CV390はキャンパー鹿児島が製作する、ハイエース標準ボディ標準ルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社は車名の通り鹿児島に拠点を置くキャンピングカービルダーで、ハイエースをベース車にしたバンコンを中心にラインアップしている。
同社は早くから大容量リチウムイオンバッテリーを採用したモデルを開発し、先進的なモデルを世に送り出してきた。現在でも大容量リチウムイオンバッテリー「KULOS」を搭載したrem Forestがラインアップされている。
CV390はそのような装備充実モデルとは逆にシンプルさを追求しており、最小限の装備に留めた車中泊モデル。なお、同社のCKワイルダーも似たレイアウトで、ギャレーを持たないが、車載用クーラーを標準装備している。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエース標準ボディ標準ルーフをベース車にするバンコンで、ボディ外側への架装は無いため、見た目は普通のハイエースに見える。また、ノアやヴォクシーとほぼ同じボディサイズのため、運転もしやすい。
内部は、リアルウッドを貼り詰めたインテリアではないが、木目調を意識した落ち着いた室内になっている。ポータブル電源を標準装備し、室内の照明などのシステム電源としてプラグインできる。
アピールポイント
・シンプルな装備
・前向きに6名が乗車できる
・2列目シートを後ろ向きにしてL字型のダイネット
・ポータブルバッテリー標準装備
・後部は広いカーゴルームになりトランポとしても使用できる
ベース車とエクステリア
CV390のエクステリア
ベース車はハイエース標準ボディ標準ルーフDXグレード。このグレードでは、バンパーは黒い樹脂のままだが、この外観はこのモデルの性格に適しているかもしれない。GLパッケージはオプション(110,000円)で装着できる。
TSS(TOYOTASafety Sense)や助手席エアバッグも標準装備される。また電動格納ミラー (22,000円)やプライバシーガラス
(16,500円)はオプションとなっている。
インテリア
木目調のインテリア
リアルウッドを貼り詰めているわけではないが、木目調のインテリアを採用しており、落ち着いた車内となっている。
DXグレードの場合は、スライドドアやリアゲートなどの一部は鉄板のままなので、ボディ色が室内でも露出することになる。ボディカラーを選択する場合は、注意する必要がある。
レイアウト
2列目にマルチモードシート(1300mmREVOシート)を配置し、後部は横座りベンチシートを左側に設置している。また後部右側には収納キャビネットを配置しているが、ギャレーは装備されていない。
ベンチシートは跳ね上げることができ、後部は広いカースペースとして使用できる。自転車など大きな積載物も十分積むことができる。
計6名が前向き乗車できる
また2列目シートを前向きにすると、ここには3名が乗車でき、運転席助手席、およびその間の補助席と合わせて6名が前向き乗車できる。3点式シートベルトは2列目シートの両側と運転席、助手席で4名分が用意されている。
ダイネット
L字型のダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、後部のベンチシートとでL字型のダイネットを形成する。ただしテーブルは無いが、取り付けることは可能だろう。(オプションにはない)
折り畳みテーブル
展示車には折り畳みテーブルが乗せてあったが、ベッドモードにしてちゃぶ台スタイルのダイネットとすることももちろん可能だ。
また、後部のみベッドモードにしておくと、2列目シートをリクライニングし、足を伸ばしてて寛ぐことができる。
ベッド
シートを全てフラットにするとベッドモードになる
シートを全てフラットにすると、ベッドモードになる。ベッドサイズは表記されていないが、シートが1300mm幅なので、家庭用ならセミダブルベッドよりも広い。また身長方向もハイエースの荷室長が3000mm以上あるので、十分なベッド長が確保されているはずだ。
ギャレー
右側キャビネットの水タンク
CV390にギャレーは装備されていない。シンプルさを求めるユーザーには、備え付けのシンクやコンロは必要ないだろうし、必要に応じてポータブルコンロなどを使うことはできる。(もちろん換気に十分注意する必要がある)
なお、展示車には右側キャビネットの後端にキャプテンスタッグの水タンクが収納されていた。キャンプなどで観ずを使う場合、車外に持ち出せて便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫や電子レンジもオプション設定されていない。ただし、冷蔵庫は好みのポータブル冷蔵庫を持ち込めばよい。右側のキャビネットに12Vや100Vコンセントが用意されているので、荷室に積んでおいて電源を取ることができる。
