FOCSヴェルティスはフジカーズジャパンが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にするバンコンキャンピングカー。
同社は、全国に多数の販売店があり、Mobilvetta(モービルヴェッタ)やRoller Team(ローラーチーム)の欧州製モーターホームを輸入販売しているが、独自ブランドのバンコンキャンピングカーも生産している。
そのブランドがFOCS。Fujicars Original Camping Styleの略。同社のバンコンには全て頭にFOCSが付くが、FOCS Verticeは中でも最も新しいモデルだ。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエース スーパーロングをベース車にするバンコンで、2列目と3列目にマルチモードシートを配置するファミリー向けモデル。もちろん、二人使用にも対応する。
後部にハイマウントダブルベッドを配置し、スーパーロングでは最も一般的なレイアウトを採用している。多目的ルームは無いが、広い室内を実現している。
常設1口コンロや横開き式冷凍冷蔵庫を標準装備。電子レンジ、クーラー、リチウムイオンバッテリーもオプションで設置でき、クルマ旅にも適している。
アピールポイント
・7名が前向き乗車できる
・常設ダブルベッドで、二人旅ならダイネットを展開することなしに就寝できる
・4名就寝なので、ファミリーにも対応
・常設コンロ、横開き式冷蔵庫、電子レンジが装備でき、クルマ旅に対応
・クーラーとリチウムイオンバッテリーを装備できる(OP)
ベース車とエクステリア
FOCSヴェルティスのエクステリア
ベース車はハイエース スーパーロング特装車。ボディ外側への架装としては、右側に前方まで続くエクステンションウインドウを架装している。エクステンションウインドウには前部と後部にアクリル2重窓が装備される。
なお、エクステンションウインドウは、右側全面ではなく、後部のみの選択も可能。
インテリア
展示車のインテリア
展示車は濃い木目の家具とライトグレー系のシート地を採用していたが、家具色やシート地、カーテン、床材は4種類から選択できる。また、レザーシート加工もオプションで用意されている。
同社の家具で特筆できるのは、宮大工工法による高品質な家具。走行時の振動でも緩まない強固な家具を実現している。
照明はメイン照明の他、スポットライトと間接照明が付けられており、調光も可能。照明のスイッチは、エントランス右側にあるので、乗り降りする時にオンオフできる。
レイアウト
ハイエーススーパーロングでは最も一般的なレイアウトのひとつで、トイファクトリーのバーデンに代表されるレイアウトを採用している。このレイアウトは多目的ルームを持たないが、車内全体を見渡すことができ、広い室内が実感できる。
2列目のシートを前向きにすると、運転席、助手席、2列目に3名、3列目に2名で計7名が乗車できる。なお、GLパッケージではフロントシート間の助手席でもう1名乗車できる。
また、後部常設ダブルベッドがあるため、二人で使用する場合は、ダイネットをベッド展開することなく、すぐに就寝できる。ファミリーで使用する場合は、ダイネットも展開すると、ここでも2名が就寝できるので、計4名が就寝できる。
ダイネット
5名が対座できるダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、5名が対座できるダイネットになる。大人5名で座ると多少窮屈だが、子供連れのファミリーなら特に問題ない。
ちゃぶ台スタイルで寛げる
なお、ベッドモードにしてもテーブルがセットできるので、ちゃぶ台スタイルで寛ぐこともできる。
ベッド
後部の常設ハイマウントダブルベッド
後部の常設ハイマウントダブルベッドは、1850x1460mmの大きさ。1460mmは家庭用ではダブルベッド以上の幅があり、大人2名がゆったり就寝できる。身長方向もエクステンションウインドウのおかげて1800mm以上確保できている。
ダイネット展開ベッド
ダイネット展開ベッドは1900x1200mmの大きさで、こちらは家庭用セミダブルベッドの幅(1200mm)に相当する。
ギャレー
左側のカバーの下にガスコンロがある
ギャレーには常設1口ガスコンロと一体になったシンクがビルトインされている。常設コンロがあるので、カセットコンロをいちいちセットする必要が無い。
各19Lの給排水タンク
