ボーダーバンクスはナッツRVが製作する、トヨタ コースターをベース車にしたセミフルコンキャンピングカー
同社はこのセミフルコンのボーダーから軽キャンパーまで扱う、国内最大手ビルダーのひとつ。ボーダーは同社のフラグシップモデルに位置付けられる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
トヨタのマイクロバス、コースターをベース車にし、これをボディカットして後部にシェルを架装する、セミフルコンキャンピングカー。Type L、Type D、TypeTの3種類のレイアウトをラインアップする。
Type Lは前部にリビングソファタイプのダイネットを持ち、後部は横置きダブルベッドのレイアウト構成で、主に二人旅に適している。常設2口コンロがあるギャレーや温水シャワーを設置できるサニタリールームなど、快適なクルマ旅が期待できる。
アピールポイント
・6m超の余裕ある車体サイズ
・高断熱パネルのシェル
・4種類の家具が選択できる、高品質で豪華なインテリア
・Type Lはリビングソファタイプのダイネット
・温水シャワーを設置できるサニタリールーム
・リチウムイオンバッテリー搭載可能なハイパーエボリューション電装システム
ベース車とエクステリア
ボーダーバンクス TypeLのエクステリア
ベース車はトヨタ コースター ビッグバン LX 標準ボディ。これをボディカットし、同社オリジナルの高断熱コンポジットパネルのシェルを架装している。
エンジンは2,754cc直噴ディーゼルターボ、ミッションは6AT。2WDのみで4WDは無い。全長は6.3mで余裕のある車体サイズとなっている。
インテリア
ボーダーバンクスのインテリア
インテリアはフラグシップモデルらしく重厚さと高級感がある。家具色は4種類から選択できる。
レイアウト
ボーダーバンクスにはType L、Type D、Type Tの3種類のレイアウトが存在する。Type D、Type Tは前部に対座ダイネットを持ち、TypeDはダブルベッド、Type
Tは縦置きツインベッドを配置する。
Type Lは前部にリビングソファスタイルのダイネットを置き、前向きシートは持たない。それゆえ、二人旅に適したレイアウトと言える。
ダイネット
リビングソファのダイネット
Type Lのみリビングソファスタイルのダイネットを与えられている。右側にロングソファ、左側に単座のソファが置かれ、対座している。広く開放的なリビングで、車内だという圧迫感はほとんど無い。
ベッド
ベッドは後部の常設ハイマウントダブルベッドと、バンクベッドの2か所に設置されている。
後部のダブルベッド
メインベッドは、後部の横置きダブルベッド。大きさは2020x1400mm。家庭用ではレギュラーダブルベッドの幅に相当する。ベッドにはウッドスプリングと、専用の110mm厚マットレスが用意されており、快適な寝心地が期待できる。
バンクベッド
運転席、助手席の上部にはバンクベッドがあり、これは2020x1580mmの大きさで車幅方向に就寝する。家庭用ではクイーンサイズベッドの幅(1600mm)にほぼ相当する。
使用しない場合は手前のベッドエンドが跳ね上げられ、荷物が落ちないように扉になる。
ギャレー
ギャレーセクション
右サイドに広いギャレーが設置されている。天板には丸形のシンクと常設2口コンロがビルトインされている。調理スペースも広く取られており、快適に料理ができる。なお、レンジフードはオプションとなっている。
シンクの下の給排水タンクと収納
ギャレーキャビネットには多数の収納スペースが用意されており、食器やカトラリー、調理用具などを収納しておける。
冷蔵庫/電子レンジ
110L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は110L横開き式が標準装備される。もちろん、冷凍室があり、冷凍と冷蔵が同時にできる。
電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。クルマ旅では、ちょっとした温めものや冷凍食品の解凍に便利だ。
多目的ルーム
サニタリールーム
