ツアーズワイドSGL:OMC(オーエムシー)


ツアーズワイドSGLOMC(オーエムシー)が製作する、ハイエースワイドミドルルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。

同社はハイエースベースのバンコンキャンピングカー専門ビルダーで、「銀河」に代表されるスーパーロングから「ナロー銀河」の標準ボディまで幅広くラインアップしている。

ツアーズワイドはワイドミドルボディを使用したバンコンで、比較的シンプルな装備を持つ。なお、ツアーズワイドのレイアウトを標準ボディ標準ルーフボディの落とし込んだ「ボギー」も用意されている。

(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)


コンセプト

ハイエースワイドミドルルーフをベース車に使用したバンコンで、ボディ外側への架装は無いため、見た目は通常のハイエースと変わらない。そのため、日常用途で使用しても目立つことはない。

また5x2mの一般的なパーキングに駐車できる他、車高は2100mmなので高さ制限のある駐車場にも入れる可能性が高いので、街中でも扱いやすい。

2列目に3人掛けマルチモードシートを配置し、フロントシートと3列目シートを合わせて計7名が前向き乗車できる。そのため日常ではミニバンのように使え、ロングドライブでも疲れることは無い。

後部に子供用のベッドを設置することができるので、ファミリーでの車中泊も可能。後部ベッド下は大きな収納スペースで、キャンプ用具など大きな荷物も積むことができる。


アピールポイント

・見た目がノーマルで日常使用で違和感がない
・5x2mの駐車枠にも収まりコインパーキングにも駐車できる
・スーパーGLが標準グレードで、乗用車同等以上のグレード感
・7名が前向き乗車でき、ミニバンのように使える
・大人3名+子供2名が就寝可能
・ミニギャレーも装備
・横開き冷蔵庫や電子レンジも装備可能


エクステリア

 ツアーズワイドSGLのエクステリア

ベース車はハイエースワイドミドルルーフバン。グレードはスーパーGL(SGL)が標準となる。

スーパーGLなので、ボディ同色バンパーやメッキグリル、メッキミラーなど外観はもちろん、オートエアコンや2人掛けフロントシートなど運転席周りも乗用車と同等以上のグレード感がある。更に自動ブレーキなどのTSS(Toyota Safety Sense)も標準装備される。


インテリア

 インテリアは様々な素材や色を選択できる

展示車のインテリアは上の写真のように落ち着いた色合いのシートだったが、色や生地を選択できる。もちろん家具色も選択可能だ。同社は自社工場で1台1台製作しているため、インテリアの自由度が高く、自分好みのインテリアを実現できる

照明はスポットライトが6個付いており、前部4灯と後部2灯を別々に調光できる。またスーパーGLなので室内はフルトリムされており、バンベースだが鉄板がむき出しということは無い。


レイアウト

2列目に1500mmで3名掛けのマルチモードシートを配置。3列目には固定単座シートが2脚設置され、2列目シートを後ろ向きにすると、最大6名でテーブルを囲むダイネットになる。後部は両側に家具があり、ギャレーが設置され、8ナンバー登録となる。

2列目シートを前向きにすると、計7名が前向き乗車できる。

後部の家具の上にベッドボードを展開すると、子供用のベッドになり、前部のダイネットベッドと合わせて大人3名+子供2名が就寝できる。

このレイアウトは、2列目に3人掛けマルチモードシートを持つため、ミニバンのように使えるのが特徴。3列目シートの間が空いているため後部への移動もスムースにできる。

二人での使用ももちろん可能だが、どちらかと言うと小さな子供がいるファミリー向けのレイアウトと言える。


ダイネット

 5名が対座できるダイネット

2列目シートを後ろ向きにすると、3列目のシートと対座ダイネットを形成する。もちろんテーブルも用意されているので、食事もできる。

なお、3列目シートの背もたれでシート間を埋めると、もう1名座ることができる。ただし移動中に座ることはできない。


ベッド

 ダイネットベッドでは大人3名が就寝できる

2列目と3列目のシートをフラットにすると、1800x1500mmのベッドになる。1500mmは家庭用ベッドではダブルベッドとクイーンベッドの中間の幅で、キャンピングカーの規定では大人3名が就寝できる。もちろん2名ならゆったり就寝できる。