多目的ルーム
CV390に多目的ルームはもちろん無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことは十分可能だ。ベンチシートの下に入るサイズのものがあれば、目につくこともない。小さな子供がいるファミリーでは重宝する。
収納
広いカーゴルーム
CV390には先の水タンクが収納されていた収納以外に独立した収納スペースは無いが、ベンチシートを跳ね上げると広いカーゴルームが出現する。その意味ではトランポとしても十分使えるだろう。ただし、自転車を積んだ場合、固定するフックなどはなさそうだ)
空調
FFヒーターはオプション設定されていない。また冷房のソリューションも用意されていない。従って、暖を取る場合はアイドリングをするしかないが、これは控えるべき。他の方法として、例えばポータブル電源と小型電気ヒーターや電気毛布の使用が考えられる。
またベンチレーターもオプションリストにないが、装備することは可能だろう。暑さへの対策として、ベンチレーターくらいは付けておくことをお勧めする。
テレビ/ナビ
12.8型のフリップダウンモニターがオプション設定(165,000円)されている。またアルパインやパナソニック製のナビもオプションで用意されている。
電装系
容量は記載されていないが、ポータブル電源が標準装備される。展示車にはEcoFlow RIVER Proが乗せられていた。車内の照明や電源コンセントなどのシステム電源としてプラグインでき、走行充電もできる。もちろん、取り外して家屋の100V電源で充電することも可能だ。
このポータブル電源は720Whの容量があり、単純計算では60Ahのリチウムイオンバッテリーに相当する。これは100Ahのディープサイクルバッテリーと大体同じくらいの実使用容量だ。照明やスマートフォンの充電なら十分な容量と言える。
外部100V電源入力も標準装備されているので、これでポータブル電源を充電することもできる。また、ポータブル電源にインバーターが組み込まれているので、個別にインバーターを装備する必要はない。
ソーラーシステムはオプションリストにないが、装備することは可能だろう。しかしこのクルマのユーザーはルーフに取り付けるといったものではなく、ポータブルなソーラーシステムを選択するのではないだろうか。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
DXグレードガソリン2WD/6ATで351万円~、DXディーゼルガソリン2WD/6ATで412万円~、ディーゼル4WD/6ATで443万円~となっている。
付けておきたい必需オプションは、オプションリストの範囲では、無い。しかし、車中泊をするならFFヒーターはやはり必要だろう。また先述のように、車内で火を使うならベンチレーターも必要だろう。(いずれもオプションリストになないが)
他モデル
ハイエース標準ボディ標準ルーフでシンプルな装備を特徴とするモデルは多数存在するように思えるが、ギャレーを持たないモデルは意外に少なく、ダイレクトカーズのアウトギア(389万円~:GLパッケージ)、レクビィのホビクルオーバーランダーⅣ(425万円~:DX)、トヨタモビリティ神奈川のハイエースキャンパー(358万円~:DX)やイージーキャンパー(254万円~:DX)がある。
このうち、ホビクルオーバーランダーⅣとハイエースキャンパーはオプションでギャレーが装備できる。最もレイアウトやコンセプトが近いのはアウトギアだろう。アウトギは更にシンプルで、CV390にあるようなキャビネットは設置されていないし、電装系もオプションになっている。
まとめ
CV390はシンプル装備で、そのため価格も魅力的だ。シンプル装備と言っても2列目にマルチモードシートがあり、ダイネットにもなるしベッドで車中泊もできる。またポータブル電源もあるので、車内で趣味や仕事もできる。
しかし車中泊をするなら、やはりFFヒーターはオプション設定して欲しいところだ。また夏場の暑さも耐え難いものがある。そこでギャレーは持たないがクーラーが標準装備されたCKワイルダーも用意されている(FFヒーターはオプション)。
CKワイルダーはもちろん価格的には高価になるが、「ギャレーは不要だがクーラー(とFFヒーター)は欲しい」というユーザー向けのモデル。夏場も快適な車中泊ができることを考えるとこちらも有力な候補となる。
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