リラックスワゴンVPは、かーいんてりあ高橋が製作する、ハイエース標準ボディ標準ルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社はハイエースバンコンを中心にラインアップしているが、スライドアウトで室内が拡張できるライトキャブコン「ネオユーロ スライドアウト」やプリウスをベースにFRPシェルを架装した「プリウス リラックスキャビン」と言ったユニークなモデルも製作している。
「リラックスワゴン」は同社のハイエースバンコンのシリーズ名で、ハイエース各種ボディをベース車にしたモデルを多数ラインアップしている。
その中でリラックスワゴンVPは、標準ボディ標準ルーフをベース車にしたファミリーに向けたレイアウトを持つバンコンとなっている。なお、二人旅向けには「リラックスワゴンインフィニティ」などがある。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエース標準ボディ標準ルーフをベース車にしたバンコン。外観はノーマルと同じなので、通勤や買い物などの日常使用にも違和感なく使用できる。
Type1.5は、2列目に前向き固定のシート2脚を持つファミリー向けのレイアウト。3点式シートベルトでチャイルドシートも固定できる。
従来リラックスワゴンVPは4ナンバー登録だったが、2022年のキャンピングカー要件改定により、シンクを持つ8ナンバー登録となった。
なおVPと言うのはハイエース標準ボディ標準ルーフを使用していることを意味し、展示車はリラックスワゴンVP Type1.5となっているので、ハイエース標準ボディ標準ルーフのボディにリラックスワゴンType1.5のレイアウトを展開したモデルとなる。
アピールポイント
・運転しやすく日常使用も違和感が無い
・前向き固定シートでファミリー対応
・広い横座り対座ダイネット
・ミニギャレーがあり8ナンバー登録
ベース車とエクステリア
リラックスワゴンVPのエクステリア
ベース車はハイエース標準ボディ標準ルーフでGLパッケージを標準装備する。またTSSと助手席エアバッグも標準装備される。
ハイエースでは最もコンパクトなボディで、5x2mの一般的なパーキングエリアにも駐車でき、また高さ制限のある駐車場にも入れる場合が多い。ボディ外側への架装は無く、従って、日常使用にも目立つことなく使用できる。
インテリア
間接照明を使ったインテリア
展示車は上の写真のような家具色とシート地だったが、同社はカスタマイズの自由度が高いため、これらは柔軟に選択できる。
明るい色の家具を使った同社のお馴染みのインテリアカラーは、明るくカジュアルな室内を表現している。また、間接照明とスポットライトを取り入れたライティングは、室内を豪華に見せている。
レイアウト
Type1.5は2列目に2脚の前向き固定シートを持つのが特徴。ベッド兼用ではなく、ドライブ時に使用することが前提になっているため、座り心地やホールド感に優れている。また3点式シートベルトを備えているため、チャイルドシートの固定も可能。
後部はコの字型ダイネットで、2列目シートをそのままにして寛ぐことができる。ドライブ途中での休憩時などでも、いちいち2列目シートを後ろ向きにすると言った作業は不要だ。
乗車人数は運転席と助手席およびその間の補助席を入れ、計5名が乗車できる。また就寝は2名となっている。大人2名と小さな子供1~2名のファミリーに適したレイアウトだ。
なお、8ナンバー登録のためのミニギャレーが右側後部シート下に隠されている。
ダイネット
コの字型のダイネット
コの字型のダイネットを形成しており、4~5名でテーブルを囲める。ただ、就寝人数を考えると、それほど大勢で使うケースは少ないだろう。2名、あるいは小さな子供連れで使うには十分な大きさのダイネットだ。
ベッド
2名がゆったり就寝できるベッド
ダイネットを展開してベッドにすると、1800x1500mmのベッドになる。これは家庭用ではダブルベッドとクイーンサイズベッドの中間の幅で、2名ならゆったり就寝できる。小さな子供1~2名なら一緒に就寝できるだろう。
ギャレー
シンプルなギャレー
ギャレーは右サイド後部のベッドボードを上げると現れる。小さなシンクとフォーセットが設置されている。もちろんこれは積極的に使うものではなく、8ナンバー取得のためのツール。ギャレー前に床下収納があり、8ナンバー取得のためのギャレー前の高さ要件を満たしている。
シンクの下の給排水タンクと収納
