グランピングカー 日産|大容量リチウムバッテリーを搭載したコンセプトカー


ジャパンキャンピングカーショー2017で、日産がリチウムイオンバッテリーを搭載したコンセプトカーを展示した。
同社が今回のモデルの基本となったコンセプトカーを初めて展示したのが、2014年のジャパンキャンピングカーショーだった。(記事はこちら
次世代のキャンピングカーのサブバッテリーとして、リチウムイオンバッテリーに注目が集まり始めた年だ。
それから3年、日産はそのコンセプトを、いよいよ実用の域にまで仕上げて今回のジャパンキャンピングカーショーに展示した。

今回は内装を架装されたコンセプトカーで、バッテリーを搭載した状態で、現実的なレイアウトとして展示された。
なお、内装は一例で日産がこの形で販売するわけではない。
あくまで、ベース車としてビルダーに提供し、ビルダーが架装して販売することになる。

搭載されているリチウムイオンバッテリーは、日産リーフに搭載されているもの(写真下)と同じバッテリーだが、容量はその半分の12KWh。


それでも、キャンパー鹿児島のレム・フォレストなどに搭載されている大容量リチウムイオンバッテリー”KULOS"の倍以上の容量にあたる。
以前の記事で、KULOSはよく使われるディープサイクルバッテリー(鉛バッテリー)の8個分以上と書いたが、このグランピングカーに搭載されているバッテリー容量は、実質鉛バッテリーの16個分以上ということになる。

また、リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーと違い、一度に大電力を取り出すことができるので、エアコンや電子レンジなど大電力の家電品を動かすには理想的と言える。
このバッテリーが、フロントのソファ下に搭載されており、その横にコントローラー部が収納されている。


2年前のジャパンキャンピングカーショーでは、日産はリーフのバッテリーをリサイクルするということだったが、まだ中古のバッテリーが出回っておらず、当面は新品バッテリーを使う予定とのこと。
日産は、このリチウムイオンバッテリーを搭載したNV350キャラバンをキャンピングカーのベース車として、近くビルダーに提供を開始する方針だ。

ただ、幾つかの課題もある。
ひとつは、容量が12KWhのみということ。
もっと小さな容量でいいので安価なシステムをと望んでも、それはできない。
また、ボディサイズはNV350キャラバンワイドスーパーロングのみ。
標準ボディやナロースーパーロングのベース車はない。


また、電源システムは12Vではなく100Vベースで動作する。
従って、外部電源でのみ充電可能。
走行充電やソーラーシステムでの充電は考えられていない。

即ち、大容量といえどもいつかは底を突くわけで、長期旅では数日ごとに100V電源があるところに停泊する必要がある。
充電時間は8時間程度とのことなので、一晩で充電が完了する。
もちろん、発電機での充電は可能なので、走行中に運転できる発電機を積んでおけば昼間充電しておき、夜は大容量の電気を使える。

いよいよ本格的なリチウムイオンバッテリーを搭載したベース車が車体メーカーから出てきたわけだ。
もちろんコストにもよるが、キャンピングカーのバッテリーがリチウムバッテリーに移行していく方向は間違いないだろう。

ただ、やはり需要が大きいのは、従来の鉛バッテリーに簡単に交換できる、200Ah程度の低価格のリチウムバッテリー単体だろう。
現在、オンリースタイルなどから発売されているが、まだまだ認知度が高いとはいえないし、価格面でも簡単に移行できるレベルではない。
更に、実績面から、まだ二の足を踏むビルダーも多く、リチウムバッテリーが当たり前になるのはまだ先のことだろう。

グランピングカーの動画はこちら

2017.2.8