ブルームーンEXはカトーモーターが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にするバン・コンバージョンキャンピングカー
同社は主にハイエースをベース車にするバンコンを製作しているビルダー。同社のモデルは木の温かみを生かしたインテリアが有名だが、新潟県に本拠を構える同社は、雪国ならではの徹底した断熱施工でも定評がある。
ブルームーンは同社独自の、スライドして幅が拡張できる縦置き2段ベッドを採用したモデル。 ブルームーンEXは、ブルームーンのレイアウトを変更し、就寝人数を4名から5名に増やしたレイアウトを採用している。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエーススーパーロングをベース車にするバンコンモデル。ボディ外側への架装は無いが、展示車ではオプションのJ-TOPルーフを架装し、ルーフが100mm高くなっている。
2列目にマルチモードシートを配置し、3列目と4列目の単座シートを合わせて、計6名が前向き乗車できる。助手席のシートバックを前に倒して後ろ向きのシートにすることにより、2列目シートとで対座ダイネットを形成するほか、3列目と4列目のシートで2名のセカンド対座ダイネットも可能。
スライド機能を持つ縦置き2段ベッドは、各段に2名が就寝でき、大人4名が就寝できる。更に3、4列目のシートをフラットにすると、もう1名が就寝でき、計5名が就寝できる。
家庭用エアコンがオプションで設置でき、ファミリーでの快適なクルマ旅に対応する。
アピールポイント
・各段に2名が就寝できるスライド式縦置き2段ベッド
・5名が就寝可能
・6名が前向き乗車可能
・木の温かみのある家具と高級感のあるインテリア
・高い断熱性能
・家庭用エアコンを装備可能(OP)
ベース車とエクステリア
ブルームーンEXのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロング特装車、あるいはDX+GLパッケージを選択可能。ガソリンとディーゼル、2WDと4WDが選択できる。ボディ外側への架装は無いが、展示車はJ-TOPルーフを架装し、室内高が100mm高くなっている。
インテリア
ブルームーンEXのインテリア
同社のモデルは木の温かみが感じられるインテリアが特徴で、ブルームーンEXも同様にリアルウッドを用いた家具が用いられている。窓枠も木材で縁取りがされ、高級感のあるインテリアに仕上がっている。
J-TOPルーフと間接照明
展示車にはJ-TOPと名付けられたルーフが架装されており、通常1600mmの室内高が100mm高くなる。ここに間接光を仕込み、夜もお洒落な室内を演出することができる。
レイアウト
2列目に2名用マルチモードシート、3列目と4列目に単座のシートを配置している。これにより、計6名が前向き乗車ができる。なお、ガソリンのDXグレードでは運転席と助手席の間の補助シートにも1名乗車できる。
後部右側には縦置き2段ベッドが設置されており、スライドすると各段に2名が就寝できる。後部ダイネットもベッド展開でき、就寝定員は5名。
最後部に多目的ルームが用意されており、ポータブルトイレを置いてトイレルームにすることもできる。完全な個室にはならないが、室内から見えにくくなる。
ダイネット
フロントのダイネット
助手席のシートバックを前に倒すと、後ろ向きのシートとして使用でき、2列目シートと対座ダイネットを形成する。なお運転席のシートはギャレーキャビネットがあるので後ろ向きにできない。
後部の2名対座ダイネット
もう一つのは、3列目のマルチモードシートを後ろ向きにして4列目のシートとで作る2名対座ダイネット。4列目シートをベッドモードにすると、3列目シートをリクライニングして足を伸ばしてリラックスできる。
ベッド
後部右側の2段ベッド
ブルームーンEXの大きな特徴がこのスライド方式のベッド。通常は上の写真のようにシングルの2段ベッドだが、横方向にスライドして幅を拡張できる。シングル時のベッドサイズは、上下段とも1900x650mm。
横方向にスライドすると2段ダブルベッドに
拡張した状態が上の写真。ベッドサイズは上段が1900x1100mm、下段が1900x1200mmとなっている。1200mmは家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当し、各段に2名が就寝できる。
ダイネットもベッド展開したフルベッドモード
更に3列目と4列目のシートをフラットにすると、ここでも1名が就寝できるベッドになる。この状態で計5名が就寝できる。
ギャレー
ダイネットに隣接したギャレーキャビネット