サニタリールームは防水処理が施されており、トイレや温水シャワーを装備できる。トイレはオプションで、カセットトイレ、ポータブルトイレ、ラップポンが選択できる。
温水シャワーは22Lの熱交換+ACのボイラーを装備することによって可能。90Lの給排水タンクが標準装備されている。専用の手洗いも設置されている。もちろんFFヒーターの吹き出し口も用意されているので、冬季でも暖かなトイレルームとなる。
収納
ボーダーバンクスの収納は豊富に用意されており、ギャレーキャビネットの収納、オーバーヘッド収納、ソファ下収納、後部ベッド下収納がある。
ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
オーバーヘッド収納は、前部ダイネット両側とギャレー上部、後部ベッドルーム両側に設置されている。
ギャレー上の収納
ギャレー上部にもオーバーヘッド収納が設置されており、食器や調理用具などを収納しておくのに便利だ。
シート下の収納
シート下にも収納が用意されている。シートクッションを持ち上げてアクセスするのではなく、引き出し式になっているので使いやすい。
後部ベッド下の外部収納
後部ベッド下は大きな外部収納になっている。 両側と後部に大きなバゲッジドアが付いているので、アクセスしやすい。
空調
家庭用セパレートエアコンを標準装備
暖房はFFヒーターが、冷房は家庭用エアコンが標準装備される。マックスファンベンチレーターも標準装備。
テレビ/ナビ
19インチのテレビを標準装備
ダイネットに19インチのテレビが標準装備される。ナビはパナソニック製やパイオニア製のものがオプションで用意されている。
電装系
ボーダーバンクスにはエボリューション仕様と、ハイパーエボリューション仕様が用意されている。ハイパーエボリューション仕様には100Ahのリチウムイオンバッテリーが4個標準装備される。エボリューション仕様には100Ahのディープサイクルバッテリーが4個標準装備される。
走行充電は、急速充電が可能。ハイパーエボリューションシステムでは、4~5時間の走行で満充電にできるとしている。エボリューションシステムでもアイドリングだけで4つのバッテリーをフル充電できるとしている。
その他、外部100V電源入力と充電機能、1500W正弦波インバーター、280Wクラスソーラーチャージャーも標準装備される。
価格(2023年9月現在:千円台切り上げ:税込)
ディーゼル2WDのみが選択可能で、エボリューション仕様は1606万円~、ハイパーエボリューション仕様は1694万円~となっている。
付けておきたい必需装備はほとんど無いが、トイレはオプションになっているので、カセットトイレ(195,470円)、ポータブルトイレ(30,690円)、ラップポン・トレッカー
WT-4(S)(220,000万円~:要電源工事)から選択できる。
他モデル
セミフルコンのモデルは、ボーダーバンクスの他には、フィールドライフのシリウス(2098万円~)とRVビックフットのACSオアシスSH(1984万円~)しかない。いずれもリビングソファータイプのダイネットを採用しており、二人旅に適したレイアウトとなっている。
輸入モデルではフル・コンバージョンが比較対象になるかもしれない。例えばアドリアモービルのソニック スプリーム 700SL(2156万円~)だが、下位グレードのソニックプラス600SLは1815万円~で価格的にも国産セミフルコンと近くなる。
まとめ
セミフルコンは国産最高峰のキャンピングカーのカテゴリーで、誰もが気軽に手を出せるものではない。価格もさることながら、車体の大きさにより行けないところも出てくるし、買い物やレストラン、あるいは観光地などでの駐車も制限される場合がある。
従って、駐車できるところをあらかじめ探して旅の予定を立てるなど、いろいろと大型車に乗るノウハウも必要になる。
しかし長期のクルマ旅では、やはりこの大きさと豪華さは魅力的だ。輸入モデルは洗練されたインテリアや豪華なギャレー、あるいはお洒落なサニタリールームなどアピールポイントが多いが、日本のインフラに合わせたレイアウトや装備と言う面では、やはり国産車の方が使いやすいだろう。
関連記事