 後部ベッドでは子供3名が就寝できる

また、後部のベッドボードを展開すると、1700x1000mmの大きさのベッドになる。これは1800mmに達していないので子供2名用と位置付けられている。

従って前後のベッドで大人3名と子供2名が就寝できることになり、子供のいるファミリーが余裕で車中泊できる。


ギャレー

 各13Lの給排水タンクが収納されているギャレーコンソール

ギャレーは後部右側に配置されている。ギャレーにはシンクとフォーセットが組み込まれているが、シンクに蓋をすれば、全体がカウンターとして使える。

下には各13Lの給排水タンクが収納されている。リアゲートを開けると、車外から直接出し入れすることができる。

 車外で使えるシャワーヘッドが用意されている

また、車外で使えるシャワーヘッドが用意されており、給水口にホースを接続して車外でシャワーを使うことができる。ペットの足を洗ったり、水遊びの後でシャワーを使うような場合に便利だ。

 ギャレー前の床下収納

なお、ギャレーの前には床下収納が用意されている。これはギャレー前に1600mmの高さを確保して8ナンバーキャンピング車の要件を満たすためのもので、もちろん収納として使うことができる。


冷蔵庫/電子レンジ

 12V電源が用意されているポータブル冷蔵庫設置スペース

冷蔵庫はオプションで18Lポータブル冷蔵庫が用意されている。設置場所も用意されており、12V電源ソケットも設置されている。このような細かいことはオーダー時についつい見逃してしまいがちで、ユーザーにとっては嬉しい配慮だ。ただ、冷蔵庫の固定方法についても提案が欲しいところだ。

 40L横開き式の冷蔵庫も装備できる(オプション)

また、15L上開き式や、40L横開き式の冷蔵庫もオプションで選択できる。横開き式の場合は製氷室があるので、冷蔵と冷凍が同時にできる。冷蔵食品を保冷しながら冷凍食品や製氷ができるので家庭の冷蔵庫のように使える。

 電子レンジもオプションで用意されている

更に、電子レンジもオプションで用意されており、後部右側のラックにすっきり収納することができる。横開き式冷蔵庫と電子レンジが装備できるので、長期旅で調理する場合にも対応できる。

なお、インバーターはオプションなので、電子レンジを選択した場合は1500Wのインバーターも選択すると、外部電源が無いところでもサブバッテリーで電子レンジを使うことができる。


多目的ルーム

ツアーズワイドSGLには多目的ルームは無いが、子供の急なトイレの要求に対応するため、後部ベッド下にポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。


収納

 ギャレー上の棚(オプション)

ハイエースワイドミドルルーフがベース車のため、本格的なオーバーヘッド収納を設置するのは無理だが、ギャレー上にちょっとした棚がオプションで用意されている。このままでは食器などを乗せると、運転中に落下する可能性もあるので、扉付きのオプションも欲しいところだ。

 3列目左側シート下の収納スペース

また、3列目左側シート下も収納スペースになっており、大きめのバッグなどを収納しておくことができる。

 後部両側の収納スペース

更に後部両側のラックにも大きな開口部の収納が用意されている。ただ、この形状はあまり使いやすそうには見えない。やはり下まで扉付きの収納が望ましいが、荷物を積んだ時にも開けられるよう、スライド扉が理想的だ。


空調

 エントランスステップ上に設置されたFFヒーター

暖房はFFヒーターをオプションで装備することができる。FFヒーターユニットは上の写真のようにエントランスステップ上に設置されるが、温風の吹き出し口が床上になっており、ベッド状態でもベッドボードの隙間から温風が上がってくる。

多くのモデルではFFヒーターの吹き出し口が横向きに付けられているため、ベッド状態にすると、ベッド下に温風が溜まってしまう。ツアーズワイドではこの問題を解決している。

残念ながら冷房のソリューションは提案されていない。しかし同社はやはりワイドミドルルーフの「北斗対座モデル」や標準ボディハイルーフの「ナロー銀河」にもセパレートエアコンを搭載しているので、ツアーズワイドSGLにも期待したい。


テレビ/ナビ

10型のフリップダウンモニターがオプションで用意されている。運転席、助手席の後部ルーフに取り付けることができる。またナビはオプションで設定されているが、好みのナビを取り付けることも可能だろう。


電装系

 3列目右側シートの下の電装系

3列目右側シートの下には電装系が収納されており、105Ahのディープサイクルバッテリー1個と昇圧式走行充電が標準装備される。また外部電源入力と、これによる充電機能も標準装備されるのは嬉しい。(多くのモデルでは充電機能はオプションになっている)

