リビングストーンKJは、イタリアのローラーチームが製作する、フィアットデュカトをベース車にした輸入バンコンキャンピングカー。国内へはフジカーズジャパンが輸入し、販売している。
ローラーチームはイタリアのビルダーで、フランスのアウトドア製品大手のトリガノの翼下。ちなみにスロベニアのアドリアもトリガノの翼下の一つだ。
ローラーチームはデュカトベースのフルコンやキャブコン、バンコン（キャンパーバン）を製作しており、日本ではフジカーズジャパンが正規代理店となっている。
リビングストーンはローラーチームのバンコンのシリーズ名称で、日本へはリビングストーン5、リビングストーンK2と、このリビングストーンKJが輸入されている。
（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）
概要
イタリアのビルダーであるローラーチームが製作する、フィアットデュカトをベース車にした輸入バンコン。日本ではフジカーズジャパンが輸入販売を行っている。
リビングストーンKJは「フジカーズジャパンとローラーチームが日本国内向けに共同開発した特別モデル」とされている。ベース車は5410mmと最短の車長で、国内での取り回しも比較的楽にできる。
レイアウトはリビングストーンK2をベースに日本市場向けにモディファイされている。
アピールポイント
・コンパクトながらハイエーススーパーロングより大きいボディサイズ
・高い天井高と広い車幅で、余裕のある室内
・国内用途に最適化した装備とレイアウト
・標準で4名が乗車、就寝でき、ファミリー使用にも対応
・車載用DCクーラーとリチウムイオンバッテリーをオプションで設置可能
ベース車とエクステリア
リビングストーンKJのエクステリア
ベース車はフィアットのデュカト。ボディサイズはL2H2で、車長は5410mm。ハイエーススーパーロングが5380mmなので、デュカトでは最も小さいサイズながらハイエーススーパーロングよりも長い。
また、車幅は2050mmで、ハイエースワイドボディの1880mmに比べて170mm広い。リビングストーンKJは日本向けに仕上げられたモデルだが、エントランスは残念ながら他の輸入車同様右側のままとなっている。
エンジンはディーゼル 2200/140HP。多くの輸入モデルは180HPバージョンが標準装備されているので、この点においてリビングストーンKJは価格的に有利になっている。動力性能が懸念されるが、運転にストレスを感じることは無いようだ。
ミッションは9速AT。なお、デュカトには4WDは無く、2WDのみとなっている。
運転席上部とダイネット上部に設置された大きなスカイウインドウとベンチレーター
運転席周りの窓を除き、後部の窓は全てアクリル2重窓になっている。各窓には網戸とシェードが組み込まれている。また、運転席上部とダイネット上部には大きなスカイウインドウ（OP)とベンチレーターが付いているのも特徴だ。
インテリア
リビングストーンKJのインテリア
インテリアカラーは欧州車らしいナチュラルトーンでコーディネートされている。家具色やシートカラーの選択に関しては記述が無い。
レイアウト
レイアウトは欧州車では極めて一般的なもので、デュカトでおなじみの回転する運転席、助手席と2列目シートで形作るダイネット、ギャレー、多目的ルーム、そして後部の横置き2段ベッドのレイアウトとなっている。
乗車人数は2列目シートに2名とフロントシートの2名で計4名。全員が前向き乗車できる。また、後部2段ベッドは各段に2名が就寝できるので、就寝定員は4名となっている。即ち、4名のファミリーが前向きに乗車でき就寝できる、ファミリー向けのレイアウトだ。
ダイネット
運転席と助手席が回転して対座ダイネットになる
デュカトでおなじみだが、運転席と助手席が回転して、2列目シートとで対座ダイネットになり、4名でテーブルを囲める。
テーブルは折り畳んで小さくでき、立ったり座ったりする場合に邪魔にならない。状況に応じて、広げて面積を広くすることができる。
ベッド
各段2名が就寝できる後部ベッド
最後部に常設横置き2段ベッドを設置している。ベッドサイズは上段が1800x1200mm、下段が1850x1300mm。家庭用セミダブルベッドの幅が1200mmなので、これと同等以上の幅がある。
身長方向が1800mmあるいは1850mmなのはデュカトにしては短い感じがするが、リビングストーンK2では1900mmとなっている。いずれにしても長身のユーザーは実際に横になって確認すると良いだろう。
ギャレー
常設2口コンロが標準装備される
ギャレーはエントランス近くに設置されており、シンクと常設2口コンロが標準装備されている。多くの国産のバンコンは（一部のキャブコンでさえ）常設コンロを持たないので、調理をするユーザーには嬉しいポイントだ。
ギャレーキャビネットの引き出し収納
ギャレーキャビネットには3段の引き出し収納があり、カトラリーや食器、調理用具を収納しておける。
冷蔵庫/電子レンジ
85L両開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は85L横開き式が、ギャレーキャビネットのエントランス側に標準装備される。この冷蔵庫は左右どちらからでも開くことができる両開き式で、車内からでも車外からでも容易にアクセスすることができる。
輸入モデルにはよくあることだが、電子レンジは標準装備ではなく、また収納スペースが用意されていない。国産モデルのように、展示車に電子レンジが装備されていることは少なく、オーバーヘッド収納の一部などを潰して収納するため、とってつけた感じが否めない。
リビングストーンKJも電子レンジはオプション設定されており、どこにどのように設置されるのかは不明だ。日本向けなら電子レンジは標準装備で、すっきり収納して欲しい。
