オルカ(ORCA)は、ロータスRV販売が販売する、いすゞトラヴィオをベース車にした、全長5mを切るキャブコンキャンピングカー。
同社は軽バンコン、ハイエースバンコン、タウンエースキャブコンの3モデルをラインアップするキャンピングカー販売会社で、マツダボンゴをベース車にしたマンボウシリーズで知られている。
オルカは、NTB(日本特殊ボディ)からOEMを受けるモデルで、NTBのエクスペディション ストライカーと内容は同じ。
マンボウシリーズはベース車の生産終了により、同様に生産終了となるが、オルカは本格的なキャブコンモデルの後継としての位置付けにも見える。ベース車のトラヴィオは年代を重ねるカムロードの対抗モデルで、普通免許で運転できるディーゼル車があるのが特長。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
いすゞトラヴィオをベース車にする、全長5mを切るキャブコンキャンピングカー。全幅も1800mmと狭く、車幅を気にせず運転しやすい。また、3.5t未満なので、ディーゼル車が普通免許で運転できるのも、カムロードに無いアドバンテージになっている。
シェルはオールアルミ製で大幅な軽量化を実現している。またキャブとシェルは結合しておらず、ねじれによる接地性を高める設計になっているため、オフロードでの走破性能の向上を図っている。
インテリアは外観に合わせたモノトーンでまとめられており、精悍な室内を演出している。対座ダイネットを展開するベッドとバンクベッドで計6名が就寝可能。
ギャレーには横開き式冷蔵庫と電子レンジが標準装備され、家庭用エアコンも標準装備。FFヒーターはオプションで設置できる。
電装系は「シンプル電装モデル」と「スタンダード電装モデ」ルが選択でき、シンプル電装モデルではポータブル電源を使用する。またスタンダード電装モデルではオプションでリチウムイオンバッテリーを搭載できる。
アピールポイント
・先進のいすゞトラヴィオをベース車に使用
・普通免許で運転可能
・5x2mの駐車枠に収まるコンパクトなボディ
・オフロードでの走破性を重視した設計
・オールアルミの軽量化シェル
・家庭用エアコン標準装備
・リチウムイオンバッテリーを搭載可能(OP)
ベース車とエクステリア

オルカのエクステリア
ベース車はいすゞ「Travio(トラヴィオ)」。このベース車は「Be-cam(ビーカム)」の下位モデルの位置付けで、3.5t未満のため、普通免許で運転できるディーゼル車として、カムロードに無いアドバンテージを持つ。ただし、2WDのみで4WDは無い。
全長は5mを切り、全幅も1800mmと狭いため車幅を気にせず運転できる。シェルはオールアルミ製で大幅な軽量化を実現するとともに、キャブとシェルを結合せず、ねじれを生かして接地性を高めている。キャブとシェルはオプションの開口部で行き来することができる。
インテリア

モノトーンのインテリア
インテリアカラーはエクステリア同様、モノトーンのシックでお洒落な室内となっている。照明はスポットライトと間接光の組み合わせで、モダンなトーンに仕上がっている。右サイドにはインテリアボードが設置されており、収納を兼ねたインテリアになっている。
レイアウト

オルカのレイアウト
エントランスは車体の最後部にあるバックエントランスを採用。トラックキャンパー(トラキャン)では一般的なレイアウトだがキャブコンでは希少だ。
特長はリアエントランスと同様に、前部に広いダイネットを設置できることだが、オルカでは4名対座のダイネットのみを置き、右側は通路のまま残している。これにより右側に広い通路ができ、前後の移動がスムースになっている。
エントランスのすぐ横にギャレーを設置しているが、ダイネットとは隔離されているため、調理した食事をダイネットに運ぶ必要があり、またダイネットのメンバーと対面してコミュニケーションが取れないのが難点ではある。
なお、キャブとシェルが接合されていないため、そのままでは直接行き来できない。オプションで行き来するための扉を設置できる。
ダイネット

2名対座のダイネット
ダイネットには4名が対座できる。テーブルは広く、4名での食事も問題ない。両側に大きなアクリル2重窓があるため、パノラミックな景色が楽しめる、明るいダイネットになっている。
ただし、キャブとシェルが区切られているため、走行中に前が見えないという大きな問題点がある。両サイドに大きな窓があっても、やはり前が見えないというのは何か不安だし、キャブの乗員とコミュニケーションが取れないのもマイナス点だ。
ベッド

ダイネットベッド
ダイネットを展開すると、 1850x1650mmのベッドになる。 家庭用ではクィーンベッド以上の幅に相当し、3名が就寝できる。

バンクベッド
バンクベッドは金属製のフレームを引き出し、マットを乗せてセットする。フレームは簡単に引き出すことができ、大きな力は必要ない。バンクベッドの大きさは1900x1600mmで、こちらもクィーンサイズベッドと同じ大きさ。ここでも3名が就寝できる。
ギャレー

