ベルランゴ ソレイユはホワイトハウスが製作する、シトロエンベルランゴをベース車にしたミニバンキャンパー。同時に姉妹車のプジョー リフターをベース車にした「リフター シエル」も発売した。
同社は軽バンコンからハイエースベースのバンコンまで広くラインアップしているが、ホンダステップワゴンやトヨタヴォクシーなど国産ミニバンベースのモデルも手掛けている。
このベルランゴやリフターといった輸入ミニバンへの架装は、ルノーのカングーへの架装に続くもので、同社が得意とするポップアップルーフの架装も行っている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
コンセプト

シトロエン ベルランゴ
シトロエン ベルランゴをベース車に選択し、国産ミニバンベースのキャンピングカーとは一味違う選択肢を求めるユーザーをターゲットとしている。
特にポップアップルーフを架装することにより、就寝人数を増やし、ファミリーでの車中泊に対応する。輸入車ミニバン+ポップアップルーフ+車中泊仕様の組み合わせで、ベース車にもこだわりを持つユーザーにアピールする。
ポップアップルーフ無しだがFFヒーターやサブバッテリーが装備される「Hot Package」、ポップアップルーフが架装されるだけの「Pop-Up」、両方を併せ持つ「Pop-Up
Hot Packadge」の3種類が選択できる。
アピールポイント
・シトロエン ベルランゴがベース車
・ポップアップルーフを架装
・フラットベッドを装着し、車中泊が可能
・車外後部に引き出せるギャレーを装備可能
・ポップアップルーフを架装するとファミリーでの車中泊が可能
・日常使用にも一味違ったファーストカーとして使用できる
エクステリア

ベルランゴ ソレイユのエクステリア
ベース車はシトロエン ベルランゴのエントリーグレードのFEEL。ベルランゴは2018年に本国フランスで発売され、翌2019年に日本で特別仕様車デビューエディションとして導入された。そして2020年にカタログモデルが販売開始されている。
ベルランゴ自体の詳細については多くの情報が上がっているのでそちらに任すとして、キャンピングカーのベース車としては、ホワイトハウスが2017年に発表したルノーカングーベースに続く輸入ミニバンベースのキャンパーとなる。
なお、同じPSAグループのプジョー リフターをベース車にした「リフター シエル」も同時に発表された。両車は姉妹車で、架装レイアウトは同じだ。
ホワイトハウスはこのベース車に同社オリジナルのポップアップルーフを架装する。(ポップアップルーフ無しのモデルも選択できる)また、ベッドキットや電装系なども装備する。
インテリア

ベースグレード「FEEL」の運転席周り
ベース車の内装自体に手を加えていないが、ベース車は乗用車仕様なので鉄板がむき出しになっているようなことは無い。運転席周りも通常の乗用車と同様のグレード感があり、商用車臭さは全くない。
レイアウト
フラットベッド(オプション:220,000円)は単なるベッドボードだけではなく、後部に引き出せる収納も付いている。フラットベッドは畳んだ2列目シートの上に敷いてフラットスペースになるが、着脱ができ、2列目シートを立てると、通常通り計5名が前向き乗車できる。
ダイネット

後部のインテリア
フラットベッドを購入すると、2列目シートを畳んだ上にフラットスペースを作ることができ、ここががベッド兼ダイネットになる。後部にベルランゴ純正のデッキボードがあるので机代わりになるが、折り畳みテーブルがあれば好きな位置にセットできる。
ベッド

ベッドキットはオプション
オプションのフラットベッドは1800x1170mmの大きさ。これは家庭用ではセミダブルの幅(1200mm)にほぼ相当する。

大人2名が就寝できるルーフベッド
また、ポップアップルーフを架装している場合は、ルーフベッドでも就寝できる。ルーフベッドの大きさは1900x1100mm。これは家庭用ではシングルベッドの幅(970mm)とセミダブルの中間になる。
なお、ポップアップルーフのテントには3面に窓があり、メッシュ(バグネット)とシェードにすることができる。防水テント(グレー:52,800円)やブルーかオレンジの防水カラーテント(74,800円)も選択できる。
ギャレー

スライド式アウターギャレー
車外用の「スライド式アウターギャレー」(132,000円)がオプションで装備できる。これはベッドキットに付いてくる引き出し収納にぴったり収まり、2段に展開できる。またテーブルも用意されている。

シンクとガスコンロ
展開するとシンクとガスコンロがセットできる。シンクにはペットボトルを利用した水タンクも利用でき、ちょっとした調理が可能だ。
冷蔵庫/電子レンジ

