマウントダブルベッドを設置するが、マットを前部に引き出してフルベッドにすることができる。常設状態では1940x850mm、フルベッド状態では1940x1400mmの広さになる。ダイネット展開ベッドと合わせて4名が就寝できる。
2列目シートを前向きにすると計4名が前向き乗車でき、また4名が就寝できるので、ファミリーでのクルマ旅にも対応できる。
90L冷蔵庫、電子レンジ、FFヒーター、家庭用エアコンも標準装備されるので、年間を通じて快適なクルマ旅が可能となっている。
価格:1122万円~
ForTuna(フォルトナ) Type-C : ナッツRV
ナッツRVからはL2H2ボディを採用した2モデルが展示された。一つはこのフォルトナ Type-C、もう一つがType-Mで、Type-Mが多目的ルームを持つのに対し、Type-Cは持たず、代わりにクローゼットがあるレイアウトとなっている。
どちらのタイプも2列目に固定の前向きシートを持ち、フロントシートを後ろ向きにして4名対座のダイネットを形成する。どちらも乗車定員は6名、前向きに4名が乗車できる。
また最後部には横置きダブルベッドが設置される。更にオプションで上段が電動で昇降する上段ベッド(プルダウンベッド)を設置でき、下段と合わせて大人が4名就寝できる。なお、Type-Cではダイネットを展開すると子供用のベッドになる。
後部下段ベッドは、テーブルを設置して4名が対座できるセカンドダイネットにすることができるのが特徴。
ギャレーは左サイドに設置されており、シンクとフォーセットがビルトインされているが、同社のクレソンジャーニー同様、コンロは常設されていない。また、70L冷蔵庫と電子レンジは標準装備される。
電装系は、クレソンジャニーに採用されているEVOLITEシステムをフォルトナ用にアレンジしたものが採用され、リチウムイオンバッテリー200Ahを標準装備。オプションで更に200Ahを追加できる。しかし、FFヒーターと家庭用エアコン、マックスファン、ソーラーシステムはオプションとなる。
価格:979万円~
ForTuna(フォルトナ) Type-M : ナッツRV
フォルトナType-Mは、レイアウトはType-Cと似ているが、クローゼットの代わりに多目的ルームを持つのが特徴。多目的ルームはクローゼットより間口が広いため、そのしわ寄せはダイネットを展開して子供用ベッドになる機能が失われている。
大人用ベッドはType-Cと同様、標準で2名、オプションのプルダウンベッドを選択すると計4名が就寝できる。
Type-Mの多目的ルームにはポータブルトイレ、あるいはラップポンがオプションで設置できるが、カセットトイレの設置は無い。また、温水シャワーキットもオプションで用意されている。
フォルトナの価格は一見すると他モデルに比べて安価だが、エアコン、FFヒーター、マックスファンベンチレーター、ソーラーシステムは含まれていない。これらのコストは100万円をオーバーするので、実用価格は他モデルとあまり変わらない。
価格:979万円~
Gran Cruise WD : 岡モータース
岡モータースからは、グランクルーズWDが出展された。WDはダブルダイネットの意味で、前部と後部に独立したダイネットを持つのが特徴。前部は2列目に前向きの2人掛けシートと横座りのベンチシートがあり、フロントシートを回転して後ろ向きにすると、4名対座のダイネットになる。
後部のダイネットは、縦置き2段ベッドを展開することにより、2名が対座できる。ベッドモードにすると、上下段とも1900x850mmの縦置き2段ベッドになる。
インテリアデザインは同社独特のもので、高級感とお洒落感が感じられるものとなっている。特に同社のミニチュアクルーズCOZYにあるようなベッドサイドの間接照明付き収納はワンポイントになっている。
ギャレーも常設2口コンロを持つもので、車内で調理をすることが多いクルマ旅にも対応する。85L両開き式冷蔵庫と電子レンジも標準装備されるが、冷蔵庫はどちらのダイネットからもアクセス性が良い。
多目的ルームには輸入モデルのように温水シャワーは無いが、トイレはラップポンが標準装備され、クルマ旅はもちろん、災害時の代用トイレとして非常に心強い装備と言える。また、トイレはベッド下にスマートに収納されるのも嬉しい。
クーラーは車載用の12Vセパレート型で、家庭用エアコンと比べるとグレード感は落ちるが、コンパクトなこともあり、またうまくカバーされているため、違和感は全くない。
クーラーが標準装備なのにリチウムイオンバッテリーが標準装備ではないのが残念なところだが、オプションで設置できる。
グランクルーズWDはデュカトの広さを生かした全く新しいレイアウトで、よく考えられた使い勝手とお洒落なインテリアは、今回発表されたデュカトベースの国産モデルの中でも特筆できるものだ。
価格:1265万円~
スペランツァ 540C : 東和モータース販売
東和モータース販売からもスペランツァ540Cと540Mの2モデルが発表された。これらは同社のヴォーンシリーズなどと同様、ナッツRVのモデルと姉妹車の関係だ。即ちスペランツァ540CはナッツRVのフォルトナ
