4-3-2. いすゞ ビーカム


スタンダードキャブコンのベース車は、トヨタカムロードがほぼ独占していました。そのような状況に対抗すべく、2012年にいすゞから新しいキャンピングカー専用シャシーが発表されました。それがBecam(ビーカム)です。


ビーカムは、キャブとシャシーのみの半製品の形で出荷され、キャンピングカービルダーでキャンピングカーに仕上げられます。従って、カタログには載っておらず、販売店などで一般向けに販売されることはありません。

ビーカムは、新しく発表されたこともあり、カムロードとは異なったコンセプトも持っています。その代表例が全車後輪ダブルタイヤを採用していることです。
キャンピングカーは、特にスタンダードキャブコンのクラスでは、居住部が大型化し、重量が増加しがちです。その結果、重心が高くなり、安定性や操縦性に影響が出てきます。また、タイヤバーストなどが発生し易くなり、最悪の場合横転事故につながります。これを避けるのに最も効果的な方法のひとつは、後輪ダブルタイヤです

更に、ビーカムではリーフスプリングの改良により、乗り心地の改善も図っています。キャブコンキャンピングカーは、どうしても商用車やトラックベースになりますので、乗り心地が良いとは言えません。人が乗るキャンピングカーへの転用では、乗り心地の改善は重要です。

また、iCOOLと名付けられた専用エアコンも同時に開発されています。家庭用エアコンと同じような形をしていますが、24V車載専用で設計されているため、キャンピングカーに搭載した場合の信頼性にもアドバンテージがあります。

エンジンは、3Lターボディーゼルのみ。
2WDと4WDが選択でき、2WDはFRです。
また、ミッションはエルフで採用されている、スムーサーExと呼ばれる電子制御式オートマチックで、マニュアルながらオートマチックのようなシフトができるものです。

このように、カムロードに比べて多くのアドバンテージを持つビーカムですが、ウイークポイントを上げるとすると、その価格です。ユーザーが見るのは架装後で、ベース車の価格差は分かりませんが、同じようなレベルのモデルを比べると、やはり割高感があります。
当初はエートゥゼット(AtoZ)もアルビオンとアラモで採用していましたが、現在は生産を終了しています。現在は唯一NTB(日本特殊ボディ)のみがビーカムを採用しています。

 

前の記事  ⇧ 目次  次の記事