ランドホームコースターはRVランドが製作する、トヨタコースターをベース車にするバス・コンバージョンキャンピングカー。

同社は他社の各種モデルを取り扱っているほか、今回取り上げたランドホームコースターのようなバスコンから、リノ・プレミアムのようなハイエースバンコンまで自社オリジナルモデルも製作している。

また最近では新たに正式輸入が開始されたフィアットのデュカトをベース車にした「ルーム」や「タイムレストラベル」も発表している。


（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）


概要

トヨタコースターをベース車にしたバスコンキャンピングカー。コースターでは最小のサイズながら6mを超える全長で、余裕のある室内空間を持つ。対座ダイネット、ハイマウントダブルベッド、ギャレー、多目的ルームを無理なく配置する。

対座ダイネットを持ち4名が前向き乗車できるため、ファミリーでのクルマ旅にも対応する。家庭用エアコンを標準装備し、夏場でも快適な室内で過ごすことができる。


アピールポイント

・6mを超えるボディで余裕ある室内
・対座ダイネットを持ち、ファミリーでの使用に対応
・FRP窓埋めとアクリル2重窓で断熱性、静寂性を確保
・マイクロファイバーシート表皮で汚れにくく快適な座り心地
・後部ベッドルームはセカンドダイネットとして使用可能


ベース車とエクステリア

　ランドホームコースターのエクステリア

ベース車はトヨタコースター標準ボディ ハイルーフLX。コースターの中では最小のサイズながら全長は６ｍを超える。ボディ右側のウインドウはFRPなパネルで窓埋めされており、窓はアクリル2重窓になっている。これにより断熱性や静音性を確保している。

ベース車のグレードは標準ではLXだが、オプションでGXにアップグレードできる。GXの内容は、フロントパネルブラックアウト、UV カットグリーンガラス、運転席側ウィンドウ上下ブラックアウト、濃色グレーサイドウィンドウガラス、オートグライドドア、サイドプロテクションモール、フロントオートエアコンなどが追加される。


インテリア

　ランドホームコースターのインテリア

木目の家具と白地のシートの組み合わせの美しいインテリアとなっている。シート地はマイクロファイバー地を採用し、汚れに強く肌触りのよいシートとなっている。

家具色やシート地の選択肢は記載されていないが、変更したい場合は相談すると良いだろう。しかし、オリジナルのインテリアで不満が出ることは無いだろう


レイアウト

前部に対座ダイネット、中央にギャレーと多目的ルーム、後部にハイマウントダブルベッドを配置する。キャブコンでも良くあるレイアウトだが、ランドホームコースターでは室内空間に余裕があるため、対座ダイネット、多目的ルーム、ハイマウントダブルベッドが無理なく配置されている。

乗車定員はフロント2名、ダイネット4名、後部ダイネット4名の計10名。就寝人数は、後部ベッドで3名、ダイネット展開ベッドで2名の計5名となっている。


ダイネット

　対座ダイネット

前部の対座ダイネットには4名が座ることができる。2列目、3列目とも固定シートでリクライニングはできない。3列目のシートには3点式シートベルトが備わっているので、運転席、助手席と合わせて4名が前向き乗車できる。

　後部ベッドルームはセカンドダイネットになる

後部のベッドルームは、中央のベッドボードを外してテーブルを立てるとコの字型のセカンドダイネットになる。多人数で乗車している場合に有用だが、二人旅でもそれぞれが自分のプライベートスペースとして過ごすことができる。


ベッド

ベッドは最後部の常設ベッドと、ダイネットを展開するダイネットベッドがある。

　3名が就寝できる後部常設ベッド

後部の常設ハイマウントダブルベッドは、1870x1800mmの大きさ。1800mmの幅は、家庭用ではキングサイズベッドの幅に相当する。キャンピングカー要件では500mmの幅があれば1名分の就寝スペースとされているので、ここでは3名が就寝できることになる。

　2名が就寝できるダイネットベッド

もうひとつはダイネットを展開してできるベッド。ベッドサイズは1900x1200mmで、家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当し、2名が就寝できる。ベッドメークはシートバックを中央に移動するだけなので、比較簡単にできる。


ギャレー

　コンパクトなギャレー

ランドホームコースターのギャレーを見てまず思うことは、バスコンにしてはコンパクトなギャレーだということ。調理をしないユーザーにとっては全く問題ないことだが、調理をするユーザーにとっては、これは大きな問題だ。

調理スペースがほぼ無いうえに、跳ね上げ式調理台なども用意されていない。コンロを置くスペースが無いので、湯を沸かすこともできない。電気ケトルで湯を沸かすという方法もあるが、バッテリーの消費を抑えたい場合もある。