各19Lの給排水タンクはシンクの真下ではなく、少し離れた後部左側に収納されている。これにより、リアゲートを開けて車外から直接出し入れができる。
ギャレーキャビネットの引き出し収納
ギャレーキャビネットには引き出し収納が付いており、カトラリーや小さな食器の収納に便利だ。また、スパイスラックも設置されている。
冷蔵庫/電子レンジ
49L両開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は49Lのものが標準装備されている。この冷蔵庫は左右両開きで、車内からでも車外からでも冷蔵庫にアクセスできる。もちろん冷凍と冷蔵が同時にできる。
電子レンジはオプション
電子レンジは家庭用の100V仕様のものがオプションで用意されており、ギャレーキャビネットにビルトインされる。位置的にも使いやすい。
多目的ルーム
FOCSヴェルティスには多目的ルームは用意されていない。このレイアウトはそれが特徴でもあり、その代わり広い室内が実現している。なお、(不思議なことに?)同社のモデルには多目的ルームを持つモデルはない。
収納
オーバーヘッド収納が設置される
ダイネットの上とベッドの上にオーバーヘッド収納が設置されている。
ベッド下右側のキャビネット
また、ベッド下右側のキャビネットにも大きな収納があるが、扉が付いていないのは残念なところだ。
ベッド下は大きな収納スペース
ベッド下は大きな収納スペースになり、これがハイマウントベッドの大きな利点でもある。リアゲートを開けて車外から大きな荷物を積み込むことができる。また、ベッドボードを取り除けば自転車なども積むことができる。
空調
車載用セパレートクーラーはオプション
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。また冷房は、車載用12Vセパレートクーラー(CoolStar)が、これもオプションで設置できる。
なお、リチウムイオンバッテリーもオプションで用意されているので、クーラー設置時はリチウムイオンバッテリーも一緒に装備することをお勧めする。
テレビ/ナビ
19型のテレビをオプションで設置できる
19型のテレビをオプションで設置することができる。設置位置は2列目シートの上部になるが、この位置は少し高すぎるように思える。
電装系
標準では105Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電が装備されている。また外部100V電源入力と充電機能(チャージャー)も標準装備される。インバーターは400Wよ1500W(いずれも正弦波)がオプションで選択できる。電子レンジを選択する場合は1500Wが必要。
ソーラーシステムは180Wか、フレキシブル176Wを選択できる。
価格(2023年1月現在:千円台切り上げ:税込)
特装2WD/6ATで691万円~、同4WDで730万円~となっている。またディーゼルやDXグレードも選択できる。(価格は下の仕様表を参照)
付けておきたい必需オプションは、FFヒーター(225,000円)、クーラー(498,000円)、リチウムイオンバッテリー(385,000円)、マックスファンベンチレーター(76,500円)が挙げられる。クーラーとリチウムイオンバッテリーは高価だが、今や必需オプションと考えられる。
また、クルマ旅に使うなら、電子レンジ(28,000円)と1500W正弦波インバーター(135,000円)もほぼ必需装備だ。予算に余裕があれば、ソーラーシステム(130,000円)も挙げておきたい。
他モデル
同じレイアウトを持つモデルは、トイファクトリーのバーデン(665万円~)、デルタリンクのダーウィンQ3(700万円~)、甲和オートサービスのオールインレジェンド(756万円~)など多くが存在する。(常設ハイマウントダブルベッドを持つスーパーロングバンコン特集参照)
まとめ
FOCSヴェルティスは、豊富なハイエーススーパーロングバンコンのラインアップを持つ同社としてはむしろ今までなかった方が不思議なほどだ。ただ、他社モデルも多数存在するだけに、特徴が求められる。
その点、FOCSヴェルティスは、常設コンロ、横開き式冷蔵庫、エアコン、リチウムイオンバッテリーを装備することができ、クルマ旅に適したモデルだ。ダーウィンQ3、オールインレジェンドもその条件に当てはまるが、リチウムイオンバッテリーの記載はない。
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