Vita(ヴィータ)はフィールドライフが製作する、ダイハツアトレーをベース車にした軽バン・コンバージョンキャンピングカー。
同社はセミフルコンのシリウスと軽キャブコンのバロッコの両極端を製作するユニークなビルダーだが、最近タウンエースベースのバンコンロビーもラインアップに加えた。今回のヴィータにより新たに軽バンコンが同社のラインアップに加わった。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ダイハツアトレーをベース車にする軽バンコンキャンピングカー。ポップアップルーフを架装するが、ノーマルーフバージョンも選択できる。ポップアップルーフを持つアトレーベースのバンコンは現在のところ他にない。
レイアウトの特徴は、横座りシートの採用。軽バンコンの多くはベッドとダイネットが兼用になったちゃぶ台スタイルだが、最近では対座シートを持つ軽バンコンが幾つか発売されている。しかし、ヴィータでは横座りシートとして二人旅にも適したレイアウトとしている。
アピールポイント
・人気のアトレーがベース車
・ポップアップルーフを架装
・横座りベンチシートスタイルのレイアウト
ベース車とエクステリア
ヴィータのエクステリア
ベース車はダイハツのアトレーで、グレードはRS。両側パワーウインドウ、オートエアコンや衝突回避支援ブレーキ、クルーズコントロールなどが付く上級グレード。
これにポップアップルーフを架装している(ノーマルルーフも選択可能)。ポップアップルーフはダンパーにより軽い力で持ち上がる。ポップアップルーフにはメッシュのバグネットやシェードも可能。オプションで防寒シートも用意されている。
ポップアップルーフを閉じたときも違和感は無く、日常用途でも目立つことなく使用することができる。全高は1950mm。ノーマルルーフは1890mmなので60mm高い。もちろん高さ制限のある駐車場でも入れる可能性は高い。
インテリア
ヴィータのインテリア
展示車のインテリアは、上の写真のようなカラーコーディネートで、明るく軽快感のある室内となっている。家具色やシート地の選択肢が選択できるかについては記載されていないが、変更したい場合はビルダーに相談いただきたい。
レイアウト
ヴィータの特徴のひとつが横座りベンチシートを採用したレイアウト。軽バンコンでは多くが2列目シートを畳み、その上にクッションを敷いてベッド兼ダイネットのレイアウトを採用している。
このスタイルはベッド展開が必要なく、いつでも横になれるので手間はいらないが、洗練されているという感じではない。そこで最近では、stage21のリゾートデュオバスキングタイザプロやパパビルドのファヴォライトボックス、あるいはナッツRVのスピナのように対座ダイネットを持つ軽バンコンが増えてきた。
乗車定員は3名
横座りシートの特徴は、前後の移動が楽なことと、ベッド展開が比較的簡単なことが挙げられる。ただし、ヴィータでは2列目シートの右側は起こすことができないので、乗車人数は運転席、助手席を合わせて3名となっている。また、就寝定員も3名となっている。即ち、3名のファミリーに対応できる。
ダイネット
横座りのダイネット
ダイネットは横座りのベンチシートに3名程度が座ることができる。1名で使用する場合は、ベンチシートで簡易的に横になることも可能だ。テーブルはギャレーキャビネットに固定する。
ベッド
ベッドはダイネットを展開したダイネットベッドと、ポップアップルーフを上げてできるルーフベッドの2か所がある。
ダイネットベッド
ダイネットベッドの大きさは1800x1000mm。1000mmの幅は、家庭用ではシングルベッドの幅(970mm)から3cm広いだけ。キャンピングカー要件では500mm/人の幅なのでスペック的には2名就寝できることになるが、現実的には1名か、加えて小さな子供1名だろう。
簡易的なダイネットベッド
なお1800mmのベッドにするには運転席と助手席を最前部までスライドさせる必要がある。それをしない場合でも長さが1600mmのベッドにすることができる。このサイズでも就寝できるなら、就寝前の作業を一つ減らすことができる。
ルーフベッド
ルーフベッドは同じく1800x1000mmの大きさ。やはり現実的には大人1名の就寝が適当だろう。ベッドメーキングはベッドボードを並べるだけでできるので、大した手間ではない。
ギャレー
ギャレーのシャワーフォーセット
