リビングトーン5は、イタリアのビルダー、ローラーチームが製作する、フィアットデュカトをベース車にするバン・コンバージョンキャンピングカー。日本へはフジカーズジャパンが輸入販売している。
同社はフランスのヨーロッパ最大キャンピングカーメーカーグループ、トリガノの傘下で、フルコン、キャブコン、そしてバンコンをラインアップしている。
リビングストーンは同社のバンコンラインアップのシリーズ名で、日本にはリビングストーン5の他、全長5410mmのリビングストーンK2、そして日本向けのレイアウトを施したリビングストーンKJが輸入されている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
フィアットデュカトをベース車にしたバンコンキャンピングカー。多くの欧州車と同様、前部にダイネット、中央にギャレーとサニタリールーム、後部にベッドルームのレイアウトを採用している。
全長が5995mmと6m近くあるため、後部のベッドは家庭用のダブルベッドに相当する幅があり、2段ベッドになっているため4名が就寝できる。
アピールポイント
・6m近い全長で余裕ある室内
・後部に常設2段ベッドを設置
・各段に2名就寝でき、ファミリーにも対応
・洗練されたインテリアデザイン
・豊富な収納
・カセットトイレ標準装備
・温水シャワーを標準装備
ベース車とエクステリア
リビングストーン5のエクステリア
ベース車はフィアットデュカト。全長は5995mmで6mを切る。ハイエーススーパーロングより長く、国内での機動性は良いとは言えないが、余裕のある室内空間になっている。
高い断熱性を確保している
後部の窓は全てアクリル2重窓になっており、また、アルミシートを貼ったポリエステル繊維を車内の壁面全面に施しており、高い断熱性を確保している。
デュカトは4WDはなく、2WDのみ。エンジンはディーゼル 2.2L/140HPで、オプションで160HPが選択できる。アドリアのツインシリーズやデスレフのクリフシリーズなどの輸入モデル、あるいは国内ビルダー製のデュカトは全て180HPなので、価格的な違いはこの点が大きい。
インテリア
ナチュラルトーンのインテリア
欧州車は洗練されたインテリアが特徴で、それが理由で購入するユーザーも多いが、リビングストーン5も違わず、欧州車らしいインテリアに仕上がっている。インテリアカラーの選択肢は表記されていない。
ダイネットの上部の大きなサンルーフ
ダイネットの上部には大きなサンルーフが2か所に標準装備されている。ツインでは最高グレードのスプリームにのみ2か所付いているので、リビングストーン5はお得感がある。
レイアウト
エントランスは右側になる。欧州モデルなので仕方のないことではあるが、ツインでは一部左エントランスも選択できるので、リビングストーン5でも望まれる。
レイアウトは欧州モデルの定番で、前部にダイネット、中央にギャレーとサニタリールーム、後部にベッドルームを配置。ベッドは2段ベッドで、各段に2名が就寝できるため、計4名が就寝できる。
2列目シートに前向きで2名が乗車できるので、4名が前向き乗車できる。即ち、ファミリーでのクルマ旅にも対応できる。
ダイネット
ラウンジソファのダイネット
デュカトベースのモデルでおなじみの運転席、助手席が回転して後ろ向きのダイネットシートとして使用できる。2列目の前向きシートとで4名が対座できる。テーブルは2重になっており、スライドして広くすることができる。
リビングストーン5ではさらに上の写真のように折り畳むことができ、2列目シートへのアクセスがしやすくなっている。
ベッド
後部の2段ベッド
後部ベッドは横置き2段ベッドで、大きさは、上段が1830x1320mm、下段が1850x1420mm。家庭用のダブルベッドの幅が1400mmなので、それに近い幅が確保されている。
ダイネットもベッド展開でき、大きさは 1700x 970mm。身長方向が1800mm達していないので子供用ベッドと位置付けられており、従って、就寝定員は大人4名+子供1名となっている。
ギャレー
常設2口コンロを標準装備するギャレー
多くの欧州バンコンモデルは通常常設2口コンロを標準装備しているが、リビングストーン5も同様で、常設2口コンロとシンクを装備している。なお、熱源はプロパンガスを使用する。
ギャレーキャビネットの収納
ギャレーキャビネットには3段の大きな引き出し収納が用意されており、食器や調理用具を収納しておける。欧州では滞在型の使用が一般的なため、車内で調理することが多く、従って充実したキッチンになっている。
ギャレー上部のオーバーヘッド収納
ギャレー上部にも大きなオーバーヘッド収納が設置されており、ここにも食器や調理用具を収納できる。
冷蔵庫/電子レンジ
80L3Way横開き式が標準装備される