リアハッチを開けると、右側シート下の収納にアクセスできる。ここには各10Lの給排水タンクが収納されている。
冷蔵庫/電子レンジ
引き出し式冷蔵庫がオプション設定されているが、電子レンジのオプション設定は無い。
多目的ルーム
リラックスワゴンVPに多目的ルームは無いが、ポータブルトイレを乗せておくことはできる。ベッド下に入る高さのものを選べば目に触れることは無い。子供が急にトイレに行きたいと言い出した時に有用だ。
収納
左側シート下の収納
リラックスワゴンVPはハイエース標準ボディ標準ルーフなのでオーバーヘッド収納を設置するのは難しく、収納は主にシート下に設けられている。右側シート下は電装系と給排水タンクが収納されているが、左側シート下は全て収納スペースになっている。
リア車外からアクセスできる
左側シート下の収納には、リアゲートを開けて車外からもアクセスできる。
ベッド下の収納スペース
また、ベッドモードにすると、その下は全て収納として使用できる。
最後部の床下収納
最後部には床下収納が設置されている。これは8ナンバーを取得するためにギャレー前の高さを確保するためのもので、新しいキャンピングカー要件に対応したものだ。なお、床下収納は防水されており底には排水口も設けられている。
エントランス横のシューズボックス
エントランス横にはシューズボックスが用意されている。
空調
暖房はFFヒーターがSUPER PLUSオプションに含まれるが、冷房機能の設定は無い。標準ボディ標準ルーフではクーラーの設置は難しいかもしれないが、リラックスワゴンType1.5
やType2のようにLCSオプションで設置されることが期待される。
テレビ/ナビ
DVD付きモニターが標準装備される
画面サイズは不明だが、DVD付きモニターが標準装備される。ナビはSUPER PLUSオプションに含まれる。
電装系
容量は表記されていないがディープサイクルサブバッテリーが1個標準装備される。またCTEK昇圧システムによる走行充電も標準装備される。外部100V電源入力も標準装備だが、外部電源によるサブバッテリーの充電機能はオプション。これは1500W正弦波インバーター、セカンドサブバッテリーとともにSUPER
PLUSオプションに含まれる。
ソーラーシステムは単独でオプション設定されている。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
インフィニティ、タイプ1、タイプ1.5レイアウトは2WD/6ATで436万円~、Super Plusオプションを入れると502万円~となる。またタイプ2、タイプ2.5レイアウトでは同じく447万円~、4WD/6ATが513万円~となっている。
必要なオプションは、FFヒーター(242,000円)、外部電源による充電機能(63,800円)、ツインバッテリー+1500W正弦波インバーター(181,500円)などが挙げられる。(ナビ関連を除く)
SUPER PLUSオプション
ただし、これらはSiper Plusオプション(600,000円)に全て含まれているので、冷蔵庫も含めて設置したい場合は、これを選択するのがお得だ。
他モデル
ハイエース標準ボディ標準ルーフをベース車にするバンコンは非常に多くあるが、前向き固定シートを持つType1.5レイアウトに絞れば、ほとんど無い。
まとめ
リラックスワゴンVPのような前向き固定シートを持つバンコンはマイナーな存在だ。その理由は、前向き固定なので後ろ向きにしてダイネットに組み入れることができないから。スペース効率が必ずしも良くない。
そのため、ほとんどのレイアウトでは2列目シートはマルチモードシートが採用されている。しかし、マルチモードシートはベッドとしても使うという制約のため、シートとしてのホールド感や座り心地に妥協点が必要だった。
しかし、前向き固定シートに割り切ることにより、これらのデメリットが解消される。またベッド展開という煩わしさからも解放されることになる。ベッド展開は後部のベンチシートの背もたれを移動するだけで良い。
このレイアウトをハイエース標準ボディ標準ルーフで実現したことにより、より移動の快適性を実現している。ただしクルマ旅に適したモデルではない。冷蔵庫は設置できるがギャレーは実用的ではないし電子レンジの設置も考えられていない。
リラックスワゴンVP Type1.5は、日常的に使え、車中泊を伴う短距離のドライブにも使うといった用途に適したモデルと言える。
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