Type-C、540Mは同Type-Mと同じレイアウトになっている。
よってレイアウトに関してはフォルトナを参照いただきたいが、オプションに関してもほぼ同じだし、価格も全く同じになっている。ヴォーンではクレアやクレソンと姉妹車ながら同社独自の特徴を出していたが、今回は全く同じとなっている。
価格:979万円~
スペランツァ 540M : 東和モータース販売
こちらもフォルトナ Type-Mと同様で、多目的ルームを持つレイアウトとなっている。同社のサイトに上がっていないので詳細が分からないが、フォルトナ
Type-Mとほぼ同じと考えられる。
価格:979万円~
ASObott (アソボット): トイファクトリー
トイファクトリーが、ドイツの車両キャビネットシステムの最大手bott(ブート)社と日本での総代理店契約を締結したことにより、国内向けデュカトに組み込んだモデル。
bott社のキャビネットは、工具やパーツを整理して収納しておくことにより現場での作業効率がアップする。また、万一の事故時でも、これらの工具やパーツが飛散しないよう工夫されている。
欧州では、工事関係車両に多数使用されているとのことだが、狭い日本の道路や作業現場でデュカトを使用するケースはどの程度あるのだろうか。もちろん我々一般人の知らない作業現場もあると思うが、よく目にする工事現場や一般家屋の新築やメンテナンスの現場では、大きくてもハイエース標準ボディ、よく見るのは軽バンだ。
ただ、キャンピングカーショーでの展示は、そのような作業車ではなく、bottのキャビネットを収納として使い、その上にベッドを設置した、トランポ的なコンセプトのモデルだ。
頑丈なキャビネットを使用して、自転車やバイクを気軽に積み込めるような、遊び心をくすぐるモデルとしている。これならデュカトの大きな荷室が有用だろう。車名からもそのようなコンセプトが感じられる。
Da Vinci(ダヴィンチ)6.0 Concept : トイファクトリー
トイファクトリーからは4モデルが発表されたが、その中で充実装備でクルマ旅向けとされているのがこのダヴィンチ。展示車はL3H2がベース車になっていたが、L2H2も選択できる。また、ポップアップルーフも選択可能だ。
ダヴィンチ6.0のレイアウトは、2列目に前向き固定シートを持ち、フロントシートを回転して対座ダイネットを形成する。左側にギャレーと冷蔵庫のキャビネット、右側にサニタリールーム、最後部にハイマウントダブルベッドを配置する。今は無き同社の「ヴォーグ」を彷彿とさせるレイアウトだ。なお、ダヴィンチ5.4のベッドは横置き2段ベッドとなる。
実際、対座ダイネット、ダブルベッド、多目的ルーム、ギャレーを全て配置するのは、ハイエースでは多少無理があり、フロントシートを使うしかなかった。その意味ではこのレイアウトをシート回転が標準のデュカトで展開するのは実に理にかなっている。
ただし、ヴォーグのようにダイネットベッドで子供が就寝することはできないので、ファミリーで就寝する場合はポップアップルーフを架装する必要がある。どちらかと言えば、ヴォーグがそうであったように、優雅な二人旅を想定したモデルだ。
ギャレーには常設2口コンロを設置、冷蔵庫は75L横開き式が設置されるが、電子レンジはオプションとなっている。クルマ旅向けモデルであれば、電子レンジは標準装備にして欲しいところだ。
空調はFFヒーター兼ボイラーシステムが標準装備される。また、ルーフエアコンがオプションで用意されているが、エアコン用のインバーターもセットになっているところを見ると100V仕様のようだ。
サブバッテリーは標準では100Ahが2個装備されるが、オプションで150Ahのリチウムイオンバッテリーを1個、あるいは2個装備できる。同社では初のリチウムイオンバッテリー対応となる。
サニタリールームは欧州車によく使われる「ホテルのような」という形容詞が当てはまるお洒落感がある。また、FFヒーター兼ボイラーシステムが標準装備されており温水シャワーも可能。他社も含め今回発表されたデュカトベースモデルで、最も欧州車のコンセプトに近いモデルだ。
価格:Da Vinci 5.4 1353万円~、Da Vinci 6.0 1397万円~
Euro Baden(ユーロバーデン) 5.4 : トイファクトリー
車名からも分かる通り、バーデンのレイアウトをデュカトに展開したモデル。即ち、前部に対座ダイネット、中央左側にギャレー、後部に横置きハイマウントダブルベッドのレイアウトを持つ。
ダイネットは2列目と3列目のマルチモードシート(REVO製)で4名対座ダイネットを形成する。デュカトの持つフロントシートの回転機能は、2列目シートが前向きになっている場合対座の形にはなるが、あまり意味は無い。
2列目シートを前向きにすると、全部で6名が前向き乗車できる。また、後部のベッドで2名、ダイネットを展開したベッドで2名が就寝できるので、計4名が就寝できる。なお、ユーロバーデンもポップアップルーフが選択でき、この場合は、更に2名が追加で就寝できる。
