三菱アウトランダーPHEVの”PHEV”は、プラグインハイブリッドEVの意味で、EVと名乗っているように主に電気で走る。エンジンは主に発電に使われるが、必要なときのみ駆動にも使われる。
このアウトランダーをベース車に使用したのが、西尾張三菱自動車販売が製作するアウトランダーPHEV POP。一般に販売されているアウトランダーPHEVにポップアップルーフ仕様は無く、これは同社が後付けで架装している。
また、このクルマには車中泊キット「E:BED」が標準装備されている。E:BEDはシートを倒した上に3枚のパネルを敷き詰めてフラットなベッドとすることができ、ここで大人2名が就寝できる 。
E:BEDは3枚のパネルとテーブルで構成される
E:BEDにはテーブルも含まれており、トノカバーのステーに固定すると広いテーブルになるので、食事をしたりパソコンなどを使う場合に便利だ。
さて、ポップアップルーフを架装してフラットベッドを装備するだけなら、他のミニバンベースの車中泊モデルと変わらない。
アウトランダーPHEV POPが他のミニバンベースと異なる点は、このクルマが大容量バッテリーを積み、エンジンで充電できるところにある。エンジンで発電して大容量バッテリーに蓄電できるシステムは、ある意味キャンピングカーには理想的と言える。
アウトランダーPHEVは12KWhのリチウムイオンバッテリーを搭載している。KULOSが5100Whなので、この2倍以上の容量だ。キャンピングカーによく使われる100Ahのディープサイクルバッテリーなら単純計算で10個分になるが、効率の違いも考えると16個以上になる。
このバッテリーでクルマ自体を動かす必要があるので、もちろんすべてを生活用の電力に使えないが、それでも電気が無くなればエンジンで走るし、バッテリーにも充電してくれる。完全に自己完結しているわけだ。更に、街中の急速充電器から充電することもできる。
キャンピングカーで重要な項目のひとつは電気のソリューションで、これが解決していると電気を求めて右往左往したり、充電のためスケジュールが制約されることは無い。日産がNV350キャラバンで大容量リチウムバッテリーを搭載したベースカーを発表しているが、大容量バッテリーだけでは解決にならない。いずれ充電が必要になるからだ。”ハイエースPHEV”のようなモデルがあると理想的なのだが、価格を含めて実現性は低いだろう。
アウトランダーPHEV POPは高価ではあるが、非現実的な価格ではない。ハイエースに比べると室内は狭いが、長期の車中泊でも電気に困ることは無いだろう。