9-8. クーラー


今や多くのキャンピングカーにエアコン(クーラー)が搭載されるようになりました。ここで言うエアコンとは、元来クルマに付いているエアコンではなく、エンジンを切っても使えるエアコンのことです。

キャンピングカーのクーラーとして一般的には家庭用のエアコンが使われます。日本製の家庭用インバーターエアコンは効率が良く省電力なので、電気を無駄にしたくないキャンピングカーの装備として用いられています。

 プラスLVに取り付けた家庭用エアコン

ただし問題は室内機と室外機が大きく、これらを設置するスぺースを確保するのが、特にコンパクトなモデルでは難しい点にあります。レクビィの「プラスLV」のようにハイエース標準ボディハイルーフに取り付けた例はありますが、一般的にはスーパーロング以上です。

 銀河に取り付けた室外機

またバンコンでは室外機は後部床下に取り付けるケースが多くありますが、OMCの「銀河」のように車体中央に取り付ける例もあります。もちろん水や泥、あるいは塩害に対しては有利です。キャブコンでは後部の外部収納部に取り付ける場合や車体サイド後部に取り付けるのが一般的です。

スペースの問題を避けるため、ウインドウエアコンを採用するケースもありますが、セパレートエアコンほど効率が良くないのが問題です。サブバッテリーで駆動すると運転時間が短くなるので、外部電源があるところで使用するのが一般的です。

そこで最近登場したのが、車載用のセパレートエアコンです。CoolStarに代表されるこれらのエアコンはクーラー専用ですが、12Vで動作するためインバーターが不要で、サブバッテリーで直接動作し、インバーターのロスもありません。

 CoolStarを取り付けたホワイトハウスのコンパスビッツ

また、室内機と室外機も比較的コンパクトですので、取り付けも家庭用エアコンほどスペースを取りません。これにより、ハイエースの標準ボディやNV200バネットベースのコンパクトバンコンでもエアコンを付けるモデルが増えてきました。

ただしデメリットもあります。おそらく最大のデメリットは、外部100V電源に接続時でもサブバッテリーから電気を供給しなければならないこと。これはサブバッテリーからの電気の持ち出しになり、外部電源をつないでいるのにサブバッテリーが充電できないということになります。

また12Vで動作するということは100Vで動作する場合に比べて、同じワット数ならより大電流が流れることになります。例えば500Wで動作する場合なら、100V時では5Aですが、12V時では40A以上になります。即ちより太いケーブルが必要になりますし、長い距離を引き回すのは避けなければなりません。

家庭用エアコンに比べて機能的に劣るのに価格が高価というのも、歓迎できない点です。しかし、搭載できるモデルが増えるということは、ユーザーメリットには違いありません。今後、リチウムイオンバッテリーとともに、コンパクトなモデルにも普及していくと思われます。

 レジストロに搭載されたポータブルクーラー

もうひとつのトレンドは、家庭用のポータブルエアコンを車載する方法です。主にコンパクトなモデルで使われていますが、キャブコンで使っている例もあります。比較的大型のものを据え付けるケースと、必要な時のみ車内に持ち込むケースがあります。

どちらも排気ダクトを車外に出す必要があります。据え付けの場合はビルダーが適当なところに施工しますが、持ち込みの場合は、ユーザーが窓からダクトを出すなどして対応します。ポータブルクーラーのメリットは何より安価なことです。冷房能力は家庭用やCoolStarに及びませんが、少しは暑さを凌げますし、夜間はもう少し実用的に冷やすことができます。