ギャレーセクション
ギャレーはエントランスを入ってすぐ左側に配置されている。L型の天板にはシンクとフォーセットが設置されている。コンロは常設ではなく、カセットコンロやIHコンロを置いて調理する。

シンクの下の給排水タンク
シンクの下には各20Lの給排水タンクが収納されている。車内の扉を開けて出し入れできるが、車外にも扉があり、直接出し入れすることができるので大変便利だ。(車外の扉は収納の項参照)

ギャレー上部の収納
ギャレー上部にオーバーヘッド収納が設置されている。食器や調理用具を収納しておくのに便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ

57L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は57L横開き式が標準装備される。冷凍室もあるので、製氷や冷凍食品の保冷と、飲み物や食品の保冷が同時にできる。
冷蔵庫は12Vで動作するので、スタンダード電装モデルではそのまま給電できるが、シンプル電装モデルではポータブル電源の100V出力を利用する(12V出力もあるが容量が対応できない)。その場合100Vを12Vに変換するAC/DCコンバーターを使用するが、これは標準装備されている。

電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。スタンダード電装モデルはサブバッテリーで駆動する場合は、12Vを100Vに変換するオプションの1500W正弦波インバーターを選択する必要がある。シンプル電装モデルではポータブル電源の100V出力を利用する。
多目的ルーム
オルカには多目的ルームは設置されていない。緊急用にポータブルトイレを乗せておくことはできるが適切な収納場所は無いので、現実的ではないだろう。
収納

オーバーヘッド収納
右サイドにはオーバーヘッド収納が設置されている。ギャレーの背面でもあるので、食器や調理用具を収納するのにも便利だ。
空調

ダイネット上部に設置された家庭用エアコン
家庭用エアコンがダイネットの上部に標準で設置される。スタンダード電装モデルではオプションのリチウムイオンバッテリーは必須。シンプル電装モデルでは少なくとも2400Whの容量のポータブル電源をお勧めする。FFヒーターはオプション。
テレビ/ナビ
24型テレビモニターがオプションで用意されている。またナビもオプションで用意されている。もちろん好みのナビを取り付けることは可能だ。
電装系
スタンダード電装モデルでは、100Ahのディープサイクルバッテリーが1個標準装備されるが、このままでは実用性は無い。増設する方法もあるが、家庭用エアコンが標準装備されているので、オプションの300Ahか400Ahのリチウムイオンバッテリーを選択することをお勧めする。
走行充電、外部100V電源入力は標準装備されるが、外部電源による充電機能(チャージャー)、1500W正弦波インバーターはオプション。これらも装備することをお勧めする。
シンプル電装モデルでは、ポータブル電源をユーザーが購入するカタチで設置する。設置費用は無料となっている。ポータブル電源への走行充電、100Vから12Vへのコンバーター、外部100V電源入力は標準装備される。エアコンなど100V機器へは100V出力から給電する。
ソーラーシステムは、スタンダード電装モデルは600W、シンプル電装モデルではEcoFlowのソーラーシステム(各種)がオプションとして用意されている。
価格(2025年6月現在:千円台切り上げ:税込)
ディーゼル2WDシンプル電装モデルは1034万円~、スタンダード電装モデルは1070万円~となっている。
付けておきたい必需オプションは、スタンダード電装モデルでは、外部100V電源による充電機能(チャージャー)、1500W正弦波インバーター、FFヒーターが挙げられる。また、シンプル電装モデルでは、ポータブル電源の他に、FFヒーターが挙げられる。(ナビ関連は除く)
予算に余裕があれば、是非ソーラーシステムも設置しておきたい。特に自宅のカーポートで充電できない場合は、駐車中にも充電できるので便利だ。
他モデル
トラヴィオを使用するモデルはNTBのKAGAYAKIとHAYATE、キャンパー鹿児島のタビークスジュニアがあるが、トラヴィオを使用したオフロードモデルは本家のエクスペディションストライカー以外見当たらない。
オフロード志向のキャブコンモデルとしては、バンテックのアストラーレGX4が挙げられる。これはトヨタ ハイラックスをベース車にしたモデルだが、オルカ同様バックエントランスを採用し、レイアウトも良く似ている。
まとめ
オルカは、オフロードの走行性を重視したキャンピングカーという点でニッチなマーケットを狙ったものだが、そのような価値感を求めるユーザーには適したモデルだろう。
キャブとシェルが接合されてなく、行き来する機能がオプションというのも、一般的なクルマ旅でキャブコンを使うユーザーにはなじみが薄い感覚だ。
しかし、最新鋭のトラヴィオがベース車で、普通免許で運転できるディーゼル車という点は大きな魅力だろう。価格的にはカムロードに比べて高くなるが、それに十分見合う魅力がある。
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