冷蔵庫は80L 3Way横開き式が標準装備されており、ファミリーで使用する場合でも十分な食材を保冷しておける。
なお、電子レンジは国内で設置されるためオプションになっている。リビングストーン5に限らないが、多くの欧州バンコンでは電子レンジの設置スペースが用意されておらず、国内で収納するための工事が必要になる。この辺りは輸入モデルの面倒なところだ。
サニタリールーム
洗練されたインテリアのサニタリールーム
欧州モデルは洗練されたインテリアが特徴だが、サニタリールームは特にそれが際立つ部分だ。カセットトイレ、温水シャワー、専用手洗い、2面鏡、大きな収納など、家庭と変わらない快適さがある。
給排水タンクは各90Lあり、ファミリーでシャワーを使う場合でも十分な湯量を使用できる。湯はトルマコンビのディーゼルバージョンで給湯する。
収納
ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
収納も充実している。オーバーヘッド収納は先のギャレー上部に加え、ダイネット上部にも設置されており、大きな収納力がある。
ベッドルームの収納
また、ベッドルーム左側にもオーバーヘッド収納が設けられている。
冷蔵庫の下の収納
更に冷蔵庫の下やダイネットの床収納など、様々なところに収納が用意されている
ベッド下の大きな収納スペース
最後に、ベッド下は大きな収納スペースになっており、大きな荷物を車外から積み込むことができる。ベッドボードは取り外すと、自転車等も積み込み可能だ。
ベッド下両側も収納になっており、ここも大きな収納力がある。
空調
サンルーフは先述のようにダイネット上部にあるが、ベッドルームにも設置されているので、車内前後の通気性も確保できる。
暖房はCombi4Dが標準装備されるが、これはボイラー機能もあり、給湯もできる。冷房は12Vの車載用クーラーがオプションで設置できる。ただし、設置するスペースは用意されていないので、どこにどのように設置されるのかは不明。
日本のマーケットが小さいので難しいとは思われるが、ビルダーが家庭用エアコンを取り付けるスペースをあらかじめ用意してくれれば、苦労せずに取り付けられるのだが。
テレビ/ナビ
19インチテレビがオプションで用意されている。また、ナビも7インチ、あるいは10インチナビがオプションリストにあるが、好みのものを取り付けることができるだろう。
電装系
標準では105Ahのディープサイクルバッテリーが1個と、走行充電、および外部100V電源入力と充電機能が標準装備される。ただし、これでは機能不足なので、200Ah、あるいは400Ahリチウムイオンバッテリー、3000W正弦波インバーター、160Wソーラーシステムがオプションで用意されている。
価格(2023年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ディーゼル2.2L 140HP、2WDで998万円~。先にも書いたが、140HPなので、他の輸入モデルや国産デュカトベースのモデルに比べると非力だが、装備やクオリティを考えるとお買い得感は大きい。
付けておきたい必需オプションは、1500Wインバーター(165,000円)、追加バッテリー(71,500円)が挙げられる。
多くのユーザーはクルマ旅に使うと思われるので、この場合には、DCエアコン(550,000円)、リチウムイオンバッテリー+3000W正弦波インバーターのセット(847,000円)、電子レンジ(880,000円)、160Wソーラーシステム(132,000円)を装備しておきたい。
他モデル
6mに近い(いわゆるL3H2)のデュカトをベース車にする似たレイアウトのモデルでは、アドリアのツイン600 SPB GB(1363万円~)、サンリビングのV60SP FAMILY(1262万円~)、サンライトのクリフ601アドベンチャーエディション(1287万円)、トイファクトリーのダヴィンチ(1397万円~)等がある。
このうちV60SP FAMILYはエンジンが140HPでリビングストーン5と同じ、クリフ601アドベンチャーエディションは160HP、その他は180HPとなっている。
まとめ
リビングストーン5はエンジンが他と比べると非力ではあるが、1000万円以下の値札を付けたデュカトベースの欧州車という意味ではお買い得感がある。
右側エントランス、クーラーや電子レンジが後付け、プロパンガスなど不満点はあるが、それらは輸入車に共通するものだ。一方、洗練されたデザイン、温水シャワー、常設コンロのギャレー、豊富な収納、大きなサンルーフ等魅力的な面は多い。
国産のデュカトベースのモデルが多数発表されたが、輸入モデルも含めリビングストーン5のような安価で高品質のモデルは見当たらない。輸入モデルの中でも特筆できるモデルだ。
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