多目的ルーム
多目的ルーム
多目的ルームには写真のようなポータブルトイレの収納が用意されている。FFヒーターの吹き出し口も用意されている。
リビングストーンK2にある温水シャワーは、リビングストーンKJでは廃されており、温水シャワーは装備できない。しかし、90Lの給排水タンクや温水ボイラーは標準装備のまま残っている。
日本では温水シャワーの要望が少ないということで廃されたのかもしれないが、シャワーが無ければ90Lものタンクは不要だし、ボイラーも必需装備ではない。このあたりもシンプルにできれば良かったのだが。
ただし、シャワーとカセットトイレを廃し多目的ルームを小さくしたおかげで、リビングストーン2では一部幅が狭かったベッド（Max1300ｍｍ,Min1150mm）が改善され、幅は全て1300mmとなった。シャワーやカセットトイレよりも寝心地を優先した格好となっている。
収納
ダイネット上のオーバーヘッド収納
オーバーヘッド収納がダイネット上、ギャレー上、ベッドルームに設置されている。容量も大きく、車内が荷物で煩雑になるのを防ぐことができる。
後部ベッド下の収納
後部ベッド下は大きな収納スペースで、リアゲートを開けて車外から大きな荷物を積み込むことができる。
プロパンガスボンベの収納スペース
ベッド下左側のキャビネットにはプロパンガスボンベを収納するスペースが設けられている。ガスコンロはこのプロパンガスを使用し、カセットガスではない。カセットガスのように頻繁に交換する必要はないが、プロパンガスの充填は、国内では簡単ではないので注意が必要だ。
国内仕様であれば、このあたりもカセットガスに変更して欲しいところだ。
空調
車載用セパレートクーラーを標準装備
トルマコンビ4D（軽油仕様）が標準装備される。これは暖房はFFヒーターと温水ボイラーの両方の機能を持つもので、暖房にはこれを使用する。
冷房のソリューションは国内で用意されており、DCエアコンがオプション設定されている。これもどこにどのように取り付けられるのか不明だ。リチウムイオンバッテリーがオプションで用意されているので、同時に装備したい。
テレビ/ナビ
19型のテレビがオプションで用意されている。これも展示車に取り付けられていなかったので、どこにどのように取り付けられるのか不明。各種ナビがオプションで用意されている。
電装系
標準では105Ahのディープサイクルバッテリーが1個、走行充電、外部電源入力と充電機能が標準装備される。オプションで追加サブバッテリーが用意されているので、このサイズのモデルなら、もう1個追加すると良いだろう。
しかし、このクラスのモデルにはクーラーを付けるユーザーが多いと思われ、その場合にはやはりオプションのリチウムイオンバッテリーを選択することをお勧めする。
リチウムイオンバッテリーは200Ahと400Ahが用意されている。200Ahでも省電力を心がければ対応できるが、テレビを長時間観たり、パソコンで仕事をしたり、クーラーを安心して長時間運転したい場合は400Ahをお勧めする。
その他、各種インバーターやソーラーシステムも用意されている。インバーターはリチウムイオンバッテリーとのセットで3000W正弦波のものがお勧め。ソーラーパネルは160Wのものがオプションで用意されている。
価格（2023年8月現在：千円台切り上げ：税込）
2WD、9ATで974万円～。デュカトには4WDや他のミッションは無い。
付けておきたい必需装備は、車載用クーラー（500,000円）、リチウムイオンバッテリー（200Ah：¥847,000円と400Ah:¥1,287,000のセット選択可能）、マックスファン（¥96,800円）が挙げられる。（ナビ関連は除く）
必要に応じて、電子レンジ（88,000円）、400Ahリチウムパック（1,320,000 )と160Wソーラーパネル（132,000円）、サイドオーニング（196,900円）等がある。
他モデル
デュカトベースで国内での使用に適したモデルは各社から多数発売されているが、リビングストーンKJに近いモデルはナッツRVのフォルトナ typeM（979万円～）が挙げられる。レイアウトはリビングストーンKJとよく似ているが、エントランスは左側。
後部にはセミダブルベッド大の常設ベッドが設置され、これはセカンドダイネットにもなる。更に電動で昇降する上段ベッドもオプションで用意されており、ファミリー用途にも対応できる。オプションで温水シャワーも設置可能だ。
なおフォルトナのエンジンは、ディーゼル2.2L/180HPが標準仕様となっている。リビングストーンKJよりも出力が大きい上位グレードだ。
まとめ
リビングストーンKJは、輸入モデルをできるだけ国内用途に適した仕様に変更しようとしたユニークなモデルで、欧州車のお洒落なインテリアと国内での使いやすさを融合させている。
しかし、実際にリビングストーン2から変更されているのは、カセットトイレと温水シャワーが廃されたことと、4名が乗車・就寝できファミリー対応になった点だけだ。そして価格はリビングストーン2より高価になっている。
一方、エントランスが右側、プロパンガスを使用、電子レンジの収納、エアコンの取り付けなどに関しては変更されておらず、日本で設計されたフォルトナが勝っている。
しかし、標準で4名が就寝できる点ではリビングストーンKJが勝っている。4名が就寝するためには、フォルトナは66万円もする電動上段ベッドを選択する必要がある。即ち、4名のファミリーで使用するなら、低コストで対応できるモデルと言える。
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