後部左側のギャレーキャビネットには、丸形シンクとシャワーフォーセットがビルトインされている。シャワーフォーセットは引き伸ばして車外で使用することができる。車外用のホルダーも付いているので、シャワー使用時に両手が使えるのは便利だ。
給水タンク
10Lの給水タンクがギャレーキャビネット後部に収納されている。リアゲートを開くと車外から直接出し入れできる。なお、排水タンクは13Lで床下に設置されている。排水はレバーで行う。
冷蔵庫/電子レンジ
引き出し式冷蔵庫
容量は書かれていないが、引き出し式の冷蔵庫がオプションで用意されている。うまくビルトインされているので、ポータブル冷蔵庫のように邪魔になることが無い。
なお、電子レンジは想定されていない。
収納
オーバーヘッド収納
後部左側にオーバーヘッド収納が設置されており、食器などを収納しておくことができる。扉付きの収納なので、走行中に中のものが落下することはない。
ギャレーキャビネット上の収納
ギャレーキャビネットには2か所扉付きの収納が設けられている。それぞれ扉が付いており、食器なども収納できる。更に、ベンチシート下にも収納スペースを確保。車内からのアクセスに加え、右スライドドアを開けてアクセスすることもできる。
空調
家庭用ポータブルエアコン
暖房はFFヒーターがオプションで用意されている。冷房は家庭用のポータブルエアコンを助手席に設置する。給排気用のダクトがクーラー設置用のキットとしてオプションで用意されている。クーラー本体は別売り。
この方法は比較的低コストで冷房を設置できるのと、不要な季節には取り外すことができるのがメリット。しかし、助手席が使えなくなる(もちろんその都度設置し直せば使える)のと、頻繁に設置と撤去を行う必要があること、そして何より見映えが良くないことがデメリットだ。
テレビ/ナビ
19インチのテレビ(OP)
19インチのテレビがギャレーキャビネットにオプションで設置できる。ダイネットから観やすい位置だ。ナビシステムは好みのものが設置できるだろう。
電装系
シート下の電装系
ベンチシートの下には電装系が収納されている。標準では105Ahのディープサイクルバッテリーが1個、走行充電、外部電源入力と充電機能が装備される。
クーラーを設置する場合は、オプションの100Ahリチウムイオンバッテリーを選択することをお勧めする。
ソーラーシステムは容量が記載されていないが、オプションで装備できる。
価格(2023年10月現在:千円台切り上げ:税込)
ヴィータは、2WD/CVTで379万円~、4WD/CVTで394万円~となっている。
付けておきたい必需オプションは、使い方にもよるが、もし寒い時期にも車中泊をするならFFヒーター(286,000円)が必要だし、夏場に車内で過ごす時間が長い場合はクーラーやリチウムイオンバッテリーがあれば理想的だろう。
他モデル
軽バンコンでポップアップルーフを持つモデルは多数あるが、オートワンの給電くん(186万円~:エブリイバン)に代表されるように、多くがちゃぶ台スタイルのレイアウトになっている。
また、対座ダイネットを持つモデルは、パパビルドのファヴォライトボックスベース(386万円~:アトレー)、stage21のリゾートデュオバスキングタイザプロ(400万円~:アトレー)などがあるが、いずれもノーマルルーフで、ポップアップルーフバージョンは無い。
ナッツRVのスピナはエブリイバンをベース車にし、ノーマルルーフ(258万円~)とポップアップルーフ(302万円~)が選択でき、レイアウトは対座を採用している。しかし、クーラーの用意はない。
まとめ
ヴィータはポップアップルーフを架装し、軽バンコンながら横座りベンチシートのダイネットを持つ他にないモデルだ。軽バンコンは今までちゃぶ台スタイルが多かったが、今後は対座やベンチシートも増えてくるだろう。
その理由は従来のクルマ旅から、日常用途でのちょっとした時間の過ごし方に視点が写っているからかもしれない。例えばお迎えの待ち時間にダイネットで本を読むとかパソコンで仕事をするとか、あるいはイベントや遊園地での待ち時間を過ごすなどの場合だ。
このようなちょっとした時間を車内で過ごす場合、ダイネットやテーブルがあると便利だ。通常の軽自動車の車内では窮屈だし、ちゃぶ台スタイルのダイネットではそのような作業に適したレイアウトとは言えない。
ヴィータの場合、このようなシチュエーションで車内で過ごす場合、やはりクーラーはしっかり設置されているものの選択肢が欲しい。将来のアップグレードで対応されることを期待したい。
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