ホビクルオーバーランダーIVはレクビィが製作する、ハイエース標準ボディ標準ルーフをベース車に使用したバンコンキャンピングカー。同社は2020年にスーパーロングベースの「ホビクルオーバーランダー」を発売しており、この「ホビクルオーバーランダーIV」はシリーズ2モデル目となる。
(記事中の価格は全て税込です)
コンセプト
ホビクルオーバーランダーは同社のラグジュアリーモデルとは対照的に、シンプルな装備で、ユーザーが自由な使い方やそれに応じた装備を構築することを想定したモデル。今話題のバンライフに対応したモデルともいえる。
2020年に発表された「ホビクルオーバーランダー」はスーパーロングベースだったため、コンパクトなボディの需要に応えるべく開発されたのが「ホビクルオーバーランダーIV」だ。
また、オフロードパーツメーカーのJAOSとのコラボレーションで、オプションで各種パーツが用意されているのも前作同様。展示車の外装に貼られたデカールもオプションとなっている。
追記:2022年のキャンピングカー要件の変更を受け、8ナンバーモデルも追加された。
エクステリア

ホビクルオーバーランダーIVのエクステリア(写真:レクビィ)
ベース車はハイエース標準ボディ標準ルーフのDXあるいはDX GLパッケージ。なお、上の写真はオプションパーツが装着され、デカールが貼られている。
オプションパーツを取り付けなければ通常のハイエースと変わりないが、後部左右の窓は窓埋めされている。なお、オプションパーツを取り付けないDXの状態では、いかにも商用車で、かと言ってGLパッケージではボディ同色バンパーなどで大人しくなってしまう。
やはり、JAOSのオプションパーツでドレスアップしてこそ、ホビクルオーバーランダーIVらしくなる。
インテリア

ホビクルオーバーランダーIVのインテリア
ホビクルオーバーランダーシリーズのコンセプトはアウトドアでユーザーが自由に楽しむための基地であり、ユーザーが思うようなインテリアに仕立て上げることが想定されている。
そのため装備はシンプルで、ギャレーも無く、従ってナンバー区分は4ナンバーとなっている。床は汚れにも強い重歩行用の樹脂フロア素材で作られており、土足での使用も可能だ。
装備はシンプルだが、シートやその他の作りはしっかりしており、同社の他のモデル同様高品質な作りとなっている。
レイアウト
2列目に3名掛け1200mmのREVOシートが置かれており、前向きにすると、運転席のシートバックを利用した後ろ向きシート(OP)とで、対座ダイネットを形成する。
また、2列目シートを後ろ向きにすると3列目の簡易シートとでここでも対座ダイネットを作ることができる。
後部はベッドで3段階に設置することができる。最上段にすると、下に大きな収納スペースができ、大きな荷物を積むことができる。
300x1350mm幅のベッドマットが3枚と450x1350mm幅のベッドマットが2枚の計5枚のベッドマットが標準で付いてくるので、これらを3段階に自由に配置して車内構成を決めることができる。

上段にベッドボードを設置した例
例えばベッドボードを全て上段に設置するとこれだけで1800mmのベッドになり、2列目シートを前向きにして対座ダイネットを作ると、常設縦置きハイマウントベッドを持つレイアウトになり、二人使用ならダイネットをそのままにして就寝できる。

後部に子供用ベッドを設置できる
また、2列目シートを後ろ向きにし、3列目に300mmのベッドマットを2枚使用して対座ダイネットを作り、上段に残りのマットで子供用ベッドを作ると、小さな子供なら先に上段ベッドで寝かせて、大人はダイネットで寛ぐことができる。
ダイネット

運転席のシートバックを利用したダイネット
オプションの「シートバックダイネットマット」(運転席のみ)を使用すると、運転席が後ろ向きシートとして使用でき、前向きの2列目シートとで3~4名が対座できるダイネットになる。

2列目シートを後ろ向きにしてもダイネットを形成できる
また、2列目シートを後ろ向きにすると、後部のベッドマットで作る簡易シートとでここでも対座ダイネットを形成する。いずれもテーブルを設置することができる。またテーブルは高さ調節ができる。
ベッド

伸縮式ベッドレールエクステンドスライダー
ベッドは上、中、下、3段階の高さに設置できる。5枚のベッドを使用すると1800mmのベッドになり、これは上・中段で設置できる。上段と中段に設置する場合は、「伸縮式ベッドレールエクステンドスライダー(実用新案申請中)」を伸ばしてベッドボードを支える。使用しない場合は短くしておくとエントランスの出入りに邪魔にならない。

