ルアナはスマイルファクトリーが製作する、スズキエブリイをベース車にする軽バン・コンバージョンキャンピングカー。
「ルアナ」は同社独自の横開き式ポップアップルーフを架装したモデルの総称で、レイアウトはルアナ独自のものがあるわけではなく、従来のオフタイムトラベラー2、オフタイムトラベラー3、オフタイムトラベラー和（なごみ）の各レイアウトを採用する。
（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）
概要
スズキエブリイをベース車にした軽バンコン。横開き式のポップアップルーフを架装し、ルーフスペースをリビングルームのように使用できる。サイドオーニングも用意されており、雨天時はサイドオーニングがポップアップルーフ部のレインカバーになるアイデアも斬新だ。
同社のオフタイムトラベラーにポップアップルーフを架装する形となり、レイアウトはそれらのものを踏襲している。
アピールポイント
・横開き式ポップアップルーフでルーフをリビングルームのように使用できる
・上下段で大人4名が就寝可能（実質的には2～3名）
・4名が前向き乗車可能
・オフタイムトラベラー和（なごみ）レイアウトではギャレーを装備可能
・リチウムイオンバッテリーを搭載可能
ベース車とエクステリア
ルアナのエクステリア
ベース車はスズキエブリイバン。PA-LTD、PC、JOINの各グレードを選択できる。これに同社オリジナルの横開き式ポップアップルーフを架装する。ポップアップルーフを閉じた状態では車高が1905mmなので、高さ制限のある駐車場にも侵入できる。
サイドオーニングもオプションで用意されており、これは雨天時にポップアップルーフのレインカバーとしても使用できる。
ボディカラーはエブリイの各色を選択できる、写真のルアナ専用色も用意されている。また、同社はサスペンションなどの足回りパーツも扱っているので、強化することもできる。
2WDと4WDを選択可能。ミッションは5MT、5AGS、4ATを選択できる。
インテリア
ルアナのインテリア
展示車は写真のようなインテリアカラーだったが、家具色やシートカラーがどの程度選択できるのかは不明。
レイアウト
2列目のシートを畳んで収納し、その上にベッドマットを敷くオーソドックスなスタイルで、ダイネットとベッドを兼用する。オフタイムトラベラー和（なごみ）のレイアウトでは、後部にギャレーを設置している。
ダイネット
ダイネット
ダイネットは、いわゆるちゃぶ台スタイルを採用している。テーブルも標準装備されているが、このテーブルは車外でも使用できるようになっている。
ルーフリビング
通常ならポップアップルーフ内はベッドの項で記載しているが、ルアナではリビングとして使用できるので、ダイネットの項で紹介する。
ルーフリビングのサイズは1800x1070mm、高さは1000mmあるので、大人2名が座って寛ぐことができる。テーブルを持って上がるとまさにルーフリビングで、食事をすることもできる。呑みながら花火を見るといった贅沢も可能だ。
ベッド
ダイネットベッド
ダイネットベッドの大きさは、運転席側が1800mmの長さ、助手席側は最大2440mmの長さがあるが、足元にギャレーキャビネットがあるので一部は1700mmになる。幅は最大で1200mm、後部は1070mmで多少狭くなる。（ダイネットの項目の写真も参照ください）
1200mmは家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当するが、足元は多少窮屈に感じるかもしれない。
ルーフベッド
ポップアップルーフを上げた状態でベッドとして使用する場合は、1800x1070mmの大きさのベッドとなる。キャンピングカー要件では2名が就寝できるが、1070mmは家庭用ではシングルベッドより100mm広いだけなので、2名だと多少窮屈かもしれない。
ギャレー
引き出せるシャワーフォーセット
オフタイムトラベラー和のレイアウトでは後部左側にギャレーキャビネットが設置されており、シンクとシャワーフォーセットが設置されている。シャワーフォーセットは引き出して車外で使用できる。
シンクの下の給排水タンク
シンクの下にはペットボトル3個分（6L）の給水タンクと5Lの排水タンクが収納されている。扉を跳ね上げて車外からタンクを取り出すことができるので便利だ。跳ね上げた扉はテーブルとして使用できるのも嬉しい。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫はポータブル冷蔵庫を持ち込むことになる。設置スペースは確保されていないので、ダイネット時や就寝時は運転席や助手席に移動する必要がある。
電子レンジも設置スペースは用意されていない。
収納
後部ベッド下の収納
軽バンコンでは十分な収納スペースは期待できないが、オフタイムトラベラー和では後部ベッド下に比較的深い収納スペースが用意されている。なお、ポップアップルーフなしのモデルではオーバーヘッド収納が設置されているが、ポップアップルーフモデルではこれは設置されていない。
後部右側の収納
後部右側のキャビネットにはマガジンラックが用意されている。また、後部両側の窓には収納ポケットが付いているが、これは断熱効果も兼ねており、結露を防ぐ役割を果たしている。
空調
ユニークなのはベンチレーションシステムと名付けられたオプションで、これはサブバッテリーでクルマのベンチレーターを作動させるもの。ヒーターやクーラーの機能は無いが、余分な装置を設置するスペースや手間がいらない。
FFヒーターはオプションで設置可能。冷房装置のオプションは設定されていない。
テレビ/ナビ
テレビのオプションは特に設定されていないが、タブレットなどで視聴すれば問題ないだろう。ナビは好みのものが設置できるだろう。
電装系
100Ahのリチウムイオンバッテリー、走行充電、外部電源入力と充電機能、1500Wインバーターが標準装備される。ソーラーシステムはオプションで設置できる。
100Ahのリチウムイオンバッテリーは心強いが、クーラーや電子レンジが無いので、安価なディープサイクルバッテリーでも良かったのではないだろうか。
価格（2023年10月現在：千円台切り上げ：税込）
普及グレードのPA-LTD 2WD/5AGSで254万円～。これはリチウムイオンバッテリーなど電装系その他が標準装備されている「フルパック」と名付けられたもので、これらがオプションの「ベーシックパック」では201万円～となる。
ハイグレードのJOIN 2WD/5AGSでは、フルパックが273万円～となっている。
他モデル
軽バンコンは非常に多くのモデルが存在するが、ルアナのように横開きのポップアップルーフでルーフリビング的に使えるモデルは他に存在しない。
軽バンコンではないが、ダイレクトカーズの軽キャブコン「アマホ」シリーズは、ポップアップルーフのテント地を全開にできるルーフテラスを特徴としている。
まとめ
ルアナの横開きポップアップルーフは今までにないコンセプトで、ポップアップルーフの新しい可能性を提案しているのは特筆できる。軽バンコンの限りある室内空間だが、このポップアップルーフでもう一部屋増えることになる。
二人で使用する場合は、就寝はもちろん、車内で過ごす場合も上下に分かれて広く使うことができる。ただしポップアップルーフは天候や気候に左右されやすく、風雨の強い場合は使えない。また、寒さ対策も必要だ。
装備的にはシンプルなので、クルマ旅と言うよりは、車中泊を伴うキャンプやイベントなどの短期的な用途に適している。望まれる装備としてはクーラーが挙げられる。コンパクトで高性能なクーラーも開発されてしているので、将来に期待したい。
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