FOCS FIKA(フィーカ)は、フジカーズジャパンが製作する、トヨタハイエースワイドミドルルーフをベース車にするバンコンバージョンキャンピングカー。
同社は東京都江戸川区を本拠地にするビルダーで、中古キャンピングカーの販売、欧州モーターホームの輸入販売を行っているほか、自社オリジナルモデル、FOCSシリーズも製作している。
FOCSシリーズのバンコンはハイエース標準ボディからスーパーロングまでラインアップしているが、ワイドミドルルーフでは、今回レポートするFOCS
FIKAの他、FOCS Ds L StyleとDs FStyleも存在する。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエース ワイドミドルルーフ ワゴンGLをベース車にしたバンコンキャンピングカー。ボディ外部への架装はない。レイアウトは、前部にギャレー、後部に横座り対座ダイネットの構成で、二人旅に適したレイアウトを持つ。
後部に広いスペースを持つのが特徴で、カーゴスペースとして使えるほか、ペットの遊び場としても活用できる。
オプションでFFヒーターや、車載用セパレートクーラー、200Ahのリチウムイオンバッテリーを装備でき、オールシーズンで快適な車内で過ごすことができる。
アピールポイント
・2x5mの駐車枠に収まる最大サイズのボディ
・横座り対座ダイネットで二人旅に適したレイアウト
・宮大工工法を採用した家具
・前部に設置されたL字型ギャレー
・最後部に広いカーゴスペース
・45L両開き式冷蔵庫を標準装備
・車載用セパレートクーラーを設置可能(OP)
・200Ahリチウムイオンバッテリーを搭載可能(OP)
ベース車とエクステリア

FOCS FIKAのエクステリア
ベース車はトヨタ ハイエース ワイドミドルルーフ。ワゴンGLなので、運転席周りはグレード感がある。ボディ外側への架装は無いので、見た目は通常のハイエースと変わらない。ガソリンの2WDと4WDが選択できる。
同社は特に断熱に力を入れており、「北海道断熱」と称して、高性能断熱に加え、オプションのセラミック塗装による断熱も付加している。これにより、冬場での暖房効率だけでなく、夏場での車内の温度上昇を極力抑えている。
インテリア

ダークな家具色ののインテリア
インテリアカラーは上の写真のようなダークカラーの家具と、下の写真のような明るい木目の家具を選択できる。

明るい木目の家具のインテリア
同社のモデルに共通する宮大工工法を採用しており、木材同士を溝とホゾで組み付ける事によって構造的な強度を何倍にも増すことができ、長年使用しても狂いが無く、軋みなどの発生も少ないとしている。照明はLEDのデザインライトが使用され、お洒落な印象の照明となっている。
レイアウト
前部にL字型のギャレーキャビネット、後部に横座り対座のダイネットの構成。広いダイネットは窮屈感が無く、室内全体を広く感じさせる。前向きのマルチモードシートが無いため、前後の移動もスムースだ。
ただし、運転席、助手席から後部への移動は、ギャレーキャビネットを乗り越える必要があり、少し移動し難いかもしれない。
ダイネット

横座り対座のダイネット
横座り対座のダイネットは二人ならゆったりと過ごせるほか、大勢での団欒にも対応できる。キャンプなどで別の車で来た仲間と車内で寛ぐといったことも可能だ。二人旅の場合は、それぞれが足を伸ばして寛いだり、横になったりすることができる。

フロアスタイルのダイネット
なお、上の写真のようにベッドモードでテーブルをセットすることもでき、フロアモードのダイネットで寛ぐこともできる。
ベッド

3名が就寝できるダイネットベッド
ダイネットを展開したベッドは、1920x1530mmの大きさ。 1530mmの幅は、家庭用ではクィーンサイズベッドの幅(1600mm)に近い広さで、3名が就寝できる。ベッド展開は、背もたれのマットを中央に移動するだけで、簡単にベッドセットできる。
ギャレー

前部のギャレーセクション
前部のギャレーキャビネットはL字型で、キャビネットの前のフロアは広く動きやすい。ただし、天井高が十分にないので、立って調理することはできない。