フルベッド状態では2700mmのベッドになる
また、最下段にすると2列目シートをフラットにした状態と4枚のベッドマットがドッキングでき、長さが最大2750mmのベッドになる。ペットや小さい子供がいる場合は、広いフラットフロアとして使える。
ギャレー
ホビクルオーバーランダーIVは4ナンバー登録で、従ってギャレーは持たない。しかしこれもユーザー次第で、必要であればミニシンクーや水タンク、あるいはカセットコンロを持ち込み、自分好みのキッチンを作ることができる。

8ナンバー車にはギャレーが標準装備される
なお、2022年のキャンピングカー要件の変更により、8ナンバー車が追加された。8ナンバー車には上の写真のようなギャレーが標準装備される。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫や電子レンジも想定されていないが、冷蔵庫は必要に応じてポータブル冷蔵庫を持ち込むことができる。12Vの電源も設置できるし、ポータブルバッテリーを使用することもできる。
電子レンジを持ち込むユーザーは多くないと思うが、ポータブルバッテリーで駆動することもできる。DIYでこれらの収納スペースを作っていくのも楽しみの一つかもしれない。
ユーティリティールーム
ホビクルオーバーランダーIVにユーティリティールームは無いが、子供用にポータブルトイレを積んでおくことは十分可能だ。
収納

ベッドボードを外すと広い荷室になる
上段に設置すると、下は高さが785mmの荷室になる。自転車を立てたままで積むのは難しいかもしれないが、小型や折り畳み自転車ならベッドの下に積める。
また、ベッドボードを全て取り去ると、広い荷室になり、トランポとしても使用できる。就寝することはできないが、荷室にバイクや自転車などを積んで移動することができる。両側に固定ポイントも多数用意されている。
空調
暖房はFFヒーターがオプション設定される。なお、冷房設備やベンチレーターのオプション設定は無い。
テレビ/ナビ
テレビシステムがオプション設定されている。ナビは好みのナビを取り付けられる。
電装系

リチウムイオンバッテリー(OP)を搭載した電装系
ホビクルオーバーランダーIVではサブバッテリーをはじめとする電装系は全てオプションとなっている。即ちオプションで、サブバッテリー、走行充電、外部100V電源入力と充電機能、スイッチ類が用意されている。ただしインバーターはオプション設定されていない。
しかし、ホビクルオーバーランダーIVではポータブルバッテリーをシステム電源として使用するプラグイン電源方式が採用されている。
これは市販のポータブルリチウムイオンバッテリーを持ち込んでプラグインする方法で、後部左側に用意されている12Vコンセントに接続すると、室内LED照明などが点灯する仕組み。
走行充電も可能で、組み込み式の電装システムと同じように機能する。もちろん必要に応じて車外に持ち出すこともでき、アウトドアシーンで使うことも可能だ。ホビクルオーバーランダーのようなコンセプトのモデルでは、むしろこちらの方が使いやすいだろう。
ポータブルバッテリーには100Vコンセントも内蔵されているので、車内で100V家電を制限電力内で使用することもできる。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/6ATで405万円~。ディーゼル2WD/6ATは462万円~、ディーゼル4WD/6ATは493万円~となっている。
必要なオプションは、冬場に使用する場合はFFヒーターが挙げられる。FFヒーターを装備する場合は、サブバッテリーなどの電源システムの装備も必要となる。
他モデル
シンプルなだけのモデルは多数あるが、ホビクルオーバーランダーIVはそのようなモデルとは一線を画している。また、バンライフを謳ったモデルも増えているが、やはり少しコンセプトが異なる。
強いて挙げればトイファクトリーのグリーンバディ(375万円~)やトイズボックスS-GLスポーツ(409万円~)、ノニデルのベースキャンプ4(396万円~)あたりが挙げられるが、いずれも真正面から競合するモデルではない。
まとめ
ホビクルオーバーランダーIVは標準ボディサイズなので運転しやすく、また2列目に前向きシートがあるので日常用途にも使いやすい。後部は広い荷室にもなるので、日常仕事に使うユーザーにも対応できる。
この手のクルマは非常に趣味性が高く、ユーザーの使い方に幅広く対応できる必要がある。その意味では、ベッドマットの構成を変えることにより様々なレイアウトが考えられるのも大きなメリットだ。
もちろん与えられるのは最小限であって、あとはユーザーが創っていくクルマでもある。もちろん今話題のバンライフにも対応できるが、それだけを目的としていない自由度がこのクルマにはある。
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