ギャレーキャビネットは2列目シートの右側にあり、シートとの間に立つ空間は無い。料理をするのには向かないが、ダイネットからすぐに手が届くというメリットはある。
シンクの下の給排水タンク
シンクの下には、各20Lの給排水タンクが収納されている。ブルームーンEXに限らないが、ダイネットに隣接してギャレーキャビネットを配置するこのようなレイアウトではシートやテーブルが邪魔になり、給排水タンクの出し入れに苦労する場合がある。
冷蔵庫/電子レンジ
40L上開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は40L上開き式が標準装備される。
コーヒーメーカーの収納スペース
展示車には装備されていなかったが、家庭用の100V仕様の電子レンジがオプションで設置できる。家具の加工も必要とされているので、どこにどのように収納されるかは不明。展示車にはコーヒーメーカーの収納スペースが設けられていた。
多目的ルーム
最後部の多目的ルーム
後部左側には多目的ルームが設けられている。シャワーパンが置かれており、ポータブルトイレを置いてトイレルームとして使うことも可能だ。
スライドドアがあり、これを閉めるとリビングスペースから目隠しがされるが、実は完全な個室ではなく、ベッド側はオープンになっている。また、ベッドを拡張している場合は通路から入ることはできず、ベッドを通って入ることになる。
収納
下段ベッド下の収納
オーバーヘッド収納はギャレー上部に設置されるが、オプションの家庭用エアコンを装着すると、これは無くなってしまう。2名対座ダイネットの上部やエントランス上部に設置できなかったのだろうか?
結局、家庭用エアコンを装着すると、収納と言えるものは下段ベッドの下だけとなる。なお、この収納にはリアゲートを開けて車外からもアクセスできる。
収納が少ないことは、このモデルのひとつの弱点だろう。ただし、クルマ旅のような使い方をせず、短距離、短時間の用途で使うのであれば、それほど多くの収納スペースは必要ないかもしれない。
空調
家庭用セパレートクーラーを設置可能(OP)
家庭用エアコンがオプションで設置できる。設置スペースはギャレーの上部で、前部のダイネットは涼しい風が来る。ただし、後部への風通しは上の写真からも分かる通り、あまり良いとは思えない。エントランス上部は難しかったのだろうか。
暖房はFFヒーターがオプションで用意されている。また、ベンチレーターもオプションで設置できる。
テレビ/ナビ
パイオニアやパナソニック製のナビをはじめ、各種ナビがオプションで用意されている。モニターはフリップダウンモニターがオプションで用意されている。
電装系
標準では、100AhのAGMディープサイクルバッテリーが1個、走行充電、外部100V電源入力と充電機能が装備されている。追加バッテリーがオプションで用意されているが、リチウムイオンバッテリーのオプション設定は無い。
300W/1500W正弦波インバーターと180Wソーラーシステムはオプション。
価格(2023年9月現在:千円台切り上げ:税込)
DX+GLパッケージ 2WD/6ATの車両本体価格は654万円~、特装2WD/6ATは678万円~となっている。4WDやディーゼルは下の比較表をご覧ください。
付けておきたい必需オプションは、1500W正弦波インバーター(154,000円)、FFヒーター(231,000円)が挙げられる。夏場に使用するなら家庭用エアコン(価格不定)も装備したい。
他モデル
ハイエーススーパーロングベースで縦置き2段ベッドを持つ、似たコンセプトのモデルとしては、レクビィのファイブスターセプト(693万円~)と、ビークルのベッセルJ(559万円~)が挙げられる。
ファイブスターセプトはベッドエンドが単座シートにトランスフォームする機構を持ち、7名の乗車人数と大人3名+子供2名の就寝を可能にしたファミリー向けモデル。後部に完全防水されたシャワールームがあり、オプションで温水シャワーを装備できる。
ベッセルJは後部にベンチシートにもなる2段ベッドを持つが、家庭用エアコンなど冷房装置のオプション設定が無い。
まとめ
カトーモーターのモデルは木の温かみを生かした独特のインテリアが好評だが、ブルームーンEXも高級感のある室内を実現している。家庭用エアコンも装備でき、ファミリーでの快適な車中泊が可能だ。
ただし、もう1名の就寝を実現するため多少レイアウトが窮屈になっている。就寝人数が4名で良いなら、あるいはクルマ旅にも使うなら、ブルームーンの方がお勧めだ。
ブルームーンでは、ギャレーが左サイドにあり、通路に立って調理できる他、冷凍室がある横開き式冷蔵庫や電子レンジ(OP)の収納スペースも用意されている。最後部にはトイレルームも設けられている。
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