18Lのポータブル冷蔵庫を設置できる
さすがに電子レンジは想定されていないが、冷蔵庫は18Lのポータブル冷蔵庫が、運転席と助手席の間にうまく置かれている。
収納

後部のデッキボード
走行時は後部のラゲッジスペースに荷物を積んでおけるが、就寝時は邪魔になる。ベルランゴには純正でデッキボードが付いており、就寝時はこの上に荷物を乗せておくことができる。

ベッドキットの引き出し収納
また、ベッドキットを装備すると引き出し収納が付いてくる。あまり大きな収納力は無いが、衣類や食器などを収納することができる。
クルマのリアゲートを開けて、引き出して使用することが想定されているが、後部のベッドボードが大きな1枚板なので、車内からアクセスするのはあまり便利ではなさそうだ。
空調

FFヒーターの吹き出し口
Hot PackageとPOP-UP HOT Packageには、FFヒーターとサブバッテリーが標準装備されるので、エンジン停止中でも車内を温かく保つことができる。エンジンオフ時の冷房ソリューションは無い。
なお本国にはë-BerlingoというEVバージョンがあり、50kWhのリチウムイオンバッテリーが積載されている。(ちなみに三菱のアウトランダーPHEVは20KWhだ。)これをベース車にすれば停泊中の冷房も解決するのだが。
テレビ/ナビ
テレビは特にオプション設定されていないが、ナビは好みのものが取りつけられるだろう。
電装系
Hot PackageとPOP-UP HOT Packageには、42Ahのディープサイクルバッテリーが1個と、CTEKの昇圧型走行充電が標準装備される。また外部100V電源入力と充電機能、および100Vコンセントもオプション(110,000円)で用意されている。
なお、Hot PackageとPOP-UP HOT Packageにはサブバッテリーで点灯する室内照明が装備される。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
標準ルーフ(ポップアップルーフ無し)「HOT Package」は368万円~、ポップアップルーフのみの「POP-UP」は405万円~、両方を装備した「POP-HOT
Package」は450万円~となっている。
「POP-HOT Package」からさらに付けておきたいオプションは、防水テント(74,800円)、外部電源+ACコンセント(110,000円)、フラットベッド(220,000円)が挙げられる。
また必要に応じてスライド式アウトギャレー(132,000円)、スマートネット(29,700円)を挙げておきたい。
他モデル
輸入車ベースのミニバンキャンパーでは、ベルランゴ ソレイユとリフター シエル以外に見当たらない。

西尾張三菱自動車販売の「デリカD:5 D:POP」
国産モデルベースでは、最もコンセプトが近いのは西尾張三菱自動車販売の「デリカD:5 D:POP」(492万円~)と「アウトランダーPHEV POP」(現在価格不明)、それにケイワークスの「D:5クルーズ」(534万円~+ポップアップルーフ1,023,000円)あたりが考えられる。
ヴォクシーやセレナをベースにしたモデルもあるが、ベルランゴに相当するなら上記のモデルが適当だろう。しかし、ベルランゴソレイユやリフターシエルを選ぶユーザーはもとより国産モデルは眼中にないだろうから、比較することにあまり意味はないかもしれない。
まとめ
ベルランゴ ソレイユは(リフター シエルも)、国産車ではなく、かつキャンピングカーの要素を持つクルマを求めるユーザーをターゲットにしている。すなわち、かなりニッチなカテゴリーに属する。
特に輸入車にこだわらないのなら国産車の方が何かと便利ではある。現在は分からないが、過去にシトロエンオーナーであった経験から言うと、造りやグレード感、そして信頼性は国産車の方がはるかに上で、サポートも当然ながら国産車は行き届いていた。
しかし、その走りや乗り心地、そしてデザインは、国産車とは全く異なる「何か」があり、それは他のデメリットをカバーしてなお余る魅力でもあった。
ベルランゴはハイドロニューマチックのような仕掛けは付いていないし、走りの魅力などは分からないが、やはり文化の違いはあるだろうし、そこに面白みを感じるならベルランゴ ソレイユやリフター
シエルは興味ある選択だろう。
ただし、国産車も面白い。特にアウトランダーPHEVはモデルチェンジ直後で、まだ新型車でポップアップ架装のモデルは発表されていないが、大容量リチウムイオンバッテリーを搭載し、キャンピングカーとして理想的なプラットフォームだ。
これらはいわゆる”普通の”キャンピングカーとは異なったカテゴリーだが、ファーストカーとキャンピングカーを同時に満たすカテゴリーとして一定の需要は続くだろう。
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