シンクの下の給排水タンクと収納
低い方のキャビネットにはコンパクトなシンクとフォーセットが設置されているが、天板の広さに対して不釣り合いなくらい小さなシンクだ。車内で食事をして食器を洗ったり、洗顔をすると言うことはあまり重点を置いていないようなシンクだ。

各10Lの給排水タンク
シンクの下には、各10Lの給排水タンクが収納されている。エントランスから近いので、タンクの出し入れは比較的容易に行える。タンク収納部の右側も収納になっている。
冷蔵庫/電子レンジ

45L両開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は45L両開き式が標準装備される。もちろん冷凍室もあるので、冷蔵と冷凍が同時にできる。両開きなので左右どちらからでも扉を開けることができるが、運転席からアクセスすることはできないので、両開きが必要かは疑問が残る。
電子レンジはオプションで設置できるが、どこに設置されるのかは不明。なお、1500Wインバーターはオプションなので、外部電源が無いところでも電子レンジを使いたい場合は、インバーターも設置する必要がある。
多目的ルーム
FOCS FIKAに多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。ただし、このレイアウトで子供が同行することはあまり無いと思われるので、その必要性は小さいかもしれない。
収納

左側のベンチシート下の収納
左側のベンチシートの下は大きな収納になっている。シートクッションを持ち上げなければならないので、あまりアクセス性は良くないが、収納力は大きい。

エントランス横からもアクセスできる
左サイドのベンチシート下の収納へは、エントランス横の扉からもアクセスできる。

エントランス横のシューズボックス
エントランスの反対側には、シューズボックスが用意されている。3段のシューズボックスで、二人分なら十分な大きさだ。
空調

車載用セパレートクーラーを設置可能(OP)
オプションで車載用セパレートクーラー(CoolStar)が設置できる。また、FFヒーターもオプションとなっており、年間を通して快適な室内が期待できる。クーラー設置時は、やはりオプションのリチウムイオンバッテリーも搭載することをお勧めする。
テレビ/ナビ
13.3V 型のフリップダウンモニターがオプションで用意されている。また、パナソニックのナビもオプションリストに用意されているが、好みのものを取り付けることができるだろう。
電装系
標準では105Ahのディープサイクルバッテリーが1個装備されているが、オプションでもう1個増設することができる。更に前述のように、200Ahのリチウムイオンバッテリーを選択することもできる。
その他の電装系では、走行充電、外部電源入力とチャージャーが標準装備されているほか、450Wと1500Wの正弦波インバーター、180Wソーラーシステムがオプションで用意されている。
価格(2025年1月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WDが438万円~、4WDが472万円~となっている。付けておきたい必需装備は、FFヒーター(247,500円)、マックスファンベンチレーター(79,750円)、1500W正弦波インバーター(158,400円)が挙げられる(ナビ関連は除く)
なお、できれば車載用クーラー( 547,800円)、200Ahリチウムイオンバッテリー(423,500円)、180Wソーラーシステム( 143,000円)も選択しておくことをお勧めする。
他モデル
ハイエースワイドミドルルーフをベース車にし、似たレイアウトを持つモデルとして、キャンピングカー長野のスペースキャンパーCOOL(価格不明)、アネックスのリコルソホームエアコン搭載モデル(665万円~)が挙げられる。
リコルソは上級モデルになるため、価格的には高価になるが、グレード感はFOCS FIKAに比べてワンランク上だ。
また、レイアウトは多少異なるが、同社のFOCS DS F StyleやFOCS Ds L Styleもあるが、これらのモデルにはクーラーがオプション設定されていない。
まとめ
同社には従来よりハイエースワイドミドルルーフベースのFOCS DS F StyleやFOCS Ds L Styleがあったが、これらにはエアコンのオプションが設定されていなかった。FOCS
FIKAはエアコンが搭載できるモデルとして、その需要を埋める役割もあるようだ。
ただし、ベース車の室内高やギャレーの作りなどを見ると、長期のクルマ旅と言うよりは、短期のキャンプや車中泊を伴うイベント参加と言った、シティキャンパー的な使用の方が適している。
クルマ旅なら、標準ボディだが天井高の高いFOCS Ds Compactの方がむしろ適しているだろう。FOCS Ds Compactにもクーラーがオプションで用意されるようになった。ただし電子レンジのオプションが用意されていない欠点はある。
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