インバーターは350Wと1500Wのものが選択できる。いずれも正弦波対応なのでパソコンなど精密機器の充電もできる。インバーターを装備しておくと、外部電源が無いところでもサブバッテリーで100V家電を使うことができる。

電子レンジなど大電力を必要とする家電製品を使う場合は1500Wのインバーターが必要になる。この場合はサブバッテリーをもう1個増設(オプション)しておくことをお勧めする。

ソーラーシステムは215Wの薄型パネルを取り付けることができる。外部電源が取れない場合や災害時に役に立つ。


価格(2021年12月現在:千円台切り上げ:税込)

スーパーGL、ガソリン2WD/6ATの車両本体価格は521万円~、ガソリン4WDは552万円~、ディーゼル2WDは569万円~となっている。

付けておきたいオプションは、FFヒーター(231,000円)、インバーター(価格不明)、各種冷蔵庫が挙げられる。(ナビ関連は除く)できるだけシンプルな装備を希望する場合でも、車中泊するならこれらはほぼ必需装備だ。

また、長期旅で使用するなら上記に加え、電子レンジや横開き式冷蔵庫、追加サブバッテリーがあると車内で調理ができる。予算に余裕があればソーラーシステムもお勧めする。


他モデル

ハイエースワイドミドルルーフを使用したモデルは多数存在するが、対座ダイネットを持つ8ナンバーモデルで選択すると、ケイワークスのオーロラスタークルーズエバンス(599万円~)、ティピーアウトドアデザインのHJ200WSナチュラルデザイン(471万円~)、デルタリンクのバージルV1 EVO(440万円~)、リンエイプロダクトのワイドバカンチェス・ライルリッツ(価格不明)などが挙げられる。

これらは3列目シートに前向きシートを持ち対座ダイネットが形成できるが、3列目が横座り対座のモデルも多数存在する。


まとめ

ツアーズワイドSGLはシンプル装備から長期旅まで対応できる、マルチパーパス的なモデルだ。最低限の装備から横開き式冷蔵庫や電子レンジも装備できる。他のモデルでここまで追加装備できるモデルは少ない。

また、インテリアの自由度も同社の大きなアドバンテージだ。自社工場で手作りしているため、仕様の変更や追加が比較的自由にでき、自分好みのインテリアが構築できる。

ミニバンの代わりに日常使いできる、ファーストカーとしてのバンコンキャンピングカーを探しているなら、ツアーズワイドSGLは最適なモデルのひとつだ。


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ZERO

ナロー銀河

     

モデル ツアーズワイドSGL
ビルダー オーエムシー
ナンバー区分 8
乗車人数 7
前向き乗車人数 7
就寝人数 3+2(小)
エクステリア  
ベース車 ハイエースワイドミドルバンSGL
ルーフ架装 -
窓架装 -
レイアウト  
ダイネット形態 6名対座
マルチモードシート ○(2列目シート)
ベッド
ダイネット展開ベッド
後部ハイマウントベッド(子供用)
常設ベッド -
ダイネットベッドサイズ(mm) 1800x1500
ハイマウントベッドサイズ(mm) 1700x1000
ギャレー  
コンロ ○(卓上型カセットタイプ)
シンク
給水タンク ○(13L)
排水タンク ○(13L)
冷蔵庫/設置スペース OP(ポータブル/○
OP(15L上開き)/○
OP(40L横開き)/○
電子レンジ/設置スペース OP/○
多目的ルーム  
有無
防水処理 -
トイレ -
シャワー設備 -
シャワー用給排水タンク -
温水設備 -
手洗い -
空調  
ベンチレーター -
FFヒーター OP
家庭用エアコン -
電装系  
サブバッテリー ○(105Ah x1)
バッテリー増設 OP
リチウムバッテリー -
走行充電システム ○(昇圧)
外部100V入力/充電 ○/○
インバーター OP(350W/1500W各正弦波)
ソーラーシステム OP(215W)
発電機 -
ナビ/テレビ  
ナビシステム OP
テレビ OP(10型フリップダウン)
サイズ  
全長(mm) 4,840
全幅(mm) 1,880
全高(mm) 2,100
価格 (税込)  
ガソリン 2WD 6AT 521万円~
ガソリン4WD 6AT 552万円~
ディーゼル 2WD 6AT 569万円~

2021年12月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税込)

動画はこちら

2021.12.28