ノルンはネストツールズが製作する、日産NV200バネットをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社は埼玉県入間市に本拠を置くビルダーで、ハイエーススーパーロングべ―スのラミータ、アルタイル、そしてこのノルンの3モデルをラインアップしている。
ノルンは同社初のNV200 バネットベースのコンパクトバンコンで、スーパーロングが主流だった同社のラインアップに、コンパクトバンコンが追加された。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
日産NV200バネットをベース車にするバンコンキャンピングカー。ギャレーを持つ8ナンバー登録モデルながら、冷蔵庫や電子レンジはオプション設定されておらず、日常用途を中心とした使用を想定している。
2列目に3名掛けのマルチモードシートを設置しているため、乗用車と同じように5名が前向き乗車ができる。しかし、ダイネットを展開すると2名が就寝できるベッドになり、ちょっとした仮眠や災害時のシェルターとして使用できる。
オプションで車載用クーラー、FFヒーター、リチウムイオンバッテリーが装備できるため、エンジンを止めていても快適な室内環境が期待できる。
日常用途に使いながら短期のクルマ旅や、万一の災害時に備えてシェルターとなるキャンピングカーを低価格で求めるユーザーに適している。
アピールポイント
・コンパクトなベース車で、日常用途で運転しやすい
・前向きに5名が乗車でき、乗用車と同じように使用可能
・ベッドで足を伸ばして就寝することができる
・ギャレーで洗面や食器を洗うことができる
・クーラー、FFヒーター、リチウムイオンバッテリーを搭載でき、エンジンを停止しても冷暖房が可能
・低価格
ベース車とエクステリア
ノルンのエクステリア
ベース車は日産NV200バネットで2WDと4WDが選択可能。グレードはDXとGXが選択できる。上級グレードのGXでは、ボディ同色バンパーやUVカット断熱プライバシーガラス等が標準装備される(グレード別装備表はこちら)。
ボディ外側への架装は無いので、見た目はノーマルのNV200バネットと変わらない。ギャレーを搭載しており、8ナンバー登録となる。
インテリア
ノルンのインテリア
展示車は上の写真のようなインテリアカラーだったが、オプションでシート地と家具色を変更することができる。
右サイドのスポットライト
照明は右サイドにバーライトとスポットライトが設置されており、スポットライトはスライドして位置や角度が変更できる。
後部左サイドのボード?
後部左サイドは窓埋めされているが、ここはベンチシートの背もたれにもなる。インテリアボードのような使い方ができるかもしれない。
レイアウト
ノルンのレイアウト
2列目に3名掛けのマルチモードシートを配置し、前向きにすると運転席、助手席を合わせて5名が前向き乗車できる。このモードでは、日常用途で乗用車と同じように使用することができる。
2列目シートを後ろ向きにすると、後部左側のベンチシートとで、L字型のダイネットになる。右サイドにはギャレーキャビネットが設置されている。
シートを全てフラットにすると、2名が就寝できるベッドになる。このレイアウトは多くのモデルが採用しているが、ギャレーキャビネットがあるため、足元は多少窮屈になるのが短所ではある(ベッドサイズはベッドの項参照)。
ダイネット
小さなテーブルはオプション
2列目シートを後ろ向きにすると、後部のベンチシートとでL字型のダイネットになるが、上の写真のようにベッドマットを一つ置いてコの字型にすることもできる。オプションで小さなテーブルが用意されている
ベッド
ベッド
シートを全てフラットにすると、1850x1200mmのベッドになる。1200mmの幅は家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当する。足元はギャレーキャビネットがあるため、多少狭くなる。
ギャレー
ギャレーキャビネット
ギャレーは右サイド後部に配置されており、天板にはシンクとフォーセットが設置されている。調理面は広く、カセットコンロを置いて調理することも可能だ。
シンクの下の給排水タンク
シンクの下には各12Lの給排水タンクが収納されている。リアゲートを開けて車外から直接給排水タンクを出し入れすることができる。
ギャレーキャビネットの上部