なお、8ナンバー登録に必要な調理設備については電子レンジが標準装備されているので、これでクリアできる。

　シンクの下の給排水タンクと収納

シンクの下には引き出し収納や扉付き収納が用意されている。カトラリーや食器、あるいは調理用具を収納しておくのに便利だ。


冷蔵庫/電子レンジ

　90L横開き式冷蔵庫が標準装備される

冷蔵庫は90Lの横開き式冷蔵庫が標準装備される。90Lなので、ファミリー分の食材を保冷しておくには十分な容量だ。もちろん冷凍室があるので、製氷や冷凍食品の保冷も可能。

　電子レンジも標準装備される

家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。1500W正弦波インバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。


多目的ルーム

　ラップポンを置いてトイレルームにできる

多目的ルームは右側中央に設置されており、収納スペースとしたり、トイレを置いてトイレルームにしたりできる。FFヒーターの吹き出し口も用意されているので、冬場の寒い時期でも温かくトイレを使うことができる。

ACでの加熱で、あるいはラジエーターの熱交換式での22L温水ボイラーが標準装備されているので湯を使うことができる。温水シャワーはオプションで設置できる。給水タンクは68Lあるので3～4名がシャワーを使うことができる。


収納

ランドホームコースターの収納は、ギャレーの収納、オーバーヘッド収納、シート下収納、外部収納、シューズボックスと大変充実している。

　ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される

まず、オーバーヘッド収納は、ダイネット両側とベッドルーム両側に設置されており、大きな収納容量がある。その他にもギャレー上部とエントランス上部にオーバーヘッド収納が用意されている。

　後部ベッドルームの収納

次に、後部ベッドルームの下の収納がある。これはベッドルームをダイネットにした場合のシート部分の下の収納で、シートを持ち上げて内部にアクセスする。

　最後部の大きなカーゴスペース

外部収納は、リアゲートを開けて車外から直接荷物を積み込むことができる。キャンプ用具などの大きな荷物を積み込むのに便利だ。この収納には車内からもアクセスできる。


空調

　車載用セパレートクーラーを標準装備

ベッドルームの後部には、家庭用エアコンが設置されている。ただ目立たないようにカバーがしてあるので、一見しただけでは見落としてしまうかもしれない。冷風は最後部から前部に向かって吹き出すので、冷房効率は良さそうだ。

室外機は後部左側下に設置されている。


テレビ/ナビ

オプションリストには記載されていないg、テレビを設置することは可能と思われる。


電装系

　ダイネットシート下のサブバッテリーと給水タンク

サブバッテリーは、95AhのAGMバッテリーが3個標準装備される。AGMバッテリーは鉛バッテリーの一種ではあるが、高性能のバッテリーなので家庭用エアコンを実用的に駆動することができる。

ただし、リチウムイオンバッテリーは更に高性能な位置付けで、エアコンのような大電力を消費する家電品には、理想的にはリチウムイオンバッテリーがより適している。オプションに設定されていないが、相談すると良いだろう。


価格（2023年12月現在：千円台切り上げ：税込）

2WDのみが選択でき、価格は1496万円～。ほとんどの必需装備は標準装備されているので、付けておくべきオプションは無い。予算に余裕があれば、254W×2枚のソーラーシステム（418,000円）が挙げられる。

必要に応じてラップポン・トレッカーWT-4（176,000円）、温水シャワー（価格不明）、サイドオーニング（187,000円）、GXグレードへのアップグレード（などがある。


他モデル

バスコン自体、あまり多く存在していないが、トイファクトリーのセブンシーズ（価格未定）、RVビックフットのACSエテルノオクタービアMパネル仕様（1411万円～）などがある。いずれもコースターがベース車だが、セブンシーズはロングボディを使用しており、7mに近い車長がある。


まとめ

ランドホームコースターはバスコンの中ではコンパクトながらも6m以上の車長があり誰にでも適しているモデルではない。スーパーやコンビニ、あるいは観光地の駐車場などに駐車するのも苦労するし、車中泊の場所も限られる。

しかし、その車内の広さは捨てがたいものがあるし、マイクロバスの乗り心地は商用車ベースのキャブコンでは得られない快適さがある。

ランドホームコースターは、そのようなバスコンのメリットを享受できるモデルのひとつで、特にセカンドダイネットの存在は他のモデルにないメリットとして特筆できる。実際、長期にわたる二人旅ならプライベートなスペースは重宝する。

ランドホームコースターで気になる点はギャレーだ。コンパクトなギャレーで、調理スペースが多いという理由からかもしれないが、、やはりバスコンならキャブコン並み以上のギャレーは期待したい。

それ以外は全く問題なく、オプションで温水シャワーが設置できるのも、必要とするユーザーへの選択肢が用意されている。


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