「チッピー」はキャンパー厚木が製作する、ダイハツハイゼットカーゴをベース車にした軽バンコンキャンピングカー。
同社は人気のカムロードベースキャブコン、「Puppy(パピー)480」や「Puppy(パピー)フルハウス」を制作しているが、新たに軽バンコン「チッピー」を発売する。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ダイハツハイゼットカーゴをベース車にした軽バンコン。軽バンコンでは珍しい横座り対座のダイネットを持つほか、前向きシートの収納/設置やベッド展開が極めて簡単にできる機構を採用。
装備はシンプルながら使い勝手を追求した軽キャンパーに仕上がっている。ベッドは1800mmを満たしているのは片側(900㎜)のみながら、もう片方も1700mmで、合わせて2名が就寝できる。
片方のみをベッドとすることも可能で、一人使用の多い軽バンコンのマーケットを意識した作りになっている。
アピールポイント
・シンプルな軽バンコン
・横座り対座ダイネットを採用
・簡単に跳ね上げ/セットできる大きなテーブル
・30L引き出し式冷蔵庫を標準装備
・簡単な2列目シート収納/展開
・簡単なベッド展開
ベース車とエクステリア

チッピーのエクステリア
ベース車はダイハツハイゼットカーゴ。クルーズターボCVT 2WDと4WDがリストアップされている。なお、トヨタピクシスバン、ダイハツアトレーでも製作することができる。
ボディ外側への架装は無く、外観は通常の軽バンと変わらない。ただしキャブ上部にマックスファンが埋め込まれているので、ここだけは一般のクルマと異なっているが、目立つものではない。
従って、日常使用にも違和感なく使用することができる。なお展示車のボディカラー(アイスグリーン)はオプション(22,000円)。
インテリア

チッピーのインテリア
インテリアは極めてシンプルで、特筆できるものは無い。しかしそれはコンセプトであり、インテリアにこだわるユーザーを対象としていない。
レイアウト
両側にベンチシートを配置しており、軽バンコンでは珍しいレイアウトを採用している。後部に大きなテーブルがあるのも特徴的だ。また、軽バンコンでは良くある後部両側の収納キャビネットは無い。
一般的な軽バンコンのレイアウトとは全く異なったスタイルのレイアウトだ。同社の「今までのものとは違うものを作る」という気概が感じられる。
また、2列目シートの収納やセットも簡単にできる(動画はこちら)。
ダイネット

ワーキングスペースになるダイネット
前述の通り、横座りシートによる対座ダイネットを採用しており、従来の軽バンコンによくあるちゃぶ台スタイルのダイネットとは異なる。なお、もちろんベッド状態にするとちゃぶ台スタイルで寛げる。
後部の大きなテーブルは簡単に跳ね上げたりセットしたりできる(動画はこちら)。パソコンなどを使う場合は、ベンチシートとこのテーブルは使いやすい。リモートワークのスペースとしても使えるだろう。
(追記)読者様からのコメントで「高い背もたれが高く、テーブル使用時にももたれかかる事ができるのが良い。軽キャンでこれが出来るのが無いから、これは良い。」というコメントがありました。重要なポイントなので追記します。
ベッド

2名が就寝できるベッド
ベッド展開すると、左側は1800x600mm、右側は1700x600mmのベッドになる。1800mmを満たしているのは片側だけだが、身長が高くなければ2名就寝も可能だ。
特筆できるのはベッド展開で、フレームを引き出してベッドボードを乗せるとベッドが完成する(動画はこちら)。動画では車外から操作しているが、雨の日でも車内で操作することは可能だろう。
ギャレー
チッピーにギャレーは装備されていない。ギャレーを必要とするコンセプトではない。
冷蔵庫/電子レンジ

30Lの引き出し式冷蔵庫が標準装備され
30Lの引き出し式冷蔵庫が標準装備される。調理をするための食材を入れるという目的ではなく、冷たい飲み物をいつでも飲むことができる。電子レンジは装備されない。
多目的ルーム
多目的ルームはもちろん無いし、ポータブルトイレを積んでおくのも現実的ではない。
収納

ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
ベッドボードの下が大きな収納スペースになる。就寝時はここに荷物を収納しておくと、ベッドが大きく使える。
空調

マックスファンを標準装備
マックスファンが標準装備されるが、これもチッピーの特徴のひとつ。できるだけ車高を低くするため、設置部分を凹ませてある。その分室内に出っ張ることになるが、高さ制限のある駐車場に入るのを躊躇する必要はない。

マックスファンは1段低い位置に設置
マックスファンは使用時には上の写真のように高くなるが、収納時は1910mmに収まる。動画はこちら。
なお暖房装置はオプション設定されていない。電気毛布等をユーザーが用意する必要がある。
テレビ/ナビ
テレビのオプション設定は無いが、今の時代、スマートフォンやタブレットでテレビが観られるし、自宅で録画した番組も観られるので特に問題は無いだろう。ナビはパイオニアの楽ナビがオプション設定されている。
電装系
75Ahのディープサイクルバッテリーが1個と昇圧式走行充電システムが標準装備される。サブバッテリーはオプションでもう1個追加可能で計2個を装備できる。外部電源入力と充電は不明。
インバーターは350W正弦波のものが標準装備される。また、175Wのソーラーシステムがオプション設定されている。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
同社のサイトに情報が無いので現在の価格は不明だが、2022年7月の展示会ではクルーズターボ2WDで277万円~、4WDで293万円~となっている。
付けておきたいオプションは特に無い(ナビ関連は除く)が、必要に応じてツインサブバッテリー(36,300円)、175Wソーラーシステム(96,800円)があれば電装系に不安は無くなる。ただ、電子レンジなど大きな消費電力の家電品が無いので標準装備の範囲でも特に問題ないだろう。
他モデル
軽バンコンは非常に多くのモデルが存在するが、横座りベンチシートを採用したモデルは他にない。シンプル装備のモデルではAtoZの「アメリア ワン」(249万円~)に代表されるちゃぶ台スタイルのモデルが多数ある。
ちゃぶ台スタイルではなく椅子スタイルのダイネットを持つモデルなら、ナッツRVの「スピナ」(238万円:GX/JOIN 2WD/4AT )などがある。
まとめ
チッピーは同社のモデルらしく、アイデアが詰まった意欲的なモデルだ。インテリアはシンプルだが、必要最小限の装備(冷蔵庫)は標準装備されている。多くの装備はいらないが、テレワークのスペースなど実用的な用途に使いたいというユーザーに適している。
なお、暖房装置がオプション設定されていないのは気になるところ。電気毛布などで対応できないことは無いが、FFヒーターとは言わないまでも、何か車内を温める装置の提案が欲しいところだ。
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