ギャレーキャビネットの上部は大きく開くようになっている。一見上開き式冷蔵庫が設置できるのかと思ってしまうが、冷蔵庫はオプション設定されていない。収納でもないようで、給排水タンクのセッティングをやりやすくするためのものかもしれない。このスペースはうまく使って収納も欲しいところだ。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫も電子レンジもオプション設定は無い。シンプル装備に徹しているようだ。冷蔵庫が必要な場合はポータブル冷蔵庫を持ち込むと良いだろう。
収納
ベッド下収納
左サイドのベンチシートの下が収納に見えるが、ここは電装系を収納しており、荷物の収納としては使えない。即ち、荷物の収納スペースは、特に用意されていない。唯一、ベッドモードにした場合、通路部分が収納として使用できる。
空調
ギャレー上部に設置された車載用クーラー(OP)
車載用12Vセパレートクーラーがオプションで用意されており、選択するとギャレーキャビネットの上部に室内機が設置される。200Ahのリチウムイオンバッテリーもオプションで用意されているので、エアコン設置時はこちらも選択することをお勧めする。
FFヒーターもオプションで用意されている。春や秋にも使用する機会が多く、ほぼ必需装備なので、こちらも装着しておくと良いだろう。
テレビ/ナビ
テレビはオプションリストに無いが、フリップダウンモニターなどは多数市販されている。またナビは、「SDメモリーナビ フルセグモデル」がオプションで用意されているが、好みの機種を装着することができるだろう。
電装系
標準では、105Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電、それに外部100V電源入力が装備されている。 追加サブバッテリー、外部電源入力用チャージャー、450W/1700Wインバーター、200Ahリチウムイオンバッテリーはオプションで用意されている。
ソーラーシステムはオプションリストに無いが、災害時の電力確保という面ではあっても良いかもしれない。
価格(2025年10月現在:千円台切り上げ:税込)
DX 2WDは393万円~、GXは414万円~、DX 4WDは426万円~、GXは451万円~となっている。
付けておきたい必需オプションは、FFヒーター(253,000円)、外部電源用チャージャー(70,400円)、1700Wインバーター(165,000円)が挙げられる。(ナビ関連は除く)
また、車載用クーラー(719,000円)と200Ahリチウムイオンバッテリー(326,700円)は高額ではあるが付けておきたい。
他モデル
NV200バネットベースのバンコンは各社から多数発売されているが、シンプルさを謳ったモデルではFOCSルソ(407万円~)がある。これはNV200バネット16X-2Rグレードのワゴンをベース車にしたモデルで、ギャレーは無く5ナンバー登録となっている。
ベッドサイズを重視するなら、キャンピングカー広島のポップ・コン キャンパーR ジュニア(468万円~:GX:2WD CVT)がある。こちらはポップアップルーフバージョンもあるので、ファミリーでの車中泊も可能だ。
ハイグレードモデルなら、アネックスのカヌレ(477万円~:2WD CVT:車載用クーラー+200Ah相当リチウムイオンバッテリー付き))がある。こちらはGXグレードで8ナンバー登録となっている。ポップアップルーフバージョンも選択できる。
まとめ
ノルンはキャンピングカーとしての用途よりも、日常用途をメインに使い、サブ的に短期間の車中泊やキャンプに使用したり、災害時のシェルターとして使用するという使い方が適したモデルだ。
従って、装備やインテリアがシンプルであるのは欠点ではなく、用途に見合ったものと言える。一般的な乗用車と比べれば、運転席周りの機能や高級感では見劣りがするが、手足を伸ばして就寝できるベッドやエンジン停止時も使えるクーラーやヒーターは、乗用車には無い機能だ。
短所を挙げておくと、収納が少ない点が挙げられる。コンパクトなボディなので収納スペースを取るのが難しいが、例えばギャレーキャビネットやベンチシートの下は、うまくすれば使いやすい収納になるだろう。
しかし、日常用途に使えて、かつ足を伸ばして寝られる車をできるだけ安価にというユーザーには最適なモデルのひとつと言える。
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