T6900SBは、イタリアのビルダーEtrusco(エトルスコ)が製作するフィアットデュカトをベース車にするキャブコンキャンピングカー。日本へはトイファクトリーが輸入している。
エトルスコは2016年に設立されたハイマーグループの一員で、フルコンからバンコンまでラインアップしているビルダー。本国ではフォード トランジットのベース車もラインアップしているが、日本へは、デュカトベースのフルコンのI6900SB、キャブコンのT5900FB、バンコンのCV600BBとCV600DBを輸入している。
トイファクトリーはハイエースベースのバンコンで有名なビルダーで、2023年からは日本に正式輸入され始めたフィアット デュカトをベース車にしたバンコンも製作し始めている。
同社はまた、Euro Toyというブランド名で欧州のモーターホームの輸入事業も行っており、エトルスコ、ライカ、クナウスなどの日本総代理店のほか、ハイマー正規販売代理店ひとつでもある。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
フィアット デュカトをベース車にした、6950mmの全長を持つキャブコン。日本へはトイファクトリーが輸入している。前部に対座ダイネット、中央にギャレーとサニタリールーム、後部に縦置きツインベッドのレイアウトで、欧州車にはよくあるレイアウトとなっている。
輸入後にオプションで家庭用エアコンと300Ahのリチウムイオンバッテリーを搭載可能(OP)。
アピールポイント
・7m近い車長で広い室内
・縦置きツインベッド
・プルダウンベッドでファミリー使用に対応(OP)
・回転するフロントシートはダイネットのチェアに
・3口コンロを持つギャレー
・温水シャワーが使えるサニタリールーム
・家庭用エアコン設置可能(OP)
・300Ahのリチウムイオンバッテリー搭載可能(OP)
・豊富な収納と大きな外部収納
ベース車とエクステリア

Etrusco T6900SBのエクステリア
ベース車はフィアット デュカト 。輸入車なので。もちろん欧州仕様のデュカトだが、右ハンドルが標準となっている。欧州ではオプショングレードだが、日本に輸入されるモデルは最上級の180hpの出力バージョン。ミッションは9ATで、デュカトは2WDのみで4WDは無い。
このベース車にFRPパネルのシェルを架装する。エントランスは、残念ながら右側となっており、車道で乗り降りする場合は注意が必要だ。全長は6950mmあるので、日本ではやや運転し難いかもしれない。フェリー料金も割高になる。しかし、その分、室内は広く、天井高も2100mmあるので、車内で長時間過ごしてもストレスは少ないだろう。
インテリア

T6900SBのインテリア
濃い木目の家具色とグレーのシート地の組み合わせ。比較的落ち着いたトーンのインテリアになっている。照明はスポットライトが直接照明となっており、ギャレーやベッドルームには間接照明がアレンジされている。
フロントとリアにはサンルーフが標準装備されており、明るい室内になっている。
レイアウト

エトルスコ T6900SBのレイアウト
レイアウトは、前部に対座ダイネット、中央にギャレーとサニタリールーム、後部に縦置きツインベッドの構成。欧州モデルのレイアウトはほとんどパターンが決まっており、7m近い車長によりツインベッドが可能となっている。
ダイネット

フロントシートが回転するダイネット
これもデュカトベースのキャンピングカーに共通するものだが、運転席と助手席が回転し、ダイネットのシートとして使用できる。T6900SBには横座りシートも設置されており、2人掛けの2列目シートと合わせて5名でテーブルを囲める。
ベッド
エトルスコ T6900SBのベッドは、後部のツインベッドと、オプションのプルダウンベッドがある。オプションを選択しない場合は2名就寝、プルダウンベッドを導入すると計5名が就寝できる。

後部のツインベッド
後部の常設ツインベッドは、向かって左側(車両右サイド)が1950x800mm、向かって右側が1850x800mmの大きさ。家庭用のシングルベッドの幅(1000mm)には及ばないが、キャンピングカーのベッドでは平均的な幅だ。
中央にベッドマットを追加すると、2100mmの幅の大きなベッドになり、3名が就寝できる。

前部のプルダウンベッド
オプションのプルダウンベッドは電動式で、2000x1400mmの大きさ。上の写真のように、車幅方向に2名が就寝できる。
ギャレー

ギャレーセクション
左サイド中央にはL字型のギャレーが設置されており、天板には大きな丸形のシンクと3口コンロが設置されている。L字型で調理しやすそうだが、天板に調理スペースがもう少しあると使いやすいだろう。

