アメリア ワン(Ameria One)はAtoZ(エートゥゼット)が製作する、マツダ スクラムをベース車にした軽バンコン。スクラムはスズキ エブリイのOEMなので、ベース車はエブリイと同じ。
同社はカムロードをベースにしたアンソニーや、NV200バネットをベースにしたアルファなどキャブコンのラインアップが中心だが、アンナや、2020年2月のジャパンキャンピングカーショーで発表されたアメリアやアメリアライトといったバンコンも充実しつつある。
アメリア ワンの室内
アメリア ワンは同社唯一の軽バンコンで、基本設計はメティオのラクネル レストを使用している。ラクネル レストとの違いは、アメリア ワンはギャレーを装備していること。一方、ラクネル メティオはこの位置にポータブル冷蔵庫が収まっている。
コンセプト:アメリアシリーズには、スーパーロングの「アメリア」と、標準ボディハイルーフの「アメリア ライト」があるが、シリーズで最も小型の軽バンコンのポジションを埋めるモデルとして、「アメリア ワン」が位置付けられている。
ギャレーはあるが冷蔵庫や電子レンジのオプション設定は無く、特に長距離旅を意図したものではなさそうで、特化した用途を謳ったものではない。
なお、サブバッテリーにポータブル電源を使用し、これを車内の電装系に接続して使用できるようにしているのは、特に軽バンコンの電装系の新しい考え方と言える。
エクステリア:外装への架装は無く、外観は通常の軽バンと変わらない。日常用途で使用する場合も違和感なく使用できる。またスクラムにはデュアルカメラブレーキサポートシステムや誤発進抑制機能が装備される。
軽バンコンには珍しい対座ダイネット
インテリア:軽バンコンには珍しく、2名ではあるが対座ダイネットが設置できる。もちろん、フルフラットフロアにして寛ぐことも可能で、この場合はそのままベッドになる。
2列目シートの上にアルミフレームを構成
レイアウト:ラクネルの特徴はアルミフレームを組み付けてレイアウトが構成されていること。アメリア ワンも同じで、ダイネットテーブルもアルミフレームで確立される。
そのため非常にしっかりしたベッドになるが、一方では、畳んだ2列目シートを起こすためにはアルミフレームをバラさなければならないので、多少不便ではある。
ダイネット:2名が対座できるテーブルを設置できるが、これはアルミフレーム2本で支えられ、しっかりと基本フレームにネジ止めされている。ただし、このテーブルを外してベッド状態にするには、ネジを外す必要がある。
工具は不要で手で回せるが、車外に出て作業するのが楽。しかし雨が降っている場合は車内で作業する必要があるため、少し面倒かもしれない。
恐らく、多くのユーザーはテーブルを使用せず、フラットフロア状態にして寛ぐこととなるだろう。
2名が就寝できるベッド
ベッド:フラットフロアにすると、2名が就寝できるベッドになる。後部左側にはギャレーコンソールがあるので、足元が多少窮屈かもしれない。
コンパクトなシンクとシャワーフォーセット
ギャレー:後部左側にコンパクトなシンクとシャワーフォーセットが標準装備されている。シャワーフォーセットは、引き延ばして車外で使うこともできるので、ペットの足を洗うといった使い方ができる。
冷蔵庫/電子レンジ:どちらもオプション設定されていない。ただし冷蔵庫はポータブル冷蔵庫を持ち込むことは可能。後述の電源があるので、12V電源の確保もできる。
両側に設置されるオーバーヘッド収納
収納:後部両側にオーバーヘッド収納が用意されている。これがあることで、車内の煩雑さが大きく解消される。特に食器類やタオルなど、清潔性を保つ必要がある荷物の収納には重宝する。
また、右側にはオーバーヘッドトレイ、キャブ上部にもベース車のトレイが用意されている。
大きな荷物はベッド下の収納スペースに収納できるが、高さの制限はある。
ベッド下の収納スペース
空調:暖房はFFヒーターがオプション設定されている。ベンチレーターや冷房のソリューションは設定されていない。
テレビ/ナビ:ナビはオプションで装着可能。テレビの設定は無い。
JVCのポータブルリチウムイオンバッテリーを装備
電装系:アメリア ワンの特徴のひとつが電装系。JVC製の518Whポータブルリチウムイオンバッテリーを標準装備しているのだが、単にポータブル電源を置いておくだけではなく、架装した電装系と接続して走行充電や外部100V入力充電ができる。
更に車内の照明やシャワーフォーセットの電源としても使われている。即ち架装した電装系に完全に組み込むのではなく、接続することによりサブバッテリーとして働くわけだ。当然簡単に切り離して車外で使うこともできる。この考え方は、今後特に軽キャンパーでは主流となるかもしれない。
なお、1500Wインバーターも標準装備されているので、バッテリーで100Vの家電品を使うこともできる。また、100WのポータブルソーラーパネルもJVCから発売されている。ちなみにラクネルレストでは、通常のディープサイクルバッテリーが据え付けられている。
価格(税別):2WD/5AGS(オートギアシフト)で207万円~。ポータブルバッテリーも含まれた価格だ。付けておきたいオプションはFFヒーターが挙げられる。
他車:軽バンコンは数えきれないほど存在するが、アメリア ワンの特徴は、やはり電装システムだろう。ポータブルリチウムイオンバッテリーを車内の電源として使用することはどのモデルでも可能だが、車内の電装系に組み込めるものは他に見当たらない。
まとめ:アメリア ワンは対座ダイネットを持つ軽キャンピングカーとしては珍しく、これが特徴ではある。しかし恐らく多くのユーザーはテーブルを立てずにフラットベッドの状態で寛ぐことを考えると、あまり大きな相違点とは言えない。
むしろ、電装系の方が実用的な特徴と言える。518Whのリチウムイオンバッテリーで容量的に不安なら1002Whのものも選択でき、これなら実質的に105Ahのディープサイクルバッテリー程度の容量があり、経年変化にも強いことを考えると理想的なサブバッテリーだ。容量的にも、大きな電力を使わない場合はこれで十分と言える。
関連記事