モルトはアルペジオが製作する、タウンエース バンをベース車にしたバンコンキャンピングカー。同社は北海道に拠点を置くビルダーで、Relax(リ・ラックス)やアクセントといったハイエーススーパーロングをベースにしたバンコンをメインに製作している。
モルトはタウンエースバンをベース車にしたバンコンで、同社の最もコンパクトなボディサイズのモデルとなる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
タウンエース バンをベース車にしたバンコンで、2列目にマルチモードシート(FASP)を配置している。コンパクトで取り回しが良く、外観は通常のタウンエースなので、日常用途にも違和感なく使える。前向きにすると4名が前向き乗車でき、ファミリーでのロングドライブにも対応する。
ギャレーやポータブル冷蔵庫を標準装備しており、またベッドモードでは2名が就寝できる。
アピールポイント
・コンパクトな車体で運転しやすい
・2列目にマルチモードシートを配置し、4名が前向き乗車できる
・2列目シートを後ろ向きにすると、対座ダイネットを形成
・ギャレーとポータブル冷蔵庫を標準装備
・豊富な収納
・19型テレビを標準装備
・100Ahサブバッテリーや外部電源と充電システム、150Wインバーターも標準装備
ベース車とエクステリア

モルトのエクステリア
ベース車はトヨタ タウンエース バンGL。ボディ外側への架装は無いので、日常用途にも違和感なく使用できる。高さがあるので大きく見えるが、全長、全幅はトヨタ
アクアとほぼ同じで、取り回しは楽に行える。
衝突回避支援システム(スマートアシスト)、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、および運転席、助手席のSRSエアーバックも標準装備される。ボディカラーはホワイトとシルバーマイカメタリックから選択できる。
インテリア

モルトのインテリア
展示車は上の写真のような配色だったが、家具色やシート生地が選べるかは不明。テーブルやキャビネットの天板の白がアクセントになっている。照明は大きめのLED丸形ライトが2か所付いている。
レイアウト
2列目に900mmのマルチモードシート(FASPシート)を配置している。後部は対座する簡易シートとサイドのベンチシートがある。
右側に全部積後部に分かれた大きなキャビネットが配置されているのが特徴的。そのため収納が豊富になっているが、特に前部のリビングスペースが多少狭くなっている。
後部のキャビネットにはギャレーがあり、2022年のキャンピングカー要件変更で8ナンバー登録が可能になった。
2列目のマルチモードシートを前向きにすると、運転席、助手席を含めて計4名が前向き乗車できる。またシートを全てフラットにすると2名が就寝できるベッドになる。
ダイネット

コの字型ののダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、対座する簡易シートと、サイドのベンチシートでコの字型のダイネットを形成し、4名でテーブルを囲める。
さらにこの状態で後部をベッドモードにすると、足を投げ出してリラックスすることができる。
ベッド

1840x1065mmのベッドサイズ
シートを全てフラットにすると、1840x1065mmのベッドになる。1065mmは家庭用シングルベッドの幅(970mm)より少し広い程度なので、大人2名では多少窮屈かもしれない。
更に後部のギャレーキャビネットが少し出っ張っているため、足元はさらに窮屈になる。
ギャレー

シンプルなギャレーが標準装備
右側後部のキャビネットにコンパクトなシンクとフォーセットが標準装備されている。コンパクトではあるが、8ナンバー取得だけのための簡易的なものではない。カセットコンロも標準装備されており、これを天板上に置いても調理面は余裕がある。

シンクの下の各10Lの給排水タンク
下には各10Lの給排水タンクが収納されており、これらはリアゲートを開けると車外から直接出し入れすることができる。
冷蔵庫/電子レンジ

18Lポータブル冷蔵庫を標準装備
べバスト製の18Lポータブル冷蔵庫が標準装備されている。ギャレーの隣にすっきりと収納され、アクセスもしやすい。
なお、電子レンジはオプション設定されていない。
多目的ルーム
モルトに多目的ルームは無いが、ポータブルトイレを積んでおくことはできる。ベッドボードの下には収納スペースがあるので、ここに置けるサイズのポータブルトイレなら目に触れずに収納しておくことができる。
ただ、就寝人数は2名で、小さな子供がいるユーザー向けのモデルではないので、ポータブルトイレを乗せておく必要性はあまりないかもしれない。
収納
モルトの収納は、コンパクトなバンコンにしてはかなり充実している。