ギャレーキャビネットの引き出し収納
ギャレーキャビネットには3段の引き出し収納が用意されており、最上部はカトラリーの収納ができる。シンク間rの引き出しはゴミ籠の収納になっている。ギャレーでは温水も使用できる。
冷蔵庫/電子レンジ

137L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は137L横開き式が標準装備されており、十分な容量がある。もちろん冷凍室もあるので、冷凍食品の保冷や製氷ができる。なお、電子レンジは国産のものを使用するためオプションとなっている。
サニタリールーム

サニタリールームのカセットトイレと手洗い
サニタリールームには、カセットトイレ、温水シャワー、専用の手洗い、収納が全て標準で設置されている。欧州モデルの場合、シャワールームがトイレルームと別に設置されているケースもあるが、エトルスコ
T6900SBの場合は、ウォールが回転してシャワールームになる。
収納
収納は各所に設置されており、十分な収納力がある。

ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
まず、ダイネット上部にはオーバーヘッド収納が設置されている。プルダウンベッドの下部に設置されている収納は、ベッドとともに下にダウンする。

クローゼット
広くは無いがクローゼットも設置されている。長いコートなども収納しておけるため、便利だ。

ベッド横の収納
ベッドサイドの左右にも収納になっており、比較的大きなものを収納しておける。また、ベッド下は大きな外部収納になっており、自転車等も積み込むことができる。
空調
暖房は、給湯用のボイラーはFFヒーター機能も備えている。冷房は日本で家庭用エアコンを設置するため、オプションとなっている。
テレビ/ナビ
テレビは19インチのテレビがオプションで用意されている。これも日本で取り付けられる。ナビは、好みのものを取り付けることができるだろう。
電装系
標準では95Ahのディープサイクルバッテリーが1個装備されている。その他の電装系では、走行充電、外部100V電源入力とチャージャーが標準装備される。
当然サブバッテリーはこれでは小さすぎるので、オプションの300Ahのリチウムイオンバッテリーを選択することになる。このサイズのキャブコンで家庭用エアコンや大型冷蔵庫を使用するので、もう少し大きな容量が望ましいかもしれない。
その他の電装系では、1500W正弦波インバーター と180Wソーラーシステムがオプションで用意されている。
価格(2025年1月現在:千円台切り上げ:税込)
デュカトはディーゼル2WDしか設定が無く、価格は1980万円~。オプションの価格は不明だが、家庭用エアコンやリチウムイオンバッテリーを追加すると100万円以上の上乗せとなるだろう。(ナビ関連は除く)
他モデル
デュカトベースの輸入キャブコンで7m以下のモデルを探すと、ローラーチームのゼフィーロ285TL(1605万円~)とアドリアモービルのマトリックス600SL、コーラル600SL、コンパクトDLあるいはSL(価格は不明)が挙げられる。
いずれもツインベッドを持つ同様のレイアウトを持つ。欧州モデルは、多くのビルダーやモデルが存在するが、レイアウトはいくつかのパターンに集約される。従ってレイアウト上の個性は出しにくく、インテリアや価格で選択してもほとんど問題ないだろう。
まとめ
輸入モデルを選択する場合は、幾つかの注意が必要だ。まず、ハンドルは右か左か、エントランスは左右どちらか。最近では右ハンドルが標準になっているモデルが多くなったが、残念ながらエントランスは右側のモデルが多い。
次に、エアコンとリチウムイオンバッテリー。エアコンは現地のルーフエアコンがオプションで用意されているものもあるが、やはり国産の家庭用エアコンが性能的には上だろう。ただし、これを取り付ける前提で設計されていないので、取り付け位置を確認する必要がある。
サブバッテリーは、標準では最低限のディープサイクルバッテリーしか付いていないので、リチウムイオンバッテリーを選択する必要がある。もちろんディープサイクルバッテリーを多く積むという手段もあるが、やはりリチウムイオンバッテリーが望ましい。
ガスについては、欧州モデルはガスボンベが標準だが、日本では充填の問題があるため、カセットガスに変更するのが一般的となっている。各ディーラーに確認いただきたい。電気についてはほとんどの場合、100V入力に対応している。
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