ベッドサイズはダイネットベッドが1,950x1,200mm 、後部の横置きハイマウントダブルベッドが1,950x1,460mmとなっている。
ギャレーにはバーデン同様シンクとフォーセットのみでコンロは常設されていないが、冷蔵庫は上開き式ではなく、75L両開き式になった。電子レンジはオプションで設置できる。
なお、ユーロバーデンのボディサイズは、この5.4(L2H2)のみで、ダヴィンチやオリジンのように6.0(L3H2)は無い。また、ポップアップルーフは他モデル同様選択でき、その場合は就寝人数が全部で6名になる。
価格:1153万円~
Origin(オリジン) 5.4 : トイファクトリー
シンプル装備をコンセプトにしたモデル。展示車にはポップアップルーフが架装されていたが、ノーマルルーフも選択できる。また展示車は5.4(L2H2)のボディサイズだったが、6.0(L3H2)も選択できる。
レイアウトは2列目と、オプションの3列目に前向き固定のシート(シュニーレ製)を設置でき、これらはユーザーが着脱することができる。乗車人数に応じてシートを取り外すことができ、全て取り外すと広いカーゴルームになる。
乗車人数は4名だが、3列目のオプションシートを設置すると6名が前向き乗車できる。後部には横置きハイマウントダブルベッドがあり、ベッドサイズはL2H2では1,950x1,460mm、L3H2では1,950x2,040mm。L2H2では2名が、L3H2では3名が就寝可能。オプションのポップアップルーフを架装すると、更に2名が就寝できる。
ギャレーはユーロバーデンと同じでシンクとフォーセットがあるがコンロは、ポータブルカセットコンロを使用する度にセットする。冷蔵庫もユーロバーデンと同様で75L両開き式が標準装備される。電子レンジはオプション。
オリジンはユーロバーデンと似たレイアウトだが、2列目と3列目(OP)のシートに前向き専用シートを採用し、座り心地を重視している。また、フロントシートの回転を利用してダイネットを形成するのもユーロバーデンと異なっている。折角標準装備されているのデュカトのフロントシート回転機構を生かしている点では、オリジンの方がスペース効率は良いだろう。
ただ、フロントシートと2列目シートの高さや形状の違いが気になる場合は、ユーロバーデンの方が落ち着くかもしれない。
空調と電装系もユーロバーデンと全く同じで、ルーフエアコンとFFヒーターがオプションで設定される。また、サブバッテリーは100Ahのディープサイクルバッテリーが2個標準装備され、オプションで100Ahか200Ahのリチウムイオンバッテリーが用意されている。
まとめ
今回発表されたモデルは全てバンコンスタイルだ。しかし、そのボディサイズを見ると、国産キャブコンを凌駕する。ちなみに、ナッツRVのクレア5.3Wのボディサイズは全長5190mm、全幅2080mm、全高2910mm、フォルトナ
Type-Mのサイズは同5410mm、2050mm、2525mmだ。
従ってバンコンと言えども、キャブコンと同等以上の大きさがある。デュカトはカムロードのようにキャブオーバーではないのでスペース効率は悪くなるが、フロントシートが回転するため、キャブ部までダイネットに使用できる。
このように考えると、デュカトベースの国産バンコンは、バンコンマーケットではなく、キャブコンマーケットを対象にしているように思われる。本当はキャブコンが欲しかったが、トラックベースが嫌でハイエーススーパーロングにしたユーザーや、現在キャブコンに乗っているが、スタイリッシュなモデルに乗り換えたいユーザーだ。
トイファクトリーはバンコンビルダーだが、デュカトベースでキャブコンマーケットに進出したとも考えられるし、ナッツRVはフォルトナでクレソンジャーニーのカテゴリーの選択肢を増やしたように見える。
Twin640の大きなサンルーフ
さて、輸入モデルに対抗できる国産モデルが出現するかという期待に対しては、唯一、ダヴィンチがカセットトイレや温水シャワーを常設し、輸入モデルに劣らない装備とデザインをアピールしたのみ。フォルトナは温水シャワーはオプションで対応するが、輸入モデルとは異なったコンセプトだ。
TwinSupreme 640SGX
今回、日本のビルダーがデュカトをどのように料理するかが注目されたが、目を引いたモデルとして、ユニークなレイアウトとお洒落なインテリアのグランクルーズWD、まさにモダンなルームのようなインテリアのランドワゴン
ルーム、そして欧州車に正面から立ち向かったダヴィンチを挙げておきたい。
どちらが良いかという判断は読者の皆さんにお任せしたいが、右側エントランスの問題、ガスボンベの充填問題、家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーの装着などの問題点を解決した国産モデルの出現は意義がある。
しかし、総合的なデザインの洗練度、大型サンルーフの架装、サニタリールームの作りなどにおいては、まだ欧州車に追い付いていないようにも思われる。今後キャブコンの可能性も含めて期待したい。