ギャレー上のオーバーヘッド収納
まず、後部右側のギャレー上にはオーバーヘッド収納が設置されている。しかも2連になっており、十分な収納力を持つ。床近くに置いておきたくない食料品等を清潔に収納するのに大変有用だ。

後部左側のキャビネット収納
次に後部左側にもキャビネットがあり、ここも収納になってる。展示車にはポータブルカセットコンロが収納されていたが、そういったものの収納を想定しているのだろう。もちろんここにも食料品や食器を収納しておける。

ベンチシートの下の収納
左側にあるベンチシートの下は大きな収納スペースだ。シートトップを持ち上げるのに多少力がいるが、衣類やバッグ等を収納しておける。

ベッド下は大きな収納スペース
そしてベッド下は大きな収納スペースになる。リアゲートを開けてキャンプ用具などを積み込むことができる。左側には扉があり、ここも収納になっている。
空調
暖房はFFヒーターがオプションで取り付けできる。冷房に関しては設定が無い。またマックスファンベンチレーターがオプションで用意されている。
テレビ/ナビ
19型のテレビが標準装備される。右側の前部キャビネットに支柱で取り付けられており、ダイネットやベッドモードで観ることができる。また150Wのインバーターも標準装備されているので、外部電源が無いところでもサブバッテリーで駆動することができる。
ナビは7型モニターのナビがオプションで用意されている。好みのナビを指定して取り付けることも可能だろう。
電装系
100Ahのディープサイクルサブバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。また、外部100V電源入力と、これによるサブバッテリーの充電機能が標準装備されている。多くの場合充電機能はオプションとなっているので、これが標準装備されているのは特筆できる。
サブバッテリーはオプションで増設が可能。電子レンジなどの大容量の電気を使う家電品が無いので、サブバッテリーは1個でも問題ないが、テレビを長時間観たり、パソコンをサブバッテリーで電源供給するような場合は、増設しておくと安心だ。
なお、インバーターは150Wのものが標準装備されているが、オプションで1500Wのものが用意されている。1500Wまでは必要ない場合は、安価な400W程度のものでも良いだろう。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
2WD/4ATで354万円~、4WD/4ATで377万円~となっている。付けておきたい必需オプションはFFヒーター(価格不明)が挙げられる。(ナビ関連を除く)
また必要に応じて、218Wソーラーシステム(231,000円)、サブバッテリー増設(38,500円)、ベンチレーター(70,400円)、400W程度のインバーター(オプション設定は無い)が挙げられる。
他モデル
タウンエースベースのバンコンモデルでモルトとコンセプトが近いのは、AtoZのアンナ model L(394万円~)、stage21のリゾート・デュオ ルクシオプロ(396万円〜)、フロットモビールのシュピーレン(価格不明)が挙げられる。
このうちアンナmodel Lはギャレーとポータブル冷蔵庫を標準装備し、コンセプト的にはモルトに最も近い。またリゾート・デュオ ルクシオプロはギャレー、ポータブル冷蔵庫、電子レンジ、エアコンを装備できる充実装備モデルで、長期旅にも対応する。
シュピーレンは2列目シートが一人用か二人用を選択でき、また装備も必要に応じで冷蔵庫よ電子レンジも搭載できる柔軟なレイアウトが可能なモデルだ。
まとめ
モルトはコンパクトなボディで日常用途にも使用できるため、ミニバンなどに代わるファーストカーとして購入したいユーザーに適している。ギャレーや冷蔵庫も装備されているので、登山や釣りといった、車中泊を伴う趣味の用途にも便利だ。
短所はやはりベッドサイズだろう。サイドのギャレーのためベッド幅が十分ではなく、2名就寝できるとは言え、窮屈感は否めない。むしろ、一人で使用するが軽キャンパーでは狭いというユーザーに適している。
モルトは、ギャレー、冷蔵庫、電子レンジ、クーラーが装備できるリゾート・デュオ ルクシオプロのようなクルマ旅用のモデルでは無く、日常用途で使用しながら、比較的近場での車中泊を伴う用途に向いている。
上記の他モデルに対して比較的安価であることも魅力のひとつだ。アルペジオは北海道を拠点としているため、どこでも展示車が見られるわけではないが、展示会の予定などは同社にお問合せいただきたい。
関連記事